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快傑ライオン丸(43) [ライオン丸・ドラマ5]

今回は、第46話《暗闇の琵琶法師 怪人ノイザー・後編》を取りあげます。

【前回までの話は・・・獅子丸たち三人と間違われて、怪人に兄と弟を殺された娘・ゆう。気が触れた状態で道端に座りこんでいたゆうを発見した沙織は、その身の上に同情し、硫黄谷まで送っていくよう獅子丸に進言した。その道中で獅子丸は錠之介と会うが、誰かに操られているかのように、錠之介は獅子丸に襲いかかるのだった。小助の投げた爆弾が破裂して怪人ノイザーは姿を消し、タイガージョーは正気に戻ったが・・・】

◆錠之介の目は、視力を失いかけていた。怪人ノイザーの琵琶の音色にやられたためだろう、薄明りが差す程度にしか見えないという。小助が山へ行って目に効く木の実を取ってきたが、錠之介はそれを使おうとはしない。小助に借りを作りたくないと、木の実を突き返す錠之介に小助は怒る。

小助に手を引かれながら獅子丸たち四人に同行することにした錠之介に、獅子丸はこれまでのゆうとのいきさつを話して、錠之介に意見を聞いてみた。すると、錠之介は思い当たることを言った。

『娘さんの頭が狂ったのも、ノイザーの琵琶の音のせいに違いないぜ』
『どうしたら元に戻るか、知らないか?』
『さて、確かもう一度、その琵琶の音を聞かせることだったかな・・・』

1人の旅人が、この先の硫黄谷で巨大なバケモノが暴れ回っているという話を付近の住人たちに話していた。小助が近寄ってその話を聞いてみたところ、どうやらその内容から、バケモノとはゴースンのことらしいのだ。

それを聞いた獅子丸たち一行は、一刻も早く硫黄谷へ行きたい。それを聞いて獅子丸よりも早くゴースンを倒したい錠之介は、薄明りしか見えない目で、ひとり硫黄谷へと向かうのだった。だが、ゆうを連れている獅子丸たちには、早く歩くことはできない。

途中、清流で目を洗いながら、錠之介は速足で硫黄谷へと進んで行く。洗った目を拭こうとして懐に手を入れると、布に包まれて薬草の実が入っていた。錠之介は、有り難くその薬草の実を目にこすりつけるのだった。

『小僧め、味なことをやりやがって・・・』

道中の先々で、巨大な怪物が硫黄谷の砦を破壊しているという話を聞いた獅子丸は、ゆうをふたりに任せて、小助に天馬ヒカリ丸を呼ばせると、一足先に硫黄谷へ向かうのだった。ゴースンは硫黄谷の硫黄を手に入れるために、暴れ回っているのだ。この硫黄谷の砦を守る武者は、ゆうの父親であった。

ゴースンが砦を破壊したため、攻めやすくなった硫黄谷へ怪人ノイザーとドクロ忍者たちが襲いかかって来た。一足早く硫黄谷に着いた錠之介に、ゆうの父は力を貸してほしいと懇願した。だが、錠之介が狙うのはゴースンの首だ。自分には関係ないと、錠之介は断ってしまう。

天馬ヒカリ丸を使って硫黄谷へ到着した獅子丸は、戦いの真っただ中の硫黄谷砦に斬りこんで入った。それを見たノイザーは、再度獅子丸の命を狙う。

『獅子丸、約束通り、今日こそ貴様の命をもらうぞ!』
『ライオン丸、見参!』

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獅子丸はライオン丸に変身して、ノイザーと対峙した。だが、ノイザーの琵琶の音色は、ライオン丸の脳を狂わせ始めていた。耳をふさいでも、あの琵琶の音色を防ぎきることはできない。段々と身体が思うように動かなくなっていく中で、ライオン丸は考えた。

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そして、ブーツに付いている直径2センチ程の数珠のような玉をライオン丸は一つちぎると、それをノイザーの持つ琵琶の弦に向かって投げつけた。四本の弦がすべて固定するように、ライオン丸は数珠玉を5個投げた。すると、弦が固定されて弾けなくなったノイザーは、途端に苦しみ出した。

『うっ、苦しい!お、音が中にこもる!こんな・・・こんなバカな・・・』

琵琶の音色が自分の中にこもって、ノイザー自身を苦しめているのだった。苦しむ怪人を見たライオン丸は、ライオン飛行斬りでノイザーにとどめを刺した。

遅れて、ゆうと共に硫黄谷の砦に着いた沙織と小助は、ゆうを安全な所へ避難させるとドクロ忍者たちと戦い始めた。ドクロ忍者たちをすべて倒した沙織と小助は、砦を守るゆうの父にゆうを会わせた。しかし、怪人のためにゆうは気が触れてしまっていることを、沙織は父に話すのだった。

獅子丸は、ノイザーの琵琶を持ってきていた。この琵琶の音色をもう一度聞かせれば治るかもしれないと言った錠之介の言葉に、ゆうの父も賭けてみることにした。ゆうの父と獅子丸に促され、沙織は琵琶を弾く。

すると、ゆうの顔は、少しずつ正気を取り戻していくのだった。錠之介が言った通り、ゆうは元のゆうに戻り、父親と抱き合った。兄と弟の死を涙で伝えるゆうを見て、ゆうだけでも助かったことを父は喜んだ。小助は沙織から琵琶を取りあげて、「こんなもの、無い方がいいんだ!」と言って、爆薬を詰めて遠くへ投げ捨てた。ドーンという音と共に、琵琶は粉砕した。

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(タイガージョー、推参!)

ライオン丸がノイザーと戦っている頃、錠之介は巨大ゴースンを見つけていた。錠之介はタイガージョーに変身すると、今日のこの日の為に作った象牙のヤリで、ゴースンに立ち向かう決心をする。

『ゴースン!お前を倒す!』
『虎錠之介か。この裏切り者めが!進んで向かってくるとは、貴様さすがに骨があるな。しかし、一度目を掛けた者に裏切られたこのゴースンの怒りが、どれだけ大きいことか知るがいい!』

タイガージョーは弾みをつけて高く飛び上がると、両手で象牙のヤリを持ったまま、ゴースンの胸の紋様めがけて勢いよく突っ込んでいった。そして、象牙のヤリを思い切り突き刺した。

『ゴースン、覚悟!ダァー!』

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(象牙のヤリ先はゴースンに無力だった)

だが、象牙のヤリ先は簡単に折れてしまい、「こんなはずでは無い!」と気が動転してしまうタイガージョー。すぐに反転して飛ぶコースを変えようとした時、ゴースンサンダー(激しい落雷攻撃)が右目の眼帯に落ちて、タイガージョーは地面へと落下していった。大笑いして去っていくゴースンは、錠之介に言った。

『愚か者めが!タイガージョーごときに指一本触れさせる、このゴースンではないわ!』

ゴースンサンダーの激しい攻撃にさらされながら、錠之介は奇跡的に意識があった。だが、なぜゴースンに敗れたのか解からず、錠之介は涙を流して悔しがった。ゴースンの兄・桃雲斎が話していたように、象牙でゴースンの紋様を刺したではないか。なのに、どうして倒すことが出来なかったのか。

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『なぜだ?なぜ俺は、ゴースンに敗れたんだ?なぜだ!・・・』
(終わり)


★★★★★★★★★★★★
ゆうを治すために沙織がノイザーの琵琶で弾いた曲は、主題歌「風よ!光よ!」であった。

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快傑ライオン丸(44) [ライオン丸・ドラマ5]

今回は、第48話《傷だらけの殺し屋 怪人マフィアン・前編》を取りあげます。

原作;うしおそうじ
脚本;まつしまとしあき
企画;うしおそうじ 別所孝治
音楽;小林亜星
殺陣;渡辺高光
監督;中西源四郎

【前回までの話は・・・ゴースン八人衆のうち、三人が倒れた。ある日、獅子丸たちは怪人ジェンマと出会う。ドクロ忍者たちを次々と拳銃で撃ち殺すジェンマは、ゴースンを裏切ってきたのだと獅子丸に言った。錠之介はそんなジェンマを信じようとはせず、ジェンマを信じる獅子丸に忠告をする。錠之介の思った通り、獅子丸はワナに落ちて、金砂地の太刀を奪われてしまうのだった。変身できない獅子丸はしかし、ベルトに付いているライオンバックルを使い、金砂地の太刀を取り返すとライオン丸に変身、第四の刺客ジェンマを倒すのだった・・・】

◆咳き込む姿のおじを見た加代は、急いで走り寄って来て言った。

『駄目じゃないの、おじ様!身体に障るわ』
『大丈夫だ、加代。ゴースン様のご命令を聞いた途端、病気など消し飛んだわい!ゴホゴホ!』
『やっぱり無理だわ、おじ様!』
『気を使うな。ワシもゴースン八人衆の一人だ。必ず、獅子丸を仕留めてみせる!』

加代におじ様と呼ばれるこの男は、怪人マフィアンというゴースン魔人で、自分の武器である鉄の熊手を振るって、まだまだやれるところを加代に見せるのだった。

加代は人間の娘だが、幼い頃に両親を失い、ひとりぼっちでいるところをマフィアンに拾われ育てられたのだった。1人で生きていけるよう忍びの術を教えられ、加代の腕前も上達していた。

加代は親代わりのマフィアンを慕い、マフィアンもまた、加代を目に入れても痛くないほどに可愛がっていた。そんな時、ゴースンから獅子丸と錠之介の暗殺命令が下ったのだ。

(ナレーション;獅子丸は次々と苦難に耐えつつも、八人衆を打ち倒してきた。残されたゴースン八人衆の影は、あと四つ。その苦しみは大きいが、獅子丸たちはしかし、着実にゴースンを追い詰めていた)

『なるほど、獅子丸という奴には、ゴースン様もよほど手を御焼きになっているとみえる』
『ね、おじ様、止めて。獅子丸には勝てないわ!』
『バカな!どんな相手だろうと、ワシの熊手にかかればイチコロだ!』

マフィアンは咳き込みながら、加代に強く言い聞かせるのだった。たくさんのドクロ忍者たちの死体を見た加代は獅子丸の強さを知り、病人のおじでは太刀打ちできないと思うのだった。

『ゴースン様のご命令は絶対じゃ!』
『どうしても?』

咳き込みながらうなずくマフィアンを見た加代は、ある決意をするのだった。

『分かりました。獅子丸は、あたしが討ちます!』
『何を言う、加代!待て!』

教わった忍びの術を使って獅子丸を倒そうと決意した加代は、マフィアンの前から走り去っていく。(おじ様、許して。加代は、おじ様を危ない目に遭わせたくはない!)心の中でそうつぶやきながら、獅子丸を倒すことが自分を育ててくれたマフィアンへの恩返しになると、加代は考えていた。

怪人ジェンマを倒し、先を急ぐ獅子丸たち三人の前に、青い装束のくノ一が姿を現し、挑みかかってきた。

『お前が獅子丸か!』
『いかにも、私が獅子丸だ』
『死んでもらいます!』

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そう言って、いきなり斬りかかって来たくノ一に、獅子丸は刀を抜かずに身をかわすことで、対戦を避けるのだった。獅子丸にとって、女を斬るわけにはいかない。それを知っている沙織は、ロープを加代の腕に巻き付けると、自分の方へ引き寄せた。

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『まさか獅子丸さんが、女を相手に戦うわけにはいかないでしょう。私が、代わってお相手しましょう』
『邪魔をするな!お前も斬るわよ』
『面白い。あなたなんかに、負けないわ!』

くノ一どうしの戦いが、始まった。しかし、二人を戦わせていては、いつかどちらかが死ぬことになろう。獅子丸は、相手を傷つけぬようにと、沙織に言った。だが、真剣勝負をするふたりに、その声は届いていなかった。獅子丸は、沙織が宙へ飛びあがった瞬間を捕らえ、沙織を後ろから抱え込んだ。

『何をするの、獅子丸さん!放して!』
『落ちつけ、沙織!』

すると、辺り一面に広がっている枯れ葉の中から巨大な熊手の先が現れ、加代の首の辺りを引っ張るようにして動きを封じる者がいた。枯れ葉の中から謎の怪人が姿を見せ、加代を叱りつけた。

『(叱りつけるように)これ!加代。間に合ってよかった。お主が獅子丸だな?』

沙織も刀を振り上げたまま興奮状態にあり、獅子丸がつかんでいる左の腕を、必死に振り解こうとしている。

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『そうだ。その娘は、お主の知り合いか?』
『ワシの娘も同然の者だ。今は、助けてくれてすまなかった(頭を下げる怪人)』
『加代は、敵の情けなど受けたくはない!行くぞ!』
『(沙織も興奮して)何を!』

ふたりのくノ一は、まだ興奮状態にあった。怪人は加代を自分の後ろへ下げると、「お前の手に負える御仁では無い」と加代に告げた。そして、自分が戦うことを示すのだった。

『さぁ獅子丸、ワシが相手になる!』
『お前もゴースンの仲間か!』
『そうだ、来い!』

すると、怪人は突然咳き込んで、枯れ葉の敷き詰められた地面に、膝からガクリとひれ伏してしまう。

『お主、病か?』
『問答無用。貴様ごとき若造には負けぬ!』
『止めておこう。しっかり養生しろ』

すると、今までの様子をジッと観察していた小助が、ポロリとこぼして言った。

『あーあ。とうとうゴースンも、病人や女まで使わなきゃいけなくなったか』
『小僧、ほざいたな!』
『だって、本当のことじゃないか!』

獅子丸は小助を軽く叱ると、沙織と小助を連れてこの場から去ろうとした。すると、熊手を杖代わりに使って立ち上がった怪人マフィアンは、武器である熊手で獅子丸に襲いかかって来たのだ。思わず太刀を抜いた獅子丸は、振り下ろされた熊手を防ぐと、次の瞬間、マフィアンの右腕を肩口からスパッと斬ってしまう。

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その腕は宙を飛び、すぐ近くにいた小助の両腕の中へ飛び込んだ。ビックリした小助は、すぐに怪人の腕を捨てたが、腕から滴り落ちた怪人の青い血が、小助の右手のひらに付いてしまった。
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『(驚き叫んで)おじ様!・・・おのれ!よくも!』
『すまぬ。弾みとはいえ、不憫なことをしてしまった・・・』
『加代、よせ!これでいいのだ。もう一度、立ち合わねばならぬだろう、いずれ』

マフィアンは咳き込みながらそう言うと、加代を連れてどこかへと去っていった。一方、小助の右手に付いた青い血を取ろうと、沙織は近くの川の水で必死に拭くが、拭いても拭いても青い血は取れなかった。

『おかしいわね・・・』
『あんな、死にそこないの怪人の血が染みついて、気持ち悪いヨォ~・・・情けなイ~』

ねぐらへ戻った加代が、マフィアンに訴えていた。

『おじ様!あんなヤツに・・・あたし、悔しい』
『あれでよい、あれでよいのだ。フフフフ』

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怪人マフィアンは自分の片腕が斬られても、なぜか悔しい顔ひとつ見せず、笑っているだけであった。
(つづく)


★★★★★★★★★★★★

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快傑ライオン丸(45) [ライオン丸・ドラマ5]

今回は、第48話《傷だらけの殺し屋 怪人マフィアン・後編》を取りあげます。

【前回までの話は・・・ゴースン八人衆・第五の刺客は、病気がちの怪人マフィアン。ゴースンの命令で獅子丸と戦うことになったマフィアンを親代わりに慕う人間の娘・加代は、マフィアンの身体を案じて、先に獅子丸に戦いを挑むのだった。だが、それに応戦したのは沙織で、二人は互角の戦いをする。二人を制して、獅子丸とマフィアンが戦いを始めてすぐ、獅子丸の太刀がマフィアンの右腕を切り落とした・・・】

◆右肩口から切り落とされ、その辺りを左手で押さえながら去っていくマフィアンと傷口を案じる加代。去り際にマフィアンが言った「いずれ、もう一度立ち合う時が来る」とは、どういう意味だろうか。

小助の右手の平に付いたマフィアンの青い血は、水でいくら拭いてもまったく落ちない。仕方なくそのままにして歩く三人だが、しばらくして、小助の身体に異変が起こる。熱があるのか、寒気がすると言いだす小助。近くに空き小屋を見つけた三人は、そこで一夜を明かすことにした。

『あー、腕が痛いよ!助けて・・・』

暴れて泣き叫ぶ小助に、何もしてあげられない沙織と獅子丸。しばらくすると発作が治まり、寝てしまった小助の右の手の平には青い血が付いたままである。獅子丸は、小助の手の平に付いた血を見ながらつぶやいた。

『おかしいな・・・洗っても血が落ちないなんて』

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やがて、二人とも眠りに着いた深夜に事件は起きた。寝ている獅子丸の首を、小助の右手がグイグイと絞めあげてくるのだ。その右手は赤く大きく腫れあがったようになり、鋭い爪が五本の指先に生えて、とても人の手ではなかった。そう、あの怪人マフィアンの手だ。それが、獅子丸の首をグイグイと絞め上げていた。

『こ・・・す・・・け・・・』
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苦しさで目が覚めた獅子丸は沙織に助けを求めようとするが、のどを締め上げられて声が出せない。小助の顔はもはやヒトの顔ではなく、ギラギラした野獣の目であった。ろうそく一本が灯る暗い部屋だが、目を覚ました沙織は、馬乗りになった小助の異様な様子に気付いた。小助に声をかけると、振り向いたその顔を見て沙織は驚愕する。すぐに小助の首筋に手刀を打って失神させると、ようやく獅子丸を助けることができた。気を失った小助は、普通の小助に戻っていた。

『獅子丸さん・・・』
『小助は、何も知らないんだ・・・』

「もう一度立ち合う時が来る」というマフィアンの言葉を獅子丸はふと思い出し、今その意味がハッキリと解かるのだった。どうやらマフィアンは、自分の血が付いた者を自在に操れる能力を持っているようであった。小助は、マフィアンに操られているのだ。

暴れないように、小助が意識を失っている間に綱で縛りあげた獅子丸。夜が明けて、窓から太陽の光が差し込んできたとき、意識を取り戻した小助は激しい痛みを訴え、獅子丸と沙織に助けを求めるのだった。

『助けて、腕が痛いよ。腕を斬って・・・』
『お願い、小助ちゃん止めて!』

沙織は、小助が苦しんでいる姿を可哀想で見ていられず、沙織自身が我を失っていた。それを見た獅子丸は、沙織に平手打ちして落ち着かせると、「これから怪人マフィアンと立ち合って、小助の腕を治す方法を聞きだしてくる」と言った。だから、小助の縄を絶対に解かぬようにと、獅子丸は沙織に強く念を押した。もし縄を解けば、小助はあの怪物のような腕で、今度は沙織を襲うにちがいない。獅子丸は、それを心配した。

一方、マフィアンの本当の狙いを知らない加代は、片腕を斬った獅子丸憎さのために、おじの許を抜け出していた。おじの仇を討つべく、獅子丸を探しに出かけたのだ。ついウトウトしていたマフィアンは、そのことに気づかずにいた。

獅子丸も加代も、昨日立ち合った場所へと向かっていた。林間を走って行く獅子丸は、木から木へ飛び移る何者かが自分のあとを追ってくることに気づいていた。やがて、獅子丸に手裏剣を投げて攻撃してくる加代に、女とは戦わないことを告げる獅子丸。だが、加代は反論した。

『女は相手にできなくても、病人なら相手にできるというの!』

病気のために全力を出せないおじ・マフィアンを斬ったことを、加代は憎んでいた。女や病人とは戦わないという獅子丸最大の弱点を、ゴースンは突いてきたのだ。獅子丸は、逃げるより他に手が無かった。

『獅子丸!待て!』

加代から逃げ、怪人マフィアンを探すために獅子丸は走った。

『俺は必ず、あの怪人を討ち果たす。待っていろ、小助』

そして、その時は来た。

『今度こそ、はっきり決着をつけよう!』
『加代は、どうした?』

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『あの娘は、なんとしても助ける。しかし病人とはいえ、お前は斬る!どうして子供を狙った!可哀想に。小助は自分で自分の腕を、斬ろうとしたんだぞ!』
『フフフフ。見事ワシを倒せば、小僧の腕は元通りになるだろう』

(小助のためなら、俺は何でもやる)獅子丸はライオン丸に変身すると、どんなことをしてでもこの怪人を倒すという、強い決意に燃える。そこへ獅子丸を追ってマフィアンの元へ戻ってきた加代が現れ、ライオン丸とマフィアンが対峙する様子を、小高い丘の上から見守っていた。

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左腕一本のマフィアンだが、先が五つに割れた鉄の熊手を自在に操り、ライオン丸を寄せ付けない。途中、咳き込んだマフィアンを見たライオン丸は、一瞬隙を見せてしまう。咳き込んで下を向いたマフィアンは、その隙に乗じて口に矢を数本含むと、顔を上げた瞬間に吹き矢のように吹いた。

ライオン丸の額にそのうちの一本が突き刺さり、ライオン丸はひるんでしまう。だが、ライオン丸は痛みをこらえながら素早く矢を抜くと、宙高く飛び上がり、騙し打ちしたマフィアンにライオン丸・怒りの一刀が振り下ろされた。左腕も切り落とされたマフィアンは、すでに虫の息であった。「おじ様!」叫びながら駆け寄って来た加代に、マフィアンは言った。

『加代、もう止めるのだ。ゴースン様のご命令は、ワシひとりのこと』
『おじ様、死なないで!』
『さぁ最期に、お前の顔を・・・見せておくれ』
『おじ様!・・・おじ様ぁ!』

息を引き取ったマフィアンを見て、加代は覚悟した。刺し違えてでもライオン丸を殺す。マフィアンは、加代に仇討ちなど望んではいない。が、加代の心の中の憎しみが、そうせざるを得ないところまで燃え上がっていた。マフィアンから教えこまれた忍びのすべてを賭けて、加代はライオン丸に立ち向かっていく。だが、赤子の手をひねるがごとく、相手にならない。

『加代さん、もう止めるんだ。私は、あなたたちには何の憎しみも無い。だが、ゴースンを倒すためには、私は何でもやる!あなたには、生きてほしい』

ライオン丸は加代を説得しようと話かけるが、大好きだったおじ・マフィアンを失い、自分の力が及ばぬ強大な相手から情けを受けた悔しさもあったのだろう、加代は静かに自刃を選んだ。

獅子丸、沙織と腕が治った小助の三人は、不憫に思った加代とマフィアンの墓を立てると、ふたたびゴースンを倒す旅を続けるのであった。
(ナレーション;ゴースン八人衆が、また一人消えた。獅子丸たちは、確実にゴースンに迫っている。次にその行く手を阻む影は・・・)
(終わり)


★★★★★★★★★★★★

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