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コンドールマン(13) [コンドールマン・ドラマ2]

今回は、第7話《怪!モンスター貴族 / 前編》を取りあげます。

企画;愛企画センター
原作;川内康範
脚本;伊東恒久
音楽;鈴木邦彦
擬斗;金田 治(JAC)
造形デザイン;成田マキホ 平田昭吾
特撮;㈱特撮研究所
監督;奥中惇夫

【前回までの話は・・・レッドバットンは義賊・紅コウモリを名乗り、食糧難にあえぐ日本人に缶詰を無償提供して信頼を得て、悪の仲間に誘い込む作戦を実行する。缶詰をもらった健一の父・健助を尾行したコンドールマンは、モンスターのアジトを発見し、そこでゴキブラーとの対戦に勝利する。だが、レッドバットンの圧倒的飛行能力の前に、空を飛べない弱点を突かれたコンドールマンは崖っ縁に追い込まれ、ピンチに立たされていた】

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◆自在に空を飛行するレッドバットンが放ったバットタイフーンによって、腕一本で崖に掴まっているコンドールマン。とどめを刺すべく急降下してくるレッドバットンを見たコンドールマンは、その手を放して崖から落下していくのだった。数十メートル落下して大地に着地したコンドールマンは、追って来るレッドバットンに反撃する。

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『開け、コンドールマウス!ショックパンチ!』

ベルトのバックル(コンドールマウス)が開いて、そこから強力な火炎弾攻撃をレッドバットンに浴びせた。レッドバットンは瞬時に空中へ飛んで逃げると、反転して急降下しながら再びコンドールマンを攻め立てた。

『なめたマネを!今度こそ地獄行きだよ!バットタイフーン!』

両手のツバサを強く振りながら再びバットタイフーンをコンドールマンに放つ。立っていられない程の凄まじい強風のために、コンドールマンの身体がゴロゴロと大地を転がって行く。

(このままでは身体がバラバラになってしまう。一か八かだ)
強風の中で両脚を踏ん張りながら立ち上がると、マントの縁をつかんだ両手を水平に身体の前に出すと、呪文を唱え始めた。

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『&%×$#&¥※☆、コンドールハリケーン!』

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そして、レッドバットンに向かって水平に出した両手を左右に広げると、ベルトのコンドールマウスが開いて中から突風が吹き出した。互いの力と力がぶつかり合い、竜巻が起こった。崖が削り取られて巨岩となり、竜巻がその巨岩を上空へ舞い上がらせていった。はたして、二人の戦いはどう決着がついたのか?

アジトから逃げ出したまこと達5人は、全員無事にそれぞれの家へ着いた。まことは母・陽子に連れられて野草を取る祖母・たみ子の元へ現れると、たみ子は無事を喜んだ。モンスター一族の買占めにより食料が手に入らなくなった人々は、野草を取って飢えをしのぐ程に食糧事情は深刻な状況になっていたのだ。

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墓参りをするひとりの若い女性がいた。その墓石には、三矢一心と書かれている。

『一心さん。あなたが亡くなって、もう半年になります。でも、わたくしには信じられないの。あなたがわたくしを、一人ぼっちにしていくなんて・・・』

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女性は、あの日のことを思い出していた。三矢一心の恋人・寺田さゆりはデートのあの日、夜の便でアメリカへ行くと告白した一心をどんなことをしてでも引き止めればよかったと後悔しつづけていた。一心は平和運動団体「世界の旗」のメンバーとしてアメリカへ渡り、かの地で銃弾に倒れた。

『みんなが自分の楽しみやお金儲けばかりに夢中になっているから、公害が生まれ、自然が破壊されていくんだ。美しいもの、平和、愛。それらを守るためなら、俺は命を賭けて戦う』

さゆりは墓前で両手を合わせながら、あの日の一心との会話や優しい横顔を思い出しては、引き止めなかった自分を悔やんでも悔やみきれないでいた。墓参りを終えたさゆりが水桶を持ってゆっくりと歩いていると、目に飛び込んできたのは左足を引きずりながら歩く三矢一心の姿であった。

驚きの余り、さゆりは持っていた水桶を手放して走り出していた。そして、一心の胸に飛び込む勢いで言った。

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『一心さん!・・・一心さん、生きていたのね!帰ってきたのね!』

数十センチ先にある一心の顏を見ながら、恋しい懐かしい気持ちが心に広がった。ところが目の前の一心は、怪訝そうな顔つきでさゆりを見ながらこう言った。

『・・・君は?』
『私よ!さゆりよ!・・・一心さん』

数秒前の弾むような気持ちがウソのように、さゆりの顏から笑顔が消えた。目の前の一心はさゆりの顏を見てもニコリともせず、抱きとめたさゆりの両腕を静かに放すと、真顔で言った。

『僕は違うんだ』

さゆりは、一心の目をじっと見つめた。すると、優しい一心には無かった何か鋭いモノを感じ取るさゆり。(この人は、一心さんじゃない!)
突然目の前の一心が、急に膝からガクリと倒れ込んでしまった。どうやら、かなりのダメージを受けている様子なのだ。

『怪我をしているわ。私に掴まって』

よく似ているけれども別人だと判断したさゆりは、目の前の男性に左肩を貸すと、ゆっくりと歩きながら寺をあとにした。そのあとしばらくして、ふたりの魔人コンバットを従えたルイザ高倉がその場所に現れた。深傷を負っているコンドールマンに対し、ルイザはほとんど無傷の様子だ。

『コンドールマンめ、どこへ逃げた!探せ、探せ!』

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ルイザはヒステリックになって探すが、一足違いでコンドールマンを見つけることは出来なかったのである。その頃コンドールマンは、寺田さゆりの部屋で意識を失ってベッドの上にいた。偶然にも恋人と瓜二つの顏を持つこの男を間近で見ながら、さゆりは献身的に看病をした。この男の寝顔を見ながら、さゆりは思った。(一心さん。わたくし一度でいいから、こうしてあなたのそばに付いていてあげたかった)

その時、さゆりはベッドの上の一心に似た男が何かうわごとを言っているのを聞いた。よく分からないが、それはこの一心に似た男にとっては不安の種であるように、さゆりには思えてならない。

翌日。ベッドの上で目覚めた一心は、部屋の中にいることに気づく。(そうか、あの女性が・・・)昨日、偶然出会った女性に助けてもらったことを、すぐに知るのだった。そして、一心はすぐに、レッドバットンとの苦しい戦いを思い起こしていた。空を飛べないことが弱点になっていることを痛感したコンドールマンではあるが、以前タバ老人から聞かされた自分の中にゴールデンコンドルの超能力が眠っていることを思い出した。しかし、その超能力を開花させるには修行が必要だと、タバ老人は言った。

『そのためには、いくつかの修行をしなければならぬ』

タバ老人が言っていたいくつかの修行とは、どんな修行なのか。だが、どんな修行にも耐えてみせる。そして、レッドバットンを叩き落としてみせると、一心は心に誓うのだった。
(つづく)


★★★★★★★★★★★★

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コンドールマン(14) [コンドールマン・ドラマ2]

今回は、第7話《怪!モンスター貴族/ 後編》を取りあげます。

【前回までの話は・・・レッドバットンの猛攻の前に、深傷を負ったコンドールマン。三矢一心の恋人・寺田さゆりは、一心の墓参の帰り道に深手を負ってさまよう一心を見かける。三矢一心と瓜二つのコンドールマンを見て、一心に再会できたことを喜ぶさゆりだったが、やがて別人であることが分かると、深傷を負ったこの青年を介抱するために自分のアパートへ連れて行くのだった】

◆翌朝。コンドールマンが目覚めると、そこはアパートの一室であった。そこが昨日偶然出会った女性の部屋であることが分かり、女性に感謝すると同時にレッドバットンとの再戦ではなんとしてでもゴールデンコンドルの超能力が必要だと強く思うのだった。

魔人コンバットを従えたレッドバットンは食糧輸送トラックを次々と襲い、運転手たちを殺害して義賊とは名ばかりの略奪行為を行っていた。略奪と殺害を行なうのは、コンドールマンを誘い出すための作戦なのだ。

(ナレーション;その頃、コンドールマンはゴールデンコンドルの化身を会得するため、ひとり山にこもって修行をしていた)

レッドバットンの新しいアジトに、英国紳士風の男が黒塗りの車に乗ってやって来た。車を降りた紳士は、空気の悪さに思わず言った。

『臭いな。イングランドの我が屋敷に比べれば、まるで犬小屋だな』

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正門の前で警備員の男に職務質問をされた紳士は、警備員を殴り倒してその生き血を吸ってしまった。警備員の姿をしていたのは魔人コンバットで、血を吸われた魔人コンバットはあっという間に紙の様にペラペラになってしまう。その様子を見ていたルイザ高倉は、怒りながら紳士に向かって拳銃を構えた。

『おのれ、よくも私の部下を!殺してやる!』
『お前も同じ下品なヤツらしいが、こうなりたいか?』

その時、ルイザに瓜二つの顏の女性が現れ、ムチをしならせてルイザの拳銃を取り上げた。怒りを抑えるようルイザに言うこの女性は、ルイザの双子の姉・レオナ高倉だ。レオナは、妹ルイザの様子を見て言った。

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(我こそはミスター・ダン阿久魔!)

『ルイザ、かなり焦っているようね』
『それより、このヘンなのは誰?』
『ん?ヘンなのとは、何たる侮辱。我こそヨーロッパはドラキュラ伯爵の又従兄弟、その名もミスター・ダン阿久魔!』

ダン阿久魔が自分は高貴な出だということを鼻にかけるので、気が強いルイザは反発する。ダン阿久魔はルイザに力を貸すため来日したのだが、ルイザの生意気な態度に決斗を申し込むと言い出した。

『お止し!ふたりとも。協力してコンドールマンを倒し、日本人を飢死させるのです!』

レオナの声が全く聞こえないふたりは、協力する様子などみじんも見せようとはしない。とうとう腹に据えかねたレオナは、二人に向かって大声で言った。

『これは、キングモンスター様のご命令です!』

キングモンスターの秘書をするレオナ高倉の言葉は、そのままキングモンスターの命令と同じだ。手を組みたくない相手だと思いながら、ふたりは渋々右手を挙げて誓いを立てた。

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(中央がルイザ、右がレオナ)

『ハールマゲドン』
『ハールマゲドン』
*ハールマゲドンとは、モンスター一族が帝王キングモンスターへ誓いを立てる時の言葉である

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寺田さゆりが外出先から戻ってみると、部屋に一心はいなかった。部屋に何の飾り付けもせず質素な生活をしているさゆりは、お膳の上にいつも花を一輪だけ空き瓶に差して置いている。その一輪の黄色い花の横に、「ありがとう」とひと言だけ書かれた手紙が置いてあった。それを見たさゆりは、一心が何かうわごとを言っていたことを思い出し、恋人の無事を祈るように心の中でつぶやくのだった。(あなたは、何か大きな敵と戦っていることが分かりました。わたくしには何の力も無いけど、ご無事を祈らせてください)

《紅コウモリ団 食糧輸送トラックを襲う》と新聞の見出しに大きく書かれ、紅コウモリが社会の敵であることは国民の誰もが知るところとなった。食糧難にあえぐ病人や子供たちのために、三矢源太郎は地元の農家からようやく買い付けたジャガイモを、これからトラックで運ぶ計画を立てていた。毎日のように食糧輸送トラックが襲われているのにコンドールマンが現れない事に、石松は怒りと不安を思わず口にした。

『こんな時、コンドールマンは何しているんだよ!』
『おい石松。コンドールマンの悪口を言っちゃいけねぇな。人の為に命を張ってなさるんだ。俺たちも自分に出来ることで、コンドールマンさんを応援しなくちゃ、な!』

源太郎は、まず自分達で出来る事をするんだと石松を穏やかに叱りつけた。たみ子が残り少ない食材で作った朝食のスープを飲み干すと、源太郎はジャガイモを積んだトラックをひとりで運転して行くつもりなのだ。ジャガイモは何台かのトラックに分けて別の荷物に見せかけて運べば大丈夫だと、源太郎は思っている。

今朝早く、0号線を走る食糧輸送トラックが紅コウモリ団に襲われて死者が出た。このニュースは、源太郎の耳にはもちろん入っていない。病人や子供たちの待つ場所へはこの0号線を使って行くのが近道だと源太郎は考え、0号線を走ることに決めていた。

魔人コンバットたちがトラックを襲う現場には、レッドバットンと共にダン阿久魔も一緒にいる。しかし、ダン自身は襲撃に手を貸そうとはせず、高い場所から椅子に座って襲撃する様子を見物しているのだった。それを見たレッドバットンがダンに襲撃を手伝うよう命令すると、ダンは応えて言った。

『予の様な貴族に、下品な泥棒のようなマネができるとお思いか?コンドールマンを倒すのが予の使命、それ以外は興味は無いの!』

シルクハットに燕尾服姿のダンがそう言うと、キングモンスターの命令とはいえ、一緒に戦う仲間としてゴキブラー以上にイヤなヤツだと、レッドバットンの顏は怒りに震えていた。

一方、山にこもって修行中の一心は、修行が思うように進まないことに焦りを感じていた。自分の留守中にモンスター一味が悪事を働き、まことや石松、それに正しいことを信じている仲間たちが苦しんでいるかもしれないと思うと気が気でなかった。だが、今ここで山を下りることはできないと一心は思う。そこで一心は転身術を使い、鳥に自分に代わってまこと達の様子を見に行かせることにした。

三矢家の樹に止まった小鳥がジッと見つめている先には、石松が電話口で険しい顔をして懸命に何かを話している。

『オヤジさん!0号線は紅コウモリ団が出るんだ!遠回りしなくちゃ!』

だが、病人や子供たちに少しでも早く食糧を届けるため、そして何よりもモンスターなんかに殺られるものかと意気込む一本気の三矢源太郎の気持ちが、近道の0号線を選ばせるのだ。案の定、源太郎のトラックはレッドバットンの襲撃を受けてしまう。

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トラックのフロントガラスの上からレッドバットンの逆さの顏が運転席を覗き込み、ニヤリと笑う。驚いた源太郎が急ブレーキをかけると、停車したトラックを魔人コンバットたちが取り囲んだ。車内から引っ張り出された源太郎は、殴る蹴るの暴行を受けて意識を失ってしまう。

『今回も、どうやら無駄骨だったらしいな』

ダン阿久魔は、コンドールマンが現れないことを揶揄しバカにするようにレッドバットンに言葉をかけた。その時、源太郎を助けるために配達車に乗って現れたのは、アメリカンフットボールの防具を付けた石松だった。ふたりのモンスターに果敢に立ち向かった石松だが、ダン阿久魔に簡単にノックアウトされてしまう。

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『さて、エネルギーを消耗した後は栄養をとらなくちゃな』

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ダンは石松の生き血を吸おうと、モンスター・ダブルバットに変身した。
(終わり)


★★★★★★★★★★★★
ダブルバットは、モンスター貴族を自称する怪人なのだ。演じるのは、特撮界の名優・潮健児氏。シルクハットに燕尾服姿は、悪魔くんに登場する「メフィスト」を彷彿とさせる。

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