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ダイヤモンド◇アイ(9) [ダイヤモンドアイ・ドラマ1]

今回は、第5話《消えた20億! / 前編》を取りあげます。

  企画;衛藤公彦
  原作;川内康範
  脚本;伊東恒久
  音楽;池多孝春
  殺陣;渡辺高光
特技監督;真野田陽一
  監督;高瀬昌弘

【前回までの話は・・・身を隠すように言われた大沢山剛造は、ダン会長に指示されるまま「アジアの資源を調べる会」の本社ビルへ向かった。一方、京子の家を訪ねたライコウは、大きなスーツケースを抱えて出かける大沢山を見かけると、そのあとを尾行した。すべては、大沢山とライコウを一度に始末するために源海龍が仕組んだシナリオであった。ダン会長は源海龍の正体を現して大沢山を殺害し、ライコウに襲いかかった。光の当たらない部屋に追い詰められたライコウは知恵を絞ってダイヤモンド・アイを呼ぶと、マシンガンのジョーこと魔人ケラリンを倒す。しかし、源海龍には逃げられてしまう・・・】

◆スーツケースを開けて大量の現金を目の前にした源海龍は、満足げに笑っていた。大沢山剛造を始末し、予定通り彼の全財産を手にしたからだ。朱玉に、次の命令をする源海龍。

『次の攻撃目標は、見国化学工業の社長・三国重助。不正乗っ取りと公害工場で私腹を肥やしている。その不正をネタに、ダイヤを売るとみせかけて全財産を奪い取る。もう一つ、我々の邪魔をする雷甲太郎を、大至急始末せよ!』

朱玉は、新たな刺客・首切りジャガーを呼び寄せる。源海龍は、雷甲太郎とダイヤモンド・アイの関係を探り出して闇へ葬るようにと、ジャガーに指示した。

ライコウは、京子の父・大沢山剛造の命を救うことが出来なかったことに罪悪感を覚えていた。ひとりで敵のアジトに乗りこまずに警察に知らせていれば、大沢山は助かったかもしれないと後悔するのだった。荒波が打ちつける岩場で海を見ながら、京子のために「仇は必ず取る」ことを心に誓うライコウ。だが、そのライコウに刺客が迫っていた。ブーメランがライコウを襲う。岩場の隙間へ隠れたライコウは、見えない敵に向かって叫んだ。

『出てこい!朱玉の殺し屋か!』
『首切りジャガー様が、地獄へ送ってやる!』

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(新たな殺し屋・首切りジャガー)

左手に巨大なカマを持ち、黒いハットをかぶって紳士然とした殺し屋・首切りジャガーが、ブーメランを自在に操ってライコウを狙う。まるで意志があるかのように、ブーメランはライコウの姿を認識して飛んで来る。ブーメランがライコウを直撃したように見えたが、砕け散った岩と一緒にライコウも海に落下した。ライコウが海から上がって来ないことを確認したジャガーは、「これで(アイとライコウの内の)1人は片付いたな」と満足げな笑いを浮かべて、姿を消した。

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『あんたも、新聞社の人かね?』
『いいえ、週刊誌の記者です』

荒海に投げ出されたライコウは、年老いた漁師に助けられていた。怪我の手当てと濡れた服をたき火で乾かしながら、老漁師はライコウに訊ねた。

『あんた、見国化学の工場を調べに来たんじゃなかったのかい?』

この場所から向こうに見える岬に、煙突が十数本立っている。それを指差しながら、老人は話した。

『あれが見国化学の工場だ。あの工場の流す廃液で、この1~2年でこの付近の海は死んじまったよ』

役人が調査に来ると金をつかませて誤魔化し、新聞記者が取材にくると暴力を使って追い返すという汚いやり口を繰り返していたと、老人は話す。この老人は、つい先日もおぼれかけていた新聞記者を救ったので、ライコウを見て、またかと思ったのだ。

『ま、危ないとこへは、近寄らんこっちゃな』
『おじさん、ありがとう』

老人にお礼を言ったあと、ライコウは岬に立つ煙突群をじっと見ながら、ルポライターとしての使命感が沸き上がるのを感じていた。

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その頃、「アジアの子供が手をつなぐ会」の総裁を名乗る男が、見国化学工業社長の三国重助に面会を求めていた。社長室に通された男は、自分は恵まれないアジアの子供たちの為に働いている者だと説明した。そして、アタッシュケースを開けると、そこに並べられたたくさんのダイヤモンドを見せた。国連慈善事業部からの多額の寄付がすべてこのダイヤモンドの現物なので、これらを三国社長に買ってほしいと男は言う。

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(三国社長(右)に脅しをかける総裁を名乗る男)

『恵まれない子供たちの為に、一個ぐらいなら協力しましょう』
『全部買っていただきたい。あなたの工場は安全設備を整えると誤魔化して、莫大なる利益を上げている。あなたの不正を暴露するために、政府機関が活動を始めましたよ』

男は会社を脅迫するような内容を言ったが、「言いがかりだ」と最初は突っぱねる三国社長。だが、政府機関が動き始めたという情報が、気になっていた。

内線電話が鳴って三国が受話器を取ると、ルポライターの雷甲太郎が社長に面会を求めているという内容だった。三国が追い返すように言うと、屈強な5人の警備員たちが雷甲太郎を担ぎ上げ、力づくで会社の敷地の外へ放り出した。一方的に追い出そうとする警備員たちに、「工場の廃液と一緒で腐り切ったやり口だ」と、ライコウは怒りを露わにする。

すると、ライコウの背後にいた警備員が警棒でライコウの背中を殴り、ライコウは不意を突かれて倒れ込んでしまう。それを見ていた若いスーツ姿の男が、警備員の一人に殴りかかった。ライコウも態勢を立て直し、若い男と背中合わせになって、警備員たちと対峙した。

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『大丈夫か!』
『ああ。こんな卑怯な奴ら、やっつけるのに助っ人はいらない!』
『だが、1人に大勢で襲いかかる卑怯者を、オレは許せん!』

7人での乱闘になったが、誰が通報したのか、パトカーのサイレンの音が段々近づいて来ると、警備員たちは逃げるようにその場を去っていった。

『やるな!俺は雷甲太郎』
『北見八郎だ。じゃあな!』

互いの健闘を称えあって、ふたりは別れた。その直後、ライコウは見国化学の正門を猛スピードで出て行く車を目撃する。見国社長には来客がいたのだ。それは源海龍かもしれないと、ライコウの勘が言っている。ライコウは、すぐに車のナンバーを海藤警部に問い合わせた。

車は、「アジアの自然を守る会」の所有であることが分かった。ところが、ライコウがその会社を訪ねると、住所も電話番号もまったくのデタラメであることが判明した。ライコウの中で、アジアの自然を守る会と見国化学工業との関係が増々気になりだした。

『一体、アジアの自然を守る会っていうのは、どんな会なんだ?』

今日は、カボ子と五郎のお店がオープンする日だった。店の名前は、サンダー。若い仲間のたまり場的な店にしようと、開店したのだ。お店で得た利益が、ライコウを助ける資金にもなる。モンちゃんの姉のフーコが、仕事の合間に店を手伝ってくれる。ライコウもモンちゃんを連れてお店に入って行くと、そこには早川編集長がお客第一号として座っていた。

『編集長、昼間から油売っていていいんですか』
『何を言ってるんだ!お前にルポを頼みに来たんだぞ!』
『ちょうど良いネタがあるんですよ。見国化学の公害工場!』
『相手が見国化学なら、叩けばホコリがでるだろう。よし、やってみてくれ』

以前から何かとウワサの絶えない見国化学なので、早川編集長は早速ライコウにルポを依頼した。

大沢山を殺した源海龍を必ず追い詰め、娘・京子のためにかたきを討つと、ライコウは心に決めている。今日は、その大沢山の初七日だと早川編集長が言った。「行くべきだろう」と言う編集長に、「あの人は自分とは会わないだろう」とライコウは言った。正義のための戦いだったとはいえ、たった一人の父を殺された京子は自分を恨んでいるに違いないと、ライコウは思うのだ。

だが、カボ子や五郎、フーコも、弔問へ行くことをライコウに勧める。ライコウは心を決めて店を出て行くと、店の前の路上でブーメランがライコウを襲ってきた。あの首切りジャガーのブーメランであった。
(つづく)


★★★★★★★★★★★★
首切りジャガーを演じているのは、黒部進氏だ。東宝映画でも、悪役を演じることが
多い黒部氏。ウルトラマンのハヤタ隊員は、数少ない正義の味方役かもしれない。

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