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快傑ライオン丸(47) [ライオン丸・ドラマ5]

今回は、第51話《最後の八人衆 怪人アブター・後編》を取りあげます。

【前回までの話は・・・ゴースン八人衆最後の怪人アブターは、強敵であった。錠之介も獅子丸もアブターのフィンガーミサイルの前に敗れ、錠之介の傷は命に関わる程に深かった。沙織と小助によって手当てを受けた錠之介の傷は危険な状態を脱したが、その三人を助けるために戦った獅子丸も酷い手傷を負って、三人のいる洞窟へ戻ってきた・・・】

◆土遁の術でアブターの攻撃から逃れたライオン丸は、大きな怪我をして洞穴に戻ってきた。(錠之介、死ぬんじゃないぞ)錠之介の顔をみながら、心の中でそうつぶやく獅子丸の願いが届いたのか、錠之介は奇跡的に意識を回復した。目を開けた錠之介は、すぐにアブターとの戦いに負けたことを思いだしたのか、顔をゆがめて悔しそうな表情で声を殺しながら叫んだ。

『くそぉ・・・』
『錠之介、俺もあの怪人にやられたよ』

沙織に手当てをしてもらった右手の怪我を見せながら、獅子丸は錠之介にそう言って笑いかけた。錠之介のはやる(焦る)気持ちを抑えるために、獅子丸は道化てみせたのだ。今は何も考えずに傷を治すことが、錠之介にとって大事であった。

翌早朝、アブターはドクロ忍者たちに告げた。

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『よいか!獅子丸、錠之介ともに手傷を負っている。ことに錠之介は、身動きできまい!やつらは、絶対この辺りに潜んでいる。草の根分けても、探せ!』

同じ頃。動けぬ錠之介のために、獅子丸たち三人は木を伐り裂いて組み立て、人を運ぶための道具(担架)を作っていた。すると、ドクロ忍者たちがこちらに向かって走ってくる様を見かけるのだった。それを見た獅子丸は、包囲網を敷かれたことに気づく。

いずれ、あの洞窟も見つかってしまうだろう。三人は走って行くドクロ忍者たちの後を追って、すべて斬り捨ててしまう手筈だった。だが、崖下に転がったひとりが発煙筒を打ち上げてしまう。これでもう、洞窟が見つかるのは時間の問題だ。

洞窟へ戻った獅子丸たちは、まだ歩けない錠之介を獅子丸が抱えて、洞窟を出た。小助にヒカリ丸を呼ばせると、作っておいた担架をヒカリ丸の後ろに付けてから、錠之介をそれの上に寝かせた。

『さぁ、一刻も早く、この場から去るんだ。俺はヤツラを撒いて、あとから駈けつける』
『獅子丸兄ちゃんは?』

勘のいい小助は、一緒に行かない獅子丸の行動に疑問を持った。前回獅子丸は、怪人に手傷を負わされて戻ってきたのである。すると、獅子丸は答えた。

『今度は、必ず勝つ!ヤツの弱点をつかんだんだ』
『何だよ、そのヤツの弱点っていうのは!』

小助の問いに、獅子丸は答えに詰まってしまう。弱点をつかんだと言うのは、ウソであった。担架に横になっている錠之介も、黙ったまま下を向く獅子丸の様子を見て、弱点をつかんだ話がウソであることを見抜いた。すると錠之介は、獅子丸に自分の体験談を語るのだった。

『参考になるかどうかは分からぬが。自分が片目だから分かったのだが、ヤツの踏み込みは鋭く深い。しかも、左右への動きが極端に違う。きっと奴も、どちらかの目が見えないんだ』

錠之介にやり方を説明され、小助は片目をつぶった状態で両腕を伸ばし、左右から人指し指の先端どうしを近づけていく。すると、先端どうしがうまく付かないことが判るのだ。

『片目だと、物の遠い近いがよくつかめないんだ。だから、前方にいる敵と戦う時には、踏み込みが深くなるか、浅すぎたりする』
『なるほど、そうかもしれぬ。参考になったぞ、錠之介!』

一匹狼の錠之介が、他人に戦法を教えたことなど、かつてあっただろうか。ゴースン魔人を倒すために、協力しあう獅子丸と錠之介。ふたりとも笑顔で互いを見つめ、ここにふたりの心と心は完全に通じたのであった。勝ち目の無い怪人との戦いに望むにあたり、錠之介が与えてくれたこの知恵は、獅子丸にとってあまりにも大きい。

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獅子丸が沙織と小助に出発するよう促すと、小助は納得していないようだった。小助の小さな両肩を獅子丸は両手でつかむようにして、説得するように告げた。

『大丈夫だ。錠之介の言ったとおりだ。むざむざ、負けたりするものか』

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ヒカリ丸が沙織に手綱を引かれてゆっくりと歩き始めると、担架と鞍をつないだ木部が振動しないよう、小助はしっかりとつかみながら歩いていく。三人の姿を見るのはこれが最後になるかもしれないと思いながら、獅子丸は見送った。動物の毛皮と木の葉を盛って揺れないように工夫を凝らした担架に乗せられた錠之介も、獅子丸の姿を見えなくなるまで目で追っていた。

土遁の術で、アブターとドクロ忍者たちの前に再び姿を現したライオン丸。それは、地面に落ちていた黒い布切れがだんだんと大きくなり、それがマントであることが判った時、マントの陰からライオン丸が姿を現した。

『ライオン丸、見参!』

ライオン丸はドクロ忍者たちをあっという間に斬り倒し、アブターとの一騎打ちになった。

『行くぞ!ライオン丸』

ライオン丸は錠之介の教えに従い、アブターに攻撃を仕掛けながら、左右どちらの目が見えないのかを探った。そして、右目が見えないという結論を導くと、さらに確信を得るためにアブターに向かって左へ左へと回り込みながら、太刀を振るった。

アブターがフィンガーミサイルを撃ち込んできても、左へと回りこんでいるために命中精度は落ち、ライオン丸は十分避けることが出来た。宙へ飛び上がったライオン丸は、釣られて飛びあがったアブターの左側にホバリングして回り込むと、ライオン飛行返しでとどめを刺した。

錠之介の傷も癒え、獅子丸、沙織、小助に錠之介が加わり、四人はゴースンを倒すべく、旅を続けるのであった。

(ナレーション;ゴースン八人衆最後の怪人アブターは、恐るべき強健(きょうけん;体が丈夫で強いこと)の持ち主であった。しかし、その強敵も、獅子丸と錠之介の友情の前にもろくも崩れ去った。固く結ばれた男の友情。獅子丸と錠之介には、もはや言葉はいらない)
(終わり)

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自身の体調不良で、更新が二日間遅れました。
皆さまも、健康管理にはご配慮くださいね。


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