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コンドールマン(14) [コンドールマン・ドラマ2]

今回は、第7話《怪!モンスター貴族/ 後編》を取りあげます。

【前回までの話は・・・レッドバットンの猛攻の前に、深傷を負ったコンドールマン。三矢一心の恋人・寺田さゆりは、一心の墓参の帰り道に深手を負ってさまよう一心を見かける。三矢一心と瓜二つのコンドールマンを見て、一心に再会できたことを喜ぶさゆりだったが、やがて別人であることが分かると、深傷を負ったこの青年を介抱するために自分のアパートへ連れて行くのだった】

◆翌朝。コンドールマンが目覚めると、そこはアパートの一室であった。そこが昨日偶然出会った女性の部屋であることが分かり、女性に感謝すると同時にレッドバットンとの再戦ではなんとしてでもゴールデンコンドルの超能力が必要だと強く思うのだった。

魔人コンバットを従えたレッドバットンは食糧輸送トラックを次々と襲い、運転手たちを殺害して義賊とは名ばかりの略奪行為を行っていた。略奪と殺害を行なうのは、コンドールマンを誘い出すための作戦なのだ。

(ナレーション;その頃、コンドールマンはゴールデンコンドルの化身を会得するため、ひとり山にこもって修行をしていた)

レッドバットンの新しいアジトに、英国紳士風の男が黒塗りの車に乗ってやって来た。車を降りた紳士は、空気の悪さに思わず言った。

『臭いな。イングランドの我が屋敷に比べれば、まるで犬小屋だな』

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正門の前で警備員の男に職務質問をされた紳士は、警備員を殴り倒してその生き血を吸ってしまった。警備員の姿をしていたのは魔人コンバットで、血を吸われた魔人コンバットはあっという間に紙の様にペラペラになってしまう。その様子を見ていたルイザ高倉は、怒りながら紳士に向かって拳銃を構えた。

『おのれ、よくも私の部下を!殺してやる!』
『お前も同じ下品なヤツらしいが、こうなりたいか?』

その時、ルイザに瓜二つの顏の女性が現れ、ムチをしならせてルイザの拳銃を取り上げた。怒りを抑えるようルイザに言うこの女性は、ルイザの双子の姉・レオナ高倉だ。レオナは、妹ルイザの様子を見て言った。

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(我こそはミスター・ダン阿久魔!)

『ルイザ、かなり焦っているようね』
『それより、このヘンなのは誰?』
『ん?ヘンなのとは、何たる侮辱。我こそヨーロッパはドラキュラ伯爵の又従兄弟、その名もミスター・ダン阿久魔!』

ダン阿久魔が自分は高貴な出だということを鼻にかけるので、気が強いルイザは反発する。ダン阿久魔はルイザに力を貸すため来日したのだが、ルイザの生意気な態度に決斗を申し込むと言い出した。

『お止し!ふたりとも。協力してコンドールマンを倒し、日本人を飢死させるのです!』

レオナの声が全く聞こえないふたりは、協力する様子などみじんも見せようとはしない。とうとう腹に据えかねたレオナは、二人に向かって大声で言った。

『これは、キングモンスター様のご命令です!』

キングモンスターの秘書をするレオナ高倉の言葉は、そのままキングモンスターの命令と同じだ。手を組みたくない相手だと思いながら、ふたりは渋々右手を挙げて誓いを立てた。

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(中央がルイザ、右がレオナ)

『ハールマゲドン』
『ハールマゲドン』
*ハールマゲドンとは、モンスター一族が帝王キングモンスターへ誓いを立てる時の言葉である

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寺田さゆりが外出先から戻ってみると、部屋に一心はいなかった。部屋に何の飾り付けもせず質素な生活をしているさゆりは、お膳の上にいつも花を一輪だけ空き瓶に差して置いている。その一輪の黄色い花の横に、「ありがとう」とひと言だけ書かれた手紙が置いてあった。それを見たさゆりは、一心が何かうわごとを言っていたことを思い出し、恋人の無事を祈るように心の中でつぶやくのだった。(あなたは、何か大きな敵と戦っていることが分かりました。わたくしには何の力も無いけど、ご無事を祈らせてください)

《紅コウモリ団 食糧輸送トラックを襲う》と新聞の見出しに大きく書かれ、紅コウモリが社会の敵であることは国民の誰もが知るところとなった。食糧難にあえぐ病人や子供たちのために、三矢源太郎は地元の農家からようやく買い付けたジャガイモを、これからトラックで運ぶ計画を立てていた。毎日のように食糧輸送トラックが襲われているのにコンドールマンが現れない事に、石松は怒りと不安を思わず口にした。

『こんな時、コンドールマンは何しているんだよ!』
『おい石松。コンドールマンの悪口を言っちゃいけねぇな。人の為に命を張ってなさるんだ。俺たちも自分に出来ることで、コンドールマンさんを応援しなくちゃ、な!』

源太郎は、まず自分達で出来る事をするんだと石松を穏やかに叱りつけた。たみ子が残り少ない食材で作った朝食のスープを飲み干すと、源太郎はジャガイモを積んだトラックをひとりで運転して行くつもりなのだ。ジャガイモは何台かのトラックに分けて別の荷物に見せかけて運べば大丈夫だと、源太郎は思っている。

今朝早く、0号線を走る食糧輸送トラックが紅コウモリ団に襲われて死者が出た。このニュースは、源太郎の耳にはもちろん入っていない。病人や子供たちの待つ場所へはこの0号線を使って行くのが近道だと源太郎は考え、0号線を走ることに決めていた。

魔人コンバットたちがトラックを襲う現場には、レッドバットンと共にダン阿久魔も一緒にいる。しかし、ダン自身は襲撃に手を貸そうとはせず、高い場所から椅子に座って襲撃する様子を見物しているのだった。それを見たレッドバットンがダンに襲撃を手伝うよう命令すると、ダンは応えて言った。

『予の様な貴族に、下品な泥棒のようなマネができるとお思いか?コンドールマンを倒すのが予の使命、それ以外は興味は無いの!』

シルクハットに燕尾服姿のダンがそう言うと、キングモンスターの命令とはいえ、一緒に戦う仲間としてゴキブラー以上にイヤなヤツだと、レッドバットンの顏は怒りに震えていた。

一方、山にこもって修行中の一心は、修行が思うように進まないことに焦りを感じていた。自分の留守中にモンスター一味が悪事を働き、まことや石松、それに正しいことを信じている仲間たちが苦しんでいるかもしれないと思うと気が気でなかった。だが、今ここで山を下りることはできないと一心は思う。そこで一心は転身術を使い、鳥に自分に代わってまこと達の様子を見に行かせることにした。

三矢家の樹に止まった小鳥がジッと見つめている先には、石松が電話口で険しい顔をして懸命に何かを話している。

『オヤジさん!0号線は紅コウモリ団が出るんだ!遠回りしなくちゃ!』

だが、病人や子供たちに少しでも早く食糧を届けるため、そして何よりもモンスターなんかに殺られるものかと意気込む一本気の三矢源太郎の気持ちが、近道の0号線を選ばせるのだ。案の定、源太郎のトラックはレッドバットンの襲撃を受けてしまう。

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トラックのフロントガラスの上からレッドバットンの逆さの顏が運転席を覗き込み、ニヤリと笑う。驚いた源太郎が急ブレーキをかけると、停車したトラックを魔人コンバットたちが取り囲んだ。車内から引っ張り出された源太郎は、殴る蹴るの暴行を受けて意識を失ってしまう。

『今回も、どうやら無駄骨だったらしいな』

ダン阿久魔は、コンドールマンが現れないことを揶揄しバカにするようにレッドバットンに言葉をかけた。その時、源太郎を助けるために配達車に乗って現れたのは、アメリカンフットボールの防具を付けた石松だった。ふたりのモンスターに果敢に立ち向かった石松だが、ダン阿久魔に簡単にノックアウトされてしまう。

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『さて、エネルギーを消耗した後は栄養をとらなくちゃな』

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ダンは石松の生き血を吸おうと、モンスター・ダブルバットに変身した。
(終わり)


★★★★★★★★★★★★
ダブルバットは、モンスター貴族を自称する怪人なのだ。演じるのは、特撮界の名優・潮健児氏。シルクハットに燕尾服姿は、悪魔くんに登場する「メフィスト」を彷彿とさせる。

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コンドールマン(15) [コンドールマン・ドラマ2]

今回は、第8話《やったぞ!3段化身 / 前編》を取りあげます。

企画;愛企画センター
原作;川内康範
脚本;伊東恒久
音楽;鈴木邦彦
擬斗;金田 治(JAC)
造形デザイン;成田マキホ 平田昭吾
特撮;㈱特撮研究所
監督;奥中惇夫

【前回までの話は・・・コンドールマンを倒すため、英国からダン阿久魔ことダブルバットが来日した。ダブルバットはレッドバットンの部下に位置づけされるが、ふたりは馬が合わず互いに非協力的であった。コンドールマンをおびき出すために略奪と殺人を繰り返すレッドバットン。そして、三矢源太郎のトラックがレッドバットンに襲撃されてしまった】

◆また今回もコンドールマンが現れなかったため、ダン阿久魔はレッドバットンをあざ笑っていた。そこへ配達車に乗った石松がやって来た。電話で源太郎を説き伏せられなかった石松は、アメフトの防具を着て源太郎を救出に来たのだ。だが、ダン阿久魔は石松を簡単にノックアウトすると、その生き血を吸おうとダブルバットに変身した。ダブルバットの右手のヒラには牙が生えた口があり、それで獲物の生き血を吸い取るのだ。

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『待て!正義のシンボル・コンドールマン!貴重な食糧は私が渡さん!』

ブレーキ音がしてダブルバットが振り向いたその先に、マッハコンドルに乗ったコンドールマンがいた。コンドールアロー(羽手裏剣)が飛んで来てひるんだダブルバットは石松から離れ、石松は血を吸われるところを免れた。素早い動きでコンドールマンは石松を助け上げると、石松に源太郎を助け起こすように言った。石松と源太郎は急いでトラックに乗ると、その場から脱出することに成功した。

『ダブルバット、お手並みを見せてもらうわ』
『待ちかねたぞ、コンドールマン!このダブルバットが、貴様の生き血を残らず頂く!』

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コンドールマンの刺客としての誇りが、ダブルバットを勢いづける。ダブルバットのステッキの柄がコンドールマンの首に引っ掛かり、首根っこを押さえつけられたコンドールマンは動きを封じられてしまう。血を吸おうと牙の生えた右手が、ジリジリとコンドールマンに迫ってくる。近づいてくるダブルバットに向かって、ベルトのコンドールマウスからショックパンチを放つコンドールマン。だが身軽なダブルバットは、瞬時に空へと逃げた。

『バカメ!これでも食らえ!コウモリミサイル!』

ダブルバットは飛行しながら反転し、右手の牙のある口から小型ミサイルを連射した。コンドールマンは走って必死に逃げるが、この辺りは採石場のような土地で隠れる場所が無い。小型ミサイルが着弾して二度三度と火柱が上がり、四度目の火柱が上がった時にコンドールマンの姿が消えた。レッドバットンもコンドールマンを見失い、飛行していたダブルバットは地上に下りて来てコンドールマンを探し始めた。辺りを見回しながらダブルバットは言った。

『どうやら、粉々らしいな!エヘヘヘへ・・・だ、誰だ!俺の足を引っ張るヤツは!』

ダブルバットは両足首を何者に掴まれ、背中からバタリと倒れてしまう。地中に隠れていたコンドールマンの仕業であった。叫び声を聞いて、レッドバットンや魔人コンバットたちがダブルバットの元へ集まって来た。ジャンプして地中から抜け出たコンドールマンは、大勢の敵に囲まれていた。

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飛行して襲って来るダブルバットに向けて、コンドールアロー(羽手裏剣)を投げつけるコンドールマン。それがダブルバットの心臓に突き刺さり、飛行制御できなくなったダブルバットは崖下へ転落、地面に激突して意識が朦朧となった。

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『おのれ、コンドールマンめ。地獄へ、道連れだぁ、コウモリミサイル!』

断末魔の叫び声と共に、一発の小型ミサイルをコンドールマンめがけて撃ち込んだダブルバット。火柱が上がり、それはコンドールマンと戦っていたレッドバットンをも巻き込んだ。火柱を見たダブルバットは満足げに笑うと消滅し、あとにはシルクハットが1つ残っていた。

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爆発を知ってレッドバットンを探しに来た魔人コンバット数名が倒れているレッドバットンを発見、意識を回復したレッドバットンは周囲を見回してコンドールマンを探した。そしてレッドバットンがコンドールマンを見つけるのとほぼ同時に、コンドールマンも気がついた。

部下にマシンガン攻撃を命令するが、走って逃げながらコンドールマンはベルトのコンドールマウスから煙幕を発射し、姿をくらますのだった。(一刻も早く、ゴールデンコンドルの化身を会得しなければならない)戦っても勝てないことを、コンドールマンはよく分かっていた。

(ナレーション;食糧危機は深刻になり、栄養失調の病人は各病院に満ち溢れた。その頃、三矢源太郎が命がけで運んで来たジャガイモは、石松とコンドールジュニアの手によって病院などに少しずつ配られていった)

病院の入口にはジャガイモを求めて人だかりができていた。みんなの笑顔を見たまことは、石松に言った。

『もっとたくさんあればいいのに』
『うん。でも、これでみんな勇気が出るよ!』

石松が答えると、看護婦さんが新聞を持って走って来た。記事には次のようにある。
《友好国から食糧援助 輸送船 明日入港》
食糧省の黒井大臣の働きかけによって、日本に食糧が大量に入って来るというのだ。この記事に、まことも石松も喜びを爆発させた。

その頃、モンスターのアジトに新しい司令官が着任していた。レオナ高倉はダブルバットの敗北を知り、コンドールマンをみくびってはいけないと思っていると部屋に男が入って来た。男の名は、J・ゴードン。ゴードンは、高圧的な態度でレオナ高倉に向かって言った。

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『キングモンスター様直々の命令で、極東司令官として着任した。これ、辞令!』
『失礼しました。ミスター・ゴードン』

ゴードンに言われ、レオナ高倉はたった今から司令官付き秘書官としてゴードンの指揮下に置かれることとなった。

『早速だが、ミス・レオナ高倉。君達の作戦の失敗、死刑に値する!見てみろ!外国から食糧輸入されて、どうするの!我々の努力、水の泡!』

たった今から紅コウモリ作戦は中止し、新しい作戦で日本を制圧するとゴードンは言うのだ。ゴードンは食糧省の黒井大臣に面会を申し込んだ。面会室に笑顔で黒井大臣が入って来て、ゴードンと握手を交わした。

『しばらくでしたな、ミスター・ゴードン』
『ハーイ、ミスター・黒井食糧大臣。お忙しいところをどうも。今や大人気ですな!』

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ゴードンの褒め言葉に黒井大臣は上機嫌で、食糧輸入が上手くいったことで次の選挙も安泰だと自画自賛して笑った。

『その貨物船のね、入港時刻とコースを教えていただきたい!』

船のコースは国家機密だから教えられないと黒井大臣が渋ると、ゴードンは持って来たアタッシュケースの中から札束を取り出し、机の上にポンと2束置いた。

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『ん?君は大臣を買収すると・・・』

ゴードンはさらに2束置き、大臣が知らん顏をするとさらに2束を札束の上に重ねた。

『いやぁ、政治というモノは銭のかかるものでね。しかし、銭というモノは実にいい、アハハハハハ』

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大笑いしながら、黒井大臣は突如モンスター・ゼニクレージーに変身した。そして目の前の札束を掴むと、ベルトの前面に付けた大きなポーチに札束を次々と投げ入れたのである。

日本の食糧大臣は、モンスターだったのだ。ゼニクレージーは、船のコースが知りたいならもっと銭をよこせとゴードンにせびる。すると、ゴードンはキングモンスターからの辞令を見せ、ゼニクレージーを怒った。

『いい加減にしないか、ゼニクレージー!』
『はっ、極東司令官殿!ハールマゲドン!』

ゼニクレージーは急に起立すると、キングモンスターのサインが入った辞令に向かい、右手を挙げて誓いを立てた。ゴードンはモンスター・サラマンダーに変身すると、食糧輸送船の襲撃地点をどこにするか考え始めた。
(つづく)


★★★★★★★★★★★★
ミスター・ゴードン役は、これも特撮界ではお馴染みの大月ウルフ氏である。片言の日本語で台詞をしゃべるので、あんな感じになります。

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コンドールマン(16) [コンドールマン・ドラマ2]

今回は、第8話《やったぞ!3段化身/ 後編》を取りあげます。

【前回までの話は・・・コンドールマンの刺客として英国からやって来たダブルバット。源太郎のトラック襲撃現場で、両者は対決する。空中からの自在の攻撃に空を飛べないコンドールマンは苦戦するが、一瞬のスキを突いて放ったコンドールアローがダブルバットにとどめを刺した。新たに極東司令長官としてゴードンが着任し、ゴードンの指揮下で紅コウモリ作戦に代わる新しい作戦が開始される】

(ナレーション;その頃、モンスター一族の悪だくみが進んでいるとも知らず、コンドールマンは山中で修行に励んでいた。タバ老人は、ゴールデンコンドルに化身するためには天・地・人の修行が必要だと言った。一心は今、その基礎となる体力を鍛えに鍛えていた)

『万物に生命を与えたる太陽よ、我に力を与えたまえ』

一心はより高い崖から飛び降り、飛ぶための技術を必死に会得しようとしていた。だが、飛ぶとはどういうことなのかを知らずに、飛ぶことは出来ない。壁にぶつかった一心の前に、タバ老人が現れる。

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『第一に体力。即ち「人」の修行は、見たところ終わった様じゃ』
『では、第二の修行に?』
『うん。心を鍛える「地」の修行。心を空(くう)にする、即ちあれじゃ!』

そう言って、タバ老人は空を指差した。

『空を行く雲の心。それが会得できれば、「天」はおのずから開けてくる』
『雲の心・・・どうすれば雲の気持ちに?』

タバ老人は向こうに見える高さ10メートルほどもある木を杖で指しながら、驚くべきことを言った。

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『ならば、あの木のてっぺんに座ってこい。それで解かる』

葉が生い茂っているだけの木のてっぺんに、どうやって座るというのだ。タバに教え導いてもらえると思った一心は、驚きの余り、弱音を口にした。

『そんな無茶な!』

しかし、タバ老人の目は、本気で一心を見つめている。

『ヨウシ!』

心を切り替えた一心は、すぐにその木に向かって走り出した。てっぺんを目指し、一心は必死に登っていく。だが、3メートル程登った所で、一心はふと考えた。(こんなことをしている間にも、モンスター一味が・・・そうだ、こんなことはしていられない)登っていた木から急に下り出した一心は、どこかへ向かおうとする。が、一心の足元にタバの杖が突き刺さる。

『コンドールマンの使命は人々を助け、モンスターを倒すこと。己の心一つコントルールできんで、どうする!』

自身の焦る心に惑わされる一心を、タバは怒った。そして、用意した長さ3メートル、直径20センチ程の丸太を大地に突き刺すと、タバは静かに一心に言った。

『まず、あの上に座れ』

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一心は、「これがモンスターとの戦いなのだ」と自分の心に言い聞かせると、丸太に向かって登り始めた。だが、つかむ所が無い丸太に登るのは至難の業だ。丸太を身体に引き寄せながら登ろうとして、つかみ損ねて転落することは数知れず。

その日の夜。日本の食糧危機に友好国から差し伸べられた援助物資の第一陣が明朝入港するという知らせが、夜のニュースで報道された。百万人分の食糧と医薬品などが満載された貨物船である。

食糧輸送船の入港を記事にするため、毎朝新聞記者の三矢堅介とマキは翌早朝から港に陣取っていた。入港時刻は分からないが、船は必ず入港する。望遠レンズを付けたカメラを持ったマキは、いち早く船をキャッチしようと水平線の彼方をカメラで覗いていた。するとマキのカメラは、黒煙を吐いている船らしきものを捉えたのである。異変に気付いたマキはそのことを伝えると、すぐ横にいる先輩記者の堅介にカメラを渡した。堅介が望遠レンズ越しに見たものは、食糧輸送船が沈没して行く様子であった。貨物船の航路を知って、レッドバットンが空から小型ミサイルを撃ち込んだのだ。

食糧省の黒井大臣は記者会見を開き、食糧輸送船が沈没したことを記者たちに明らかにした。数日後には第二陣の輸送船が来ることになっていると発表した黒井大臣に、三矢堅介が質問を投げかけた。

『大臣、沈没の原因は?』
『目下調査中ですが、付近を航行中の外国船からの証言があります。船を襲ったのは、コンドールマンという怪人物にそっくりだということです』

確認が取れていないとしながら、黒井大臣はそのように述べた。それを聞いた堅介とマキは、そんなバカなという顏をした。コンドールマンは正義の人だ、そのようなことをするわけが無いことをよく知っているからである。

『焦るでない!心で座れ!』

翌日も一心の修行は続いていた。タバ老人の厳しい声が一心に飛ぶ。一心は、まだ一度も丸太の上に座ることが出来ないでいた。その焦りが、余計に丸太の上に座ることを拒ませていた。

(ナレーション;雲の心。今コンドールマンは、その心をつかもうとしていた)

その頃、コンドールジュニア達の間にも、コンドールマンが船を襲ったというニュースが届いていた。コンドールマンがそんなことをするはずが絶対に無いことを、一番よく知るコンドールジュニアたち。コンドールマンの汚名を晴らすために、手分けしてコンドールマンを探すことを石松は提案した。

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一方、無心の境地で修行に望む一心は、丸太の上に座ることができるようになっていた。ここでタバ老人は、モンスターたちが動き出したことに気づく。今この大事な時に、ここで修行を止めるわけにはいかない。一心に向かってタバは叫んだ。

『早く会得するのじゃ!ゴールデンコンドルへの化身を!』

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タバは、一心の心に試練を与える。タバは呪文を唱えながら、丸太の上に座る一心をコンドールマンの姿に変えた。さらにタバは、呪文によって丸太の上に坐したままのコンドールマンを高さ10メートルの木のてっぺんへ移動させた。

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さらにタバは試練を課す。呪文によって、コンドールマンの周囲は雨が打ちつけ嵐が吹き荒れ雷が鳴った。どんな状況下でも不動心で臨むための訓練である。モンスターたちの幻影が、「お前などものの数ではない」とコンドールマンをあざ笑う。だが、コンドールマンは必死にそれらと戦った。

『モンスターめ!負けるもんか、挫けるもんか!』

(ナレーション;こうした修行は、1日2日3日と続いた。一方、沈没した貨物船の航海士が助けられたという情報に、堅介達は病院に駆けつけたが)

看護婦と共に堅介とマキが病室に入ってみると、航海士はすでに何者かに殺害された後だった。

『目撃者を消したんだ・・・』
『モンスターの仕業ね!』

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その時、3人の前にレッドバットンが現れ、狭い病室内で3人は魔人コンバット達に捕まってしまう。レッドバットンは3人を病院の屋上へ連れだし、そこで3人を縛り上げると手足が届かない位置に時限爆弾を仕掛けた。3人に爆弾の恐怖が迫る。

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そこへ爆音と共にマッハコンドル号でコンドールマンが現れ、堅介達を囲んでいた魔人コンバットを全員なぎ倒すと、時限爆弾を空中で爆破させて堅介達の危機を救った。空から攻撃しようとするレッドバットンを見たコンドールマンは、両手を組んで呪文を唱え始めた。

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『世尊妙相具諸鬼難悪人逐、世尊妙相具諸鬼難悪人逐・・・ゴールデンコンドル!』

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そうなのだ。見事修行を終えたコンドールマンは大空へジャンプすると、念願の3段化身、ゴールデンコンドルへの化身に成功した。コンドールマンの10倍の超能力を持ち、そして空を飛ぶことが出来るのだ。行け!空飛ぶモンスターレッドバットンを叩き落とせ!
(終わり)


★★★★★★★★★★★★
呪文『世尊妙相具諸鬼難悪人逐』の発音は、
(せそんみょうそうぐ しょきなんあくにんちく)である。

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