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仮面ライダーX(7) [Xライダー・ドラマ1]

今回は、第26話《地獄の独裁者 ヒトデヒットラー!・前編》を取りあげます。

原作;石ノ森章太郎
脚本;鈴木生朗
企画;平山 亨 阿部征司
音楽;菊池俊輔
技斗;高橋一俊
監督;内田一作


【前回までの話は・・・ GOD科学開発局で働いていた南原博士は、遂に悪魔の発明RS装置を完成させた。だが、博士は設計図を持って脱走し、これがGODの手に渡らないようにと設計図を9枚に破り、8枚を仲間の科学者のもとへ郵送した後に殺されてしまう。博士が持っている一枚目の設計図は、神敬介の手元にある。矢沢博士に送られてきた二枚目の設計図をめぐり、Xライダーはサソリジェロニモとの死闘で守ったかにみえたが、目前でカブトムシルパンに持ち去られてしまった。三枚目の設計図が堂本博士に送られてきたことを知った敬介は、カブトムシルパンを倒して、それを守り抜いたのであった・・・】

◆世界中の物質のエネルギーを一瞬にして消してしまうRS装置の設計図は9枚に分けられ、2枚は神敬介の元に、1枚はGODに渡った。残り6枚の行方をめぐって、両者の間に争奪戦が展開されていた。

羽田空港に近い駐車場で、打ち合わせをしているふたりの男がいる。

『四枚目の設計図が、いよいよアメリカから到着ですね』
『江川博士と言えば、日本が世界に誇る物理学者だ』

神敬介は、南原博士から託された設計図を守るため、立花藤兵衛のジープに通信機器を積んで、ある作戦を実行しようとしている。

藤兵衛の店で働く店員のチコとマコは、空港ビルの出口に現れた男女の姿を双眼鏡で確認すると、急いで近づいて行き、男性に花束を渡した。

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『博士!おめでとうございます!』

笑顔で花束を受け取った男性がチコに何か話しかけようとした時、ぞろぞろとたくさんの新聞記者とカメラマンが現れて、チコとマコは追い出されてしまう。これでは、せっかくの対面が台無しだ。

『あのう、ユナイテッド工科大学の江川博士ご夫妻ですね?お話はホテルの方で、お伺いします。社の車をご用意しておりますから、どうぞ』

ひとりの新聞記者がそう言って、用意した黒塗りの高級車の後ろの扉を開けて江川夫妻を促した。二人を乗せた車は、空港を離れて走って行った。

チコとマコの二人には、あっという間の出来事で頭にきてしまったが、その様子を、少し離れた場所からジッと見つめる神敬介の姿があった。

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チコとマコは、ブツブツ文句を言いながら空港を後にしようとしていると、ふたりににこやかに話しかけて来るヒッピー風の男女がいた。なんだかよくわからないが、チコとマコはヒッピー風の男女と仲良くなって、空港を後にした。

車を見送るカメラマンたちの姿がいなくなると、神敬介は素早くその場を離れ、バイクに乗って高級車の後を追った。江川夫妻を乗せた高級車は、スピードを上げて走って行く。

しばらくすると、妻が窓ガラスに何かが貼り付いていることに気がついた。それは、ヒトデのようだ。気味悪がって、夫の江川博士に寄り添うように窓から離れると、それは怪人に姿を変えた。車を運転している男達は、いつの間にかゴッド戦闘員に姿を変えていた。

『な、なんだ、貴様は!』
『ようこそ、江川博士。吾輩はゴッド悪人軍団のひとり、ヒトデヒットラーである!お前が南原博士の教え子であり、アメリカで南原から設計図の入った手紙を受け取ったことは、吾輩の秘密警察がすでに調べあげておるのだ!』

すると江川博士は、空港の出口でチコからもらった花束の中に隠してあった小型マイクをそっとつかむと、自分の胸ポケットに滑り込ませた。小型マイクが、今までの会話をすべて拾っていた。バイクで後を追う神敬介の無線に、立花藤兵衛から連絡が入った。

『敬介。思った通り、あの新聞記者たちはゴッドの怪人だ!』

神敬介のバイクは、スピードを上げた。そして、江川夫妻の乗る車との差をどんどん縮めていく。やがて、バックミラーを見た戦闘員が追ってくる神敬介に気がついて、ヒトデヒットラーに報告した。

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だが、予定通りなのだろうか、ヒトデヒットラーは右後ろの窓に箱乗り*したまま車のスピードを上げさせると、前方のトンネルに向かって突っ走っていった。
*箱乗り(はこのり)とは、車の後部ドアの窓を開けて、腰から上を出して乗る乗り方。暴走行為をする車に、よく見かける乗り方(笑)である。

神敬介も車の後を追ってトンネルに入って行ったが、トンネルの出口で停車している車を発見、車内には誰もいないようだ。敬介は車内を捜索していて、チコが江川博士に渡した花束に隠してあった小型マイクが無いことに気がついた。

おそらく博士は、隠しマイクを持ったまま、連れ去られたに違いないと判断した敬介。隠しマイクの波長から、博士夫妻の居所を探すよう、敬介は藤兵衛に連絡した。

その頃、ヒトデヒットラーは、キングダークの前で江川博士夫妻を拉致して来たことを、報告していた。江川博士夫妻は目隠しをされて、連れて来られた。

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『さすがは、悪の独裁者ヒトデヒットラー。見事な腕前と褒めてやりたいが・・・バカモノ!そのふたりは、アメリカで入れ替わった真っ赤なニセモノなのだ!』

神敬介たちの計画は、キングダークにはお見通しだった。本物の江川博士をすぐに連れてくるよう、ヘマをしたヒトデヒットラーにプレッシャーをかけるキングダーク。もし失敗すれば・・・キングダークは、自分の巨大な指を動かして見せた。(握りつぶしの刑か?)

その頃、立花藤兵衛の運転するジープに乗るチコ、マコ、そしてヒッピー風のふたりの姿があった。チコとマコに身代り作戦計画のすべてを話した藤兵衛は、本物の江川博士夫妻にも労い(ねぎらい)の言葉をかけた。だが、ニセ者のふたりの様子を心配する江川博士。

一方、ニセモノであることがバレたふたりには、拷問が待っていた。何か情報を聞き出そうとするヒトデヒットラーは、博士が真鶴海岸の方へ身を隠そうと話していたことを、男から聞き出した。

ニセ博士が持つ隠しマイクの電波をたどり、ゴッドのアジトへ近づいていく神敬介。木の上から水が滴り、見上げるとヒトデがいた。ヒトデ2匹が敬介に襲いかかり、合体して巨大ヒトデとなって、ヒトデヒットラーになった。

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『出たな、ゴッドの怪人め!』
『吾輩はゴッド悪人軍団のひとり、地獄の独裁者ヒトデヒットラーだ!』(つづく)


★★★★★★★★★★★★
本放送の時、ヒトデヒットラーを見た覚えが無い。おそらく学校行事か何かで見られなかったのだろう。でも、この怪人の姿はインパクト大だね!

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仮面ライダーX(8) [Xライダー・ドラマ1]

今回は、第26話《地獄の独裁者 ヒトデヒットラー!・後編》を取りあげます。


【前回までの話は・・・ 9枚に破いたRS装置の設計図の1枚を持つアメリカ在住の江川博士が、日本へやって来る。神敬介は一計を案じ、ニセ江川博士を仕立ててGODにつかませ、本物はヒッピー風体に姿を変えて落ち合う作戦を敢行、見事に成功する。だが、GODのアジトでは、キングダークが江川博士はニセモノであることを見抜き、ヒトデヒットラーに本物の江川博士を奪取してくるよう、命令を出していた・・・】

◆神敬介の作戦では、チコが空港で渡した花束の中に小型マイクが入れてあることを、ニセ江川博士には知らせている。ヒトデヒットラーに襲われると分かった時、ニセ江川博士はこの小型マイクを自分の服のポケットに入れた。夫妻は拉致されアジトへ連れて行かれたが、小型マイクの電波を探知して、神敬介はGODのアジトへ近づきつつあった。

目前に現れた怪人とその親衛隊(戦闘員)に囲まれ、マシンガン攻撃を受けた神敬介は高くジャンプすると、本堂の屋根の上でXライダーに変身した。

『セタップ!』

親衛隊は、Xライダーの敵では無い。パンチやキックを受けて吹っ飛んで行く親衛隊隊員。ところが攻守逆転、ヒトデヒットラーは持ち歩いているステッキの先端をXライダーに向けて、突然ロケット弾を撃ち込んできたため、とっさに身をかがめたXライダーは連続するロケット弾攻撃を避けるだけで精一杯になった。

Xライダーに向けて撃ち込むロケット弾が親衛隊に当たると解かっていても、平然と撃ち続けるヒトデヒットラーは冷血漢であった。だが、ヒトデヒットラーは決着が着かないとみると、Xライダーにこう言い放った。

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『なかなかやるな、Xライダー。だが、吾輩は、これ以上貴様を相手にしている暇はない!』
『空港からさらったふたりは、どこへやった?』
『フフフフ、自分で探してみることだな・・・』

ヒトデヒットラーはこう言って、姿を消してしまう。ニセ博士の役回りの男が持つ小型マイクの電波は、この近くで確かに発信している。敵のアジトは、近い。Xライダーは、岩に彫られたカギ十字マークを見つけるが、Xライダーの力でも、この岩を動かすことが出来ない。

そこでXライダーは、ライドルをフェンシング用の剣に似た武器(ライドルホイップ)に変え、岩に突き刺して電流を流してみた。すると岩が反応して、トビラのようにスライドし、アジトへの入口が開いた。

Xライダーには、ニセ江川博士夫妻を務めてくれた二人を救助する義務がある。早く二人を見つける必要があるのだ。暗い岩の洞窟を歩いていくと、やがてグレー色のコンクリートでできたアジトらしき建物に造りが変わった。慎重に歩みを進めていくXライダーに、いきなり正面の壁の一部が長方形に開いて、中からマシンガンで狙い撃ちをしてきた。

弾丸が当たらないよう左腕で顏をかばいながら近づいて行くと、銃弾が出てくる長方形の部分のフタを無理に手で閉めるXライダー。その勢いで壁を突き破ったXライダーは、薄暗い部屋の中に2体の首吊りした人間らしきモノを見つけた。

『遅かったか・・・』

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だが、近づいてよく見てみると、その2体はマネキンだった。ヒトデヒットラーが「貴様を相手にしている暇はない」と言った意味がだんだんみえてくる。すでにこのアジトは放棄したあとだったのだ。ヒトデヒットラーは本物の江川博士の行方を聞きだし、ニセ江川博士夫妻を助けにきたXライダーを、アジトもろとも爆破する気なのだ。

近づいてみて、マネキンには時限爆弾が仕掛けられているのが分った。そして、マネキンが着ている服の胸ポケットには、ニセの博士をつかまされたヒトデヒットラーの「恨み言」が書かれてあった。あのふたりがニセモノであることが、GODにバレていたのだ。

では、捕まったふたりはどうしているのか。針がゼロを指すまで、あと数秒しかない。Xライダーは、アジトの中をふたりの捜索に動いた。だがその時、マネキンが大爆発し、アジト内が誘爆を起こした。

その頃、本物の江川博士夫妻は、立花藤兵衛とチコ、マコと一緒に、真鶴の海岸で海水浴を楽しんでいた。江川博士と妻は、空港でチコやマコと出会ったままのヒッピー風のカツラを付けたまま、海岸でのんびりしていた。

藤兵衛とチコ・マコも、夫妻のそばでのんびりしているが、いつも周りに目を配っていた。藤兵衛がふと、博士に訊ねた。

『設計図は、大丈夫でしょうな?』
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江川博士は、妻の左手首の銀色の腕輪をつかんで、藤兵衛に示した。この中に、設計図が隠してあるのだ。だが、その様子を見ている人物が、他にもいた。その人物は、海岸から離れた海底に潜んでいた。波に紛れて、潜望鏡が顏を出している。それは、海底の潜水艦から伸びていた。まさかナチスの潜水艦が真鶴の海底に潜んでいようとは、誰も夢にも思わない。

博士夫妻と別れ、周囲の様子に気をつけていた藤兵衛たちの前に、左手を包帯で吊った神敬介が現れた。三人は驚きを隠せない。潜入したアジトが大爆発したこと、ニセの江川博士夫妻を助けだしたが、爆発に巻き込まれて重体であることを、敬介は藤兵衛に報告した。その爆発に自分も巻き込まれ、迂闊にも怪我をしてしまったのだ。

一方、本物の江川博士の行方をとうとう突き止めたヒトデヒットラーは、ホテルに戻った夫妻の部屋へ、ルームサービスが持って来た食事に紛れて潜り込んだ。ボーイが部屋へ届けに来た船盛の刺身の中に、なぜかヒトデが混じっている。ヒッピー風のカツラを取って、刺身を食べようとしたふたりの前に、ヒトデヒットラーが現れた。

ヒトデヒットラーは、妻の腕輪を奪い取ってしまった。神敬介と立花藤兵衛は夫妻のことが心配になり、ホテルの夫妻の部屋へ行ってみることに。すると、部屋から出て行こうとするヒトデヒットラーたちと遭遇した。

『しまった!』
『よく生きていたな、神敬介!』

親衛隊員たちに道をふさがれ、反撃しようにも怪我をしている敬介には力が出せない。今ここでヒトデヒットラーを逃したら、設計図は二度と手に入らないだろう。藤兵衛と敬介は、逃げるヒトデヒットラーのあとを追った。

潜水艦で逃げるつもりなのか、海岸方面へ逃げていくヒトデヒットラーと親衛隊。敬介は親衛隊に追いつき、格闘になったが、怪我のために思うように戦えない。敬介の身体は、親衛隊員のひとりに十数メートルも投げ飛ばされてしまう。だが、ここが勝負ドコロとみた敬介は、Xライダーに変身した。

『セタップ!』
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ヒトデヒットラーがいつも放さず持つステッキに対して、Xライダーはライドルを引き抜くとライドルホイップ(剣)に変化させて戦った。電気を帯びたヒトデを投げつけてXライダーを感電させたり、必殺技「渦巻地獄」で海に引きずり込んでしまおうとするヒトデヒットラーだが、Xライダーにうまくかわされて陸での勝負に持ち込まれ、最後はXキックが炸裂した。

爆死したヒトデヒットラーの残骸と一緒に、怪人が持ち去った銀の腕輪が藤兵衛の足元に落下してきた。それを拾った藤兵衛は、負傷しながらも勝利した神敬介に感謝した。これで、9枚の内3枚の設計図が敬介たちの手に入った。残りの6枚は、一体どこにあるのだろうか。(終わり)


★★★★★★★★★★★★
インパクトのある怪人、ヒトデヒットラー。デスマスクのような顏は、気味が悪い!

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仮面ライダーX(9) [Xライダー・ドラマ1]

今回は、第28話《見よ!Xライダーの大変身・前編》を取りあげます。

原作;石ノ森章太郎
脚本;村山庄三
企画;平山 亨 阿部征司
音楽;菊池俊輔
技斗;高橋一俊
監督;内田一作


【前回までの話は・・・ 南原博士が脅されて開発したRS装置の設計図は、GODの手に渡らぬよう博士が9枚に破り、仲間の科学者に送った。そのうちの3枚を神敬介が手に入れ、GODが1枚を手に入れている。残りは5枚・・・】

◆朝刊を読んでいた立花藤兵衛は、ある記事に目をやると顏をしかめて、新聞を折ってテーブルに叩きつけた。

『クソッ、これで13人目だ。このままほっといたら、日本中の科学者が全部GODに殺されちまうぞ!』

科学者たちの変死体が連日のように発見されて、大きな新聞記事になっていた。どうやらGODは科学者を片っ端から襲って、残りのRS装置の設計図を回収するつもりのようだ。次にどこの誰が襲われるか分らないため、藤兵衛も神敬介も対策が立てられない。だが、13人目の犠牲者の記事が載った日に、ある情報を持って神敬介が藤兵衛の喫茶店に現れた。

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『おやっさん、これ見てください!犯行が行われる数日前、必ずこれが被害者の所へ送られてきているんです』
『これが、例の肖像画か!・・・』

肖像画のことは、記事になっていた。その実物を目の前にして、藤兵衛は思わずそう叫んだ。それは縦幅50センチ、横幅40センチ程の額縁に入ったフランスの英雄・ナポレオンの肖像画であった。一連の殺人事件とこの肖像画は関係があるにちがいないと、神敬介は睨んでいる。敬介から渡されたその肖像画をじっと見ながら、藤兵衛は考え込んでいた。

『うーん・・・すると今度は、どこの誰に・・・』

その頃、チコとマコの二人は、友人ヨッコの別荘へ泊りに来ていた。ヨッコは母と弟を連れてこの別荘に遊びに来て、チコとマコを誘ったのであった。ヨッコの父は有名な科学者で、野中陽一郎と言った。

避暑地に遊びに来たというのに、その晩の別荘は停電になり、真っ暗な中で一夜を過ごすことになった五人。チコとマコはダブルベッドで早めに就寝し、ヨッコも弟と母親と共に別の部屋で就寝していた。

すると、妙な音がすることにチコが気づき、マコを起して原因を探ろうとキャンドルに火を灯した。音のする方向へ、ふたりはゆっくりと歩いて行く。すると、ギィーッとトビラが開いて、別の部屋で寝ていたユッコが母と弟を伴ってやって来た。ビックリしたチコとマコは、怒った表情でこう言った。

『私達は度胸試しに来たんじゃ、無いのよ!』(チコ)
『そうよ、避暑に来たんだから!』(マコ)

ユッコ達も、なにやら変な音がすることに気付き、この部屋にやって来たのだと言う。

『ねぇ、ママ。やっぱりこの家には、私達以外に誰かいるのよ!』(ユッコ)

五人が集まったこの部屋で、雨も降っていないのに水が滴り落ちるような音がしているのだ。音がする方向には、ナポレオンの肖像画が飾ってある。灯りを近づけてよくその肖像画を見ると、ナポレオンの全身がびしょ濡れであった。水の滴るような音は、この肖像画から聞こえて来ていた。

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五人はそのことに気がついた途端、凍り付いたようになった。なにやらおかしな雰囲気が周辺を覆い始めた。肖像画のナポレオンが、笑っている様に見える。やがて肖像画のナポレオンは徐々に変化を遂げて怪人の姿になり、それは額縁から抜け出てきた。

『野中博士は、どこだ!』
『主人は、アメリカへ行っていて留守です。あなたは、一体・・・』
『(優しい声で)これはマダム、失礼を致しました。わたくしはGODの悪人軍団のひとり、クモナポレオンと申します。お見知りおきを・・・』

怪人クモナポレオンは丁寧な口調で自己紹介すると、野中博士から送られてきた設計図を渡すように迫った。野中の妻が「そんなものは知らない」と言うと、レディに手荒な真似はしたくないと言って、自分の手下の戦闘員に持っていた吸血グモを投げつける怪人。

戦闘員は苦しみ出して床に倒れ、空気が抜けるように身体がしぼみ、溶けてしまった。今度は野中の妻の頭の上に吸血グモを置いて、脅しをかけるクモナポレオン。恐怖におびえる母を目の前にした小学生のイタル少年が、こう言った。

『設計図なら、ボクが・・・』
『小僧、設計図がどうした?』
『お願い、止めて。設計図なら、ここに!』

野中の妻は懐から設計図を出すと、クモナポレオンにとうとう渡してしまった。そこへ現れたのが、神敬介だった。野中博士が狙われる可能性があると踏んだ敬介は、バイクで向かっていた。ちょうど別荘に着いた時に悲鳴がきこえたため、急いで家の中へ駆け込んだ。

『おやっさんから君達がここに来ていると聞いて、飛んで来たんだ!だが、もう大丈夫だ』
『お前が神敬介か。俺はお前を、必ず殺す。俺の辞書に、不可能という文字は無いのだ!』

だが、暗闇に紛れて、クモナポレオンは姿を消してしまう。南原博士の設計図は、クモナポレオンの手に渡ってしまった。設計図を取り返すため、怪人の行方を追って、神敬介はある場所へやって来た。すると、敬介に向かって音も無く忍びよって伸びて来た白くしなやかなクモの糸の束は、そのまま右足に巻き付いた。

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それは、クモナポレオンが操るエネルギーを吸収するクモの糸であった。右足に巻き付いたクモの糸をそのままにして、神敬介はXライダーに変身した。

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だが、Xキックが怪人に通用しない。パンチも通用しない。身体の力が抜けていき、立っていることが出来なくなってきた。どうした事か分らぬまま、Xライダーはクモナポレオンのクモの巣に身体を縛られて、身動きができなくなってしまった。

クモの巣に引っかかった昆虫をクモが捕らえるがごとく、腰に差しているサーベルを引き抜くと、クモナポレオンはとどめを刺すべく、ジリジリとXライダーに寄っていく。

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『待て!』
『貴様は、何者だ!』
『俺の名を知らんとは、お前も大したことはないな!俺の名は、仮面ライダーV3!』

突如現れたライダーV3は、クモナポレオンに無礼な言葉を吐いて、ヤツを怒らせた。そして、ヤツの気を自分に引きつけておき、Xライダーから離れたその隙に、巨大クモの巣に閉じ込められて動けないXライダーを救出すると、ふたりとも姿を消した。

『どこへ行ったV3、怖気づいたか!』
『ハハハハ、そうリキむな、クモナポレオン!今は、お前と戦っている時ではない。この勝負、預ける!』

焦るクモナポレオンの耳に、余裕あるライダーV3の声が響いていた。(つづく)


★★★★★★★★★★★★
何の前触れもなく、出現したライダーV3。ウルトラマンシリーズが1973年4月からのウルトラマンAで、ウルトラ兄弟という設定をスタートさせている。1974年放送の仮面ライダーXは、ライダー兄弟(改造人間という同じ境遇の仲間といえる)設定の出発点といえる。

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