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コンドールマン(18) [コンドールマン・ドラマ2]

今回は、第9話《恐怖の吐かせ屋! / 後編》を取りあげます。

【前回までの話は・・・ゴールデンコンドルに化身したコンドールマンは、遂にレッドバットンを倒す。妹を殺された姉のゲムスラーは、コンドールマンへの復讐に燃える。まず新たなるモンスター・コインマーを日本へ呼び寄せて第二次食糧輸送船団を海に沈めると、2回の輸送船団を沈めた犯人がコンドールマンであるが如く話を仕組んだ。話を仕組んだ張本人は黒井食糧大臣で、彼はモンスター・ゼニクレージーなのだ】

◆まことの友達の一郎は、父・善郎と一緒に海釣りに出かけていた。モーターボートで沖へ出たふたりは深い霧に包まれる中、幽霊船のような第二黒洋丸を見かけた。それは日本へ向かっていた食糧輸送船団の一隻で、コインマーの襲撃を受けて横取りされた食糧すべてを魔界島に運んでいる途中なのだ。国会議事堂内の大臣室にレオナ高倉とケニアの吐かせ屋を呼んで、黒井大臣は今後の打ち合わせを始めた。大臣はレオナに向かって言った。

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『第二黒洋丸は無事に魔界島に着いたので・・・』
『他の船の食糧も、ちゃんと積んでいたんだろうね?』
『ぬかりあるものか。この調子で第三次、第四次の輸送船団爆破もみんなコンドールマンの所為にして、沈んだと思わせた食糧品をガッポガッポといただく!アハハハ』

友好国から日本へ運ばれるはずの食糧は、こうして黒井大臣の手引きによって魔界島へすべて運び込まれる計画であった。船を襲ったのはすべてコンドールマンであり、日本人にコンドールマンを敵だと思わせるのがこの計画なのである。

『一刻も早く、コンドールマンを追い詰めておくれ。そして、もっともっと悪者に仕立てあげるんだ!そうやって追い詰めれば、コンドールマンは焦る。そこにワナを仕掛けて・・』
『捕まえたあとは、このケニアの吐かせ屋の出番!オホホホ』

すべてのことは自分に任せておくようにと黒井大臣はレオナに言うと、手のひらをレオナに向けて差し出した。

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『この前、渡したばかりじゃないか!』
『総選挙が近づいているんでね!ヘヘヘヘヘ』

仕方がないという顏をして、レオナは足元に置いたアタッシュケースを両膝の上にのせると、中から札束を二束出して机の上に置いた。

『もっと!』

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(うれしそうなゼニクレージー)

ガメツイ奴だという顏をしながら、レオナは更に四束を先程の二束の上に重ねた。黒井大臣が満足そうな顏で右手を札束の上に置いた瞬間、我慢しきれずうれしそうな顏のゼニクレージーに変身した。ベルトの前面に付けた大きなポーチを開けると、うれしそうに次から次へと札束を中へ入れていく。

『私も!』
『分かってるよ』

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(うれしそうなコインマーは・・・)
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(磁石でコインを吸い付けてバリバリ)

ケニアの吐かせ屋が、今度はレオナに手のひらを差し出した。レオナはアタッシュケースから白い袋を取り出し、袋の中のコインを机の上に山積みにした。よだれを拭くようにあごに手を当てたコインマーは、人間態からモンスターへと姿を変える。モンスターの左手が磁石になっていて、コインを吸いつけるとバリバリ音を立てて食べ始めた。コインばかりを好むこのモンスターを、レオナは呆れ顏で見ていた。

『かつてコンドールマンは正義の味方のフリをしていた時があったが、今やヤツは我ら民衆の敵であることがハッキリした!(そうだ!)飢えに苦しむ人々の唯一の希望を踏みにじったコンドールマンを倒せ!(たおせ!)』

街頭演説をしている男は、ケニアの吐かせ屋であった。その周囲を目つきの悪い男達が取り囲み、吐かせ屋の演説に同意するシュプレヒコールをしている。集まって来た人達は、食糧輸送船団爆破事件がコンドールマンの仕業であるかのように話す黒井大臣をテレビで観て、コンドールマン憎しの方向に傾きかけている。

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『うそだ!コンドールマンは敵なんかじゃないわ!コンドールマンは正義のシンボルよ、貨物船なんか沈めやしないわ!』

怒りと興奮に任せて、まことはケニアの吐かせ屋に向かって言った。負けずに、石松も言う。

『そうだ!コンドールマンが沈めたなんて、デマだ!』
『黙れ、小僧!黒井食糧大臣がそう言っておられるのだ。大臣の言うことに間違いはない!』
『コンドールマンが正義のシンボルであることも、間違いないわ!』
『民衆の敵をかばうとは、何事だ!そんなヤツは子供でも許さん!』

男達が石松とまことを殴り始めると、周囲にいた大人たちも一緒に殴り始めるのだった。吐かせ屋と数人の男達はそれを見てニヤリと笑うと、その場から立ち去って行った。数人の男達は、魔人コンバットなのである。

『止めろ!子供に何をするんだ!』

一心は群衆の暴力に飛び込んでいくと、カラダを張ってまことと石松を群衆から逃がした。そして人々の怒りを自分に向けさせ、代わりに殴られるのだった。一心の名を呼ぶまことを匿い(かくまい)ながら、石松はその場をあとにした。

(ナレーション;飢えに苦しむ人々の深い憤りを知るコンドールマンは、甘んじて殴られた。それは、まだモンスターを倒すことの出来ない自分に対する人々の怒りでもあるのだと、自らに言い聞かせるのだった)

自分の住むアパート「天馬荘」の一室で、一心は包帯姿でベッドの上に横たわっていた。さゆりが、一心をかばうようにして人々から守ってくれたおかげであった。一心に助けられたまことが父に連絡をしたのだろう、まことの父の後輩でカメラマンのマキが駆けつけて来た。食糧事情が悪い中、田舎から送ってくれたイモを持ってきてくれたのだ。

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『一心君、だいぶ酷く殴られたらしいじゃないの?いくら強くても、相手が大勢じゃね』

台所にいたさゆりが現れ、早速イモを蒸かしましょうと言う。マキはそれを聞いて、一心の右肩を思いきり叩くとお道化て言った。

『一心君。御安くない*わね!』
*御安くない(おやすくない);男女の間柄の親密さを羨望し、からかう語)

その頃、一郎と善郎はエンジンが壊れて使い物にならないモーターボートをオールで懸命に漕いで、ようやく海岸に流れ着いていた。ヘトヘトに疲れた父に代わり、元気のある一郎は海岸を上がった所に公衆電話ボックスを見つけると、まことに電話した。

『もしもし、まことちゃん?あのね、ボク見たんだよ。沈んだはずの第二黒洋丸がね・・』
『あ、一郎君。えっ?幽霊船って?』
『そう。だからさ、まことちゃんのお父さん、新聞記者だろう?お父さんに電話して(
ツーツーツー)』

10円玉1枚しか入れなかったため、一郎の通話は途中で切れてしまった。もう1枚10円玉をいれようと、一郎はポケットをまさぐった。運の悪いことに、一郎の背後からケニアの吐かせ屋が近づいて来て、一郎の話に聞き耳を立てていたのだ。一郎がもう1枚10円玉を投入口に入れようとしたら、何かに引っ張られるように10円玉が後方へ飛んで行ったので、後ろを振り向いて一郎は驚く。モンスターが左手の磁石に吸い付けた10円玉をはがして、バリバリと食べていたのだ。

通話が途切れたまま電話がかかって来ないので、一郎のことを心配したまことは父には連絡せず、一心の住む天馬荘へ駆け込むと一郎とのやりとりを一心に伝えた。

『一心お兄ちゃん、たいへんよ!沈んだはずの第二黒洋丸を、一郎君が見たんですって!』
『なんだって?』

それを聞いて一心は、グズグズしていれば一郎の命が危険だと判断した。一郎の居所は分からないが、海岸近くの公衆電話ボックスからかけてきたらしいことを手がかりに、一心は行動を起こす。
(終わり)


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街頭演説する男(コインマー)を取りまく数人の男達の中に、のちに宇宙刑事ギャバンで主役を演じる大葉健二氏がいた(6番目の写真)。コンドールマンは1975年放送、ギャバンは1982年の放送である。

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