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快傑ライオン丸(40) [ライオン丸・ドラマ5]

今回は、第44話《くノ一の涙 怪人メガンダ・前編》を取りあげます。

原作;うしおそうじ
脚本;平野史博
企画;うしおそうじ 別所孝治
音楽;小林亜星
殺陣;渡辺高光
監督;中西源四郎

【前回までの話は・・・宿命のライバル関係にありながら友情のようなものを獅子丸に感じる錠之介は、遂にゴースンを裏切ってしまう。抜け忍となった錠之介と邪魔者・獅子丸を抹殺するため、大魔王ゴースンは「ゴースン八人衆」を刺客として送り込むのだった・・・】

◆第一の刺客として選ばれたのは、怪人メガンダ。八人衆が並ぶ中、大魔王ゴースンに呼ばれて一歩前へ踏み出した怪人メガンダの目に、突然激しい痛みが走った。だがそれは、大魔王ゴースンの持つ魔力の一部を授かったしるしであった。激痛のために目を開けることができず、苦痛の叫び声をあげるメガンダにゴースンは言った。

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『メガンダ、恐れずに目を開けるのだ!今こそ、ゴースンサンダー眼力光線をお前に授けたぞ』

苦痛が治まったメガンダは目を開けた。すると、その右目の中には、大魔王ゴースンの不敵な顏が浮かび上がっていた。

道の片隅で気分が悪そうにしている女を錠之介は見かけたが、そのような女に心遣いするような錠之介ではない。だが、女の横を素通りしかけて急に足を止めた錠之介は、女に近づいた。病のためか、女は荒い息づかいであった。錠之介は、道端に生えているススキの枝を一本抜くと、倒れかけている女を起こした。

そして、女の首に、いきなりそのススキを突き刺した。女の首からドス黒い血が流れ、次の瞬間、女はドクロ忍者に変わって息絶えた。そうと知らずにそのまま歩いていたら、錠之介は背後から襲撃されていたに違いない。

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前方から来る鍬を担いだ三人連れの百姓を、錠之介はすれ違いざまにいきなり斬りつけた。倒れた三人の農夫は、ドクロ忍者に変わって死んでいた。抜け忍となり、大魔王ゴースンから追われる身となった錠之介にとって、いつどこから追っ手が襲ってくるか分からない。片時も気を抜くことが出来ない日々を過ごす錠之介であった。

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怪人メガンダが虎錠之介を暗殺するために呼び寄せた、ゴースンガールと名乗る四人のくノ一たち。黒百合、鬼百合、姫百合、そして三人を統括する頭領が真理恵であった。真理恵の指示で三人のくノ一は錠之介を襲ったが、錠之介の敵では無かった。真理恵の目の前で、三人は斬り捨てられてしまった。

メガンダは、ゴースンから授かった恐ろしい眼力光線を農民たちに試していた。光線を浴びた農民たちは目を焼かれ、苦しんで死んでいった。

農民たちが苦しんでいる所へ獅子丸たちが偶然通りかかり、沙織は手当てをしようとする。だが、手の施しようもない程の深い傷で、赤い光線を操る怪人が暗躍していることを、農民たちの話から獅子丸は知るのだった。

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(赤い眼力光線がタイガージョーを襲った)

ゴースンガールが錠之介暗殺に失敗したとの報告を受けたメガンダは、自ら錠之介を仕留めるためにその後を追った。そして、ドクロ忍者8人を従えたメガンダは、錠之介に襲撃を仕掛けた。錠之介はタイガージョーに変身してメガンダを迎え撃つが、メガンダの放つ赤い眼力光線を左腕に受けて負傷してしまう。深傷を負ってこのままでは不利とみたタイガージョーは、姿を消してメガンダとの戦いを回避するのだった。

一方、錠之介暗殺を失敗して命令を果たせなかったゴースンガール真理恵は、名誉挽回をするべく、不思議な匂いの香炉を焚いて錠之介をおびき寄せる作戦に出る。

(ナレーション;怪人メガンダの眼力光線によって、錠之介の左腕は傷ついた。腕の痛みに耐えながら歩く錠之介は、不思議な匂いに誘われるのだった)

『良い匂いだ、何だろう?』
『何も匂わないけど』
『オイラの鼻は、特別製さ!この匂いは、なんだろう』

風に乗って流れてくる匂いに、小助の鼻がひくひくと反応した。

不思議な匂いに誘われ、傷ついた左腕を休めるために、目の前の一軒の小屋に錠之介は休みを求めるのだった。この小屋の家主は、若い女であった。

『山の中で何もございませぬが、どうぞたくさん召し上がってくださいまし』

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そう言って、若い女は錠之介に粥を焚いてもてなしてくれた。粥を食べながら、錠之介は何かに気付いた様子だった。粥を食べながら、錠之介は女に言った。

『かたじけない・・・女、お前はゴースンの回し者ではなかったのか?』

粥を食べ終わった錠之介は、身体に異変を感じていた。謀られたことを知った時、錠之介の身体の自由はほとんど効かなくなっていた。

『かかったな、錠之介・・・』
『く、そう・・・』

女は勝利を確信してか、すぐに錠之介を斬ろうとはしない。錠之介が弱っていくのを見届けるように、囲炉裏端で座ったまま笑顔で見ていた。錠之介は残る力で囲炉裏端を立ち上がると、そこから逃げるように歩こうとする。だが、身体がしびれて思うように歩けず、背を壁にぶつけたまま、足からズルズルと沈むように倒れて目を閉じた。

家主の女はくノ一の真っ黒な装束に変わると、右手に持った短刀で錠之介にとどめを刺そうとした。

『死ね、錠之介!』

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だが、くノ一の短刀よりも一瞬早く、錠之介の太刀の切っ先が女ののど元を狙っていた。

『女、そう簡単に殺されるわけにはいかぬぞ。ゆっくり、礼をさせてもらおうか』

眼帯を付けていない方の左目がパッと見開き、錠之介は次の行動に移ろうとしたが、天井へ素早く飛びあがったくノ一・真理恵は、持っていた短刀を壁に刺して宙に浮いた。錠之介が素早く立ち上がろうとしたところに真理恵が飛び下りてきて、短刀で錠之介に襲いかかったのだ。

真理恵の短刀と錠之介の太刀が交差して、カチンと金属音がした。弾かれた真理恵は、隠し持っていたもう一本の短刀を左手に持ち、錠之介と対峙した。だが、長引けば錠之介の剣の敵では無く、部屋の隅に追い詰められた真理恵は、そののど元へ銀砂地の太刀の刃先が食い込む寸前であった。
(つづく)


★★★★★★★★★★★★

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快傑ライオン丸(41) [ライオン丸・ドラマ5]

今回は、第44話《くノ一の涙 怪人メガンダ・後編》を取りあげます。

【前回までの話は・・・赤い眼力光線を操るゴースン八人衆最初の刺客メガンダは、まず配下のゴースンガールに錠之介暗殺を命じた。だが、ゴースンガールの襲撃は失敗、メガンダ自らが錠之介を襲い、錠之介は深傷を負ってしまう。ゴースンガールの生き残り真理恵は、錠之介にとどめを刺すべく山中の一軒家でワナを張って待ち受けるが、錠之介に見破られて追い詰められてしまう・・・】

◆『殺せ!突くなり斬るなり、好きにするがいい!』
『気の強い女だ。気に入ったぞ。だがな、女。俺は、女を斬る気は毛頭ない!』

すると、くノ一真理恵は、錠之介の太刀の刃に自分の首を押し付けて、自害しようとするのだった。錠之介は太刀を抜くと、瞬時に刀背にしてから、こう言った。

『ばかめ!自分で自分の命を捨てるヤツがいるか!どんなことがあっても耐え忍んで生き続け、目的を果たすことが忍者ではなかったのか!死ぬことは、容易いこと。だがな、それは逃げるより、もっと卑怯なふるまいだぞ!』

ゴースンの手先として獅子丸を追う立場の錠之介には、くノ一真理恵の心情は解からなかっただろう。だが、抜け忍となった今の錠之介には、追われる立場、苦しい立場の気持ちがよく解かるのだ。だが、ギリギリまで命ある限り生きてみようと、真理恵とそして自分にも、言いたかったのではないだろうか。

知らぬ間に、一度も流したことの無い涙が、真理恵の頬を伝って流れ出た。真理恵は生まれて初めて、自分のことを気遣う人物に出会ったのだ。真理恵の中にある「錠之介暗殺」という強い意志が、急速にしぼんでいった。

その時である、メガンダの配下にいるドクロ仮面から、真理恵を呼び出す合図があった。ドクロ忍者数人を引き連れたドクロ仮面が、小屋の入口に立っていた。真理恵は怪しまれぬよう、入口の引き戸を開けてドクロ仮面に会った。

『小屋の中に、錠之介がいるような気配がしたものですから・・・』
『この小屋は私ひとりのもの、錠之介などいるわけがないではありませんか!』

それでもドクロ仮面は引き下がらぬ様子なので、真理恵は怒りを顕わにして彼らを追い返えしてしまう。部屋へ戻ってきた真理恵に、錠之介は言った。

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『女。俺を助けるために、お前も仲間を裏切ったのか?』
『違う!あたしは自分の為に、仲間を裏切った。あたしが生きるために・・・』

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そう言うと、真理恵は懐から一体の小さな仏像を取り出して、錠之介に見せた。真理恵の一族は、この摩利天(まりてん)と呼ぶ仏像の掟に縛られて、死んでいったという。だが真理恵は、今日錠之介と出会って、この仏像を壊す勇気が持てたと言って喜ぶのだった。

この仏像を壊して自由に生きる、真理恵はそう心に決めたのだ。そのとき、小屋の外でメガンダが真理恵を呼ぶ声がした。引き戸を開けて出て行くと、メガンダは真理恵に言った。

『錠之介を出せ!裏切り者がどうなるか、知っているはずだ。やれぃ!』

ドクロ忍者たちの囲みを真理恵は破り、小屋から離れるように山の方へと逃げて行く。メガンダはひとり残って、赤い眼力光線を小屋の引き戸へ向けて発射した。壊された引き戸の向こうには、錠之介が立っていた。

山の方へ逃げていく村娘と、それを追いかけるドクロ忍者たちを見かけた獅子丸たち三人は、走ってその後を追いかけると、ドクロ忍者に斬り込んでいった。そして、ドクロ仮面とドクロ忍者すべてを倒して、獅子丸たちは村娘の姿の真理恵を助けるのだった。

一方、小屋を急襲したメガンダから、錠之介は山の中へと逃れていた。錠之介を見失ったメガンダだが、裏切り者・真理恵と獅子丸たちが一緒にいるのを見つけると、ここで一気に片を付けようとドクロ忍者たちに囲ませるのだった。

『獅子丸!まだ生きていたのか!』

獅子丸はライオン丸に変身し、真理恵はくノ一の黒装束になって、メガンダとドクロ忍者たちに立ち向かって行った。メガンダの赤い眼力光線がライオン丸を襲う。真理恵は短刀を手裏剣のように投げて、ドクロ忍者を次々と倒していった。だが真理恵は、左肩をドクロ忍者の一人に斬られてしまう。戦場は修羅場と化した。

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そこへ錠之介が現れ、タイガージョーに変身するとメガンダに向かって行った。ライオン丸は金砂地の太刀を使って太陽光線を反射させる技「ライオン光返し」でメガンダの両眼を眩ませると、空へ飛びあがって逃げようとするメガンダに一太刀を浴びせた。さらにタイガージョーの銀砂地の太刀がもう一太刀メガンダを斬りつけ、ついにとどめを刺すのだった。

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戦闘中に負った真理恵の左肩の傷は、深かった。獅子丸と小助が見守る中、沙織の腕の中で真理恵の寿命は尽きようとしていた。声をかけて真理恵を励ます沙織に、真理恵は絞るように声をだした。

『あたし・・・死にたくない。せっかく・・・せっかく、人の心というものが解かったのに・・・』

錠之介と出会ったおかげで、命令遂行の為だけに生きる「くノ一」という生き方を辞め、人間らしい心を持って生きることを知った真理恵は、心底から生きたいと思った。自然に流れ出る真理恵の頬を伝う涙が、そう物語っていた。真理恵の流す涙を指でそっとすくって、獅子丸が真理恵に見せると、真理恵は感動した。

『なみだ・・・涙を知って死ねるのね・・・』

そう言って、真理恵は息を引き取った。優しい心を最後に知った女の、悲しい最期だった。獅子丸たちが作った真理恵の墓の前には、真理恵が持っていた摩利天の仏像が置いてあった。錠之介がひとり、その墓の前で叫んだ。
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『こんな・・・こんな仏像のために死にやがって。バカヤロウ!』
(終わり)


★★★★★★★★★★★★
今回、初めてライオン丸から獅子丸への変身戻りが描かれた。金砂地の太刀を鞘へ納めたライオン丸が、高くジャンプして後天宙返りすることで、獅子丸に戻るという描かれ方であった。

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快傑ライオン丸(42) [ライオン丸・ドラマ5]

今回は、第46話《暗闇の琵琶法師 怪人ノイザー・前編》を取りあげます。

原作;うしおそうじ
脚本;田村多津夫
企画;うしおそうじ 別所孝治
音楽;小林亜星
殺陣;渡辺高光
監督;大塚莞爾

【前回までの話は・・・ゴースン配下の怪人の中で、錠之介にとってただ一人の親友ハンザキが、ゴースン八人衆第二の刺客として送り込まれてきた。錠之介の裏切りは獅子丸にそそのかされたからであり、獅子丸さえ倒せばゴースンの怒りは収まると、ハンザキは信じていた。一方、錠之介は怪人ギララとの戦いで象牙を紛失していた。そのため、是が非でもハンザキが持つ象牙を欲していた。錠之介は、親友ハンザキを騙してまで象牙を奪う行動に出る。そして、ライオン丸がハンザキを倒した頃、錠之介は奪ったその象牙を必死に磨き上げていた・・・】

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◆武士の娘・ゆうは、兄と弟・鉄之助と共に、硫黄谷の父の元を訪ねる旅の途中であった。茶屋で休憩をしていたこの三人の年恰好は、獅子丸・沙織・小助にとても良く似ていた。茶屋を出発して旅を続けるこの三人に、姿を見せない何者かが琵琶を奏でながら脅迫した。

『獅子丸よ、お前の命はもらったぞ。獅子丸よ、お前の最期の時は近づいたぞ』
『何者だ、出て参れ!卑怯だぞ、姿を現せ!』

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ゆうの兄は勇気ある武芸者で、見えない敵に姿を現すよう叫んだ。すると、前方数メートルの所に、全身青い色をした怪人ノイザーが現れた。ノイザーはヤリや鉄砲といった武器は持たず、弦楽器・琵琶を武器としていた。不思議な音色のこの琵琶を奏でながら、ノイザーは言った。

『獅子丸!三途の川の送り歌を、聞かせてやるわ!ゆっくりと聞くがいいぜ!』

そう言って、怪人ノイザーは琵琶を弾くためのバチを投げ、ゆうの兄の首に刺した。兄は即死であった。それを見た弟の鉄之助は、兄の仇と怪人に向かって行くが、短刀二本が胸に刺さり、命を断たれてしまうのだった。

ひとり残ったゆうにノイザーは琵琶の音色を聞かせると、ゆうは耳を押さえ頭を抱えながら、のけぞるようにして倒れてしまう。その様子を見ていた旅人ふたりが茶屋に飛び込んできて、茶屋のオヤジに訴えるように叫んだ。

『たいへんだ!バケモノだ!この先で獅子丸とかいう三人連れが、殺されただ!』

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同じ茶屋で休んでいた獅子丸たちは、飛び込んできた旅人たちの話を耳にすると、急いで現場へ向かった。現場には娘がひとり、無言で何かをしていたが、若い武士と子供はすでに事切れていた。

『私達と間違えられたんだわ、この人達!』

ひとりだけ助かった娘・ゆうに、沙織は声をかけてみた。名前や行き先を訊ねてみたが、娘は自分の着物の袖を無言でいじっているだけで、何も答えようとはしなかった。沙織はその様子を見て、「目の前で大きな衝撃を受けたために、気が違ってしまったのだ」と判断した。

『兄さんと弟をいっぺんに殺されたんだ、無理も無いよ』

獅子丸も同感だった。この気の毒な娘をこのまま放っておくわけにはいかないと、獅子丸も沙織も思った。茶屋で、この三人が硫黄谷へ行くと話していたことを思いだした獅子丸は、娘の持ち物を持ち、沙織は誘導するようにゆうの手を引いて、ゆっくりと歩き始めるのだった。

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一方、錠之介は、親友ハンザキから奪い取った象牙を川の水で洗ってよく磨き上げると、それを二メートル程の長さの木の棒の先にくくりつけて、ヤリとして使えるようにした。出来上がった象牙のヤリを携えた錠之介は、獅子丸よりも先にゴースンを倒すことを心に誓った。

『行くぞ、ゴースン!この象牙のヤリで、みごと、貴様の心の臓を刺し貫いてみせるわ!』

怪人ノイザーの隠れ家へ、配下のドクロ仮面とドクロ忍者数名がやって来た。ドクロ仮面はノイザーに報告した。

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『申し上げます。峠の兄妹の屍骸、あれは獅子丸のものではございませぬ。獅子丸は、ちょうど今、峠を通ったところでございます』
『獅子丸ではないと・・・そうか、人違いであったか』

ドクロ仮面は、裏切り者・錠之介も獅子丸の後を追って峠を通る可能性があると、報告した。怪人ノイザーは武器の琵琶を持ちだすと、人違いで撃ち漏らした獅子丸と後から来る錠之介を峠で待ち伏せて、ふたりまとめて仕留めてやると意気込むのだった。

『こいつは面白い。いよいよ、我が秘術をお目にかけるとするか!』

街道を外れたケモノみちを、象牙のヤリを携えて錠之介が走って行く。その先で待ち伏せているドクロ仮面とドクロ忍者たちは、一斉に錠之介にボーガンを発射した。錠之介は、飛んで来るボーガンを象牙のヤリですべて叩き落とすと、今度はそのヤリで次々とドクロ忍者たちを突き刺していった。だが、最後に待っていた怪人ノイザーの琵琶の音色が、錠之介に襲いかかった。

『錠之介!貴様のヤリさばき、なかなか見事!だが、ゴースン八人衆のひとり・ノイザー様だ、そう簡単には行くまい!』

ノイザーの琵琶の音色が、錠之介の脳を狂わせていく。必死に耳をふさいで音色を聞かぬようにする錠之介だが、無駄であった。

偶然にも、ノイザーと錠之介が戦っていた場所に近い街道を、獅子丸一行は歩いていた。一行は、かすかに聞こえてくる不思議な琵琶の音色に遭遇し、ゆうはこの音色を聞いた途端、耳をふさぎながら走り出してしまう。沙織と小助はゆうの後を追って走り、獅子丸はこの音色を不審に思い、音のする方向へ向かうのだった。すると、その先にいたのは、錠之介であった。

声を掛ける獅子丸に、持っていたヤリでいきなり攻撃する錠之介。ゴースンを倒そうとする同盟関係にある獅子丸と錠之介は、もはや相手を攻撃するような関係には無い。

《錠之介!タイガージョーとなって、獅子丸を倒せ!》
『・・・タイガージョー、推参!』

どうやら錠之介は誰かに操られているらしいと、獅子丸は思った。

《あの琵琶の音色で、狂わされているのか?》
『・・・ライオン丸、見参!』

獅子丸はライオン丸に変身して、タイガージョーの力を封じるより他に方法が無かった。この音を出している者がタイガージョーを操っているに違いない、とライオン丸は思った。だが、その者はいったい、どこにいるのか。

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一方、突然走り出したゆうの後を追いかけて行った沙織と小助は、大木に寄りかかって琵琶を弾いている怪人を偶然発見する。小助は、自慢の爆弾をその怪人めがけて投げつけてやった。

爆発と同時に怪人は姿を消し、タイガージョーは糸の切れたあやつり人形のようにフラフラと倒れると、崖から転落していった。転落したショックで正気に戻ったタイガージョーとライオン丸に、姿なき声はこう告げていた。

『とんだ邪魔が入ったが、この次はそうはいかんぞ!獅子丸、錠之介、このノイザーがお前達を必ず倒す!』
(つづく)


★★★★★★★★★★★★
ノイザーに操られている状態のタイガージョーは、目が真っ黒に表現されていた。

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