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快傑ライオン丸(45) [ライオン丸・ドラマ5]

今回は、第48話《傷だらけの殺し屋 怪人マフィアン・後編》を取りあげます。

【前回までの話は・・・ゴースン八人衆・第五の刺客は、病気がちの怪人マフィアン。ゴースンの命令で獅子丸と戦うことになったマフィアンを親代わりに慕う人間の娘・加代は、マフィアンの身体を案じて、先に獅子丸に戦いを挑むのだった。だが、それに応戦したのは沙織で、二人は互角の戦いをする。二人を制して、獅子丸とマフィアンが戦いを始めてすぐ、獅子丸の太刀がマフィアンの右腕を切り落とした・・・】

◆右肩口から切り落とされ、その辺りを左手で押さえながら去っていくマフィアンと傷口を案じる加代。去り際にマフィアンが言った「いずれ、もう一度立ち合う時が来る」とは、どういう意味だろうか。

小助の右手の平に付いたマフィアンの青い血は、水でいくら拭いてもまったく落ちない。仕方なくそのままにして歩く三人だが、しばらくして、小助の身体に異変が起こる。熱があるのか、寒気がすると言いだす小助。近くに空き小屋を見つけた三人は、そこで一夜を明かすことにした。

『あー、腕が痛いよ!助けて・・・』

暴れて泣き叫ぶ小助に、何もしてあげられない沙織と獅子丸。しばらくすると発作が治まり、寝てしまった小助の右の手の平には青い血が付いたままである。獅子丸は、小助の手の平に付いた血を見ながらつぶやいた。

『おかしいな・・・洗っても血が落ちないなんて』

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やがて、二人とも眠りに着いた深夜に事件は起きた。寝ている獅子丸の首を、小助の右手がグイグイと絞めあげてくるのだ。その右手は赤く大きく腫れあがったようになり、鋭い爪が五本の指先に生えて、とても人の手ではなかった。そう、あの怪人マフィアンの手だ。それが、獅子丸の首をグイグイと絞め上げていた。

『こ・・・す・・・け・・・』
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苦しさで目が覚めた獅子丸は沙織に助けを求めようとするが、のどを締め上げられて声が出せない。小助の顔はもはやヒトの顔ではなく、ギラギラした野獣の目であった。ろうそく一本が灯る暗い部屋だが、目を覚ました沙織は、馬乗りになった小助の異様な様子に気付いた。小助に声をかけると、振り向いたその顔を見て沙織は驚愕する。すぐに小助の首筋に手刀を打って失神させると、ようやく獅子丸を助けることができた。気を失った小助は、普通の小助に戻っていた。

『獅子丸さん・・・』
『小助は、何も知らないんだ・・・』

「もう一度立ち合う時が来る」というマフィアンの言葉を獅子丸はふと思い出し、今その意味がハッキリと解かるのだった。どうやらマフィアンは、自分の血が付いた者を自在に操れる能力を持っているようであった。小助は、マフィアンに操られているのだ。

暴れないように、小助が意識を失っている間に綱で縛りあげた獅子丸。夜が明けて、窓から太陽の光が差し込んできたとき、意識を取り戻した小助は激しい痛みを訴え、獅子丸と沙織に助けを求めるのだった。

『助けて、腕が痛いよ。腕を斬って・・・』
『お願い、小助ちゃん止めて!』

沙織は、小助が苦しんでいる姿を可哀想で見ていられず、沙織自身が我を失っていた。それを見た獅子丸は、沙織に平手打ちして落ち着かせると、「これから怪人マフィアンと立ち合って、小助の腕を治す方法を聞きだしてくる」と言った。だから、小助の縄を絶対に解かぬようにと、獅子丸は沙織に強く念を押した。もし縄を解けば、小助はあの怪物のような腕で、今度は沙織を襲うにちがいない。獅子丸は、それを心配した。

一方、マフィアンの本当の狙いを知らない加代は、片腕を斬った獅子丸憎さのために、おじの許を抜け出していた。おじの仇を討つべく、獅子丸を探しに出かけたのだ。ついウトウトしていたマフィアンは、そのことに気づかずにいた。

獅子丸も加代も、昨日立ち合った場所へと向かっていた。林間を走って行く獅子丸は、木から木へ飛び移る何者かが自分のあとを追ってくることに気づいていた。やがて、獅子丸に手裏剣を投げて攻撃してくる加代に、女とは戦わないことを告げる獅子丸。だが、加代は反論した。

『女は相手にできなくても、病人なら相手にできるというの!』

病気のために全力を出せないおじ・マフィアンを斬ったことを、加代は憎んでいた。女や病人とは戦わないという獅子丸最大の弱点を、ゴースンは突いてきたのだ。獅子丸は、逃げるより他に手が無かった。

『獅子丸!待て!』

加代から逃げ、怪人マフィアンを探すために獅子丸は走った。

『俺は必ず、あの怪人を討ち果たす。待っていろ、小助』

そして、その時は来た。

『今度こそ、はっきり決着をつけよう!』
『加代は、どうした?』

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『あの娘は、なんとしても助ける。しかし病人とはいえ、お前は斬る!どうして子供を狙った!可哀想に。小助は自分で自分の腕を、斬ろうとしたんだぞ!』
『フフフフ。見事ワシを倒せば、小僧の腕は元通りになるだろう』

(小助のためなら、俺は何でもやる)獅子丸はライオン丸に変身すると、どんなことをしてでもこの怪人を倒すという、強い決意に燃える。そこへ獅子丸を追ってマフィアンの元へ戻ってきた加代が現れ、ライオン丸とマフィアンが対峙する様子を、小高い丘の上から見守っていた。

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左腕一本のマフィアンだが、先が五つに割れた鉄の熊手を自在に操り、ライオン丸を寄せ付けない。途中、咳き込んだマフィアンを見たライオン丸は、一瞬隙を見せてしまう。咳き込んで下を向いたマフィアンは、その隙に乗じて口に矢を数本含むと、顔を上げた瞬間に吹き矢のように吹いた。

ライオン丸の額にそのうちの一本が突き刺さり、ライオン丸はひるんでしまう。だが、ライオン丸は痛みをこらえながら素早く矢を抜くと、宙高く飛び上がり、騙し打ちしたマフィアンにライオン丸・怒りの一刀が振り下ろされた。左腕も切り落とされたマフィアンは、すでに虫の息であった。「おじ様!」叫びながら駆け寄って来た加代に、マフィアンは言った。

『加代、もう止めるのだ。ゴースン様のご命令は、ワシひとりのこと』
『おじ様、死なないで!』
『さぁ最期に、お前の顔を・・・見せておくれ』
『おじ様!・・・おじ様ぁ!』

息を引き取ったマフィアンを見て、加代は覚悟した。刺し違えてでもライオン丸を殺す。マフィアンは、加代に仇討ちなど望んではいない。が、加代の心の中の憎しみが、そうせざるを得ないところまで燃え上がっていた。マフィアンから教えこまれた忍びのすべてを賭けて、加代はライオン丸に立ち向かっていく。だが、赤子の手をひねるがごとく、相手にならない。

『加代さん、もう止めるんだ。私は、あなたたちには何の憎しみも無い。だが、ゴースンを倒すためには、私は何でもやる!あなたには、生きてほしい』

ライオン丸は加代を説得しようと話かけるが、大好きだったおじ・マフィアンを失い、自分の力が及ばぬ強大な相手から情けを受けた悔しさもあったのだろう、加代は静かに自刃を選んだ。

獅子丸、沙織と腕が治った小助の三人は、不憫に思った加代とマフィアンの墓を立てると、ふたたびゴースンを倒す旅を続けるのであった。
(ナレーション;ゴースン八人衆が、また一人消えた。獅子丸たちは、確実にゴースンに迫っている。次にその行く手を阻む影は・・・)
(終わり)


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