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コンドールマン(11) [コンドールマン・ドラマ2]

今回は、第6話《コンドール・ジュニア誕生 / 前編》を取りあげます。

企画;愛企画センター
原作;川内康範
脚本;山崎晴哉
音楽;鈴木邦彦
擬斗;金田 治(JAC)
造形デザイン;成田マキホ 平田昭吾
特撮;㈱特撮研究所
監督;伊賀山正光

【前回までの話は・・・サタンガメツクが倒れ、帝王キングモンスターは後任にレッドバットンを送り込む。レッドバットンはゴキブラーを連れて日本へ上陸すると、「義賊・紅コウモリ」を名乗って飢えに苦しむ人々に缶詰を施すのだった。だがその行為の裏では、善良な食料品店主に輸入食料品缶詰を売りつけては奪うという悪事を働いていたのだ。人々は義賊・紅コウモリを信じたが、一心が睨んだように、その正体はレッドバットンとゴキブラーであった。コンドールマンは古い貨物船のアジトを突き止め乗り込んだが、そこにはレッドバットンの仕掛けたワナが待っていた】

◆船倉に閉じ込められたコンドールマンとゴキブラーは、貨物船もろとも巨大な火柱に包まれた。あの現場から命からがら逃げてきた石松とまこと、それに男児Aは、公園に集まって来た友達にその様子を話すのだった。

『俺だって信じたくないけど、見ちまったんだよ・・・目の前で船がバーン!と大爆発するのを』
『あれじゃあ、いくらコンドールマンだって・・・』

石松も男児Aも、コンドールマンが死んでしまったものと思っている。無理もない。あの大爆発と火災の中では、いくらコンドールマンでも到底助かるとは思えなかった。

『何言ってるのよ!コンドールマンが死ぬわけないじゃないの!』

一人まことだけは、不安に思いながらもふたりの言葉を否定した。すると、まことの言葉を聞いた石松は考え直して、落胆するみんなを励ますのだった。

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その頃、コンドールマンは火傷を負いながらも命は助かり、爆発で吹き飛ばされて波消しブロックの上に一心の姿で気を失って倒れていた。ゴキブラーは小さなゴキブリの姿になってコンドールマンにしがみついていたため、やはり助かっていた。

一心が目覚めたのとほぼ同時にゴキブリも巨大化し、一心の目の前にゴキブラーが現れた。一心もすかさずコンドールマンに変身してゴキブラーと戦ったが、傷ついているふたりの戦いは決定打を欠き、ゴキブラーが逃げるようにして立ち去って行った。コンドールマンは思った。今度のモンスターは、空を飛べない自分の欠点を突いてきたと。

コンドールマンの行方が判らないことも心配だが、公園に集まったまことの仲間に心配なことが起きていた。親友・健一の妹が、栄養不足で病気になってしまったという。このままでは命に関わると医者に言われたため、家が食料品店のまことに食べ物を分けて欲しいと相談したのだ。だがどの家にも、たくさん分けてあげられるほどの食料は無い。子供たちは少しでもいいから健一の力になろうと家から食料を持ちだして、再び公園に集まって来た。

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『これ、すいとんだけど』
『湿気てるけど、ピーナッツは栄養あるんだぜ』

まことはすいとん(主として食糧事情の悪い時に食する汁物)を、男児Aはピーナッツを健一に渡した。他の友達も、少しだができる限りの物を持ち寄って健一に渡した。健一はみんなの友情にうれし涙を流しながら、妹に食べさせるために大事に、しかし急いで持ち帰って行った。

ところが、自宅へ帰る途中の健一をゴキが襲い、せっかくの「友情」は地面に放り出されて台無しになってしまった。少しでも食べられそうな物を必死に拾う健一と、それを阻止するゴキ。石松とまこと達が後から歩いていると、その様子が視界に入った。

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(ゴキブラーに抵抗する子供たちだが・・・)

石松やまこと、一緒にいた友達が健一を助けるために全員でゴキブラーに立ち向かったが、敵うわけも無い。そのとき、マッハコンドル号がこちらへ疾走して来るのをまことは見た。死んだと思っていたコンドールマンが生きていることを知ったまこと達みんなは、勇気が湧いてきた。コンドールマンがゴキブラーの前に立ちふさがると、ゴキブラーは空を飛んで逃げてしまった。

健一の父がスープを作って妹・春子に飲ませていると、家の呼び鈴が鳴った。父がドアを開けると、そこに立っていた女性が缶詰を一つ父の目の前に差し出した。春子の病気を治すために、缶詰は喉から手が出るほど欲しい。缶詰には紅コウモリのマークが付いている。

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(義賊・紅コウモリの印が付いた缶詰)

『正義の味方、義賊・紅コウモリの使いです。だいぶお困りのようですけれども、紅コウモリに入団なされば、毎日一個ずつ缶詰が配給されますよ』

そう言って健一の父に缶詰を渡した女は、ルイザ高倉だった。レッドバットンは人間に化けて一軒一軒家を回っては、缶詰をエサに紅コウモリに入団するよう人々を勧誘していた。

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(ルイザは人々を缶詰で勧誘して歩いた)

(ナレーション;その日から、飢えに苦しむ人達を入団させようとする紅コウモリの新たな企みが始まった。コンドールマンは激しい怒りを胸に、紅コウモリの行方を追い求めた)

ゴキブラーが町の汚い場所に現れることを知ったまことは、ゴキブラーが去った後、自分達が先頭に立って町をきれいにすることを友達に提案するのだった。その提案には、みんなも大賛成だ。

『そうだ!ゴミさえ無かったら、さっきのモンスターも現れなかったんだ!』

健一を探しに来た健一の父は、まこと達を見つけるとその中にいた健一に向かって言った。

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『健一、喜べ!紅コウモリから缶詰をもらったんだよ!紅コウモリは良い人だぞ!』
『おじさん、紅コウモリは悪者なのよ』
『そうだよ、そうだよ』
『そんなこと無いよ!こうして困っている人を助けてくれているじゃないか!』

まこと達の話が信じられない健一の父は、反発する。そして、これから町の清掃に出かけるまこと達の中にいた健一を連れて、一緒に家へ帰ってしまったのだ。健一が春子に缶詰を食べさせていると、父は行き先を告げずに出かけると言った。返事をしない健一を、父はたしなめようとする。友達の言う事が正しいと信じる健一と、缶詰をくれる紅コウモリが正しいと信じる父とで意見が対立していた。

『まことちゃんもコンドールマンも、言ってるよ。紅コウモリは悪者だって!』
『紅コウモリが悪者だったら、父ちゃんに缶詰なんかくれませんよ!』

その頃、清掃道具を持ったまこと達が、町の汚い場所を見つけては掃除を始めていた。そこへ一心がやって来た。アジトの貨物船でモンスターを見た男児Aとまことが、一心に笑顔で言った。

『俺たち、モンスターと戦っているんだ!』
『モンスターを倒してくれるのはコンドールマンだけど、私達にだってゴミをきれいにしてモンスターを出さないようにすることはできるはずよ!』

健一がいないことに一心が気付くと、あれだけヤル気を見せていた健一が出てこないことにみんなも不思議がっているのだった。そこへ健一の父が通りかかり、タバコの吸い殻をポイ捨てしていったのだ。石松がポイ捨てを注意すると、怖い顔つきでそのまま行ってしまう健一の父。

(ナレーション;コンドールマンは反射的に、モンスターの正体を見破るコンドールアイを使った。だが、健一の父は変身をしなかった。しかしコンドールマンは、彼に異常なものを感じた)

掃除をしながらその様子を見ていたまこと達も、いつもの健一の父とは違うことを感じ取っていた。
(つづく)


★★★★★★★★★★★★

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コンドールマン(12) [コンドールマン・ドラマ2]

今回は、第6話《コンドール・ジュニア誕生/ 後編》を取りあげます。

【前回までの話は・・・レッドバットンとゴキブラーのアジトに乗り込んだコンドールマンだが、ワナを仕掛けられて大爆発に巻き込まれ、その様子を見ていたまこと達は心の支えを失ってしまう。ゴキブラーに襲われ、妹の病気を治すために友達から集めた食事を台無しにされた健一。彼を助けるためにゴキブラーに立ち向かったまこと達の前にコンドールマンが現れ、まこと達は再び元気を取り戻すのだった。一方、レッドバットンはルイザ高倉の姿で、缶詰をエサに人々を紅コウモリに勧誘する作戦に出る。健一の父・健助は、妹・春子の病気を治す為にどうしても缶詰がほしい。健助は紅コウモリに入団するため、缶詰と一緒にもらった地図の示す地点へ出かけて行くのだった】

◆健一は、毎日どこかへ出かけて行く父の様子が気になり出した。ある日、一心は石松やまことと一緒に公衆浴場に行った帰り道、歩道橋の上に一人でいる健一を目撃する。まことや石松と別れた一心は、健一を見かけた辺りまで戻ると、健一に声をかけた。だが、健一は何も言わずに去ってしまうのだった。(これはきっと何かある)そう思った一心は、一晩中健一の家を見張った。すると、朝早く健一の父・健助が出かけて行くところを一心は目撃する。一心は、健助のあとを追って行くのだった。

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(缶詰欲しさに健助は地図を頼りに出かけて行く)

ずいぶん遠くまで山道を歩いてきた健助を、一心は途中で見失ってしまう。その時、突如現れた数人の魔人コンバットに、一心は囲まれてしまう。この近くにアジトがあるに違いないと考えた一心は、コンドールマンに変身して魔人コンバットたちを全員倒し、アジトの捜索を始めるのだった。そして、この山道の先に誰も使っていないボロボロの民家数軒を発見する。

アジトにしているボロボロの民家の中では、ルイザ高倉(レッドバットン)とゴキ(ゴキブラー)が話をしていた。

『オイ。人間の団員もだいぶ増えたようだが、あんなに集めてどうするつもりだ?まさか、スター気取りでファンを集めているんじゃあるまいな?』
『そんなんじゃないよ!今に奴らを使って、食料品などではない、もっと大本を徹底的に叩きつぶしてやりたいんだ!』
『好きにしてくれ!俺の狙いはコンドールマンだけ。ヤツを倒して、必ず幹部になってやる!』

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(健一達は父が心配で後を追ったが・・・)

ふたりが言い争っている場に魔人コンバットが一人来て、怪しい子供たちを捕えたという報告をした。子供をイジメるのが大好きなゴキブラーは、その子供たちをいたぶるため、魔人コンバットの後に付いて行った。子供たちは5人で、まことと4人の男児。その中には健一もいた。

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(訓練の標的を見て健助は唖然とする)

横並びにして木に縛り付けた5人の子供たちの前へ、紅コウモリに入団した人間たちを訓練と称してゴキは一人ずつ連れていく。第1番目に連れて来られたのは、健一の父・健助であった。ゴキに命令されライフル銃を持たされた健助は、標的を見てびっくりする。

『さあ、あれを撃て!』
『お父ちゃん!』
『ああ!お前達。いったい?!』

紅コウモリが悪者なら、父が悪いことをしているかどうかを皆と確かめに来たと、健一は言う。父が悪いことをしていなければ、自分も胸を張って皆の仲間に入れると健一は考えたのだ。だが、ゴキの前で親子の名乗りをしてしまったために、ゴキに楽しみを与える結果になった。ゴキは健一に近づいて行くと、すぐ横で健一の頭に銃口を向けながら健助に命じた。

『さぁ、他のガキどもを撃て!』
『子供たちを撃つなんて、そんなひどいことは出来ん!』
『父ちゃん、撃っちゃダメだよ!ボクは死んでもいいから、皆を撃っちゃダメだよ!』

他の4人を撃たないと息子の命が無いと脅され、苦渋の選択を迫られる父・健助。人間の苦しむ姿を見ることが何よりも好きなゴキブラーは、健助の苦しむ姿を見て邪悪な笑い声をあげた。その時、ゴキの右腕に羽手裏剣が突き刺さり、ゴキの手から拳銃が落ちた。そして、健助を背後から見張っていた魔人コンバットも同時に倒れた。

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『正義のシンボル・コンドールマン!そのような悪は、断じて許さん!』

崖上からジャンプしてゴキの目前まで近づいたコンドールマンに、ゴキは恐れて逃げていく。コンドールマンが子供たちのロープを解くと、健一は真っ先に父の元へ走っていった。二人は抱き合い、命が助かったことを喜んだ。その様子を見たコンドールマンは、すぐにゴキブラーのあとを追う。ゴキはゴキブラーに変身すると、空を飛べないコンドールマンを空から威嚇した。

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様子を見に、空からレッドバットンが現れた。手柄を独り占めしたいゴキブラーは、レッドバットンが手出しすることを拒絶する。

『フン、やってみるがいいさ!』

ゴキブラーを毛嫌いするレッドバットンは鼻で笑うようにそう言い、最初から協力する気など毛頭ない。

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空を飛び回る怪人は、動きが素早い。ゴキブラーは逃げるように飛んで姿を隠すと、コンドールマンの背後から現れ、目つぶしを投げつけた。七色の目つぶし煙幕のために、コンドールマンの視界はゼロになった。ゴキブラーは自分の触覚を一本抜くと、長くのばしてロープ状にし、顔が入る大きさの輪を作ってコンドールマンの首に巻きつけるつもりなのだ。

『コンドールマンの絞首刑だ!』

目が見えずに右往左往しているコンドールマンの背後から静かに近づき、ゴキブラーはロープを首に掛けようとする。だが、タイミングが合わず、なかなか掛からない。コンドールマンは背後に怪人の気配を感じ取り、その気配に向かってチョップ(コンドールカット)を食らわした。ゴキブラーの首が大きく吹き飛び、そのあと首を失った胴体が右往左往していた。やがて小さなゴキブリに戻ると、それは大爆発した。

勝利を収めたコンドールマンの元へ、隠れていたまこと達5人と健助が走って集まって来た。代表してまことが助けてくれたお礼を言うと、続けてこう話した。

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『私達ね、コンドール・ジュニアを結成するの!』

「コンドール・ジュニア」とは、コンドールマンを応援しながら正しいことを進んで行う集団のことだと、健一がコンドールマンに説明した。コンドールマンの承認をもらい、まこと達のちびっこ応援団「コンドール・ジュニア」がここに誕生した。

だが、それも束の間、ゴキブラーが倒されたことを受け、レッドバットンが空からコンドールマンに攻撃を仕掛けてきた。コンドールマンは急いで子供たちを逃がすと、レッドバットンに果敢に立ち向かって行く。

『ゴキブラーの仇だ、命はもらったよ!バットタイフーン!』

空を飛び一度上昇したレッドバットンは、反転してコンドールマンめがけて急降下しながら両のツバサで羽ばたき突風を起こした。それをまともに受けたコンドールマンは、大きく吹き飛ばされてしまう。つかまる所も無く、強風にあおられて転がりながら持っていかれたコンドールマンは、崖から転落する直前で辛うじて踏みとどまっていた。
(終わり)


★★★★★★★★★★★★
コンドールマンとレインボーマン。白装束のふたりだが、決定的に違うのはアクションシーン。東映は仮面ライダーなどで培ったアクションのノウハウを使い派手なアクションシーンを演出するが、後者の東宝はさほど派手なアクションシーンがない。派手なアクションは映像にリズムを生み、ヒーローが活躍する姿に視聴者はスッキリした気分になる。

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コンドールマン(13) [コンドールマン・ドラマ2]

今回は、第7話《怪!モンスター貴族 / 前編》を取りあげます。

企画;愛企画センター
原作;川内康範
脚本;伊東恒久
音楽;鈴木邦彦
擬斗;金田 治(JAC)
造形デザイン;成田マキホ 平田昭吾
特撮;㈱特撮研究所
監督;奥中惇夫

【前回までの話は・・・レッドバットンは義賊・紅コウモリを名乗り、食糧難にあえぐ日本人に缶詰を無償提供して信頼を得て、悪の仲間に誘い込む作戦を実行する。缶詰をもらった健一の父・健助を尾行したコンドールマンは、モンスターのアジトを発見し、そこでゴキブラーとの対戦に勝利する。だが、レッドバットンの圧倒的飛行能力の前に、空を飛べない弱点を突かれたコンドールマンは崖っ縁に追い込まれ、ピンチに立たされていた】

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◆自在に空を飛行するレッドバットンが放ったバットタイフーンによって、腕一本で崖に掴まっているコンドールマン。とどめを刺すべく急降下してくるレッドバットンを見たコンドールマンは、その手を放して崖から落下していくのだった。数十メートル落下して大地に着地したコンドールマンは、追って来るレッドバットンに反撃する。

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『開け、コンドールマウス!ショックパンチ!』

ベルトのバックル(コンドールマウス)が開いて、そこから強力な火炎弾攻撃をレッドバットンに浴びせた。レッドバットンは瞬時に空中へ飛んで逃げると、反転して急降下しながら再びコンドールマンを攻め立てた。

『なめたマネを!今度こそ地獄行きだよ!バットタイフーン!』

両手のツバサを強く振りながら再びバットタイフーンをコンドールマンに放つ。立っていられない程の凄まじい強風のために、コンドールマンの身体がゴロゴロと大地を転がって行く。

(このままでは身体がバラバラになってしまう。一か八かだ)
強風の中で両脚を踏ん張りながら立ち上がると、マントの縁をつかんだ両手を水平に身体の前に出すと、呪文を唱え始めた。

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『&%×$#&¥※☆、コンドールハリケーン!』

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そして、レッドバットンに向かって水平に出した両手を左右に広げると、ベルトのコンドールマウスが開いて中から突風が吹き出した。互いの力と力がぶつかり合い、竜巻が起こった。崖が削り取られて巨岩となり、竜巻がその巨岩を上空へ舞い上がらせていった。はたして、二人の戦いはどう決着がついたのか?

アジトから逃げ出したまこと達5人は、全員無事にそれぞれの家へ着いた。まことは母・陽子に連れられて野草を取る祖母・たみ子の元へ現れると、たみ子は無事を喜んだ。モンスター一族の買占めにより食料が手に入らなくなった人々は、野草を取って飢えをしのぐ程に食糧事情は深刻な状況になっていたのだ。

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墓参りをするひとりの若い女性がいた。その墓石には、三矢一心と書かれている。

『一心さん。あなたが亡くなって、もう半年になります。でも、わたくしには信じられないの。あなたがわたくしを、一人ぼっちにしていくなんて・・・』

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女性は、あの日のことを思い出していた。三矢一心の恋人・寺田さゆりはデートのあの日、夜の便でアメリカへ行くと告白した一心をどんなことをしてでも引き止めればよかったと後悔しつづけていた。一心は平和運動団体「世界の旗」のメンバーとしてアメリカへ渡り、かの地で銃弾に倒れた。

『みんなが自分の楽しみやお金儲けばかりに夢中になっているから、公害が生まれ、自然が破壊されていくんだ。美しいもの、平和、愛。それらを守るためなら、俺は命を賭けて戦う』

さゆりは墓前で両手を合わせながら、あの日の一心との会話や優しい横顔を思い出しては、引き止めなかった自分を悔やんでも悔やみきれないでいた。墓参りを終えたさゆりが水桶を持ってゆっくりと歩いていると、目に飛び込んできたのは左足を引きずりながら歩く三矢一心の姿であった。

驚きの余り、さゆりは持っていた水桶を手放して走り出していた。そして、一心の胸に飛び込む勢いで言った。

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『一心さん!・・・一心さん、生きていたのね!帰ってきたのね!』

数十センチ先にある一心の顏を見ながら、恋しい懐かしい気持ちが心に広がった。ところが目の前の一心は、怪訝そうな顔つきでさゆりを見ながらこう言った。

『・・・君は?』
『私よ!さゆりよ!・・・一心さん』

数秒前の弾むような気持ちがウソのように、さゆりの顏から笑顔が消えた。目の前の一心はさゆりの顏を見てもニコリともせず、抱きとめたさゆりの両腕を静かに放すと、真顔で言った。

『僕は違うんだ』

さゆりは、一心の目をじっと見つめた。すると、優しい一心には無かった何か鋭いモノを感じ取るさゆり。(この人は、一心さんじゃない!)
突然目の前の一心が、急に膝からガクリと倒れ込んでしまった。どうやら、かなりのダメージを受けている様子なのだ。

『怪我をしているわ。私に掴まって』

よく似ているけれども別人だと判断したさゆりは、目の前の男性に左肩を貸すと、ゆっくりと歩きながら寺をあとにした。そのあとしばらくして、ふたりの魔人コンバットを従えたルイザ高倉がその場所に現れた。深傷を負っているコンドールマンに対し、ルイザはほとんど無傷の様子だ。

『コンドールマンめ、どこへ逃げた!探せ、探せ!』

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ルイザはヒステリックになって探すが、一足違いでコンドールマンを見つけることは出来なかったのである。その頃コンドールマンは、寺田さゆりの部屋で意識を失ってベッドの上にいた。偶然にも恋人と瓜二つの顏を持つこの男を間近で見ながら、さゆりは献身的に看病をした。この男の寝顔を見ながら、さゆりは思った。(一心さん。わたくし一度でいいから、こうしてあなたのそばに付いていてあげたかった)

その時、さゆりはベッドの上の一心に似た男が何かうわごとを言っているのを聞いた。よく分からないが、それはこの一心に似た男にとっては不安の種であるように、さゆりには思えてならない。

翌日。ベッドの上で目覚めた一心は、部屋の中にいることに気づく。(そうか、あの女性が・・・)昨日、偶然出会った女性に助けてもらったことを、すぐに知るのだった。そして、一心はすぐに、レッドバットンとの苦しい戦いを思い起こしていた。空を飛べないことが弱点になっていることを痛感したコンドールマンではあるが、以前タバ老人から聞かされた自分の中にゴールデンコンドルの超能力が眠っていることを思い出した。しかし、その超能力を開花させるには修行が必要だと、タバ老人は言った。

『そのためには、いくつかの修行をしなければならぬ』

タバ老人が言っていたいくつかの修行とは、どんな修行なのか。だが、どんな修行にも耐えてみせる。そして、レッドバットンを叩き落としてみせると、一心は心に誓うのだった。
(つづく)


★★★★★★★★★★★★

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