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快傑ライオン丸(44) [ライオン丸・ドラマ5]

今回は、第48話《傷だらけの殺し屋 怪人マフィアン・前編》を取りあげます。

原作;うしおそうじ
脚本;まつしまとしあき
企画;うしおそうじ 別所孝治
音楽;小林亜星
殺陣;渡辺高光
監督;中西源四郎

【前回までの話は・・・ゴースン八人衆のうち、三人が倒れた。ある日、獅子丸たちは怪人ジェンマと出会う。ドクロ忍者たちを次々と拳銃で撃ち殺すジェンマは、ゴースンを裏切ってきたのだと獅子丸に言った。錠之介はそんなジェンマを信じようとはせず、ジェンマを信じる獅子丸に忠告をする。錠之介の思った通り、獅子丸はワナに落ちて、金砂地の太刀を奪われてしまうのだった。変身できない獅子丸はしかし、ベルトに付いているライオンバックルを使い、金砂地の太刀を取り返すとライオン丸に変身、第四の刺客ジェンマを倒すのだった・・・】

◆咳き込む姿のおじを見た加代は、急いで走り寄って来て言った。

『駄目じゃないの、おじ様!身体に障るわ』
『大丈夫だ、加代。ゴースン様のご命令を聞いた途端、病気など消し飛んだわい!ゴホゴホ!』
『やっぱり無理だわ、おじ様!』
『気を使うな。ワシもゴースン八人衆の一人だ。必ず、獅子丸を仕留めてみせる!』

加代におじ様と呼ばれるこの男は、怪人マフィアンというゴースン魔人で、自分の武器である鉄の熊手を振るって、まだまだやれるところを加代に見せるのだった。

加代は人間の娘だが、幼い頃に両親を失い、ひとりぼっちでいるところをマフィアンに拾われ育てられたのだった。1人で生きていけるよう忍びの術を教えられ、加代の腕前も上達していた。

加代は親代わりのマフィアンを慕い、マフィアンもまた、加代を目に入れても痛くないほどに可愛がっていた。そんな時、ゴースンから獅子丸と錠之介の暗殺命令が下ったのだ。

(ナレーション;獅子丸は次々と苦難に耐えつつも、八人衆を打ち倒してきた。残されたゴースン八人衆の影は、あと四つ。その苦しみは大きいが、獅子丸たちはしかし、着実にゴースンを追い詰めていた)

『なるほど、獅子丸という奴には、ゴースン様もよほど手を御焼きになっているとみえる』
『ね、おじ様、止めて。獅子丸には勝てないわ!』
『バカな!どんな相手だろうと、ワシの熊手にかかればイチコロだ!』

マフィアンは咳き込みながら、加代に強く言い聞かせるのだった。たくさんのドクロ忍者たちの死体を見た加代は獅子丸の強さを知り、病人のおじでは太刀打ちできないと思うのだった。

『ゴースン様のご命令は絶対じゃ!』
『どうしても?』

咳き込みながらうなずくマフィアンを見た加代は、ある決意をするのだった。

『分かりました。獅子丸は、あたしが討ちます!』
『何を言う、加代!待て!』

教わった忍びの術を使って獅子丸を倒そうと決意した加代は、マフィアンの前から走り去っていく。(おじ様、許して。加代は、おじ様を危ない目に遭わせたくはない!)心の中でそうつぶやきながら、獅子丸を倒すことが自分を育ててくれたマフィアンへの恩返しになると、加代は考えていた。

怪人ジェンマを倒し、先を急ぐ獅子丸たち三人の前に、青い装束のくノ一が姿を現し、挑みかかってきた。

『お前が獅子丸か!』
『いかにも、私が獅子丸だ』
『死んでもらいます!』

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そう言って、いきなり斬りかかって来たくノ一に、獅子丸は刀を抜かずに身をかわすことで、対戦を避けるのだった。獅子丸にとって、女を斬るわけにはいかない。それを知っている沙織は、ロープを加代の腕に巻き付けると、自分の方へ引き寄せた。

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『まさか獅子丸さんが、女を相手に戦うわけにはいかないでしょう。私が、代わってお相手しましょう』
『邪魔をするな!お前も斬るわよ』
『面白い。あなたなんかに、負けないわ!』

くノ一どうしの戦いが、始まった。しかし、二人を戦わせていては、いつかどちらかが死ぬことになろう。獅子丸は、相手を傷つけぬようにと、沙織に言った。だが、真剣勝負をするふたりに、その声は届いていなかった。獅子丸は、沙織が宙へ飛びあがった瞬間を捕らえ、沙織を後ろから抱え込んだ。

『何をするの、獅子丸さん!放して!』
『落ちつけ、沙織!』

すると、辺り一面に広がっている枯れ葉の中から巨大な熊手の先が現れ、加代の首の辺りを引っ張るようにして動きを封じる者がいた。枯れ葉の中から謎の怪人が姿を見せ、加代を叱りつけた。

『(叱りつけるように)これ!加代。間に合ってよかった。お主が獅子丸だな?』

沙織も刀を振り上げたまま興奮状態にあり、獅子丸がつかんでいる左の腕を、必死に振り解こうとしている。

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『そうだ。その娘は、お主の知り合いか?』
『ワシの娘も同然の者だ。今は、助けてくれてすまなかった(頭を下げる怪人)』
『加代は、敵の情けなど受けたくはない!行くぞ!』
『(沙織も興奮して)何を!』

ふたりのくノ一は、まだ興奮状態にあった。怪人は加代を自分の後ろへ下げると、「お前の手に負える御仁では無い」と加代に告げた。そして、自分が戦うことを示すのだった。

『さぁ獅子丸、ワシが相手になる!』
『お前もゴースンの仲間か!』
『そうだ、来い!』

すると、怪人は突然咳き込んで、枯れ葉の敷き詰められた地面に、膝からガクリとひれ伏してしまう。

『お主、病か?』
『問答無用。貴様ごとき若造には負けぬ!』
『止めておこう。しっかり養生しろ』

すると、今までの様子をジッと観察していた小助が、ポロリとこぼして言った。

『あーあ。とうとうゴースンも、病人や女まで使わなきゃいけなくなったか』
『小僧、ほざいたな!』
『だって、本当のことじゃないか!』

獅子丸は小助を軽く叱ると、沙織と小助を連れてこの場から去ろうとした。すると、熊手を杖代わりに使って立ち上がった怪人マフィアンは、武器である熊手で獅子丸に襲いかかって来たのだ。思わず太刀を抜いた獅子丸は、振り下ろされた熊手を防ぐと、次の瞬間、マフィアンの右腕を肩口からスパッと斬ってしまう。

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その腕は宙を飛び、すぐ近くにいた小助の両腕の中へ飛び込んだ。ビックリした小助は、すぐに怪人の腕を捨てたが、腕から滴り落ちた怪人の青い血が、小助の右手のひらに付いてしまった。
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『(驚き叫んで)おじ様!・・・おのれ!よくも!』
『すまぬ。弾みとはいえ、不憫なことをしてしまった・・・』
『加代、よせ!これでいいのだ。もう一度、立ち合わねばならぬだろう、いずれ』

マフィアンは咳き込みながらそう言うと、加代を連れてどこかへと去っていった。一方、小助の右手に付いた青い血を取ろうと、沙織は近くの川の水で必死に拭くが、拭いても拭いても青い血は取れなかった。

『おかしいわね・・・』
『あんな、死にそこないの怪人の血が染みついて、気持ち悪いヨォ~・・・情けなイ~』

ねぐらへ戻った加代が、マフィアンに訴えていた。

『おじ様!あんなヤツに・・・あたし、悔しい』
『あれでよい、あれでよいのだ。フフフフ』

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怪人マフィアンは自分の片腕が斬られても、なぜか悔しい顔ひとつ見せず、笑っているだけであった。
(つづく)


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