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ジャイアントロボ(1) [ジャイアントロボ・ドラマ]

今回は、《第1話 大海獣ダコラー・前編》を取りあげます。

原作;横山光輝(光プロ)
企画;平山 亨・坪井久智
脚本;伊上 勝
音楽;山下毅雄
特技;矢島信男
技斗;久地 明
監督;山田 稔

(ナレーション;無限の大宇宙の彼方から、ある日突然不思議な飛行物体が出現した。その飛行物体は宇宙円盤である。その宇宙円盤は太陽系の星のひとつ、地球へ向けて突進して行った。宇宙円盤の接近は、いち早く地球上のレーダーに映し出された)
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『国籍不明の飛行物体が接近中!ただちに迎撃態勢に入れ!ただちに迎撃態勢に入れ!』

指令を受けた国防軍のジェット戦闘機隊が、謎の飛行物体迎撃の為に次々と出撃して行く。迎撃態勢を取る前に、ジェット戦闘機隊のリーダーが謎の飛行物体に通信機で話しかけた。

『飛行物体に告ぐ!国籍と侵入目的を明らかにせよ!応答が無い場合、本編隊は攻撃する!応答せよ、応答せよ!』

だが、謎の飛行物体からの返事は無い。リーダーは全機に向けて攻撃態勢を指示しながら、引き続き飛行物体に向けて応答を促した。するとヘルメットのスピーカーを通すこと無く、不気味な声が聞こえてくるのだった。

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『ムフフフ・・・・ハハハハハ・・・吾輩は、宇宙の彼方から地球征服にやって来たギロチン帝王だ。地球人ども!ギロチン帝王の力を見よ!』

言葉が終わるや否や、飛行物体から放たれたレーザー光線がジェット戦闘機を次々と射ち落していき、ジェット戦闘機隊は壊滅した。黒い煙を挙げて落下していく戦闘機を横目に、謎の飛行物体はそのまま海中へ突っ込んで行き姿を消した。

(ナレーション;太平洋の海中に沈んだ宇宙円盤はそのまま姿を現さず、人々に忘れられたまま月日が過ぎて行った。それから数か月のち、太平洋上で次々と船が沈む怪事件が起こった)

新聞記事は『太平洋上で謎の沈没事件』と称し、すべての事件で生存者が無いことを報じていた。このような事件が後を絶たない中で、事件があった同じ航路を行く豪華客船に乗る少年(草間大作)と青年(南十郎)が偶然に船のデッキで出会った。少年が夜のデッキから大海原を眺めていると、青年が後ろから少年に声をかけた。

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『静かなもんだ。この海の上で事件が起こるなんて信じられないな。』
『事件て、何か起こるんですか?おじさん』
『おじさんはヒドイなー!君は何も知らないの?』

少年が首を縦に振るのを見て、青年はこの航路について詳細を語って聞かせるのだった。

『この一か月の間に、原因不明の沈没事故が次々とこの航路上で起きているんだ。』
『そう言えば、ハワイの叔父さんもそんな事を言っていたっけ・・・』
『すると、知っていて君はこの船に乗ったのかい?あの事件のおかげで、この船の乗客は少ないんだ。』

身体は小さいが肝っ玉の据わった少年に、この青年は感心したが、そろそろ遭難海域が近くなり、青年は少年に忠告をしたのだった。

『君、気をつけた方がイイと思うよ!』
『おじさんもあの事件を追って、この船に乗っているんですか?』
『ああ、こう見えてもこの南十郎はユニコーン・・・』

青年は言いかけて、口をつぐんだ。

『い、いや、つまり新聞記者でね。ところで、君の名前は?』
『ボク、草間大作。よろしく!』
『南十郎だ』

二人が握手を交わした時、定時連絡の時間を告げる音が鳴った。南十郎は草間大作と別れると、物陰に隠れてセビロの内ポケットからペン型の無線機を取り出して通信した。

『こちらユニコーン機関諜報部員U3(ゆーすりー)。日本支部、どうぞ』
『こちら東(あずま)支部長だ。U3、異常はないか?』
『目下のところ太平洋上波静か、月は青く澄んで異常無しであります。』
『バカもん!気取っている場合じゃない!』

どこかへ通信をしている青年の姿を柱の陰からそっと見ていた草間大作は、青年がなにか特殊任務を帯びて乗船しているように感じるのだった。と、そのとき巨大なタコの足のような物体が突如海面から現れ、この豪華客船を襲い始めた。船は立っていられない程大きく揺れ、乗客たちは大騒ぎとなった。草間大作と南十郎は互いに身体を支え合いながら近くの手すりにとっさに捕まると、海中から出て来た巨大生物の姿を見るのだった。

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『あっ、あれは何だ!・・・アイツが今まで船を沈めていたんだ!』

ふたりの顔や身体に大量の海水がかかり、全身びしょ濡れ状態の中、早くこの場を去らないと危ないことを二人は話し合った。

『南さん、早く海に飛び込まないと大変だ!』
『大作君、ボクにしっかり捕まるんだ!』

互いにしっかり捕まりながら、二人は沈没寸前の船から暗い海中に飛び込んだ。しばらくは二人とも海面に浮かんでいたが、船を攻撃する怪物の動きが大波を起こし、その波にさらわれるようにして、二人とも暗い海中に沈んで行ってしまった。

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どのくらい時間が経過したのだろうか。波が顔を洗ったおかげで、大作少年は意識を取り戻した。周囲を見回すと、どうやら無人島に流れ着いた様子であった。時刻は昼頃だろうか、太陽が高い。すぐ近くに南十郎が倒れているのを見つけた大作少年は、南十郎を揺り起こした。意識を取り戻した南十郎は命があることに安堵すると、少年の前だが、すぐにユニコーン日本支部に連絡を入れた。

『ユニコーン機関諜報部員U3より、東支部長へ!U3より東支部長へ!・・・聞こえねぇのかな、あの頑固おやじ!』
『バカもん!貴様、まだ船に酔っておるのか!ハッキリと連絡をしろ!』

どうやら妨害電波が出ているらしく、無線機が上手くつながらないのだ。支部の方でもU3の電波は受信できているのだが、音声が上手く届かない。別の隊員がすぐ横で修理を進める中、イライラしながら東支部長は通信マイクを握りしめていた。この間にも、状況はさらに悪化していく。複数の何者かが、大作少年と南十郎を取り囲んでいた。

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『抵抗は止めろ!さもないと射殺するぞ!』

黒いサングラスにドクロマークの付いた黒いベレー帽をかぶった武装集団が、二人を完全に包囲していた。ふたりは後ろ手に縛られ、基地のような場所へ連行されて行った。サングラスのリーダーは、南十郎に問いかけた。

『正体がバレたようだな、ユニコーン機関の諜報員U3君。』
『違う!人違いだ!』

だが、サングラスのリーダーは見抜いているようで、南十郎の襟を掴むと締め上げながら質問した。

『U3!ユニコーン機関は我々の秘密をどこまで知っているんだ?』

白を切るU3を見て、リーダーは隣にいる大作少年を拷問にかけ、U3を白状させるつもりであった。後ろ手に縛られたロープを会話の間に斬ったU3は、一瞬のスキを見つけて大作少年を連れてその場を逃げ出すことに成功した。

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奪ったマシンガンを撃ちながら、追って来るBF団(びーえふだん)の隊員達から必死に逃げる二人。だが、行き止まりの通路へと入り込んでしまった。

『しまった!行き止まりか!』
『南さん!』

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もうダメかと思ったそのとき、目の前の床がゆっくりと上がっていくのが見えた。いや、正確には二人がいる場所の床が下降しているのだ。その場所は、地下格納庫へと通じる秘密のエレベーターであった。ゆっくりと降下していくエレベーターの中から、最初に巨大な建造施設が見え始め、やがて二人の視界に入って来たのは巨大ロボットの頭部、胴体部、両脚部であった。

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格納庫へ着地したエレベーターから降りた二人がそれを見上げると、ロボットの全高は30メートル程あると思われた。
(つづく)


★★★★★★★★★★★★
ジャイアントロボと言えば何と言っても、大作少年の命令に応えるロボの声である。何と発音したらよいか、解からない。筆者は〚ヴァッ〛だと思っていた(笑)のだが、〚マッシ〛と発音するらしい。

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ジャイアントロボ(2) [ジャイアントロボ・ドラマ]

今回は、《第1話 大海獣ダコラー・後編》を取りあげます。

【前回までの話は・・・侵略目的の宇宙人・ギロチン帝王が地球へやって来た。ギロチン帝王の宇宙船は防衛軍のジェット戦闘機隊を壊滅させると、海中へその姿を消した。月日は流れ、船の沈没事故が多発する。物語の主人公・草間大作少年とユニコーン機関の南十郎が偶然に乗り合わせた客船も大海獣に襲われ遭難、二人は沈没寸前に暗い海へ飛び込んだ。二人は運良く孤島に漂着したが、そこは巨大ロボットを建造するBF団の秘密基地であった】

◆巨大ロボットを建造している地下工場にエレベーターが着地すると、草間大作少年と南十郎は用心しながらエレベーターを降りた。周囲を慎重に見回しながらBF団の追っ手が来ないことを確認すると、南十郎はマシンガンをつかむ腕の力を抜いた。二人は巨大ロボットの足元へ近寄って行き、真下からそれを見上げて南が言った。

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『見たことも無いロボットだ。30メートル位はありそうだな』
『すごくデッカイ足だな!』

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大作少年が少年らしい素直な感想を漏らしたそのとき、BF団の追っ手の足音が地下工場に響くのを聞いた南十郎は、マシンガンをつかむ手に再び力を入れた。四方に目を配りながら逃げ口を探す南十郎の後方から、突然白衣を来た強面(こわもて)の老博士が姿を現した。ジッと二人をにらんでいたが、身構えてマシンガンの銃口を向けた南十郎に対し、老博士は言った。

『こちらへ来なさい!』

だが、不審に思う南十郎は動こうとはしなかった。すると、急かすように手ぶりを交えて、老博士は『早く!』と言った。急いで自分の研究室へ二人を招き入れると、老博士はドアを閉めた。周囲を警戒しながら、南十郎は老博士に訊ねた。

『あなたはどなたです?』
『私は、世界征服を計画するBF団のために、あのロボットを造っているドクトル・ガルチュアです』

BF団の仲間の博士が、なぜ自分達を助けようとするのか?

『BF団のあなたが、なぜ僕達を助けるんです?』
『私は脅迫をされていたんです。ジャイアントロボは無敵のロボットです。あれが完成すれば、世界はBF団のものになってしまうでしょう』

ロボを見上げながら、南十郎は訊いた。

『それでは、まだ完成してないんですね?』
『そうです。ジャイアントロボは、原子エネルギーを燃料にして電子頭脳で動く。しかも、一番初めにこの電子マイクから電子頭脳に録音された声の人間の命令通りに動きます』

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そう言って、ガルチュア博士は白衣の右ポケットから金色の腕時計を出して見せた。時計部分がフタのように開き、その裏側に集音マイクが付いている。このマイクで最初に声を聞かせた人物がこのロボットの操縦者になると、老博士は説明した。

『へぇぇ、こんなちっちゃなマイクで?』

大作少年は、何の考えも無くガルチュア博士の手から腕時計をつかむと、マイクに向かってこう言った。

『おい、ジャイアントロボ!動いてみろ!』

大作少年の思わぬ行動に、呆れる南十郎。だが、ガルチュア博士はすぐに思いもよらないことを言い出した。

『あのロボットに時限爆弾、仕掛けました。あと5分でこの島、大爆発する!』

その時研究室の方へ向かって来るBF団の追っ手の姿を、南十郎の両目が捉えた。すると、BF団の追っ手に気を取られている南十郎からガルチュア博士はマシンガンを奪い取り、南十郎と大作少年に銃口を向けたのだ。だが、すぐにその銃口をBF団の追っ手の来る方へ向けると、博士は言った。

『君達、すぐ逃げなさい!』

研究室のドアから博士は出て行くと、BF団の追っ手にマシンガンを発砲して銃撃戦が始まった。しかし、人数で優る追っ手側の発砲の前に博士のマシンガンは弾薬切れになり、哀れ博士はハチの巣にされてしまった。

一方、南十郎は大作少年を連れて懸命に脱出口を探していた。爆発まであと数分しかない。基地への出入口をようやく発見し、二人は脱出に成功する。だが二人の警備兵に見つかり、銃撃を受けながら南十郎と大作少年は必死に走った。ゴツゴツした岩場で、二人は警備兵たちと数十メートルの距離をおいて対峙した。銃撃戦になり、警備兵の一人が手りゅう弾を投げた。

目の前に落ちてきた手りゅう弾を南十郎が素早く拾って投げ返すと、それはドーンという大音響と共に警備兵たちを吹き飛ばした。それから数秒ののち大爆発が起きて、轟音と共に基地のあった辺りが跡形も無く吹き飛んでしまった。

『これでジャイアントロボも壊れてしまったのか・・・』

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残念そうな顔をしてつぶやく大作少年の左手首には、ロボットを操縦するための腕時計が巻かれていた。あのどさくさの中で、ガルチュア博士に返すことを忘れていたのだ。すると突然二人の目の前に、地下からせり上がるようにしてジャイアントロボが地上にその姿を現した。

『あっ、ジャイアントロボは壊れていない!・・・やい!ジャイアントロボ!動いてみろ!』

大作少年の声に応えるように、突然ガシンと音がしたかと思うと巨大ロボットは両腕を振りながら一歩ずつ踏みしめるように歩き出した。

『動いた!・・・ジャイアントロボが動いた!』
『南さん!もしかすると、今の爆発で電子頭脳が働き出したのかもしれません・・・』
『うん。こいつは一番初めに命令した人間の声で動くと博士が言っていたが・・・おい、君!』
『すると、命令したのは・・・あっ、これだ!』

大作少年は、左手首にしている腕時計型操縦システムを見た。腕時計のフタが少し開いている。少年の声が、このすき間を通してロボットに命令を与えたのだ。南十郎はこのただならぬ状況に驚くと同時に、ユニコーン機関諜報員としては千万の味方を得た気分になった。

『大作君!君だ!君だけがこのジャイアントロボを動かせるただ一人の人間だぞ!』
『どうしよう、南さん!』
『まず、ジャイアントロボを利用して日本に帰る。あとのことは、ユニコーン支部の東支部長に相談してからだ。大作君!頼むぜ』

大作少年は巨大なジャイアントロボを見上げながら、腕時計型操縦システムに向かって命令した。

『ジャイアントロボ!僕達を日本へ連れて行くんだ!』

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ロボは前進して二人の前で上体を折り曲げると、巨大な左右の手のひらで水をすくうような形を作った。巨大な手のお椀に二人は乗り込むと、大作少年はロボに命令した。

『飛べ、ジャイアントロボ!』
『ヴァッ!(従うロボの声)』

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背中に装備された2本のロケット推進装置が轟音を立てて火を吹き、ロボの巨大な体はあっという間に宙に舞い上がった。垂直上昇してから水平飛行へ移り、ロボの体は雲間を猛スピードで飛んで行く。ロボが両手のひらで二人を包んでいるおかげで、高速飛行でも風圧をほとんど感じない。ただ南十郎の方が、猛スピードのために腰が引けている。

『ジャイアントロボが奪い取られた。どうするか、みているがいい!』

海底に潜む宇宙船の中で、ギロチン帝王はBF団の秘密基地を飛び出して行くジャイアントロボを観ていた。そして、ギロチン帝王はナチス総統の様ないで立ちの部下・スパイダーに命令した。

『ダコラーを使って、ジャイアントロボを奪回するのだ!』
『はっ。ただちにダコラーを出動させます!』

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右手を高く上げながらギロチン帝王に忠誠を誓うスパイダーは、すぐに行動した。

『諸君!地球征服の時が来た。ただちに怪獣ダコラ―を出動させる!襲撃目標は東京!』

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スパイダーは海底に潜んでいる怪獣ダコラーを海面に浮上させると、陸へ向かって侵攻させた。上陸したダコラーは、まず港湾施設を手あたり次第に破壊しながら東京方面へ進撃していく。そんなこととは知らず、飛行中のロボの手の中で今までの出来事を本部へ報告する南十郎に、東(あずま)支部長のカミナリが落ちた。

『こちらU3。只今、太平洋上を飛行中です』
『何をのんきな冗談を言っているんだ!東京は今、海から上陸した怪獣が暴れ回っているんだぞ!』

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それを聴いた大作少年は、ロボを現場へ急行させるべく腕時計型操縦システムでジャイアントロボに命令した。大作少年とU3は怪獣がいる港湾付近でロボから降りると、怪獣ダコラーにジャイアントロボをぶつけた。U3と大作少年はロボと怪獣がよく見える場所に陣取って、二体の様子を観察する。だが、その背後からスパイダーとBF団が迫っていることに、二人とも気付いていない。

『あの小僧が、ジャイアントロボを動かしているんだ』

スパイダーはそう言うと、大作少年の背後から部下たちを襲わせるべく距離をジリジリと詰めて行く。だが、部下の一人がジャリ山に足を捕られ、その音でU3に気づかれてしまう。拳銃でU3の反撃を受け、BF団は退散していった。

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一方、ダコラーにメガトンパンチを見舞ったロボは、弱ったダコラーを海へ投げ捨てた。そして大作少年の命令を受けたロボは、ロケット弾の雨を怪獣に降らせた。こうして怪獣ダコラーは、大爆発して海の藻屑と消えたのである。飛び去って行くジャイアントロボの姿を、双眼鏡で追うサングラスの男がいた。スパイダーである。

(ナレーション;無敵のジャイアントロボは、世界征服を計画するBF団の手から草間少年の手に渡った。そして今や、世界の平和を守る正義のロボットに生まれ変わった。だがしかし、BF団の魔の手はこのジャイアントロボを再び狙っている)
(終わり)


★★★★★★★★★★★★
大作少年は本編でロボが動き出した理由を、『もしかすると、原子爆弾の放射能で電子頭脳が働き出したのかもしれません』と話している。もしガルチュア博士が仕掛けた爆弾が原子爆弾だったら、大作少年も南十郎もただでは済まないよね (笑)

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ジャイアントロボ(3) [ジャイアントロボ・ドラマ]

今回は《第2話 大魔球グローバー・前編》を取りあげます。

原作;横山光輝(光プロ)
企画;平山 亨・坪井久智
脚本;伊上 勝
音楽;山下毅雄
特技;矢島信男
技斗;久地 明
監督;山田 稔

【前回までの話は・・・悪質宇宙人ギロチン帝王は、地球侵略のために配下のBF団に密かに造らせていたジャイアントロボを、草間大作少年とユニコーン機関の南十郎に奪われてしまった。引き連れてきた怪獣ダコラーを使ってロボ奪回を謀るが、ダコラーは簡単に倒され、ロボの強さを示すことになってしまう。飛び去って行くジャイアントロボの姿を苦々しい思いで見つめるBF団のスパイダーに、ギロチン帝王は次なる命令を下した】


(ナレーション;大宇宙を乱れ飛ぶ宇宙塵【うちゅうじん】は、地球の引力に引き寄せられて時々地上に落ちてくる。それは隕石と呼ばれている。そしてある夜、箱根の山頂に・・・)

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突然、ドーンという大きな音と地響きが箱根の町を襲った。すでに寝静まっていた箱根の町が、一斉に飛び起きた。多くの旅館の窓や扉が開いて、寝間着姿のままの観光客や従業員らが路上に集まってきた。人々の目には、赤く光る何かが暗い山頂付近で煙を上げているように見えた。人々は口ぐちに、「何だろうね?」「噴火でもするのかね?」などと話し合っていた。

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(ナレーション;付近が明るくなると、次第に状況が解かり始めてきた。その隕石は、今までに見たことも無い巨大な隕石だった。どんなはずみで箱根山頂から転がり出すかもしれない。防衛隊が警戒のために直ちに出動した。同時に、隕石を調査する科学者の一行も箱根山頂に向かった。調査の結果、その隕石から放射能は検出されなかったが、今まで地球上で発見されたどの隕石ともだいぶ違っていることが判明した。ちょうどその頃、謎の無人島から飛んで来たジャイアントロボは、東京郊外にあるユニコーン機関日本支部の実験研究所の中にいた)

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ユニコーン機関日本支部内にある実験研究所は高さが50メートルはあろうと思われる巨大な建物で、その中でこれから様々なテストを受けるためにジャイアントロボはここに格納されていた。その一角に設けられたブース内には、アズマ支部長と南十郎、草間大作少年、それに実験研究所の所長と所員1名が硬質ガラスでできた窓からジャイアントロボの姿を見上げていた。

『それでは始めてください』
『はっ。只今からジャイアントロボの耐熱テストを開始する』

所長に促されたアズマ支部長が、マイクに向かい号令をかける。左右1台ずつの高熱発射装置がジャイアントロボの両胸付近に近づいてくるのを見て、ブース内の人々はゴーグルをかけて閃光に備えた。アズマ支部長と所長は互いに顏を見合わせると、アズマ支部長はマイクに向かって叫んだ。

『耐熱テスト、始め!』

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バリバリバリという音と共に閃光がブース内の人々を照らし、ジャイアントロボの身体が少しずつ赤みを帯びて行く。800度、1000度、1500度。メーターの針がどんどん上がっていき、レッドゾーンの2000度を超えた。このメーターは3000度までしか測定できない。メーターの針が遂に3000度を越え、計測不能なり計器は破裂した。だが、ジャイアントロボが溶ける様子はまったく無い。

『耐熱テスト、中止!』

所長もアズマ支部長も驚きの余り、中止を発するタイミングが遅れた。所長が思わず声をあげた。

『スゴイ!3000度の高熱にもあのロボットは平気だ!』
『こんな硬い金属は見たことがありませんな!』

同行していた研究員も驚きの声をあげると、アズマ支部長もこのロボットがユニコーン機関の強力な味方になるであろうことに感慨を覚え、こう言った。

『するとジャイアントロボは、地上のいかなる武器にも破壊されないというわけですね?恐るべきロボットだ!』
『支部長!私が言った通りでしょう!なんたってあのジャイアントロボは凄いんですからね!』

腕を組みながら自慢げに話す南十郎に、支部長の怒りの一声が飛ぶ。

『バカモン!貴様がえばったって始まらん!』
『よし!次は飛行テストをやろう。大作君。一つ、ジャイアントロボに命令してくれんかね?』

所長のとなりにいたアズマ支部長は、数歩歩いて大作少年の後ろに回ると、その両肩を優しくポンと叩いてそう言った。このロボを地球上で動かせるのは、この大作少年一人しかいない。

『ハイ。飛べ!ロボ、全速力で飛ぶんだ』

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腕時計型操縦システム(以降は腕時計と名称する)から送られた大作少年の声に反応したロボは、両腕を高く上げて背中にある2本のロケット推進装置を点火させた。ロボの飛行に合わせて実験研究所の屋上が左右に開くと、轟音と煙を残してジャイアントロボは上昇して行った。ブース内の人々が、垂直上昇していくロボの姿を見上げている。ロボを追跡するレーダーはロボを点滅する光の動きとして捉え、それは研究所からどんどん遠ざかって行った。ロボの飛行速度を計算した所長が、アズマ支部長に言った。

『ジャイアントロボのスピードはマッハ17です』
『大作君。マッハ17ってね、音の速さの17倍なんだぞ!』
『そのくらい、知ってるよ』

大作少年に上から目線で話す南十郎に、大作少年は答えた。真剣な顏でこの実験に立ち合う誰もが、心の中では南十郎を笑っていたことは言うまでもない。

その頃、BF団のアジトではギロチン帝王の姿がモニターに映し出され、大幹部スパイダーにジャイアントロボの行方を詰問していた。右手を高く上げながら、スパイダーは現状報告をした。

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『ジャイアントロボはユニコーン機関日本支部の手に渡り、操縦する者が草間大作という少年であることまでは探り出しましたが、今しばらくのお時間を・・・』
『そんな時間は無い!地球征服の目的の為にBF団が作り上げた無敵のジャイアントロボが、敵の手に渡っていては我々の計画が実行できん!ジャイアントロボの行方が分からぬのなら、逆におびき出すのだ!』
『し、しかしどうやって・・・』
『バカモノ!そのために大魔球グローバーを差し向けてある!グローバーが暴れ出せば、ジャイアントロボは必ず姿を現す。その時にジャイアントロボもその少年も、BF団が捕えるのだ!』
『必ずBF団日本支局の名誉のために、ジャイアントロボを取り返してみせます!』

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箱根山頂に落ちた隕石は防衛隊が周囲を警戒していたが、突然その隕石にひび割れが入り、大爆発を起こして中から巨大な鉄球が姿を現したのだ。鉄球はただの鉄球ではなく、栗のイガのようなトゲトゲが四方に向けて数本飛び出していた。まるで意思があるかの様にトゲトゲを動かしながら、鉄球は防衛隊や科学者一行に迫ってきたため、山頂から全員が緊急避難を開始した。やがて鉄球はイガイガを体内に格納すると、麓の町を目指してゴロゴロと転がり出したのだ。

その頃、すべてのテストを終えたジャイアントロボは、無敵の力を秘めていることが判明する。ユニコーン機関のアズマ日本支部長は、このジャイアントロボを操れるたったひとりの人間・草間大作少年に向かい、話をした。

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『世界の平和を守る我々ユニコーン機関のために、君の力を貸してくれんかね?BF団は世界征服を狙っている。その時、BF団から世界の平和を守るのに、あのジャイアントロボの無敵の力が必要になるのだよ』
『分かりました。ボクはBF団と戦います!』

こうして、草間大作少年はユニコーン機関に入隊することになった。しばらくして、隊員服に着替えた大作少年と南十郎(U3)は、アズマ支部長(U1)と他の隊員達の前に姿を現した。大事な指令がアズマ支部長から大作少年にあった。

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『草間大作君。今日から君はユニコーン機関の諜報部員、認識番号U7(ユー・セブン)だ。断っておくが、君の身分は絶対に秘密だ。たとえお父さんやお母さんにも、その身分を言ってはいけないのだ』
『はい。秘密は絶対に守ります』

その時、作戦室の自動扉が開いて、女性隊員が駆け込んできた。

『支部長、大変です!』
『どうした?西野君』
『昨晩箱根の山に落ちた大隕石の中から金属製の丸い物体が出現して、山頂から転がり出したそうです!』
(つづく)


★★★★★★★★★★★★
ウルトラ警備隊にウルトラホークがあり、科学特捜隊にはジェットビートルがあるが、ユニコーン機関は自前の戦闘機を持たないのが大きな特徴だ。その代りに、各隊員がジェット推進装置を背負うことにより飛行能力を得て自由に移動できるというのは、数ある特撮作品の中でもとても稀有な存在であります。
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