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快傑ライオン丸(33) [ライオン丸・ドラマ4]

今回は、第39話《怪人キチク 悪の念仏・後編》を取りあげます。

【前回までの話は・・・ 白垣幽斎によれば、大魔王ゴースン以外に《巨大身変化》の秘密を握る人物は、桃雲斎ただ一人である。その人物がいる甲斐国鷹取城へと向かっている道中で、獅子丸たちは村娘を襲っている怪人キチクに遭遇した。太刀が通じないこの怪人を何とか退散させたものの、今度は虎錠之介が獅子丸を追って現れ、戦うふたりをドクロ仮面の大砲が狙っていた・・・】

◆『おどきください、ジョー様。おどきにならないと・・・』
『どかないと、どうする?』
『仕方がありません。死んでもらいます!ライオン丸をかばうなら、それは裏切りと同じこと。裏切り者はどうなるか、それはジョー様が一番よくご存じのはず』

ライオン丸は、タイガージョーに逃げるように勧めた。

『タイガージョー、命を無駄にするな!』
『(隣にいるライオン丸に向かって)バカな!俺は卑怯者にはなりたくない!』

タイガージョーは、ドクロ仮面に手を引くように再度忠告するが、ドクロ仮面は引こうとはしない。あくまでもゴースンの命令を忠実に守ろうとするドクロ仮面は、左手に持った松明で大砲の導火線に火を点けた。

次の瞬間ドーンという大音響がしてタイガージョーの居た周辺に砂煙が舞い上がり、タイガージョーが吹き飛んだ。急斜面を転がり落ちて行くタイガージョー。破裂音と共に身を伏せたライオン丸は、たまたま当たらなかっただけだった。

『タイガージョー!・・・タイガージョー!・・・』

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(ライオン丸に覆いかぶさるドクロ忍者たち)
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(ドクロ仮面が放った一撃で、ドクロ忍者もろともライオン丸が・・・)

ライオン丸は、転がり落ちて行くタイガージョーに声をかけた。だが、それを見たドクロ忍者数人が、ライオン丸に襲いかかった。ドクロ忍者たちがライオン丸を押しつぶすようにして上から覆いかぶさり、ドクロ仮面はそれを目標にして二発目を撃った。

『死ね、ライオン丸!』

大音響と共に砂煙が上がり、ドクロ忍者たちと一緒にライオン丸は吹き飛んでしまった。

『ついにライオン丸を倒したぞ!アハハハ』

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荒野に響くドクロ仮面の笑い声。だが次の瞬間、ドクロ仮面の眉間に手裏剣が刺さっていた。土遁の術で地中に潜っていた獅子丸は、右腕を土中から出して、隙をみせたドクロ仮面をみごとに仕留めた。

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左腕を押さえながら、土の中から姿を現した獅子丸は、タイガージョーが転落していった斜面の下を覗き込んで、錠之介の姿を探した。

『錠之介!』

自分の代わりに吹き飛ばされた錠之介を助けるために、傷の痛みをこらえながら、獅子丸は斜面を降りていった。

その頃、怪人キチクに襲われた村娘を無事に送り届けるために獅子丸と別れた沙織と小助に、危機が訪れようとしていた。あの怪人キチクが、ふたたび襲って来たのだ。腹を空かせていたキチクは、若い娘の血が大好物であった。

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『若い娘がふたりとは、これも御仏のおかげであろう。ナマンダブ、ナマンダブ』

小助が太刀で斬りつけるが、キチクに刃物は効かない。沙織に言われ、小助は笛を吹いてヒカリ丸を呼んだ。そして、獅子丸に危急を知らせるべく、ヒカリ丸を獅子丸の許へ送った。

一方獅子丸は、崖下で左足に大怪我を負った錠之介を見つけていた。傷口を布で縛る応急処置をしたが、城下で治療を受ける必要がありそうなのだ。

『獅子丸。俺は大丈夫だから、放っておいてくれ。俺は、人の助けなど借りたくはない』

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荒い息をしている錠之介を、獅子丸は必死に背負って歩く。獅子丸が錠之介を脇道で座らせ休んでいると、ふたりの前にヒカリ丸が現れた。

『小助たちに、何かあったようだ』
『何?小僧が危ないのか!じゃあ、早く行ってやれ!俺は大丈夫だ!早く行け!』
『錠之介、ここを動くなよ!すぐ戻るから。分かったな!』


獅子丸は、錠之介の両肩を支えながら顔を見て、すぐに戻るからここを動くなと言った。錠之介は、顔を伏せたままうなずくのだった。錠之介は人の親切を受けることが苦手で、どう対応してよいか分らぬ男なのだ。「放っておいてほしい」などと口走っているが、錠之介は獅子丸の親切心が身に染みてうれしかったのだ。

ヒカリ丸にまたがった獅子丸は、小助たちの元へ向かってヒカリ丸を走らせながら、ライオン丸に変身した。すると、ヒカリ丸は、まるで風の如く速く走った。それを見届けながら、錠之介の心は揺れていた。獅子丸を倒すためにいる自分と、獅子丸の友情に応えたい自分との間で葛藤が起こり、どうしていいのかわからなくなっていた。

一方、小助たちの前に立ちはだかったキチクは、「キチク分身」で5人に分かれ、小助たちに襲いかかってきた。4人の影たちが沙織と小助に襲いかかり、本体のキチクは村娘を襲って生き血を吸うつもりなのだ。

獅子丸は、まだか。キチク本体が沙織に当て身を食らわせ、沙織は倒れた。5人のキチクを相手に戦えるのは、もはや小助ただひとりであった。小助は、空に向かって叫んだ。

『獅子丸兄ちゃーん!』
『ライオン丸、見参!』

その声を聞きつけたようにライオン丸がヒカリ丸に乗って現れ、4人の影たちをたちまちのうちに片づけると、ヒカリ丸から飛び降りて、キチクの前に立ちふさがった。だが、キチクは太刀を受け付けない身体を持っている。ライオン丸はどう戦うのか。

ライオン丸は、首を回してたてがみを振り乱す「たてがみ吹雪」という術で、キチクをかく乱させる作戦に出た。ものすごい風圧に驚いたキチクは、手に持っていた数珠を思わず手放し、数珠は風に舞って空へ飛んでしまった。

焦ったキチクは、その数珠を取り戻そうと空へ飛びあがったが、それをライオン丸は見逃さず、まず数珠を切り、次に数珠をつかもうとするキチクの顔面を斬りつけた。名付けて、「ライオン二段返し」である。不死身の秘密は、数珠にあったのだ。切れた数珠は力を失い、怪人キチクは爆発して死んだ。

『小助、二人を頼むぞ!ひと足先に城下で待つ!』

ライオン丸は小助にそう告げると、急いで錠之介の許へと向かった。獅子丸は、錠之介のことが心配であった。だが、獅子丸が戻った時には、錠之介の姿はどこにも無かった。あの重体の身で、錠之介はどこへ行ったのか。

(ナレーション;桃雲斎を目の前にして、思わぬ邪魔が入った獅子丸たち。だが、今の獅子丸にとっては、何よりも宿命のライバル錠之介の命が心配であった。一方ゴースンは、遂に自ら立ち上がる決心をした)

日本近海から東北の山中に拠点を移したゴースン島が、今噴火を始めていた。山腹が割れ、炎が噴き出し、崩れた山肌と噴煙の間から巨大なゴースンが徐々にその姿を現した。
(終わり)


★★★★★★★★★★★★
兄・桃雲斎と弟・豪山(ゴースン)の対決は近い。

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快傑ライオン丸(34) [ライオン丸・ドラマ4]

今回は、第40話《大魔王ゴースン 再び怒る!・前編》を取りあげます。

原作;うしおそうじ
脚本;馬嶋 満
企画;うしおそうじ 別所孝治
音楽;小林亜星
殺陣;渡辺高光
監督;石黒光一

【前回までの話は・・・甲斐国鷹取城へ向かう途中で、虎錠之助に待ち伏せされた獅子丸は、ライオン丸とタイガージョーに変身して真剣勝負を戦っていた。ところが、ドクロ仮面の邪魔が入り、用意した大砲でライオン丸もタイガージョーも吹き飛ばされてしまう。地中に逃げた獅子丸はドクロ仮面を倒したが、タイガージョーは大怪我を負っていた。傷の手当てをするために錠之介を背負う獅子丸に心を打たれ、錠之介は敵対する意識を失っていくのだった・・・】

◆日本近海にあったゴースン島は、巨大化したゴースンによって破壊され、跡形も無くなった。だが、東北の山奥に、ある日突如としてゴースン島が姿を現した。そこで指揮を執っていたゴースンは、獅子丸たちが鷹取城の桃雲斎に会うために甲斐国へ入ったことを知り、自ら立ち上がる決意をした。ゴースン島は火山のように爆発を起こし、落雷と雷鳴が響き、山肌が崩壊して、中から巨大なゴースンが姿を現した。

(ナレーション;ゴースン巨大身変化の秘密を知るただ一人の男、鷹取城の軍師・桃雲斎こそ、ゴースンの実の兄であった。だが、悪の大魔王ゴースンにとっては、秘密を知るただ一人の邪魔者でしかなかった)

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(大魔王ゴースン)

『邪魔者は消せ!甲斐の国、鷹取城へ行くのだ!桃雲斎を殺せ!』

大魔王ゴースンは、ふたりの怪人ハリザンザとガライタチに命令を下した。その作戦は、鷹取城を守るための一番の要塞、一之砦(いちのとりで)を占領し、桃雲斎をおびき出すことであった。ふたりの怪人は、命令どおりに一之砦に襲撃をかけた。

一之砦が怪人に奪われたという情報は、すぐに鷹取城にもたらされた。城主の春景は天守閣にいる桃雲斎に向かって、怒りをあらわにした。

『一番大事な一之砦が奪われたというのに、何をしておるのじゃ!すぐに兵を出して、砦を怪人から奪い返せ!』
『承知いたしました』

桃雲斎は、城内の者であっても、ごくわずかな者にしか姿を見せたことがないという人物であった。年齢は五十を過ぎた頃と見受けられ、両眼は焼けただれていて開かない。今、城主春景からの指示を受け、軍師・桃雲斎はゴースンが差し向けた怪人を倒す策を練っていた。

天守閣から見下ろせば、戦の準備をする兵たちが城内を忙しく走る姿がよく見えた。桃雲斎は盲目なのでその様子をみることはできないが、鍛え抜かれたその直感力で、城内の物々しい様子をはっきりと捕らえていた。

ちょうどその頃、獅子丸たち三人は、桃雲斎への目通りを鷹取城の門番に願い出ていた。桃雲斎の近習が、門番からの取次用件を伝えに来た。

『果心居士とか申すお方の弟子で獅子丸と申す者が、お目通り願いたいと参っておるそうですが』
『何、果心居士の?・・・柳月庵に通せ』

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獅子丸は、とうとう桃雲斎との対面を果たした。白垣幽斎が教えてくれた《ゴースン巨大身変化》の秘密を知るただ一人の男、桃雲斎。柳月庵に通された獅子丸は、桃雲斎が入ってきたので、丁重に頭を下げて礼を尽くした。

『ワシに用とは、いかなる事かな』
『ゴースンの秘密を、是非お聞かせ願いたいのです。ゴースンとは何者か。巨大身変化を破る秘術は、何か』

桃雲斎は、なぜ自分にそのようなことを訊くのか、獅子丸に問うた。獅子丸は、ゴースンはこの世を悪の力で征服しようとしている大魔王であるため、成敗するのですと力説した。

『獅子丸。お主に、血肉を分けたまことの兄弟は居るか?たとえ悪の大魔王とはいえ、ゴースンはワシの弟じゃ。そのゴースンが今、怪人を従えて一之砦まで来ておるのだ!よいか!弟のことは、兄であるこのワシが始末する!』

軍師・桃雲斎に選抜された「一之砦奪回隊」が、占領された一之砦を急襲した。迎え撃つのは、ドクロ忍者たちであった。選抜された奪回隊は勇敢に戦ったが、怪人ハリザンザが指揮するドクロ忍者が相手ではまったく歯が立たず、兵たちは背走するのだった。

桃雲斎から話を聞いて、沙織と小助を連れた獅子丸は一之砦へ向かう途中で、背走してくる兵たちとすれ違った。そして、あとを追ってくるドクロ忍者たちと獅子丸たちは遭遇した。ドクロ忍者たちと必死に戦う獅子丸たちの前に、全身が針に覆われた怪人が現れた。

『そうやすやすと、砦へは行かさんぞ。俺はゴースン大幹部、ハリザンザだ!』

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ヤマアラシのように全身が針で覆われている怪人は、持参する銃から針の弾丸を発射した。獅子丸はライオン丸に変身すると、ハリザンザの繰り出す針の弾丸を金砂地の太刀ではじき返した。

ライオン丸が空中へ跳びあがったのを見て、怪人も飛びあがりながらライオン丸に向かって銃を数発発射した。そのうちの一発がライオン丸の左足太ももを直撃したが、痛みをこらえて、激しく空中をキリモミしながら落ちてくるライオン丸の太刀は、ハリザンザの顔面を捕らえた。怪人はバタリと倒れて、大爆発した。

その頃、傷が癒えた虎錠之介は、鷹取領一之砦を目指して歩いていた。一之砦が怪人に占領されたため、城の周辺を警護する城兵たちによって、行く先々で怪しい雰囲気の錠之介は敵とみなされて囲まれてしまう。

錠之介はタイガージョーに変身すると、城兵をことごとく斬り倒して進んで行く。すると、身体がしびれているのか、這ったまま片手で小川の水をすくって飲もうとする獅子丸の姿が、タイガージョーの目に入った。

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『その水を飲んだら、命が無いぞ!』

獅子丸に近づくと左足に刺さった針を抜き取り、その針を見たタイガージョーは言った。

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『ハリザンザに、やられたな。ヤツの毒にやられると、無性に水が飲みたくなるのだ』
『毒を消す方法は、無いのか?』
『ある。だが、その方法を知っている者はひとりしかいない。ゴースンの兄上だ。残念だが、どこにいるのか俺は知らん』

獅子丸は立ち上がって鷹取城へ向かおうとしたが、力なく倒れて意識が朦朧(もうろう)となっていた。獅子丸を抱き上げるタイガージョー。

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『獅子丸、しっかりしろ!貴様をこのまま死なせるわけにはいかん!』
『タイガージョー。俺を、鷹取城の桃雲斎殿の所へ・・・』

そう言って、獅子丸は意識を失ってしまうのだった。

『桃雲斎?・・・』
(つづく)


★★★★★★★★★★★★
この回から、虎錠之介役は戸野広浩司氏だが、声は別人が演じている。ご存じのとおり、悲しい事故があったため、戸野広氏は役を降りた。だが、アフレコは福島資剛氏の声では無いことが、次回の放送と比較してみるとわかる。福島氏が演じるまでの間、つなぎで演ったものと思われる。自分の感じでは、太い声を出している市川治氏ではないかと思う。なお、知らなかったのだが、市川治氏は2009年1月に、お亡くなりになっている。享年72

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快傑ライオン丸(35) [ライオン丸・ドラマ4]

今回は、第40話《大魔王ゴースン 再び怒る!・後編》を取りあげます。

【前回までの話は・・・自ら立ち上がった大魔王ゴースンは、巨大身変化の秘密を知る実兄・桃雲斎の殺害を、怪人ハリザンザとガライタチに命令した。鷹取領一之砦を占領した怪人ハリザンザは、桃雲斎が送り込んだ決死隊を打ち破り、獅子丸たちと遭遇した。ライオン丸はハリザンザを倒したが、怪人の毒針を受けた獅子丸は、瀕死の重傷に陥ってしまう。そこへタイガージョーが現れ、毒消しができるのはゴースンの兄しかいないと話す。獅子丸は、鷹取城の桃雲斎の元へ自分を連れていくようタイガージョーに頼むと、そのまま気を失ってしまった・・・】

◆ハリザンザとライオン丸の戦いを隠れて見ていた沙織と小助は、戦いが終わっても戻って来ない獅子丸を探していた。そして、ようやく見つけた獅子丸はタイガージョーに抱えられ、意識が無かった。

『タイガージョー、お前が獅子丸兄ちゃんを・・・』
『いや、ハリザンザの毒だ。このままでは死ぬ。俺にも手は無いが、獅子丸は意識を失う前に、桃雲斎の所へ連れていってくれと言っていた・・・』

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沙織と小助は、早速鷹取城の桃雲斎の元へ獅子丸を運んだ。桃雲斎が作った薬を、気を失ったままの獅子丸の口へ小さじで流し込むよう、桃雲斎に指示される沙織。

『半時ほどして熱を出し、汗をかいたら治る』

そのように言われ、沙織は桃雲斎に丁重に礼を述べた。三人と共に、錠之介も鷹取城の桃雲斎の元を訪れていた。その一部始終を見ていた錠之介は、獅子丸が助かることが分かると、ある考えがあって、部屋を出ていった桃雲斎のあとを追った。

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本丸には広大な中庭があり、その中庭の池にかかる橋を歩いていく桃雲斎に、錠之介は後ろからそっと近づいた。桃雲斎がゴースンの兄上であるらしいことを、毒消しの薬を作ったことで知った錠之介は、もう少し探りを入れてみるつもりで聞いてみた。背中を見せている桃雲斎の右肩のあたりを、コウモリが羽ばたいてチイチイと鳴いている。

『ワシに、何かようかな?』
『ハリザンザの毒を消せる者は、この世に一人しかいないと聞いている』
『すると、お前はゴースンの手下か』
『ま、そういうことになっている』

強い者に魅かれるという虎錠之介の言葉を聞き、桃雲斎は錠之介のことを若い頃のゴースンそっくりだと言った。錠之介は、桃雲斎に《巨大身変化》の秘密を知りたいと訴えた。錠之介の心を読んだ桃雲斎は、言った。

『ゴースンを倒すつもりだな。そして、お前が、大魔王に取って代わるつもりか』

図星を指された錠之介は、桃雲斎に言った。

『俺は、力が欲しいのだ。強くなりたいのだ。ただ、それだけの願いだ!』
『それは、悪魔に魂を売った者の言葉だ!巨大身変化は、ゴースン一代で滅びる。それでよいのだ。誰にも継がせてはならぬ』

どうしても秘密が知りたい錠之介は、秘密を話さなければ斬ると、桃雲斎を脅した。桃雲斎は拳法の構えで対抗しようとするが、城主春景と兵たちがそこに現れ、邪魔が入ったため、錠之介はこの場を去るのだった。春景がもたらした情報では、ゴースンが鷹取城に襲来するということだった。

『殿、慌てめさるな。ヤツもただの人間。だが、巨大化しなければ、ヤツの弱点は衝けません』(巨大化した時こそ、ゴースンの終わりだ)と、桃雲斎は独り言のようにつぶやいた。

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巨大身変化の術で巨大化したゴースンが、鷹取城のすぐ近くに姿を現した。そして、天守がある本丸へどんどん近づいて来る。ゴースンは、晴天の空でも雷を呼び寄せられる「ゴースンサンダー」で落雷させ、本丸の城壁を破壊し始めた。

天守閣には、春景と桃雲斎がいる。ゴースンサンダーを何度も使い、城壁を壊す巨大なゴースンに春景は怯えていた。春景の様子を感じ取った桃雲斎は、天守閣の窓からゴースンに向かって、大声で叫んだ。

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『ゴースン。よぉく聞け!我に巨大身変化を破る術あり。早々に立ち去れ!』
『ハハハハ。破れるものなら、破ってみるがいい!たとえ血を分けた兄だとて、刃向かう者は許しはせぬぞ!』
『この愚か者め。これほど諭しても、まだ分からぬのか!』
『ほざくな!』

ゴースンは兄をののしり、兄の説得などまったく聞く耳を持たない。自分の強大な力の前には、何者も屈服すると思っているのだ。ゴースンサンダーが本丸の城壁を破壊し、崩れてきた岩や瓦礫の下敷きになる兵たちが、後を絶たない。

天守閣の別の部屋にいた獅子丸は、ゴースンサンダーの激しい発光を浴びたおかげで、意識を取り戻した。だが、すぐ活動できるほどの体力は、まだ回復してはいない。ここにいては命が危ないと感じた沙織と小助は、獅子丸に肩を貸しながら、三人で天守閣を脱出することにした。

火災が発生した場所もあり、城内に火が回る前に、桃雲斎は小姓たちに城主春景を避難させるよう指示をした。そして、盲目の桃雲斎は、何か覚悟を決めたようにゴースンの暴れている方向を見て叫んだ。

『おのれ、ゴースン。いかに弟といえども、もう許さぬぞ!』

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やりたい放題に暴れ回る巨大ゴースンは、ついに兄のいる天守閣に向かって、右の拳を衝き出して直撃した。城壁に穴が開き、続けて左の拳も直撃させて、その穴はさらに大きくなった。

(ナレーション;大魔王ゴースンと、ゴースンの秘密を握る兄・桃雲斎との宿命の対決は、今ここに迫った。悪の魔王・弟ゴースンが勝つか、正義の師・兄桃雲斎が勝つか。鷹取城の風雲騒ぐ!)
(終わり)


★★★★★★★★★★★★
ゴースンは、豪山と書く。人間の姿のゴースンは、ご存じ「仮面の忍者赤影」で甲賀幻妖斎役の天津敏氏が演じている。

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