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ダイヤモンド◇アイ(21) [ダイヤモンドアイ・ドラマ3]

今回は、第11話《ケラリン族の大挑戦/ 前編》を取りあげます。

  企画;衛藤公彦
  原作;川内康範
  脚本;田村多津夫
  音楽;池多孝春
  殺陣;渡辺高光
特技監督;真野田陽一
  監督;高瀬昌弘

【前回までの話は・・・モージンガーのワナにはまり暗黒世界に閉じ込められたアイは、モンちゃんの汚れなき心が生んだ奇跡によって暗闇から脱出して、現金輸送車を襲うモージンガーを倒した。撃たれて瀕死のライコウはアイの蘇生光線で蘇り、海藤警部が運転する現金輸送車をライコウが先導しながら、エルドニア領事館まで現金を無事に送り届けるのだった・・・】

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◆エルドニア領事館へ運ばれた現金500億円は金塊に変えられ、明日エルドニア本国へ船で運ばれることになっていた。領事館前では厳重な警戒網が敷かれ、複数の警察官が行き来していた。襲撃に失敗したぐらいであきらめるような源海龍とも思えないと、領事館の見える場所からカボ子はライコウと五郎に言った。だが、腕を組んでライコウが考えていることは、そのことでは無い。カボ子がライコウに話しかけると、ライコウは言った。

『気になるんだよ、北見のことが』
『先輩!アイツは源海龍の陰謀の片棒を担ぎ、モンちゃんを誘拐したんですよ!』

五郎は怒ったようにそう言うが、北見の正義感をよく知るライコウには、北見が源海龍に利用されたに違いないと思うのだ。「先輩を仇のように思っている北見なんか・・・」と五郎が言いかけた時、ライコウはバイクにまたがり走り去っていた。北見八郎のような男を放っておけない性分のライコウであった。

『アイに立ち向かう、次の地獄の使者はいないのか!』

魔王キングコブラが悪霊界に戻り思案をしていると、名乗りを挙げる者がいた。

『このケラリンに、おまかせください!』
『おお、よーし。頼もしそうなヤツ!よし行こう』

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(ケラリンを連れてアジトへ戻ったキングコブラ)

キングコブラはケラリンを連れてアジトへ戻って来ると、人間態に姿を変えた。殺し屋サターンに姿を変えたケラリンに、源海龍は命令した。

『北見も、我々の行動をうすうす気づいているだろう。生かしておくわけにはいかん。総裁室にいる北見を、消せ!』
『了解しました』

得意のナイフ投げで、殺し屋サターンは北見を狙う。その頃、北見は総裁室で昨日の出来事を思い返していた。

『トランクに子供が入っていたことを、総裁は知っていたのか・・・いや、そんなはずは。一体誰が、何のために子供を』

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(サターンのナイフが北見を狙う)

そんなことを考えている時、突然総裁室の扉が開き、赤覆面の男数名が入ってきた。あとから殺し屋サターンが現れ、驚いた北見をナイフで狙いながらサターンは言った。

『北見、死んでもらう!』
『何?お前達は何者だ?』
『これから死ぬ者に、名乗っても仕方がないだろう。死ね!』

サターンが北見の心臓めがけて投げたナイフを、北見は机の上にあったアタッシュケースで素早く受けた。そして、ナイフが刺さったままのアタッシュケースをサターンに投げ返すと、フタが開いてケースの中のダイヤが散乱した。総裁室は一階にあった。開いていた窓から素早く外へ飛びだすと、北見は走って逃げた。そこへ、ライコウの乗ったバイクが通りかかった。

右腕を押さえながら逃げてくる北見を、ライコウは見つけた。赤覆面の男達と頭髪の無い大男が、北見の後を追いかけてくる。ライコウは一度赤覆面達にバイクで突っ込み、反転してまた突っ込んでいく。連中が隊列を乱している間にライコウは北見をタンデムシート(後ろの席)に乗せると、すぐにその場を去って行った。

逃げおおせたとみて、ライコウは近くの公園で休むことにした。ベンチに座った北見は、すぐにライコウに謝罪した。

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(モンちゃんを・・・謝る北見(右))

『すまん。知らなかったとはいえ、モンちゃんをあんな目に合わせたことを謝る』
『すべて、源海龍の企みだ。総裁もお前も、奴に利用されたんだ。なぁ、北見。源海龍の正体を突き止めることだ。それが、死んだ大沢山さんのためにも・・・』
『オヤジさんを殺した源海龍は、俺の手で倒す!オレは、ひとりでやりたいんだ!』

北見はそう言って、ライコウの前から去って行った。一方、北見を逃がしたサターンから連絡が入り、朱玉は怒りを露わにした。二度と失敗は許さないと、最後通告するのだった。

源海龍は、エルドニア領事館内にある金塊をどうしても手に入れるつもりでいる。夜になれば、警戒はより厳重になるだろう。だから、明るいうちに堂々と金塊をいただくと言って、源海龍はニヤリと笑った。

『間も無く、エルドニアの経済大臣の記者会見が始まる』

源海龍はそう言うと、朱玉に策を授けた。

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(朱玉は記者を装いエレベータに・・・)

記者会見の後、2人のSPに守られてエレベータに乗ろうとするエルドニア経済相に、女性週刊誌の記者を装って近づいた朱玉は、「女性読者のために奥様のことを記事にしたい」と言って、強引に経済相に同乗の許可を得た。トビラが閉まりエレベータが下がって行くと、質問をするふりをして万年筆型の毒ガス発射装置で三人を毒殺した。途中4階のボタンを押すと、ドアが開いてそこに待っていたのは源海龍であった。

北見と別れたライコウは、エルドニア領事館へバイクで戻る途中、赤覆面達の襲撃に遭う。北見殺害命令を受けた殺し屋サターンは、ライコウに邪魔されて北見を逃がした。そこでライコウを襲って、北見の居場所を知ろうとしたのだ。バイクを下りて赤覆面達と戦うライコウにナイフが1本飛んで来て、顔のすぐ横の壁に刺さった。

『動くな!お前がいくら素早く動けても、このナイフには敵うまい!北見はどこだ、言え!』

サターンはそう言うと、2本目のナイフをライコウの左脇の下に投げ刺した。バイク用のグローブをハメているので、アイを呼べない。百発百中のサターンのナイフでは、グローブを外す時間が無い。ライコウはピンチに陥る。

『動くな!』

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グローブを脱ごうとライコウが右手を動かした時、サターンのナイフがライコウの右頬をかすめて5センチほどの切り傷ができた。不敵な笑いを浮かべて次のナイフを懐から取ろうとサターンが一瞬下を向いた時、ライコウは左の脇下に刺さっているナイフを素早く抜いて、サターンへ向けて投げた。悲鳴をあげて倒れるサターンの左目には、ナイフが突き刺さっていた。

ピンチを脱出したライコウは、エルドニア領事館を見張っているカボ子と五郎の元へ戻って来た。

『変わったことは?』
『異常無し。奴らが襲って来るのは夜ですよ』

菓子パンを食べながら、五郎が言った。領事館に車が入って行くのを見たライコウは尋ねた。

『あれは?』
『経済大臣のパーティがあるのよ』

菓子パンを食べながら、カボ子が言った。経済大臣のほかに20組程が領事館へ入って行くのを見たという。こんな時にパーティを開くなんて、とライコウは不審に思うのだった。
(つづく)


★★★★★★★★★★★★

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ダイヤモンド◇アイ(22) [ダイヤモンドアイ・ドラマ3]

今回は、第11話《ケラリン族の大挑戦/ 後編》を取りあげます。

【前回までの話は・・・いろいろなことを知って北見が総裁に疑いを持ち始める前に、源海龍は北見を消しにかかった。総裁室にいるところを殺し屋サターンに襲撃された北見は、危うい場面でライコウに助けられる。源海龍の正体を二人で暴こうとライコウは北見に協力を求めるが、北見は自分ひとりでやると言ってその申し出を断るのだった・・・】

◆エルドニア領事館でこれからパーティがあることを知ったライコウは、疑問を感じていた。

『こんな時に、パーティを開くなんて・・・エルドニアの人は、この横浜には何人もいないが』

カボ子たちが見張りを始めてから、領事館に入った車の数は20台を超えていた。最初はただのパーティだと思っていたカボ子も五郎も、疑問を持ち始めた。ライコウは、横浜界隈に住むエルドニア人の人数をすぐに調査するよう五郎に依頼した。

その頃、ライコウと別れた北見八郎は、大沢山京子が勤務する保育園「みどりの園」の総裁室にいた。怪我の手当てを京子にしてもらいながら、北見は源海龍こそが悪人であり、自分も総裁も源海龍に騙されている可能性を京子に語った。

京子にも、北見に話があった。「みどりの園」が資金難で閉園することになったのだ。総裁から連絡があり、それ以降総裁の行方が分からないのだ。総裁は源海龍一味に捕まってしまったのかもしれないと、北見は考えた。そう思いながら、北見が何気なく総裁の机の上にある置物をつかんで持ち上げた時、置物の下に無線通信機を見つけたのだ。ボリュームを上げると、会話が聞こえてきた。

ハラダテッコウジョとか、エルドニアリョウジカンという言葉が聞こえている。この通信内容は源海龍一味の悪だくみと関係があるのではないか、と北見は思うのだった。このことを警察に知らせるよう京子に指示すると、北見はひとりで鉄工所へ行ってみることにした。ふたりは一緒に事務所を出ると、京子が話し出した。

『あの無線機が総裁室にあったということは・・・』
『総裁も悪事に加わっているかもしれない。そうじゃないかもしれない。それを、これから確かめに行くんだ』

北見のことを密かに慕う京子は、ふたり一緒に警察へ行こうと北見に言うのだった。一人で危険なことに首を突っ込む必要は無いと、京子は反対した。だが、正義感の強い北見は、どうしても自分の目で確かめたかった。

夕方になり、エルドニア領事館のパーティは終わった。領事館から、次々と車が出てくる。自転車に乗って調査に出かけた五郎が、息を切らしてやっと戻って来た。五郎の話では、入国管理局に聞いたところ、横浜に住むエルドニア人は3人、東京にも2人しかいないと言うのだ。

『パーティには、20人以上が来ていたわよ!』
『五郎は、すぐ警察に連絡しろ!領事館内の現金が無くなっているかもしれない!』

五郎にそう言った時、エルドニア経済相を乗せた車が領事館を出て行くのが、ライコウには見えた。すぐにバイクに乗り、そのあとをライコウは追っていく。一方、ハラダテッコウジョを探し出した北見は、その敷地内の鉄柱や鉄パイプなどたくさんの鉄材が積まれた場所に隠れながら、何が起こるのか見極めようとしていた。

しばらくすると、一台の車が鉄工所の敷地内に到着した。北見は高く積まれた鉄柱の陰から、その様子をジッと見ている。車から降りてきたのは、エルドニア経済相とその妻と思われる女性だった。だが、経済相はその場であごヒゲを取り、鼻下のヒゲを取り、眉毛を取った。すべてが変装用具だ。かぶっていた帽子を取ると、まったく別の顔の男になった。

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(経済相に化けていた源海龍)

『アイツが、源海龍か』

北見は小声でそう言いながら、ジッと様子を見ている。妻らしき女性も変装を解くと、車の周りに集まっている赤い覆面の男達に指示を出していた。赤覆面の一人が車のトランクを開け、中から銀色のトランクケースを取り出した時、もう1台、車がやって来た。ドアを開け、運転手は、源海龍らしき男に緊急事態を告げているようであった。

『たいへんです!警察が動いて、仲間が捕まりました!』
『何!作戦は完全なはずなのに、なぜ?』
『うろたえるな!まだ、ここを突き止められたわけでは無い!予定通り、行動すればいいんだ。落ちついてやればいい』

運転手の報告に女は焦りをみせたが、男は余裕がある。一味は、エルドニア領事館から盗んできた500億円相当の金塊をこの鉄工所内で溶かし、ドラム缶に流し込んでアジトへ運ぶつもりであった。たとえ警察でも、この場所を突き止めるにはしばらく時間がかかると、男は考えたのだ。

そう言って源海龍は、余裕のある声で笑った。北見は、奴らが何を話しているのかを聞こうとして、少しずつ場所を動いて近づいていく。そして、その男の笑い声を聞いていて、自分が知っているある人物の顔が浮かぶのだった。

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(慈善団体の総裁はもう1つの顔)

『総裁が、源海龍だったのか!』

北見の心の中に、悔しい気持ちが湧いてきた。その時、北見の口を後ろからふさぎながら肩を引っ張り、小声で話しかける者がいた。

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『待て!北見』
『・・・ライコウ!』
『もうすぐ警察が来る!』
『もし間に合わなかったら?』
『その時は、一緒に戦おう!』

北見は少し間を置いて、右手を出した。ライコウは、それを合意の握手だと思った。だが、次の瞬間、ライコウは不意を突かれて腹部を殴られてしまった。ライコウは意識を失った。

『オヤジさんの仇の源海龍は、俺の手で倒す。そう言ったはずだ』

戦うために、源海龍に少しずつ近づいて行く北見。だが、鉄クズに足を取られ、存在を知られてしまった。

『北見!仕事の邪魔だ、殺せ!』

北見は、武器を持つ十数名の赤覆面の男達に囲まれてしまった。多勢に無勢。最初は勢いよく動けても、やがて疲れがくる。拳銃を撃ちかけられ、急いで隠れようとする北見は左胸に一発食らってしまった。拳銃の音で目が覚めたライコウの目には、隠れている場所から真っ直ぐ先に胸を撃たれた北見が見えていた。彼を救おうと参戦するために、積まれた鉄パイプの上にライコウは姿を現した。ライコウの姿を見て、またしても作戦の邪魔をされた源海龍の怒りは爆発した。

『作戦の失敗は、やはりヤツだったのか!殺せ!』
『奴の始末は、このサターンにお任せを!』

そこへナイフを見せながら、左目に眼帯を付けた殺し屋サターンが現れた。逃げようとする源海龍に、力を振り絞って立ち向かう北見。だが、サターンのナイフが北見の心臓付近を貫いた。ライコウに群がる赤覆面達、源海龍は朱玉に付き添われて現場から逃げて行く。

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赤覆面に囲まれて、ライコウは北見に近づけない。倒れている北見にサターンは近づき、北見の息の根を止めようとしている。ライコウは叫んだ。

『アイよーっ!』

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(外道照身、霊波光線!)
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(正体見たり!)

『外道照身、霊波光線!正体見たり!前世魔人ケラリン!』
『あぁ、バレタカァ~!』

姿を自在に消すことが出来るケラリンに、アイは手を焼いていた。アイのステッキ光線を、ケラリンは自慢のナイフではねかえしてしまう。倒れている北見のすぐ横に、アイと対峙するケラリンの右足がある。北見はアイを援護するために、右足をつかんだまま離さずにいた。ケラリンは脱出するために、ナイフで北見にとどめを刺したのだ。

アイはこの一瞬を逃さず、必殺ロイヤルパンチをケラリンの頭部へ撃ち込むのだった。北見は自分の命と引き換えに、ケラリンを倒したのだ。源海龍は悪霊界へ逃げてしまい、赤覆面達は全員ライコウが倒した。アイは北見の亡き骸に敬意を払い、ライコウに言った。

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『愛と正義に献身して命を捧げた北見八郎。手厚く葬ってくれ』
『北見、見ていてくれ。源海龍は必ず倒す!』

北見の亡き骸を両手で抱えながら、ライコウは夕陽に向かって誓うのだった。
(終わり)


★★★★★★★★★★★★
テレビ放映では、「ケラリンにお任せください!」というべきところを、
「ケろリンに」と言っている部分がある。ケロリンとは、有名な頭痛薬の名前だ。
あんな魔人が出てきたら、ショックでどんな頭痛も治るだろうが(笑)

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ダイヤモンド◇アイ(23) [ダイヤモンドアイ・ドラマ3]

今回は、第13話《キングコブラの大決戦!/ 前編》を取りあげます。

  企画;衛藤公彦
  原作;川内康範
  脚本;伊東恒久
  音楽;池多孝春
  殺陣;渡辺高光
特技監督;真野田陽一
  監督;六鹿英雄

【第12話の内容は・・・ハリケーン最終作戦と名付けて源海龍が狙うもの、それは大量殺人兵器だ。レーザー光線銃を使い、日本人の大量殺りくを計画するキングコブラ。源海龍はウルフに命じて、レーザー光線の開発者・湯浅博士を誘拐し、レーザー銃も手に入れた。だが、集光レンズが無ければ、殺人光線は発射されない。気転を利かせた湯浅博士は、誘拐される車中から集光レンズを投げ捨てることに成功した。

一方、大沢山京子は、働いていた「みどりの園」が閉園したため、父の遺産を使って小さな学園「子供たちの家」を開園した。預かっている子供は5名。ただ一人の男児・キャプテンは、偶然にも博士がタバコの空き箱に入れて捨てた集光レンズを拾ってしまう。綺麗な宝物として、誰にも内緒である所へ埋めておくのだった。実験中に誘拐したにも関わらず博士がレンズを持っていないことに怒る源海龍は、殺し屋ウルフをきつく問い詰めた。ウルフは、博士がタバコの空き箱を車外へ捨てたことを思い出した。そして、近くにいたキャプテンの顔も。

集光レンズを持つキャプテンを襲いにきたウルフ(正体はゲララチン)を、ライコウとダイヤモンド・アイは打ち倒した。キャプテンに集光レンズを見せられたライコウは、湯浅博士が行方不明であることから、源海龍に誘拐されたにちがいないと推測する・・・】

◆ライコウとダイヤモンド・アイによる度重なる作戦の妨害に、キングコブラは怒り心頭に発していた。キングコブラは片腕の朱玉を呼んで言った。

『これ以上、一日たりともアイめを生かしておくわけにはいかん。今度こそ奴を八つ裂きにして、地獄の底へ叩き込むのだ!』

普段は仕事ができる女性秘書の姿をしている朱玉だが、瞬時に醜い前世魔人ケロキャットに姿を変えると、キングコブラの期待に応える返事をするのだった。

『お任せくださいませ!これさえあれば、奴のロイヤルパンチなど通用いたしません!』

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そう言ってケロキャットは、ロイヤルパンチ封じ用に左手で鋼鉄製の防護盾を持ち、右手には先端にトゲの付いた打撃用武器を持っていた。ハリケーン最終作戦を軌道に乗せるためには、絶対に集光レンズが必要なのだ。キングコブラがケロキャットに下した命令、それは集光レンズを奪え、であった。

キャプテンは、冒険好きな元気な男児だ。海賊船の船長を装って仲間の女児たち4人に命令を出す、そんな元気な男児なのだ。学園に程近い林の中で、海賊船の船長気取りで仲間と遊んでいたキャプテンは、突然現れた朱玉と赤覆面達によって捕まってしまった。

4人の女児たちから連絡を受けたライコウは、すぐにバイクでキャプテンを乗せた車の後を追いかけた。だが、朱玉の指示で待っていた赤覆面達に邪魔され、その車を見失ってしまうのだった。

一方、集光レンズの場所について口を割らない湯浅博士は、椅子に縛られて殴る蹴るの拷問を受けていた。そこへ、朱玉がキャプテンを連れて戻って来た。博士は、この男児がレンズを拾ったことを知らない。だが、目の前で殴られている男児を、博士は見て見ぬふりは出来ない。それに付け込んだ源海龍は男児を痛めつけておいて、集光レンズを新しく作るよう脅す作戦に切り替えた。博士にとっては、痛めつけられる男児を見ることの方が苦痛なのだ。

『博士、協力しちゃダメだよ!』

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(博士(右端)の目の前で殴られるキャプテン)
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(拳銃を無理やり握らせて・・・)

キャプテンは、必死に殴られる痛みと戦っていた。すると源海龍は、なかなか「協力する」と言わない博士に銃を握らせ、博士の手でキャプテンを処刑させようとする。さすがの博士も、協力せざるを得なくなった。博士は実験室に連れていかれ、新しい集光レンズ作りを始めるのだった。

ライコウは、キャプテンを乗せた車を追いかけていて赤覆面達に襲われた周辺のどこかに、奴らのアジトがあるものと睨んでいた。この岩山には隠れる場所が無い。それなのに赤覆面達が出て来たということは、秘密の出入り口があるに違いないと読んだのだ。岩山の頂上へ登った所で、手に触った倒木を偶然動かしたところ、入口らしき扉を発見するライコウ。そこにある縄バシゴを下りて行くと、そこはどうやらアジトのようであった。

だが、センサーが感知して、ライコウの潜入は源海龍の知るところとなった。アジト内で赤覆面数人の襲撃を受けたが、そのうちの一人にキャプテンの捕まっている場所を白状させるライコウ。ライコウが聞きだしたその部屋へ入って行くと、確かにキャプテンが縛られて捕まっていた。

『キャプテン、しっかりするんだ!』
『あっ、ライコウさん!』

だが、それは源海龍のワナだ。壁の隠しトビラが開いて源海龍と朱玉が顔を出し、ライコウ達を見ている。うれしそうに源海龍が告げた。

『ライコウ。うまくワナにかかったな!これで、アイも呼べまい』

源海龍は朱玉に命じて、室内を暗くしてから赤外線ライトを点灯させた。部屋は真っ暗だが、赤外線が見えるゴーグルを着けた源海龍には二人の様子がよく見える。ライコウは、手探りするように周りをうかがっている。光が無いのでアイを呼べないし、ライコウにはどこから攻撃してくるのか、相手の様子が一切分からない。源海龍は集光レンズが出来次第、ライコウとキャプテンをレーザーガンで処刑するつもりであった。

『ライコウ。我々のレーザーガンの人体実験第一号に選ばれたことを、光栄に思うのね』

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出来上がった集光レンズを取り付けたレーザーガンを持ってくると、朱玉はニヤリと笑いながらゴーグルを着け、壁の隠しトビラから一発撃った。一発目はわざと外して、ライコウの頭上20センチ付近にレーザー光線が当たった。当たった場所が赤く焼け、「ボン!」と爆発音がして驚くライコウ。二発目もわざと外して、恐怖心をあおる朱玉。源海龍に言われた朱玉は、真っ暗な部屋の中へ入って来た。

『ゴーグルを着けていないお前は、めくら同然!今までの恨み、たっぷりお返しさせてもらうわ!』
『キャプテン、オレに捕まっていろ!』

何も見えないライコウはキャプテンの手を引きながらそう言い、ライコウの姿がよく見える朱玉は、ゆっくりと料理してやると言わんばかりにジワリジワリと狙いを定めて近寄って行く。危機一髪のライコウとキャプテン!
(つづく)


★★★★★★★★★★★★


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