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快傑ライオン丸(11) [ライオン丸・ドラマ2]

今回は、第24話《ライオン飛行斬り対怪人トビムサシ・前編》を取りあげます。

原作;うしおそうじ
脚本;濠 喜人
企画;うしおそうじ 別所孝治
音楽;小林亜星
殺陣;渡辺高光
監督;石黒光一


【前回までの話は・・・ ゴースンを倒す旅を続ける獅子丸たちは、怪人ダカツが守備する第一前線基地を発見する。だが、ダカツのあやつるサソリ毒のため、獅子丸は一時危篤状態に陥る。ドクロ忍者の棟梁・影は、小助の姿を見て親の心・人の心を取り戻し、ダカツを裏切ってしまう。そして、ダカツを倒したライオン丸にゴースン島への地図を渡して、影は自害して果てた・・・】

(ナレーション)怪人ダカツを倒して手に入れたゴースン島への道標。三人は地図にある三角山(さんかくやま)を目指して、旅を続けていた。

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(目指すは三角山)

『ドクロ仮面よ。憎き獅子丸たちが、お前の砦に近づいている。トビムサシと力を合わせて、獅子丸を倒すのだ!』

大魔王ゴースンの声が、この第二前線基地の守備隊長であるドクロ仮面に命令を出した。この前線基地には、南蛮の剣術を使う怪人トビムサシがいる。だが、このトビムサシという怪人、醜い姿をしてはいるが心優しい紳士であった。

どこで知り合ったかは定かでないが、トビムサシはユリという名の美しい盲目の娘と、時間の許す限りいつも一緒にいるのだった。このようなトビムサシを、ユリは「ムサシ様」と呼んで慕っていた。

トビムサシは自分のことを、近くの砦に詰めている侍だと説明していた。自分の正体を知られないよう気をつけながら、心優しいこの怪人は、いつもユリの力になってあげているのだった。

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ある時、ふたりが歩いていて急な斜面にさしかかり、ユリが手を貸してほしいと頼んだ。するとトビムサシは振り返って、自分の右手を出しかけて止めた。そして代わりに、自分の腰に差しているサーベルの柄(つか)の部分を差し出して、ユリの右手に捕まらせたのである。

『これに・・・』
『ムサシ様は、いつも・・・』
『ユリ殿、許されい。子供の時から剣一筋の修行をしたので、拙者の手はまるで松の小枝のようにささぐれている。そんな手が、なんでユリ殿のような美しい手に触れようか・・・』

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(サーベルの柄を右手でつかんで、トビムサシについて行くユリ)

怪人トビムサシは、このユリという美しい盲目の娘に恋をしている。いつの日か、自分の出生地・南蛮の進んだ医術で、ユリの両眼を治してあげたいと思っている。

『ユリ殿、今少しお待ちください。南蛮の医術を持ってすれば、必ずあなたの目は治る。きっと、南蛮へ行って治しましょう』
『そうなったら、夢のよう・・・』

ユリは、この心優しい侍「ムサシ」の姿を自分のこの両眼で見てみたいと、心からそう思った。

第二前線基地の隊長・ドクロ仮面に呼ばれたトビムサシは、ゴースンの敵・獅子丸を倒す命令をドクロ仮面から受けた。

『このトビムサシ、世話になっている礼に、必ず獅子丸を斬る。だが、助太刀は無用。俺は、他人に助けられるのがキライだ』

背後からドクロ忍者を応援に出すというドクロ仮面の提案を、蹴るトビムサシ。そのようなトビムサシの生意気さを、守備隊長ドクロ仮面は憎々しく思った。

獅子丸たち三人は、森の中を三角山目指して進んでいた。すると、小助の足が鳴子(なるこ)のヒモを引っかけてしまう。鳴子とは、敵の襲来を知らせる今で言う警報装置である。ヒモを引っかけると、それにつながった鳴り物が揺れて、大きな音を発して敵襲来を知らせるのだ。

第二前線基地が、近いのである。鳴子の音を聞いたドクロ忍者たちが出現し、それに続いてトビムサシが現れた。

『俺の名は、トビムサシ。獅子丸。若いのに腕が立つと聞いたが、いくつになる?』
『お前に答える必要など無い!』

小助が、口をはさんだ。トビムサシは、1対1の勝負がしたいと言った。それを聞き、獅子丸も挑戦を受ける。ふたりは、森の中で対峙した。だが、どちらも腕が立つゆえにスキが無く、斬り込むことが出来ない。トビムサシのサーベルと獅子丸の太刀は、構えたまま動くことがなかった。

(獅子丸、さすがにやるな・・・)
(できる、恐ろしい剣だ)

両者は、ほとんど動けない。だが、ドクロ忍者にとって、森の中で膠着状態になっている獅子丸を木の上からボーガンで狙うことは、とても簡単だ。ボーガンの矢が獅子丸に向かって、風音を立てて数本飛んで来た。だが、獅子丸の剣の構えは、ボーガンの矢をすべて叩き落としていた。

ほぼ同時にボーガンの攻撃に気づいた小助が、そのことを教えようと獅子丸の元へ走ったとき、矢の1本を右のすねに受けてしまう。

『あ、イテテ!』
『愚か者!』

獅子丸との対決に「助太刀は無用だ」と言ったトビムサシは怒り、鳥のように飛行して、木の上にいたドクロ忍者数人を一瞬のうちに斬り捨ててしまうのだった。

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(木の上のドクロ忍者を斬り倒し、戦いを持ちこして去って行く)

『獅子丸、ドクロ忍者どもの卑怯な振る舞いを許せ。早くその子供の傷の手当てをするがよい。この勝負、いずれつけようぞ!』

そう言うと、トビムサシは鳥のように飛行しながら、森の奥へと姿を消してしまう。

その夜、獅子丸たちは、盲目の娘・ユリの家に泊めてもらえることになった。小助の足の傷の手当てをしながら、沙織はユリにお礼を言った。そして、ひとりで生活することの大変さに同情を寄せる獅子丸に、小さい頃からそうした生活をしてきて慣れていること、それにムサシという砦にいる心の優しい侍が助けてくれることを、嬉しそうに話すユリだった。

「ムサシ」と言う名を聞いたとき、獅子丸たち三人は顏を見合わせ、あのトビムサシのことが頭をよぎった。

一方、第二前線基地の隊長・ドクロ仮面が、獅子丸一行がユリの家で投宿しているという情報を仕入れていた。襲撃することを提案したドクロ仮面に、トビムサシは反対する。ユリに迷惑がかからぬ様、トビムサシは獅子丸に挑戦状を申し込むと言い出す。翌日、ユリの家の入口には、トビムサシからの挑戦状が貼りつけてあった。

獅子丸殿
  心あるならば
  ユリ殿には何も話すこと無く
  拙者と立ち会われたし
  ススキが原にて待つ
             飛武蔵

挑戦状を読んだ獅子丸は、決斗の場へと出かけて行った。あとに残った沙織の元へ、ユリが現れて訊ねた。

『獅子丸さん、お出かけ?』
『え、ええ・・・』

ユリに悟られないよう、沙織は獅子丸の行き先を告げなかった。だが、ユリには長年の盲目生活で身に付いた感覚の鋭さが備わっていた。何かを感じ取ったように、その目は遠くを見つめていた。

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ススキが原に獅子丸が着くと、トビムサシはすでに待っていた。吹く風が、ススキの葉をサラサラと鳴らした。太陽がジリジリと照り付ける下、獅子丸はライオン丸に変身して、トビムサシと相対した。ライオン飛行斬り対南蛮剣法の対決が、いま始まった。

(つづく)


★★★★★★★★★★★★
それまでの静かながら楽しい盲目の娘の生活に、ライオン丸が暗雲を連れてくることになろうとは。これが運命のめぐり合わせと言うものかもしれない。

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快傑ライオン丸(12) [ライオン丸・ドラマ2]

今回は、第24話《ライオン飛行斬り対怪人トビムサシ・後編》を取りあげます。


【前回までの話は・・・ 盲目の娘ユリは、ムサシという心優しき侍に好意を寄せていた。だが、このムサシという人物は侍ではなく、南蛮剣法を操るゴースン魔人トビムサシであった。トビムサシも美しいユリに心惹かれ、いつの日か南蛮医術でユリの目を治すことを考えていた。獅子丸たちが魔王ゴースンの元へ行くためには、トビムサシのいる第二前線基地を通らねばならない。それは、トビムサシとライオン丸が雌雄を決することを意味していた・・・】

◆ライオン丸に変身した獅子丸は、トビムサシとススキが原で対峙していた。空中戦を得意とするトビムサシに、ライオン飛行斬りは通じなかった。互いの力量が同じなため、このままでは決着がつかない。ジリジリと太陽が照りつける下で、ふたりは体力を消耗していった。

勝負は持ち越しとなり、トビムサシも獅子丸も、相手を倒せなかった屈辱の念で心は煮えたぎっていた。ふたりとも相手の攻撃を分析し、次の対戦でどう対応するかを考えていた。

獅子丸はユリの家の井戸を使い、桶に水をいっぱいに入れて、右腕だけで何度も何度も引いた。これにより、右手首の返しをより強化することができる。相手と剣どうしがぶつかった時、手首の返しの強さで相手の剣を鋭く弾くことができるのだ。

『ヤツを倒すためには、もっと深く鍔元(つばもと)に入ることだ。それも素早く!』

一方のトビムサシは、ライオン飛行斬りを破るためには、相手の懐に早く飛び込むことだと考えた。ライオン丸の剣よりも素早く動くには、どうすればいいのか。そのことばかりをしきりに考えている時にユリが現れ、トビムサシに声をかけた。

『ムサシ様!』
『・・・・』
『ムサシ様、どうかなさいましたか?いつもと違い、お元気が無いのでは?』
『いや・・・さぁ、峠まで行きましょう』

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ムサシの様子がいつもと違うことを、ユリは鋭く感じていた。峠へ向かう途中で急な下り坂にさしかかった時、ユリはムサシに手を貸してくれるよう求めた。ムサシがいつものように剣の柄(つか)をユリに差し出した時、ユリは左手で柄に捕まりながら、右手の杖を捨てて、トビムサシの腕にしがみついたのである。

トビムサシは動揺した。正体を隠すため、一度もユリには触れさせたことの無い自分の身体である。ユリのとっさのこの行動を、トビムサシはまったく予測できなかった。嫌われたと思ったトビムサシは、ユリに訊ねた。

『ユリ殿。驚かれたか、私の手を握って・・・』

だが、ユリは嬉しいと言った。今まで、盲目ゆえにからかわれていると思っていたと、ユリは言った。だが、手に触れてみて、剣術修行で松の木のようになったということが本当であると解かり、うれしいのですとユリは言った。

トビムサシは、ハッとした。今のユリの行動から、ひらめくモノがあった。トビムサシはその方法を会得するために、すぐに練習を開始したかった。トビムサシは、ユリに言った。

『ユリ殿が言われるように、今日のムサシはどうかしております。ある男を、どうしても倒さなければならないからです』

「ある男とは?」とユリに訊ねられ、たとえユリでもその名は言えないと言って、トビムサシはその場を立ち去った。

トビムサシが娘とまた会っているとの報告を、ドクロ忍者から聞いた隊長のドクロ仮面は、ヤツを本気にさせるために盲目の娘を捕えるよう、ドクロ忍者たちに命令した。

『ある男とは、もしや獅子丸さんでは・・・』

トビムサシが立ち去ったあと、ユリはそう思った。ふたりの様子を、今まで陰からジッと見ている者がいた。沙織である。

やがてドクロ仮面の指示通り、ひとりになったユリの周囲をドクロ忍者たちが取り囲み、ユリは拉致されようとしていた。ユリとトビムサシの様子を隠れて見ていた沙織が飛び出していき、ユリを助けようとしたが、多勢に無勢でユリは連れて行かれてしまった。

その頃、ドクロ忍者を相手に「ライオン飛行斬り破り」を練習するトビムサシの前に、ドクロ仮面が現れ、こう言った。

『トビムサシ。お前の大事な娘は、俺が預かった。ライオン丸を倒せば、娘を連れて南蛮へ行けるように計らおうとのゴースン様のお約束だ。だが、戦いに敗れれば、娘の命は無い。頼むぞ!』
『くっ、卑怯な!』

一方、沙織から事情を聞いた獅子丸は、小助にヒカリ丸(天馬)を呼ばせると、沙織を後ろへ乗せて、急ぎユリの救助へ向かった。途中で沙織を降ろし、獅子丸はライオン丸に変身して、わざと第二前線基地の正面から攻め込んでいく。正面で敵を引き付けているその間に、沙織が裏手に回ってユリを救出する作戦であった。

ライオン丸の姿を見たドクロ仮面は、トビムサシに命令した。だが、ドクロ仮面の卑怯なやり方に怒りを感じたトビムサシは、沙織にユリを救出させていることをライオン丸から聞かされると、鋭い速さでドクロ仮面の首をはねてしまう。これでライオン丸と正々堂々立ち合える喜びを、トビムサシは感じていた。

ドクロ忍者をすべて倒し、ライオン丸はトビムサシと1対1で対峙した。

『三度目の勝負だ。行くぞ、ライオン丸!』
『望むところだ!来い!』

『ヤツは飛び上がらぬ・・・』
『ヤツの技は、素早くなっている。下手に飛び上がったら、負けてしまう・・・』

ライオン丸はトビムサシの動きから、宙へ飛ぶことが命取りになると思った。だが、ライオン丸を宙へ飛ばせるため、トビムサシはライオン丸を崖に追い詰めて、退路を断つ策に出た。作戦が功を奏し、ライオン丸は宙へジャンプした。

『やった、ヤツを宙(そら)へ追い込んだぞ!』

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遂に、ドクロ忍者数人を犠牲にして編み出した「飛行斬り破り」を出す時がきた。飛行しながら斬り込んでくるライオン丸の右腕をトビムサシは左手でつかみ、右手のサーベルでライオン丸の太刀を叩き折った。そして、トビムサシは自分のサーベルを宙へ投げ上げ、釼先から落ちてくるサーベルの柄を右手でつかむと、ライオン丸に突き刺してとどめを刺すはずであった。

だが、金砂地の太刀が折れたことが、ライオン丸に勝利を呼び込んだ。トビムサシのサーベルが落ちてくる前に、ライオン丸の右手の折れて短くなった金砂地の太刀が、トビムサシの背中を貫いていた。互いをつかんだ状態のまま、ふたりは地面に着地した。

『う、うう、さすがに・・・ライオン丸だ・・・俺の・・・負けだ・・・』

片膝をつき、徐々に姿勢を崩して倒れていくトビムサシは、虫の息でライオン丸に言った。

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『ユ、ユリ殿に・・・ムサシ・・・長い旅に出たと・・・これがゴースンの・・・』

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トビムサシが差し出したのは、ゴースンの居場所を記した地図であった。すべてを承知したライオン丸が何か言おうとしたとき、沙織がユリを救出してこの場へ連れてきた。

『ユ、ユリど・・・』
『ムサシ様・・・ムサシ様!あああ・・・』

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声の様子でムサシの最期を知ったユリは、号泣した。やがて夕焼けがきれいに映えて、トビムサシの亡き骸を照らした。

ユリとの別れの時。南蛮の医術でユリの目を治そうと言ってくれたトビムサシだったが、彼を倒してしまった獅子丸たちに、ユリの目を治すことはできない。何も力になれない自分達のことを、獅子丸と沙織は謝罪した。

『元気を出してくれよ、ユリ姉ちゃん』

ユリは小助に励まされて、目は見えなくても大丈夫、毎日違う姿でムサシ様が自分に会いに来てくれるのだと、元気に話すのだった。自分に優しくしてくれたトビムサシが、どうしても悪い人物には思えないとユリは言う。獅子丸は、ユリにかける言葉が見つからなかった。

(ナレーション)金砂地の太刀は、折れた。はたして、忍法獅子変化はできるのであろうか。しかし、彼等は進まねばならない。トビムサシが残した第二の地図を手掛かりにして。

(終わり)


★★★★★★★★★★★★
なまじ目が見えると、その者(物)の持つ本質が見えなくなることを、この話は語っているのだと思う。

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快傑ライオン丸(13) [ライオン丸・ドラマ2]

今回は、第25話《影狩り怪人モスガイガー・前編》を取りあげます。

原作;うしおそうじ
脚本;濠 喜人
企画;うしおそうじ 別所孝治
音楽;小林亜星
殺陣;渡辺高光
監督;曽我仁彦


【前回までの話は・・・第二前線基地を守るドクロ仮面の配下に、トビムサシという怪人がいる。この怪人はとても紳士的で、正々堂々と戦うことを好み、普段は盲目の娘ユリの目となって生活を助けていた。獅子丸たち三人は、ゴースン島へ行くためにどうしても第二前線基地を通過しなければならなかった。実力伯仲のため二度の戦いとも引き分けたライオン丸とトビムサシは、三度目の戦いで遂に雌雄を決した。運命の女神は、盲目の娘ユリに悲しい結末をもたらすのだった・・・】

◆トビムサシとの激しい戦いで、金砂地の太刀は折れてしまった。獅子丸がライオン丸に変身するためには、この太刀がどうしても必要なのだ。獅子丸たち三人は、折れた金砂地の太刀をつなげてもらうため、刀鍛冶職人の東六という者の家にいた。

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『どうしても、駄目ですか』
『はい。いかな名匠といえども、折れた太刀をつなぐということは・・・』

『新しく打ち返すことも、できませんか』
『私どもの腕では、とてもこのような立派なものは・・・』

刀鍛冶の東六は、金砂地の太刀をしみじみと見ながら言った。

『しかし、これ程の太刀が折れるとは・・・』

このとき、刀鍛冶・東六と獅子丸との会話を、屋根裏に潜んで聞いている者がいた。ドクロ忍者である。獅子丸は物音に気づき、屋根裏めがけて手裏剣を投げたが、うまくかわしたドクロ忍者は逃げてしまった。

この情報を一刻も早く知らせるため、怪人の元へドクロ忍者はひたすら走った。そして、怪人モスガイガーの前にひれ伏すと、声なき声でこのことを報告した。すると、勝ち誇ったように怪人は笑った。

『そうか。やはり獅子丸の太刀は、折れていたか・・・ハハハハハ』

獅子丸たちが目指すのは、地獄が原という場所である。地獄が原へ行くためには、この先の村を通らねばならなかった。だが、この先の村はバケモノに支配されているというウワサを、刀鍛冶の東六から聞かされる獅子丸たち。

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(折れているため、クサリがはずれたままの金砂地の太刀)

通るのは止めるようにとの東六の言葉に、獅子丸たちは丁重に礼を述べて、東六の家をあとにした。クサリが外れたままの金砂地の太刀を背にして、獅子丸と沙織、小助は地獄が原へと向かった。

バケモノが支配するという村に入ると、三人を待ち受けていたのは奇妙な村人たちであった。獅子丸たちを威嚇する様に、ただジッと見つめている。その数は大人・子供を含めて、二十数人はいるだろうか。

獅子丸も彼等に威嚇の声をだすが、彼等は何も反応せず、ただジッと三人を見つめている。そのうち村人の誰かが物を投げたので、小助が応戦しようと言った。が、ここは沙織の意見を聞き入れて、獅子丸たちは村人たちを無視して通り過ぎることにした。

この村のどこかにアジトを構える怪人モスガイガーは、ドクロ忍者たちを集めて、獅子丸たちを急襲するよう命令を下した。

『獅子丸は、ライオン丸に変身出来ない。今こそ、積年の恨みを晴らす時が来たぞ。ドクロ忍者ども、行け!』

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その頃、獅子丸たちは川の流れの少ない場所で小休止をしていた。小助がふと、不安げにつぶやいた。

『ライオン丸に変身出来なきゃ、勝てやしないじゃないか。刀は直せないっていうし、チクショー・・・』
『小助、ゴースンが怖いか?この刀が折れたから、忍法獅子変化は出来ないかもしれない。だが、ライオン丸になれなくても、私達はゴースンを倒さなくてはならないんだよ!』

お師匠様の仇・ゴースンを倒すという目的は、たとえライオン丸になることができなくても変わらないことを、獅子丸は小助ともういちど確認しあった。だが小助には、頼みの綱はライオン丸なのだ。

『そんなこと言ったって、刀が直らなきゃ・・・』

そうこう話しているうちに、敵が攻めてくる気配を感じた獅子丸は、沙織と小助に向かい、こう言った。

『来たぞ!奴らは、俺の刀が折れているのを知っている。この機を逃すまいと、必死に攻めてくるに違いない。なんとしてでも、この村を突破しよう!落ち合う先は、地獄が原だ!』

三人はしかと確認すると、生い茂る背丈の高い草に姿を隠しながら、それぞれ別方向へと散っていった。途中でドクロ忍者と遭遇したら戦い、三人はそれぞれの場所で多くのドクロ忍者を斬り捨てて進んだ。

怪人モスガイガーが獅子丸の前に現れ、先端が三つに分れた矛(ほこ)を振り回しながら襲いかかってきた。獅子丸は、クサリが切れたままの金砂地の太刀で、忍法獅子変化の呪文を唱えてみた。だが、やはり折れた太刀では、忍法獅子変化はできない。

『ばかめ、獅子丸!貴様はもう変身出来ないんだ!往生際の悪いヤツめ!』

獅子丸はモスガイガーに崖へ追い詰められ、あとが無い。足を踏み外した獅子丸は、崖下へ転落してしまうのだった。とどめを刺すべく、モスガイガーはドクロ忍者たちを崖下へ捜索に行かせた。

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(鍔には、ジャラモン門下の者なら知っている絵柄が付いていた)

そのとき、偶然にも獅子丸が倒れている崖下を薪(たきぎ)を背負った老人が通りかかった。気を失っている獅子丸に近寄った老人は、獅子丸の持つある物を見て、驚きの表情を浮かべた。それは、太刀に付いている鍔(つば)の絵柄であった。鍔(つば)とは、刀剣の柄(つか)と刀身との境目に挟まれた、柄を持つ手を防護するものである。

背負っていた薪を降ろした老人は、獅子丸の心臓辺りに耳を当てて、生きていることが判ると、急いで獅子丸を抱き上げて肩に左腕を回して、この場から連れ出そうとした。だが、そこへドクロ忍者たち数人が集まってきて、老人と獅子丸に襲いかかってきたのだ。

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しかし、この老人は剣の使い手であった。獅子丸が握っている太刀を右手に取ると、あっという間にドクロ忍者たちを斬り捨てて、獅子丸を抱えたままどこかへ消えてしまった。

一方、沙織と小助はどうしているだろうか。沙織は旅姿の大道芸人の娘に変装し、小助は馬引きに変装して、それぞれこの村を突破しようと努力していた。

『おお、気がつかれたかな。しばらく、そのままでな・・・』
『ここは・・・』

意識を回復した獅子丸は、水を一杯飲ませてもらってから、この老人に丁重に礼を言った。

『危ないところを助けていただき、ありがとうございました』
『なんの、なんの。だいぶ長いこと、気を失われておったようじゃが、大丈夫かな』

布団から出てゆっくりと起き上がり、獅子丸は老人に名前を訊ねたが、「とうの昔に忘れたわい」と教えてくれない。獅子丸は、地獄が原で待つ約束の沙織と小助のことを思い、立ち上がろうとするが、身体にまったく力が入らない。まだ無理をしないよう老人に言われ、布団に座った獅子丸にこの老人は驚くべきことを言った。

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『こんな山奥に、刀鍛冶はおらぬぞ・・・』
『どうして、そのことを・・・』
『しかし、あの金砂地の太刀が折れるとは、いささか信じられぬことじゃ・・・』
『え!どうして、それを・・・あなたは、いったいどなたですか!』

老人は獅子丸の顔を見ながら、ただ笑っているだけであった。

(つづく)


★★★★★★★★★★★★
謎の老人と金砂地の太刀は、どういう関係にあるのか?

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