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快傑ライオン丸(36) [ライオン丸・ドラマ4]

今回は、第41話《大魔王ゴースン あの胸を狙え!・前編》を取りあげます。

原作;うしおそうじ
脚本;田村多津夫
企画;うしおそうじ 別所孝治
音楽;小林亜星
殺陣;渡辺高光
監督;石黒光一

【前回までの話は・・・鷹取城でゴースンの兄・桃雲斎と対面した獅子丸だったが、桃雲斎の口から巨大身変化の秘密を聞くことは出来なかった。桃雲斎は、弟の不始末は兄の自分がつけると、他人には手を出させないつもりなのだ。一方、獅子丸は、ハリザンザとの戦いで怪人の毒針を受け、毒消しができるのは桃雲斎だけであることを錠之介から聞く。鷹取城へ自分を運ぶように錠之介に頼んだ獅子丸は、桃雲斎に調合してもらった薬で一命をとりとめる。天守閣を破壊するゴースンに、桃雲斎はどのように挑むつもりなのか・・・】

(悪の大魔王と化して、兄の桃雲斎に迫るゴースン。罪なき人々を殺戮するゴースンに激しい敵意を燃やしながらも、たった一人の血を分けた弟ゆえに、なす術もなく天守閣に立ち尽くす桃雲斎。だが今、愛は一層の憎しみとなって、兄弟の対決は迫っていた)

『桃雲斎よ!ゴースンの秘密を知る者は、兄といえども生かしてはおかぬ。覚悟せい!』

鷹取城に迫りくるのは、巨大ゴースンばかりでは無かった。配下のドクロ忍者たちも石垣をよじ登り、鷹取城に潜入しようとしていた。まだ体力が回復しきれない獅子丸は、沙織と小助に肩を貸してもらいながら天守閣を脱出し、本丸から脱出しようとしていた。

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だが、天守閣を襲うゴースンの姿を見て、獅子丸は心の中で思った。(桃雲斎殿が危ない。このままでは、ゴースンの秘密が永久に分からなくなる)

獅子丸たちは、ふたたび天守閣に向かって歩みを進めた。すると、ドクロ忍者たちと遭遇して、斬り合いになった。

ゴースンは、天守閣を破壊せずに周りの城壁や中庭を破壊し、天守閣の中をのぞき込むとこう言った。

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『桃雲斎、これが最後だぞ。どうだ、昔のように兄弟仲良く手を組む気はないか?』
『極悪非道なゴースン。たとえ弟といえども、もう容赦はせぬ!』

覚悟を決めた桃雲斎は、決着をつけるつもりでゴースンにそう言った。だがその時、城外へ脱出したはずの城主景春の声を、桃雲斎は聞いた。大勢のドクロ忍者たちに囲まれ、側近く仕える鷹取七人衆は、すべて倒されてしまった。わずかな供回りだけを残して、逃げ場を失った春景が、桃雲斎に助けを求める声であった。

ジャラモンで修行した桃雲斎には、すべてが見ている様に分かった。そして、春景を死なせるわけにはいかないと、桃雲斎は思った。ここはゴースンの呼びかけに応じるより、ほかに無いと判断した。

『待ってくれ、ゴースン。お前の話を聞く!だから、戦を収めてくれ!』
『桃雲斎、少し遅すぎたようだな。だが、良かろう。兄弟の好(よしみ)だ、お前の話を聞いてやろう。そこで待って』

ゴースンは、大きく腕を回して胸の前で組むと、突然姿を消した。次の瞬間、人間大のゴースンの姿が、天守閣の桃雲斎の前にあった。

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『兄じゃ、しばらくだな。俺の手下は、日本中で暴れ回っている。この戦乱の世に、あらゆる所で戦を起こし、それに乗じてすべてを我が物にするのだ。兄じゃの腕は、俺以外では十分に通用するはず。どうだ、俺を助ける気はないか?』

ゴースンは、兄を悪の道へ引き込もうとしていた。それは、兄の存在が怖かったからだ。日本侵略が着々と進むにつれて、自分のことを知りすぎる兄の存在が不安になってきた。仲間に引き込もうと何度も使いをゴースンは出したが、桃雲斎はいつも否と答えていた。

『俺を付け狙うライオン丸が兄じゃのことを嗅ぎつけたとき、俺はたとえ兄じゃでも殺そうと思った・・・だが、兄じゃが俺のことを考え直してくれれば、俺に頼もしい仲間がひとり増えるということだ。何とか言え、桃雲!』

『相変わらずだな、豪山(ごうざん)。豪山、お前にはこの下の光景が、見えるであろう。お前の妖術で両眼を潰されても、ワシの心の目にはその状態がありありと写っておる!』

破壊された鷹取城のガレキの下敷きになった数多くの城兵の姿を心の目で見た桃雲斎は、もう殺戮は止めろと豪山に諭した。だが、豪山には、力による支配だけがすべてであった。

『俺が、この日本を支配する!そのために邪魔なものは、すべて片づける!それが、このゴースンの流儀だ』

桃雲斎は、城と交換に殺戮を止めるように、再度諭した。だが、豪山の答えは否であった。部下の怪人達は、皆殺しにするまで殺戮を止めない、と豪山は言った。そして、俺がそれを止めるわけにはいかぬ、とも言った。

『豪山、貴様それでも人間か!』
『俺は、すでに人間では無い』
『人間では無い?』
『そうだ。俺は大魔王ゴースン!』

その頃、城主春景は、小姓と共にドクロ忍者たちに取り囲まれて、危機一髪の状態にあった。それを救ったのは、獅子丸たち三人であった。果敢にドクロ忍者たちの中へ斬り込んでいく獅子丸、沙織、小助。だが、たくさんのドクロ忍者たちの後ろには、怪人ガライタチがいた。

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大きな袋を背負い、スプレー銃を持つ怪人ガライタチ。その銃からは、紫色の神経ガスが発射されるのだ。獅子丸はガライタチに立ち向かって行くが、紫色のガスを吸いこんで城壁から転落してしまった。

捕えられた沙織と小助は、ガライタチの新しい武器ボウガンの試し撃ちの標的にされようとしていた。ふたりは、ひとりずつ大木にくくりつけられ、そのうちの威勢のいい小助が、先に的に選ばれた。

『さぁ、小僧。逃げられるものなら、逃げてもいいぞ』

口の減らない小助に、身体ギリギリにボウガンを撃ち込むガライタチ。今度はど真ん中を狙うと言って放った矢が小助に当たる瞬間、タイガージョーが現れて、その矢を斬り落とした。

『タイガージョー、何をするのだ!』
『城主の春景が逃げたそうだが、探さなくていいのか?』

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ふたりの始末をしてから探すつもりだったと話すガライタチに、ふたりの始末は自分がするから「春景を探しに行け」と、怪人とドクロ忍者たちにこの場から去るようタイガージョーは命令した。

一方、城主春景の無事を知らせるため、小姓が天守閣の桃雲斎の元に現れた。獅子丸たちに助けられ、小姓と共に怪人たちの包囲網を脱出した春景は、城外へ無事に逃げたことを知らせるため、桃雲斎の元へ小姓を走らせた。急いで話をして春景のもとへ戻ろうとする小姓は、話の途中で豪山の存在に気付いた。ビックリした小姓に豪山は謎の光を浴びせて、無残に命を奪ってしまった。

『兄じゃ、いや桃雲斎。もはやお前に、我ら悪の仲間に入る資格無し。されば、鷹取城もろとも貴様も叩きつぶす!』
『豪山!これ以上の極悪非道は、ゆるさぬぞ!』

だが、豪山は軽蔑の笑い声を発して、桃雲斎の前から姿を消した。そして、鷹取城の近くにふたたび巨大ゴースンとなって出現すると、ゴースンサンダーの落雷で城に打撃を与えるのだった。暴れ放題に暴れ回る巨大ゴースンは、口から火炎を放射して、城に火を点けた。

『大魔王ゴースンの力を見よ!』
(つづく)


★★★★★★★★★★★★
節目節目の物語では、田村多津夫氏が脚本を書き、石黒光一氏が監督をしているように思う。

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快傑ライオン丸(37) [ライオン丸・ドラマ4]

今回は、第41話《大魔王ゴースン あの胸を狙え!・・後編》を取りあげます。

【前回までの話は・・・天守閣に立てこもる桃雲斎に、味方にならないかと誘いをかけるゴースン。桃雲斎には悪に味方する気など毛頭ないが、城主春景の命が危ないことを知り、二人は久しぶりの対面を果たす。だが、改めて兄とは相容れないことを知った豪山は、ふたたび巨大化して、兄もろとも鷹取城を破壊しようとする。一方、獅子丸は、怪人ガライタチとの対決で、城壁から落下して行方知れず。捕らえられた沙織と小助は、怪人のボウガンで処刑されようとしていた。そこへタイガージョーが現れ、二人を助けるのだった・・・】

◆怪人ガライタチとの戦いで城壁から転落したまま行方不明だった獅子丸は、城の石垣をよじ登って天守閣の見える場所へたどり着いていた。そこから見える城は、炎上していた。燃える天守閣を鉄拳で何度も突き崩し、破壊をくりかえす巨大ゴースン。それを見た獅子丸は、桃雲斎の様子が心配になった。

だが、まずは沙織と小助を探すことである。ふたりの名前を呼んで探していると、向こうからふたりが走って来るのが見えた。獅子丸の問いかけに、小助が答えた。

『ふたりとも、無事だったか!』
『タイガージョーが、助けてくれた!』
『何?タイガージョーが!それで、奴は?』
『桃雲斎さんを探しに行くって、言っていたわ』

沙織が答えた。タイガージョーもゴースンの秘密を探ろうとしているのだと、獅子丸は直感した。沙織と小助、獅子丸の二手に分かれ、手分けして桃雲斎の行方を探すことにした。
ところが、分かれて探そうとする三人は、ドクロ忍者たちに囲まれてしまう。

『貴様たち、まだ生きておったか!』

怪人ガライタチが、ドクロ忍者たちのあとから姿を現した。ガライタチは、紫色の神経ガスをスプレーガンから発射した。獅子丸は腕で口を覆いながら、怪人の前から姿を消した。そして次の瞬間にはガライタチの真うしろに、地面の中から現れた。

スプレーガンとの距離を最短にして、毒ガス発射を阻止したのだ。ガライタチが振り向いて攻撃するまでの数秒間に、獅子丸は変身の呪文を唱えた。金砂地の太刀と鞘(さや)をつなぐ輪が外れて、忍法獅子変化ができる瞬間が来た。

『ライオン丸、見参!』

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ガライタチは太刀を抜き、ライオン丸と剣で勝負した。だが、分が悪いとみて、スプレーガンから毒ガスを発射した。すると、ライオン丸は自分の体を高速回転させ、毒ガスを吹き飛ばし、同時にガライタチの身体をも吹き飛ばした。宙に浮いたガライタチは、バランスを崩しながらもスプレーガンを捨ててボウガンを取り出し、ライオン丸目がけて撃ち込んできた。

だが、空中では、ライオン丸の方が有利である。飛んで来るボウガンの矢を斬り、続いて「ライオン飛行斬り」がガライタチにとどめを刺した。

豪山に殺された小姓の話から、城主春景が城外にある山寺に潜んでいることを、桃雲斎は知っている。ゴースンに破壊された天守閣から脱出した桃雲斎は、山寺へ来ていた。桃雲斎にいつも寄り添っているコウモリが、チイチイと激しく鳴いている。

『桃雲斎、どうかしたのか?』
『この山寺の麓へ、近づいた者がおります。しかし、ご心配なく。この桃雲斎が付いております』

桃雲斎は春景を安心させると、コブロと呼ばれるこのコウモリに、様子を見てくるように命令した。

ガライタチを倒したライオン丸は、そのコウモリ・コブロが飛んでいることに気がついた。変身を解いた獅子丸は、沙織、小助と共にそのコウモリを追跡した。一方、もう一人、そのコウモリを追っている者がいた。タイガージョーである。

コブロが桃雲斎の元へ戻って来て、チイチイと鳴いている。桃雲斎の顔が曇ったのを見た春景は、何か不審なことがあるのかと桃雲斎に訊ねた。だが桃雲斎は、自分にすべて任せてほしいと、春景を落ち着かせることを考えた。

春景は、ゴースンが自分の城を襲う理由が解からず、桃雲斎に不安を訴えてきた。それを聞いた桃雲斎は、ゴースンが自分の弟であるがゆえに、恩情が邪魔をして何も手を打てない自分を責め、そのことが春景を苦しめていることを申し訳なく思った。

桃雲斎がコウモリのコブロから得た情報は、獅子丸と、別方向からはタイガージョーが、この山寺へ近づいているということだった。獅子丸は山寺の入口に沙織と小助を残すと、ひとりで山寺へ入って行った。一方のタイガージョーも、山寺の裏口から侵入した。ひと足先に獅子丸が、本堂の前で桃雲斎に会っていた。

『獅子丸、とか言ったな。あきらめるがいい。お前にゴースンは倒せぬ。お前は、ゴースンの本当の恐ろしさを知らぬ』

いきなり本堂裏からタイガージョーが近づいてきて、桃雲斎の首に銀砂地の太刀を当ててこう言った。

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『桃雲斎。お前の持つ秘密は、この俺がいただく!』

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すると、桃雲斎の右肩にいつも止まっているコウモリが、タイガージョーを攻撃した。不意を突かれたタイガージョーは桃雲斎から離れると、コウモリを相手にすることになった。そのとき、山寺近くの森に、閃光と落雷があった。とうとうゴースンが、春景と桃雲斎の居所を突き止めたのだ。

落雷で森に火が点き、その付近から巨大なゴースンが姿を現した。そして、その気配を感じ取った桃雲斎は、今まで避けてきた弟との対決を遂に決心するのだった。

『ゴースン。やはりお前は、ワシが倒さねばならないのか。行け、コブロよ!』

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桃雲斎はコウモリを巨大化させると、ゴースンに立ち向かわせた。地上では、両の手の人差し指どうしを合わせて手を組んだ桃雲斎が、呪文を唱えている。それは、巨大コウモリを操っているように思えた。

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象牙を両足でつかんで飛び立ったコウモリは、ゴースンの胸目がけて一直線に突っ込んでいく。だが、ゴースンも拳を振り上げて、コウモリを叩き落とそうとする。あと一息というところで、ゴースンの右の拳がコウモリを直撃し、コウモリは地面に激突して死んだ。

コウモリが受けた衝撃は、そのまま桃雲斎にも伝わる。なぜなら、コウモリは桃雲斎の分身だからである。ゴースンと桃雲斎の戦いの一部始終を見ていた獅子丸は、ガックリと崩れ落ちる桃雲斎を抱き起した。

『桃雲斎殿!』
『ゴースンの、弱点は・・・巨大化した時の・・・胸の紋様。それを、それを・・・』

そう言いかけて、桃雲斎はつぶれた両の眼をパッと見開いたまま死んだ。(そうか、胸の紋様を突けばいいのか!)心の中で、獅子丸は叫んだ。

一方、林の中へ墜落したコウモリをいち早く発見したタイガージョーは、先端が尖ったツノのような物を両足で抱えたまま死んでいるコウモリを見つけた。ゴースンに体当たりするために巨大化したコウモリは、元の大きさに戻って死んでいた。

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『このコウモリは、何かを持っている。(コウモリからそれを抜き取って)これは象牙だ。そうか、これならば突き刺さるんだ!』

象牙ならばゴースンを突きさすことができるということに、タイガージョーは気付いた。

桃雲斎は死んだが、獅子丸はゴースンを倒す方法をついに知った。ライオン丸に変身して、胸の紋様を突こうと獅子丸は決めた。

『大魔王ゴースン。勝負だ!』

ライオン丸はゴースンの周囲を旋回しながら、ライオン飛行斬りで胸の紋様を突こうとする。何度も宙返りして激しく動き回り、捕まらないようにしていたが、一瞬両手でつかまれ、すり抜けたものの、そのあとゴースンサンダーを浴びてしまった。

『うわぁー!』

ライオン丸は、またしてもゴースンに敗れた。その戦いぶりを林の中で見ていたタイガージョーは、ぽつりと言った。

『バカなライオン丸・・・剣では所詮、太刀打ちできないのだ!』

沙織と小助に助けられた獅子丸は、左手に怪我を負っていた。桃雲斎に教えられたゴースンの弱点を攻めきれず、無念の獅子丸はつぶやくようにふたりに言った。

『またも敗れた・・・ゴースンの弱点は、悪の紋様にあるんだ。そこを、どうやって攻めるかだ』

(ナレーション;大魔王ゴースンの弱点は、胸に輝く悪の紋様を象牙で突くことだった。獅子丸と錠之介は、一つずつこの弱点を知った。この二つの弱点を同時に突いてこそ、はじめてゴースンは倒せるのだ)
(終わり)


★★★★★★★★★★★★
タイガージョーとハカイダー、悪の二大ライバル。どちらの姿もテーマ曲も、秀逸でカッコイイ!
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快傑ライオン丸(38) [ライオン丸・ドラマ4]

今回は、第43話《裏切りの峠 怪人ギララ・前編》を取りあげます。

原作;うしおそうじ
脚本;田村多津夫
企画;うしおそうじ 別所孝治
音楽;小林亜星
殺陣;渡辺高光
監督;中西源四郎

【前回までの話は・・・巨大身変化の時に胸の紋様を突けば、ゴースンを倒すことができる。兄の桃雲斎からその弱点を聞いた獅子丸は、ライオン丸に変身して巨大ゴースンに立ち向かった。だが、ライオン丸はふたたびゴースンに敗北し、その時の傷が原因で左腕が動かなくなってしまう。変身出来ず失意の底に沈む獅子丸に新手キルゴッドが挑戦し、獅子丸は挑戦を受ける。それを知った錠之介は、獅子丸に当て身を食らわせると、キルゴッドとの対戦場へ向かうのだった。治そうと懸命に努力する気持ちが通じ、ふたたび変身できるようになった獅子丸は、タイガージョーと連携してキルゴッドを倒した・・・】

(ナレーション;遠見峠は、裏日本と表日本とを結ぶ要害の地である。日本を支配するため、ゴースンはその使命を怪人ギララに託した)

遠見峠へ向かう獅子丸たち三人に、声を掛ける者がいた。その者は遠見峠の麓の村の者で、峠に出る凶暴な山賊をやっつけて欲しいと獅子丸たちに懇願するのだった。自分達の力ではどうにもならないので、強い侍を探しているという。獅子丸は、答えた。

『お断りします。私達には、他にしなければならないことがありますので・・・』

今まで弱い者の味方をしてきた獅子丸の返事として、「えっ!」意外に思う沙織と小助であった。獅子丸はそう言って一礼すると、先に歩いていく。その村の者は沙織に駆け寄り、哀願した。

『あなたからも、頼んでもらえませんか!あのドクロの面を付けた山賊を・・・』

獅子丸の足が停まった。ドクロの面と言えば、それはまず間違いなくゴースン一味だと思われるからだ。獅子丸は、自分が遠見峠に行き、沙織と小助には村の守りにあたらせることにした。

一方、虎錠之介も遠見峠を目指して歩いていた。その途中で遠見峠の麓の村を通った時に、ドクロ忍者たちが村人の金品ばかりか命までも奪う悪辣ぶりを見てしまう。錠之介にとって一番腹が立ったのは、何の落ち度も無い幼子の命まで奪おうとするドクロを見た時であった。その幼子を助けた錠之介は、ドクロに斬りかかった。そして、他のドクロ忍者にも、錠之介の怒りの太刀は襲いかかった。

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錠之介の腕前を陰で見ていた村の者達は、頭を下げて錠之介に助けを求めるのだった。だが、「自分の村は自分で守れ」と冷たく言い放つ錠之介であった。

『待っていたぞ!』
『(驚いた表情で)ゴースン様!』
『久しぶりだな、錠之介。俺は、お前が来るのを待っていたのだ!』

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突然目の前に現れた巨大ゴースンに向かって、錠之介は意外なことを言った。

『ゴースン様、お教えください。巨大身変化の技を!』
『何と言った?錠之介』
『私は獅子丸を倒したい。ですからゴースン様、私に巨大身変化の術を!』

獅子丸が生きていたことが意外だったらしく、ゴースンは驚いていた。だが、それ以上に錠之介が言った言葉が、ゴースンには意外だった。

『バカ者!巨大身変化はワシの技、教えを乞うなど無駄な事。それより、錠之介!ワシは、お前の行動をすべて知っている。その上で、今までのことは忘れよう。ワシはお前に、最後のチャンスを与えようと思う』

錠之介の顏から、血の気が引いた。自分の行動が、すべてゴースンに知られていたとは。仲間のドクロ忍者を斬ったことや、卑怯な振る舞いをする怪人を倒そうとしたことを。

『最後のチャンス・・・』
『そうだ。二度とは言うまい。(裏切り行為は)お前自身、よく知っていること。錠之介、よく聞くのだ。遠見峠で待って、獅子丸を討ち果たすのだ。行け!錠之介。最後のチャンスだ、大事にするがいい。ハハハハ・・・』

《俺に与えられた最後のチャンスか。ゴースンは、やはり恐ろしい奴・・・》遠見峠へ向かいながら、心の中でそうつぶやく錠之介に、声を掛ける者がいた。怪人ギララであった。ゴースンが錠之介に最後のチャンスを与えたことを、ギララは知っていた。その上で、もはや裏切ることはあるまいと考え、錠之介を自分の配下として使おうとするつもりなのである。

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『この作戦が、お前にとっては最後のチャンスのはず。黙って俺の言うことを聞け!あの道にヤツが一歩でも足を踏み入れれば、埋めた地雷で粉々よ!』
『(地雷の埋まった道の方を見て)卑怯な!』
『俺は、お前とは違う。確実に獅子丸を倒す!』

ギララの汚いやり方が気に入らない錠之介は、ギララには手を貸さず、自分の手で獅子丸を倒すと言い放つと、遠見峠の方へ歩いていくのだった。ギララを無視した錠之介に、怒り心頭に発するギララ。

遠見峠へ入る手前で、錠之介は獅子丸を待ち伏せしていた。向こうから歩いてくる獅子丸に、錠之介は話かけた。

『獅子丸、連れはどうした?・・・そうか、下の村だな』
『お前が、どうしてここへ?』

錠之介は獅子丸の横を素通りすると、数メートル歩いて止まり、相手の顏を見ずに背中越しに会話を始めた。

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『俺か?・・・それより獅子丸、どこへ行く?遠見峠だろう。余計なおせっかいは止めた方がいいぜ』
『なぜ、それを・・・』

『峠は危ない。ワナが待っている』
『ワナ?』
『そうだ。獅子丸、つまらんことで命を落とすこともあるまい』

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獅子丸は、ゆっくりと歩き始めた。それを止めようと、錠之介はふたたび獅子丸へ強く声をかけた。

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『待て!行くのは止めろと言ったはず』
『錠之介。お前の忠告は、有り難く聞いておこう。所詮、俺とお前は生き方の違う男』
『そうか。これだけ言っても行くというのなら、俺は知らん。勝手にするがいい』

そう言われて、ふたたび歩みを始める獅子丸。振り向いた錠之介の視界から、どんどん遠ざかって行く獅子丸のうしろ姿を見ながら、錠之介の心の中に葛藤があった。《忠告を無視するのか。バカな男!》心の中でつぶやく錠之介。

《獅子丸め、なぜ俺の言うことを聞かぬ!・・・あんな男、死ねばいいのだ!》獅子丸の姿が見えなくなると、錠之介はそわそわし出した。わずか数歩の距離を行ったり来たりしながら落ち着かない錠之介は、遂に獅子丸のあとを追って走り出した。《えぇい!面倒をかける男め!》
(つづく)


★★★★★★★★★★★★
この回から、事故で亡くなった戸野広浩司氏に代わり、福島資剛氏が錠之介役で登場する。まったく違和感が無い。

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