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ジャイアントロボ(3) [ジャイアントロボ・ドラマ]

今回は《第2話 大魔球グローバー・前編》を取りあげます。

原作;横山光輝(光プロ)
企画;平山 亨・坪井久智
脚本;伊上 勝
音楽;山下毅雄
特技;矢島信男
技斗;久地 明
監督;山田 稔

【前回までの話は・・・悪質宇宙人ギロチン帝王は、地球侵略のために配下のBF団に密かに造らせていたジャイアントロボを、草間大作少年とユニコーン機関の南十郎に奪われてしまった。引き連れてきた怪獣ダコラーを使ってロボ奪回を謀るが、ダコラーは簡単に倒され、ロボの強さを示すことになってしまう。飛び去って行くジャイアントロボの姿を苦々しい思いで見つめるBF団のスパイダーに、ギロチン帝王は次なる命令を下した】


(ナレーション;大宇宙を乱れ飛ぶ宇宙塵【うちゅうじん】は、地球の引力に引き寄せられて時々地上に落ちてくる。それは隕石と呼ばれている。そしてある夜、箱根の山頂に・・・)

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突然、ドーンという大きな音と地響きが箱根の町を襲った。すでに寝静まっていた箱根の町が、一斉に飛び起きた。多くの旅館の窓や扉が開いて、寝間着姿のままの観光客や従業員らが路上に集まってきた。人々の目には、赤く光る何かが暗い山頂付近で煙を上げているように見えた。人々は口ぐちに、「何だろうね?」「噴火でもするのかね?」などと話し合っていた。

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(ナレーション;付近が明るくなると、次第に状況が解かり始めてきた。その隕石は、今までに見たことも無い巨大な隕石だった。どんなはずみで箱根山頂から転がり出すかもしれない。防衛隊が警戒のために直ちに出動した。同時に、隕石を調査する科学者の一行も箱根山頂に向かった。調査の結果、その隕石から放射能は検出されなかったが、今まで地球上で発見されたどの隕石ともだいぶ違っていることが判明した。ちょうどその頃、謎の無人島から飛んで来たジャイアントロボは、東京郊外にあるユニコーン機関日本支部の実験研究所の中にいた)

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ユニコーン機関日本支部内にある実験研究所は高さが50メートルはあろうと思われる巨大な建物で、その中でこれから様々なテストを受けるためにジャイアントロボはここに格納されていた。その一角に設けられたブース内には、アズマ支部長と南十郎、草間大作少年、それに実験研究所の所長と所員1名が硬質ガラスでできた窓からジャイアントロボの姿を見上げていた。

『それでは始めてください』
『はっ。只今からジャイアントロボの耐熱テストを開始する』

所長に促されたアズマ支部長が、マイクに向かい号令をかける。左右1台ずつの高熱発射装置がジャイアントロボの両胸付近に近づいてくるのを見て、ブース内の人々はゴーグルをかけて閃光に備えた。アズマ支部長と所長は互いに顏を見合わせると、アズマ支部長はマイクに向かって叫んだ。

『耐熱テスト、始め!』

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バリバリバリという音と共に閃光がブース内の人々を照らし、ジャイアントロボの身体が少しずつ赤みを帯びて行く。800度、1000度、1500度。メーターの針がどんどん上がっていき、レッドゾーンの2000度を超えた。このメーターは3000度までしか測定できない。メーターの針が遂に3000度を越え、計測不能なり計器は破裂した。だが、ジャイアントロボが溶ける様子はまったく無い。

『耐熱テスト、中止!』

所長もアズマ支部長も驚きの余り、中止を発するタイミングが遅れた。所長が思わず声をあげた。

『スゴイ!3000度の高熱にもあのロボットは平気だ!』
『こんな硬い金属は見たことがありませんな!』

同行していた研究員も驚きの声をあげると、アズマ支部長もこのロボットがユニコーン機関の強力な味方になるであろうことに感慨を覚え、こう言った。

『するとジャイアントロボは、地上のいかなる武器にも破壊されないというわけですね?恐るべきロボットだ!』
『支部長!私が言った通りでしょう!なんたってあのジャイアントロボは凄いんですからね!』

腕を組みながら自慢げに話す南十郎に、支部長の怒りの一声が飛ぶ。

『バカモン!貴様がえばったって始まらん!』
『よし!次は飛行テストをやろう。大作君。一つ、ジャイアントロボに命令してくれんかね?』

所長のとなりにいたアズマ支部長は、数歩歩いて大作少年の後ろに回ると、その両肩を優しくポンと叩いてそう言った。このロボを地球上で動かせるのは、この大作少年一人しかいない。

『ハイ。飛べ!ロボ、全速力で飛ぶんだ』

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腕時計型操縦システム(以降は腕時計と名称する)から送られた大作少年の声に反応したロボは、両腕を高く上げて背中にある2本のロケット推進装置を点火させた。ロボの飛行に合わせて実験研究所の屋上が左右に開くと、轟音と煙を残してジャイアントロボは上昇して行った。ブース内の人々が、垂直上昇していくロボの姿を見上げている。ロボを追跡するレーダーはロボを点滅する光の動きとして捉え、それは研究所からどんどん遠ざかって行った。ロボの飛行速度を計算した所長が、アズマ支部長に言った。

『ジャイアントロボのスピードはマッハ17です』
『大作君。マッハ17ってね、音の速さの17倍なんだぞ!』
『そのくらい、知ってるよ』

大作少年に上から目線で話す南十郎に、大作少年は答えた。真剣な顏でこの実験に立ち合う誰もが、心の中では南十郎を笑っていたことは言うまでもない。

その頃、BF団のアジトではギロチン帝王の姿がモニターに映し出され、大幹部スパイダーにジャイアントロボの行方を詰問していた。右手を高く上げながら、スパイダーは現状報告をした。

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『ジャイアントロボはユニコーン機関日本支部の手に渡り、操縦する者が草間大作という少年であることまでは探り出しましたが、今しばらくのお時間を・・・』
『そんな時間は無い!地球征服の目的の為にBF団が作り上げた無敵のジャイアントロボが、敵の手に渡っていては我々の計画が実行できん!ジャイアントロボの行方が分からぬのなら、逆におびき出すのだ!』
『し、しかしどうやって・・・』
『バカモノ!そのために大魔球グローバーを差し向けてある!グローバーが暴れ出せば、ジャイアントロボは必ず姿を現す。その時にジャイアントロボもその少年も、BF団が捕えるのだ!』
『必ずBF団日本支局の名誉のために、ジャイアントロボを取り返してみせます!』

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箱根山頂に落ちた隕石は防衛隊が周囲を警戒していたが、突然その隕石にひび割れが入り、大爆発を起こして中から巨大な鉄球が姿を現したのだ。鉄球はただの鉄球ではなく、栗のイガのようなトゲトゲが四方に向けて数本飛び出していた。まるで意思があるかの様にトゲトゲを動かしながら、鉄球は防衛隊や科学者一行に迫ってきたため、山頂から全員が緊急避難を開始した。やがて鉄球はイガイガを体内に格納すると、麓の町を目指してゴロゴロと転がり出したのだ。

その頃、すべてのテストを終えたジャイアントロボは、無敵の力を秘めていることが判明する。ユニコーン機関のアズマ日本支部長は、このジャイアントロボを操れるたったひとりの人間・草間大作少年に向かい、話をした。

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『世界の平和を守る我々ユニコーン機関のために、君の力を貸してくれんかね?BF団は世界征服を狙っている。その時、BF団から世界の平和を守るのに、あのジャイアントロボの無敵の力が必要になるのだよ』
『分かりました。ボクはBF団と戦います!』

こうして、草間大作少年はユニコーン機関に入隊することになった。しばらくして、隊員服に着替えた大作少年と南十郎(U3)は、アズマ支部長(U1)と他の隊員達の前に姿を現した。大事な指令がアズマ支部長から大作少年にあった。

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『草間大作君。今日から君はユニコーン機関の諜報部員、認識番号U7(ユー・セブン)だ。断っておくが、君の身分は絶対に秘密だ。たとえお父さんやお母さんにも、その身分を言ってはいけないのだ』
『はい。秘密は絶対に守ります』

その時、作戦室の自動扉が開いて、女性隊員が駆け込んできた。

『支部長、大変です!』
『どうした?西野君』
『昨晩箱根の山に落ちた大隕石の中から金属製の丸い物体が出現して、山頂から転がり出したそうです!』
(つづく)


★★★★★★★★★★★★
ウルトラ警備隊にウルトラホークがあり、科学特捜隊にはジェットビートルがあるが、ユニコーン機関は自前の戦闘機を持たないのが大きな特徴だ。その代りに、各隊員がジェット推進装置を背負うことにより飛行能力を得て自由に移動できるというのは、数ある特撮作品の中でもとても稀有な存在であります。


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