SSブログ

快傑ライオン丸(38) [ライオン丸・ドラマ4]

今回は、第43話《裏切りの峠 怪人ギララ・前編》を取りあげます。

原作;うしおそうじ
脚本;田村多津夫
企画;うしおそうじ 別所孝治
音楽;小林亜星
殺陣;渡辺高光
監督;中西源四郎

【前回までの話は・・・巨大身変化の時に胸の紋様を突けば、ゴースンを倒すことができる。兄の桃雲斎からその弱点を聞いた獅子丸は、ライオン丸に変身して巨大ゴースンに立ち向かった。だが、ライオン丸はふたたびゴースンに敗北し、その時の傷が原因で左腕が動かなくなってしまう。変身出来ず失意の底に沈む獅子丸に新手キルゴッドが挑戦し、獅子丸は挑戦を受ける。それを知った錠之介は、獅子丸に当て身を食らわせると、キルゴッドとの対戦場へ向かうのだった。治そうと懸命に努力する気持ちが通じ、ふたたび変身できるようになった獅子丸は、タイガージョーと連携してキルゴッドを倒した・・・】

(ナレーション;遠見峠は、裏日本と表日本とを結ぶ要害の地である。日本を支配するため、ゴースンはその使命を怪人ギララに託した)

遠見峠へ向かう獅子丸たち三人に、声を掛ける者がいた。その者は遠見峠の麓の村の者で、峠に出る凶暴な山賊をやっつけて欲しいと獅子丸たちに懇願するのだった。自分達の力ではどうにもならないので、強い侍を探しているという。獅子丸は、答えた。

『お断りします。私達には、他にしなければならないことがありますので・・・』

今まで弱い者の味方をしてきた獅子丸の返事として、「えっ!」意外に思う沙織と小助であった。獅子丸はそう言って一礼すると、先に歩いていく。その村の者は沙織に駆け寄り、哀願した。

『あなたからも、頼んでもらえませんか!あのドクロの面を付けた山賊を・・・』

獅子丸の足が停まった。ドクロの面と言えば、それはまず間違いなくゴースン一味だと思われるからだ。獅子丸は、自分が遠見峠に行き、沙織と小助には村の守りにあたらせることにした。

一方、虎錠之介も遠見峠を目指して歩いていた。その途中で遠見峠の麓の村を通った時に、ドクロ忍者たちが村人の金品ばかりか命までも奪う悪辣ぶりを見てしまう。錠之介にとって一番腹が立ったのは、何の落ち度も無い幼子の命まで奪おうとするドクロを見た時であった。その幼子を助けた錠之介は、ドクロに斬りかかった。そして、他のドクロ忍者にも、錠之介の怒りの太刀は襲いかかった。

IMG_3064.jpg
錠之介の腕前を陰で見ていた村の者達は、頭を下げて錠之介に助けを求めるのだった。だが、「自分の村は自分で守れ」と冷たく言い放つ錠之介であった。

『待っていたぞ!』
『(驚いた表情で)ゴースン様!』
『久しぶりだな、錠之介。俺は、お前が来るのを待っていたのだ!』

IMG_3065.jpg
突然目の前に現れた巨大ゴースンに向かって、錠之介は意外なことを言った。

『ゴースン様、お教えください。巨大身変化の技を!』
『何と言った?錠之介』
『私は獅子丸を倒したい。ですからゴースン様、私に巨大身変化の術を!』

獅子丸が生きていたことが意外だったらしく、ゴースンは驚いていた。だが、それ以上に錠之介が言った言葉が、ゴースンには意外だった。

『バカ者!巨大身変化はワシの技、教えを乞うなど無駄な事。それより、錠之介!ワシは、お前の行動をすべて知っている。その上で、今までのことは忘れよう。ワシはお前に、最後のチャンスを与えようと思う』

錠之介の顏から、血の気が引いた。自分の行動が、すべてゴースンに知られていたとは。仲間のドクロ忍者を斬ったことや、卑怯な振る舞いをする怪人を倒そうとしたことを。

『最後のチャンス・・・』
『そうだ。二度とは言うまい。(裏切り行為は)お前自身、よく知っていること。錠之介、よく聞くのだ。遠見峠で待って、獅子丸を討ち果たすのだ。行け!錠之介。最後のチャンスだ、大事にするがいい。ハハハハ・・・』

《俺に与えられた最後のチャンスか。ゴースンは、やはり恐ろしい奴・・・》遠見峠へ向かいながら、心の中でそうつぶやく錠之介に、声を掛ける者がいた。怪人ギララであった。ゴースンが錠之介に最後のチャンスを与えたことを、ギララは知っていた。その上で、もはや裏切ることはあるまいと考え、錠之介を自分の配下として使おうとするつもりなのである。

IMG_3066.jpg
『この作戦が、お前にとっては最後のチャンスのはず。黙って俺の言うことを聞け!あの道にヤツが一歩でも足を踏み入れれば、埋めた地雷で粉々よ!』
『(地雷の埋まった道の方を見て)卑怯な!』
『俺は、お前とは違う。確実に獅子丸を倒す!』

ギララの汚いやり方が気に入らない錠之介は、ギララには手を貸さず、自分の手で獅子丸を倒すと言い放つと、遠見峠の方へ歩いていくのだった。ギララを無視した錠之介に、怒り心頭に発するギララ。

遠見峠へ入る手前で、錠之介は獅子丸を待ち伏せしていた。向こうから歩いてくる獅子丸に、錠之介は話かけた。

『獅子丸、連れはどうした?・・・そうか、下の村だな』
『お前が、どうしてここへ?』

錠之介は獅子丸の横を素通りすると、数メートル歩いて止まり、相手の顏を見ずに背中越しに会話を始めた。

IMG_3067.jpg
『俺か?・・・それより獅子丸、どこへ行く?遠見峠だろう。余計なおせっかいは止めた方がいいぜ』
『なぜ、それを・・・』

『峠は危ない。ワナが待っている』
『ワナ?』
『そうだ。獅子丸、つまらんことで命を落とすこともあるまい』

IMG_3069.jpg
獅子丸は、ゆっくりと歩き始めた。それを止めようと、錠之介はふたたび獅子丸へ強く声をかけた。

IMG_3070.jpg
『待て!行くのは止めろと言ったはず』
『錠之介。お前の忠告は、有り難く聞いておこう。所詮、俺とお前は生き方の違う男』
『そうか。これだけ言っても行くというのなら、俺は知らん。勝手にするがいい』

そう言われて、ふたたび歩みを始める獅子丸。振り向いた錠之介の視界から、どんどん遠ざかって行く獅子丸のうしろ姿を見ながら、錠之介の心の中に葛藤があった。《忠告を無視するのか。バカな男!》心の中でつぶやく錠之介。

《獅子丸め、なぜ俺の言うことを聞かぬ!・・・あんな男、死ねばいいのだ!》獅子丸の姿が見えなくなると、錠之介はそわそわし出した。わずか数歩の距離を行ったり来たりしながら落ち着かない錠之介は、遂に獅子丸のあとを追って走り出した。《えぇい!面倒をかける男め!》
(つづく)


★★★★★★★★★★★★
この回から、事故で亡くなった戸野広浩司氏に代わり、福島資剛氏が錠之介役で登場する。まったく違和感が無い。



スポンサーリンク



nice!(9)  コメント(0) 
共通テーマ:テレビ

nice! 9

コメント 0

コメントの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。