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快傑ライオン丸(46) [ライオン丸・ドラマ5]

今回は、第51話《最後の八人衆 怪人アブター・前編》を取りあげます。

原作;うしおそうじ
脚本;まつしまとしあき
企画;うしおそうじ 別所孝治
音楽;小林亜星
殺陣;渡辺高光
監督;曽我仁彦

【前回までの話は・・・第六の刺客は、ゴースンの怒りを買って岩穴に閉じ込められている凶暴で傲慢な怪人ジャムラ。獅子丸と錠之介を殺すことを条件に、大魔王ゴースンはジャムラを解放した。頭がよく、故に自惚れも強いジャムラは、ライオン丸を倒すきっかけを逃して倒されてしまう。第七の刺客は、一つ目怪人ジュウカク。人質を使って金砂地の太刀を奪うと、獅子丸を絞首刑台に乗せてしまう。だが、ワンチャンスを生かした錠之介、沙織、小助の働きによって獅子丸は救出され、金砂地の太刀を取り返した獅子丸はライオン丸となってジュウカクを倒した・・・】

◆虎錠之介は、ある場所を目指してひたすら走っていた。鋭く研いだ象牙の先を付けたヤリを持ちながら、ひたすら走った。その目的の場所には、チェスをする怪人アブターとドクロ仮面がいた。

『待たせたな。そう簡単にこの命、渡せぬ!いつでも来い!』

どうやら、怪人アブターは錠之介に決斗を申し込んだようであった。現れた錠之介を見て、ドクロ仮面は太刀を抜いて錠之介に向かっていく。だが、アッと言う間に斬り倒されてしまう。

残ったアブターとの一騎打ちのため太刀を構える錠之介に、「どうした、変身しろ!」と催促するアブター。変身しないと俺には勝てないぞと言わんばかりに、余裕のあるアブターの態度に苛立った錠之介は、タイガージョーに変身する。

『タイガージョー、推参!』

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タイガージョーの振り下ろした銀砂地の太刀がアブターのヤリのような武器とぶつかった途端に、太刀の刀身が一瞬にして燃え上がってしまう。焦ったタイガージョーは高く飛び上がると、銀砂地の太刀を宙で一振りして炎を消し、大地に着地してから黒く煤けた刀身をマントで拭った。

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剣と剣がぶつかり合い、五分五分の戦いが展開していたが、両手十本の爪先を連続発射して被弾させるアブターの秘密兵器(ここではフィンガーミサイルと呼ぶ)が、タイガージョーを襲った。それを全身に受けたタイガージョーは、深い傷を負ってしまう。アブターの前から逃げて身を隠し、川へ潜って足取りを消すことに成功したタイガージョーは、しかし重体であった。

(ナレーション;獅子丸たち三人が、大魔王ゴースンを求めて旅立ってから、早一年の歳月が流れようとしていた。その間、二度の戦いに敗れた獅子丸は、今三度目の、そして最後の対決に向かって迫っていく)

河原で力尽きて倒れているであろう錠之介の姿を求めて、アブターは行動した。カラスの声を聞いて、錠之介が川の上流にいることを知ったアブターは、探していた方向を変えて歩き出した。

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その頃、川から少し離れた場所で、昼食用に三匹の川魚を焼いている獅子丸たち三人は、笑いながら話をしていた。ふと小助が、錠之介の話を始めた。

『だけど、錠之介はたった一人で寂しくないのかな。オイラ達みたいに、一緒に話したり助け合ったりできないから・・・』

小助はそう言うと、たき火の炎を見つめながら何かを思っていた。獅子丸も沙織も、錠之介が一緒にいてくれたら百人力だと思う。獅子丸が少し離れた川まで水を飲みに出かけて行くと、その途中の河原で倒れている錠之介を発見するのだった。揺り起こそうとしてもピクリとも動かない錠之介を見て、うつ伏せの体を反して獅子丸は心の臓に耳を当てた。

『有り難い!まだ息がある』

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獅子丸は錠之介を急いで背負うと、錠之介が放さず持っていた象牙のヤリを右手に持ち、杖のようにして自分達のたき火の場所まで歩いて行くのだった。

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獅子丸が錠之介を見つけたちょうどその頃、沙織と小助が留守をしているたき火の場所に、突然赤い怪人が出現した。余裕のある笑い声を発してふたりにゆっくりと近づいてくると、怪人は言った。

『なんだ、錠之介はいないのか。まぁ、よいワイ。察するところ、お前達は獅子丸の仲間だな?』

怪人は、火を操る能力に長けていた。たき火の中から焼けた川魚の串を一本取ると、「食え!」と言ってふたりの顔の前に差し出した。焼けたサカナは一瞬にして炎の球に変わり、ふたりの顔の前で激しく燃え上がった。このままでは、ふたりとも顔に大ヤケドを負ってしまう。

『さぁ、吐け!獅子丸はどこへ行った!さっさと白状しろ!さもないと、ふたりとも顔が焼けるぞ』

小助は大声で獅子丸の名を叫び、助けを呼んだ。近くまで来ていた獅子丸にその声が届き、意識が戻らない錠之介をゆっくりと置くと、獅子丸は走った。

『怪人、お前の仕業か!』
『待ちかねたぜ、獅子丸!』

劣勢の状況から沙織と小助を救出した獅子丸は、沙織に錠之介の手当てをするよう告げた。

『錠之介が大怪我をしている。早く手当てをせねば、死んでしまう。小助はヒカリ丸を呼んで、錠之介を助けろ!』

獅子丸と分れて錠之介の元へ向かおうとする沙織と小助は、ドクロ忍者たちに追われた。沙織はドクロ忍者と戦いながら小助を守り、笛を吹かせてヒカリ丸を呼ばせた。すぐに天馬ヒカリ丸が空から現れ、二人はそれにまたがると、獅子丸に言われたとおり錠之介のいる場所へと急いだ。

意識を取り戻していた錠之介を見つけた沙織は、錠之介に声をかけると、ヒカリ丸を停めること無く、尻の辺りに引っ張り込むようにしてうつ伏せのまま錠之介を乗せた。小助、沙織、錠之介の三人はそのまま走り去り、ドクロ忍者たちの追撃を振り切ったのである。

ひとり残った獅子丸に、怪人アブターはフィンガーミサイルを放って攻撃した。獅子丸はフィンガーミサイルを防ぐために太刀で地面を長方形に切り、自分が隠れる大きさの土塁を築くと、それを盾にしてライオン丸に変身した。

『ライオン丸、見参!』

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アブターは身軽な怪人で、宙を軽々と飛んだ。金砂地の太刀がアブターに振り下ろされる度に、宙を飛んで軽くかわしてしまう。そして、空中からフィンガーミサイルで攻撃し、ライオン丸は劣勢に立たされてしまった。これ以上後が無い行き止まりの場所へと追い込まれ、アブターに至近距離からフィンガーミサイルを撃ち込まれてしまう。

逃げ場を失ったライオン丸は、とっさに土遁(どとん)の術で身を隠した。アブターの目には、ライオン丸が土の中へ吸い込まれてしまったかのように映った。

何とかその場を脱出したライオン丸は、しかし大怪我をしていた。足を引きずりながら、獅子丸は沙織たちを探した。夕暮れになり、洞穴に錠之介を運び込んで手当てをしている沙織と小助を、獅子丸はようやく見つけるのだった。
(つづく)

★★★★★★★★★★★★

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快傑ライオン丸(47) [ライオン丸・ドラマ5]

今回は、第51話《最後の八人衆 怪人アブター・後編》を取りあげます。

【前回までの話は・・・ゴースン八人衆最後の怪人アブターは、強敵であった。錠之介も獅子丸もアブターのフィンガーミサイルの前に敗れ、錠之介の傷は命に関わる程に深かった。沙織と小助によって手当てを受けた錠之介の傷は危険な状態を脱したが、その三人を助けるために戦った獅子丸も酷い手傷を負って、三人のいる洞窟へ戻ってきた・・・】

◆土遁の術でアブターの攻撃から逃れたライオン丸は、大きな怪我をして洞穴に戻ってきた。(錠之介、死ぬんじゃないぞ)錠之介の顔をみながら、心の中でそうつぶやく獅子丸の願いが届いたのか、錠之介は奇跡的に意識を回復した。目を開けた錠之介は、すぐにアブターとの戦いに負けたことを思いだしたのか、顔をゆがめて悔しそうな表情で声を殺しながら叫んだ。

『くそぉ・・・』
『錠之介、俺もあの怪人にやられたよ』

沙織に手当てをしてもらった右手の怪我を見せながら、獅子丸は錠之介にそう言って笑いかけた。錠之介のはやる(焦る)気持ちを抑えるために、獅子丸は道化てみせたのだ。今は何も考えずに傷を治すことが、錠之介にとって大事であった。

翌早朝、アブターはドクロ忍者たちに告げた。

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『よいか!獅子丸、錠之介ともに手傷を負っている。ことに錠之介は、身動きできまい!やつらは、絶対この辺りに潜んでいる。草の根分けても、探せ!』

同じ頃。動けぬ錠之介のために、獅子丸たち三人は木を伐り裂いて組み立て、人を運ぶための道具(担架)を作っていた。すると、ドクロ忍者たちがこちらに向かって走ってくる様を見かけるのだった。それを見た獅子丸は、包囲網を敷かれたことに気づく。

いずれ、あの洞窟も見つかってしまうだろう。三人は走って行くドクロ忍者たちの後を追って、すべて斬り捨ててしまう手筈だった。だが、崖下に転がったひとりが発煙筒を打ち上げてしまう。これでもう、洞窟が見つかるのは時間の問題だ。

洞窟へ戻った獅子丸たちは、まだ歩けない錠之介を獅子丸が抱えて、洞窟を出た。小助にヒカリ丸を呼ばせると、作っておいた担架をヒカリ丸の後ろに付けてから、錠之介をそれの上に寝かせた。

『さぁ、一刻も早く、この場から去るんだ。俺はヤツラを撒いて、あとから駈けつける』
『獅子丸兄ちゃんは?』

勘のいい小助は、一緒に行かない獅子丸の行動に疑問を持った。前回獅子丸は、怪人に手傷を負わされて戻ってきたのである。すると、獅子丸は答えた。

『今度は、必ず勝つ!ヤツの弱点をつかんだんだ』
『何だよ、そのヤツの弱点っていうのは!』

小助の問いに、獅子丸は答えに詰まってしまう。弱点をつかんだと言うのは、ウソであった。担架に横になっている錠之介も、黙ったまま下を向く獅子丸の様子を見て、弱点をつかんだ話がウソであることを見抜いた。すると錠之介は、獅子丸に自分の体験談を語るのだった。

『参考になるかどうかは分からぬが。自分が片目だから分かったのだが、ヤツの踏み込みは鋭く深い。しかも、左右への動きが極端に違う。きっと奴も、どちらかの目が見えないんだ』

錠之介にやり方を説明され、小助は片目をつぶった状態で両腕を伸ばし、左右から人指し指の先端どうしを近づけていく。すると、先端どうしがうまく付かないことが判るのだ。

『片目だと、物の遠い近いがよくつかめないんだ。だから、前方にいる敵と戦う時には、踏み込みが深くなるか、浅すぎたりする』
『なるほど、そうかもしれぬ。参考になったぞ、錠之介!』

一匹狼の錠之介が、他人に戦法を教えたことなど、かつてあっただろうか。ゴースン魔人を倒すために、協力しあう獅子丸と錠之介。ふたりとも笑顔で互いを見つめ、ここにふたりの心と心は完全に通じたのであった。勝ち目の無い怪人との戦いに望むにあたり、錠之介が与えてくれたこの知恵は、獅子丸にとってあまりにも大きい。

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獅子丸が沙織と小助に出発するよう促すと、小助は納得していないようだった。小助の小さな両肩を獅子丸は両手でつかむようにして、説得するように告げた。

『大丈夫だ。錠之介の言ったとおりだ。むざむざ、負けたりするものか』

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ヒカリ丸が沙織に手綱を引かれてゆっくりと歩き始めると、担架と鞍をつないだ木部が振動しないよう、小助はしっかりとつかみながら歩いていく。三人の姿を見るのはこれが最後になるかもしれないと思いながら、獅子丸は見送った。動物の毛皮と木の葉を盛って揺れないように工夫を凝らした担架に乗せられた錠之介も、獅子丸の姿を見えなくなるまで目で追っていた。

土遁の術で、アブターとドクロ忍者たちの前に再び姿を現したライオン丸。それは、地面に落ちていた黒い布切れがだんだんと大きくなり、それがマントであることが判った時、マントの陰からライオン丸が姿を現した。

『ライオン丸、見参!』

ライオン丸はドクロ忍者たちをあっという間に斬り倒し、アブターとの一騎打ちになった。

『行くぞ!ライオン丸』

ライオン丸は錠之介の教えに従い、アブターに攻撃を仕掛けながら、左右どちらの目が見えないのかを探った。そして、右目が見えないという結論を導くと、さらに確信を得るためにアブターに向かって左へ左へと回り込みながら、太刀を振るった。

アブターがフィンガーミサイルを撃ち込んできても、左へと回りこんでいるために命中精度は落ち、ライオン丸は十分避けることが出来た。宙へ飛び上がったライオン丸は、釣られて飛びあがったアブターの左側にホバリングして回り込むと、ライオン飛行返しでとどめを刺した。

錠之介の傷も癒え、獅子丸、沙織、小助に錠之介が加わり、四人はゴースンを倒すべく、旅を続けるのであった。

(ナレーション;ゴースン八人衆最後の怪人アブターは、恐るべき強健(きょうけん;体が丈夫で強いこと)の持ち主であった。しかし、その強敵も、獅子丸と錠之介の友情の前にもろくも崩れ去った。固く結ばれた男の友情。獅子丸と錠之介には、もはや言葉はいらない)
(終わり)

★★★★★★★★★★★★
自身の体調不良で、更新が二日間遅れました。
皆さまも、健康管理にはご配慮くださいね。
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快傑ライオン丸(48) [ライオン丸・ドラマ5]

今回は、第53話《悲しきタイガージョーの最期・前編》を取りあげます。

原作;うしおそうじ
脚本;田村多津夫
企画;うしおそうじ 別所孝治
音楽;小林亜星
殺陣;渡辺高光
監督;大塚莞爾

【前回までの話は・・・ゴースン八人衆という刺客たちをすべて撃破した獅子丸たち三人は、虎錠之介という力強い味方を得て、四人で力を合わせてゴースンを倒す決意を固めていた。そんな時に現れた六連発ライフル銃を操る怪人ゴンラッドは、強敵であった。だが、ライオン丸とタイガージョーのふたりが力を合わせて戦えば、難なく大樹をも倒せる力が出せることを、この怪人との戦いでふたりは知った・・・】

◆ゴースン八人衆の墓、その一つ一つに花を手向けている怪人がいた。だが、そのうちに、怪人は持っていた花束をちぎり捨て、ライオン丸とタイガージョーの名を大声で叫んで、怒りを露わにした。怪人ガンドドロである。

怪人はある川の近くまで歩いてくると、突然姿を消した。そこは、今ゴースンが拠点としている秘密基地への出入口であった。その地下基地には、かつてゴースン島にあった巨大神殿と同じものが築かれていた。ゴースンの巨大な口がパクパクと開閉して、ひざまずく怪人ガンドドロに指令を与える声が響いていた。

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『見たかガンドドロ、我が八人衆の変わり果てた姿を。憎むべきライオン丸と裏切り者タイガージョーのために、多くの力強い手下たちを失ってしまった。もはや頼みがいのあるのは、お前ひとり。奴らを見つけ出して、倒せ!都まであと一歩だ。都を叩きつぶせば、ワシの望みも叶うというもの。よいか、お前がゴースン最後の使者であることを忘れるな』

『都はもう目と鼻の先。ゴースンが姿を見せても、いいはずね』

沙織がこう話すように、錠之介を含めた四人は、ゴースンの本拠地がこの近くにあるのではないかと考えていた。

(ナレーション;都を襲うという大魔王ゴースン。そのウワサを信じて都近くまで来た獅子丸であったが、どうしたらゴースンに勝てるのか。その方策は、まだ無かった)

翌朝。四人は都へ通じる道から外れた裏道を進んで行く。すると、突然大勢のドクロ忍者たちによって四人は囲まれてしまう。その数、50以上はいるだろうか。戦いになり、多勢に無勢で手を焼く四人。そのうちの1人のドクロ忍者が飛び出してきて、小助を襲った。小助は斬られ、崖下へと転落してしまう。だが、獅子丸も沙織も戦うのが精一杯で、小助の状況にはまったく気付いていなかった。

ところが、残りが10人程になった時点で、ドクロ忍者たちは突然攻撃を中止すると、一斉に姿を消してしまった。居なくなった小助を探す獅子丸と沙織は、崖下に転落している小助を見つけるのだった。ふたりが転落場所へ着いた時、気を失っていた小助は気がつき、自分が斬られていないことに驚く。

『あの時、確かに斬られたと思ったのに・・・どうなってんだ?』

小助の話を聞いた獅子丸は、錠之介が姿を消していることから、1人で何かを探ろうとしてドクロ忍者の一団に紛れ込んだにちがいないと推測した。(錠之介!ゴースンはお前ひとりで倒せる相手じゃないぞ。早まるな、錠之介)獅子丸は心の中でそう思いながら、錠之介のこの行動が裏目に出ないことを祈った。

獅子丸の思った通り、錠之介はドクロ忍者の一団に紛れ込み、今秘密基地への出入口を目指して走っていた。(獅子丸よ、勘弁しろ。俺は必ずこの手でゴースンを倒す、そう誓ったんだ。それが、俺の生きる道なんだ)心の中でそうつぶやきながら、ドクロ忍者たちの後に付いて走っていくドクロ忍者姿の錠之介がいた。

その一団は河原のある地点で立ち止まると、全員が川に向かってひざまずいた。(都に近いこの河原に、一体何があるんだ?)すると、穏やかな流れの中にさざ波が立ち、逆さまのゴースン島が水面にくっきりと映った。(ゴースン!こんな所に潜んでいたのか!)ゴースンの声が、ドクロ忍者たちに指令を与えた。

『この大魔王ゴースンが、日本を支配する時が来た。あと数刻で攻撃の準備が、すべて整う。だが、その前に一つ、お前達にしてもらいたいことがある!』

一団に紛れ込んでいた錠之介は、すでに大魔王ゴースンに見破られていた。川の中のゴースン島から矢のような光線が放たれ、ひとりのドクロ忍者の額に突き刺さった。ドクロの仮面が割れる前に、そのドクロは素早く錠之介に姿を変えていた。光線が当たった錠之介の額からは、血が流れていた。

川に向かって並んでいた十人ほどのドクロ忍者たちはたちまち錠之介を取り囲んだが、彼らは錠之介の敵では無かった。すべて斬り倒したあと、水面に向かって錠之介は言った。

『ゴースン!姿を現せ!勝負だ!』
『身の程も知らぬ小童(こわっぱ)め!ガンドドロよ、思い知らせてやれ!』

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基地内に控えていたガンドドロは、水面からしぶきを上げて出現した。その名の通り、短銃を操るガンドドロの腕前は見事で、錠之介をかすめるように飛んで来る銃弾は、実は錠之介の動きを読んだガンドドロがわざと外しているのだ。

そして、錠之介が変身するため、「ゴースン・タイガー!」の掛け声と共に宙に跳んだところを、ガンドドロに狙い撃たれてしまう。錠之介は変身出来ずに地上に落下、正面にガンドドロ、裏にはドクロ忍者たちに囲まれて、身動きできずにいた。

その頃、獅子丸たちは、錠之介が戦っている場所の少し手前まで来ていた。殺気を感じた獅子丸は小助にヒカリ丸を呼ばせると、それに乗ってひとり先を急いだ。ガンドドロの短銃攻撃によって、錠之介は少しずつ追い詰められていった。だが、錠之介は空蝉(うつせみ)の術*で怪人を惑わせ、その隙に変身することに成功した。
*大木などに自分の服装を着させて、当人らしく見せることで相手の目を誤魔化す忍術

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『タイガージョー、推参!』

タイガージョーとなって力を得た錠之介は、まず相手の短銃を奪う策に出た。俊敏な動きで近づくと、ガンドドロの短銃を銀砂地の太刀の刀身で払い落とした。短銃を取りあげられたガンドドロだが、ベルトにある二本の短剣を抜いてタイガージョーに迫ってきた。ガンドドロは、二刀流短剣の使い手でもあったのだ。

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怪人の左右の手に持った短剣が、タイガージョーに襲いかかる。戦いの主導権を握ったタイガージョーが銀砂地の太刀を振りかざして討ち込むと、それを二本の短剣をクロスさせて受け止めたガンドドロ。タイガージョーが優勢な場面だが、ガンドドロの秘密兵器がここで登場する。怪人が頭から被っている毛皮から伸びた腕が、第三の手となってタイガージョーの右足に鋭い爪を立てた。
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痛みのためにとっさに身を引いたタイガージョーに、ガンドドロは頭から被った毛皮を投げつけた。すると、それは生き物のようにタイガージョーの背後にからみつくと、首をグイグイと絞め上げるのだった。

『ハハハハハ。ゴースン忍法地獄締め!骨まで砕けろ!』
『俺はゴースンを倒すまで・・・絶対に死なぬ!』
(つづく)


★★★★★★★★★★★★

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