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コンドールマン(16) [コンドールマン・ドラマ2]

今回は、第8話《やったぞ!3段化身/ 後編》を取りあげます。

【前回までの話は・・・コンドールマンの刺客として英国からやって来たダブルバット。源太郎のトラック襲撃現場で、両者は対決する。空中からの自在の攻撃に空を飛べないコンドールマンは苦戦するが、一瞬のスキを突いて放ったコンドールアローがダブルバットにとどめを刺した。新たに極東司令長官としてゴードンが着任し、ゴードンの指揮下で紅コウモリ作戦に代わる新しい作戦が開始される】

(ナレーション;その頃、モンスター一族の悪だくみが進んでいるとも知らず、コンドールマンは山中で修行に励んでいた。タバ老人は、ゴールデンコンドルに化身するためには天・地・人の修行が必要だと言った。一心は今、その基礎となる体力を鍛えに鍛えていた)

『万物に生命を与えたる太陽よ、我に力を与えたまえ』

一心はより高い崖から飛び降り、飛ぶための技術を必死に会得しようとしていた。だが、飛ぶとはどういうことなのかを知らずに、飛ぶことは出来ない。壁にぶつかった一心の前に、タバ老人が現れる。

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『第一に体力。即ち「人」の修行は、見たところ終わった様じゃ』
『では、第二の修行に?』
『うん。心を鍛える「地」の修行。心を空(くう)にする、即ちあれじゃ!』

そう言って、タバ老人は空を指差した。

『空を行く雲の心。それが会得できれば、「天」はおのずから開けてくる』
『雲の心・・・どうすれば雲の気持ちに?』

タバ老人は向こうに見える高さ10メートルほどもある木を杖で指しながら、驚くべきことを言った。

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『ならば、あの木のてっぺんに座ってこい。それで解かる』

葉が生い茂っているだけの木のてっぺんに、どうやって座るというのだ。タバに教え導いてもらえると思った一心は、驚きの余り、弱音を口にした。

『そんな無茶な!』

しかし、タバ老人の目は、本気で一心を見つめている。

『ヨウシ!』

心を切り替えた一心は、すぐにその木に向かって走り出した。てっぺんを目指し、一心は必死に登っていく。だが、3メートル程登った所で、一心はふと考えた。(こんなことをしている間にも、モンスター一味が・・・そうだ、こんなことはしていられない)登っていた木から急に下り出した一心は、どこかへ向かおうとする。が、一心の足元にタバの杖が突き刺さる。

『コンドールマンの使命は人々を助け、モンスターを倒すこと。己の心一つコントルールできんで、どうする!』

自身の焦る心に惑わされる一心を、タバは怒った。そして、用意した長さ3メートル、直径20センチ程の丸太を大地に突き刺すと、タバは静かに一心に言った。

『まず、あの上に座れ』

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一心は、「これがモンスターとの戦いなのだ」と自分の心に言い聞かせると、丸太に向かって登り始めた。だが、つかむ所が無い丸太に登るのは至難の業だ。丸太を身体に引き寄せながら登ろうとして、つかみ損ねて転落することは数知れず。

その日の夜。日本の食糧危機に友好国から差し伸べられた援助物資の第一陣が明朝入港するという知らせが、夜のニュースで報道された。百万人分の食糧と医薬品などが満載された貨物船である。

食糧輸送船の入港を記事にするため、毎朝新聞記者の三矢堅介とマキは翌早朝から港に陣取っていた。入港時刻は分からないが、船は必ず入港する。望遠レンズを付けたカメラを持ったマキは、いち早く船をキャッチしようと水平線の彼方をカメラで覗いていた。するとマキのカメラは、黒煙を吐いている船らしきものを捉えたのである。異変に気付いたマキはそのことを伝えると、すぐ横にいる先輩記者の堅介にカメラを渡した。堅介が望遠レンズ越しに見たものは、食糧輸送船が沈没して行く様子であった。貨物船の航路を知って、レッドバットンが空から小型ミサイルを撃ち込んだのだ。

食糧省の黒井大臣は記者会見を開き、食糧輸送船が沈没したことを記者たちに明らかにした。数日後には第二陣の輸送船が来ることになっていると発表した黒井大臣に、三矢堅介が質問を投げかけた。

『大臣、沈没の原因は?』
『目下調査中ですが、付近を航行中の外国船からの証言があります。船を襲ったのは、コンドールマンという怪人物にそっくりだということです』

確認が取れていないとしながら、黒井大臣はそのように述べた。それを聞いた堅介とマキは、そんなバカなという顏をした。コンドールマンは正義の人だ、そのようなことをするわけが無いことをよく知っているからである。

『焦るでない!心で座れ!』

翌日も一心の修行は続いていた。タバ老人の厳しい声が一心に飛ぶ。一心は、まだ一度も丸太の上に座ることが出来ないでいた。その焦りが、余計に丸太の上に座ることを拒ませていた。

(ナレーション;雲の心。今コンドールマンは、その心をつかもうとしていた)

その頃、コンドールジュニア達の間にも、コンドールマンが船を襲ったというニュースが届いていた。コンドールマンがそんなことをするはずが絶対に無いことを、一番よく知るコンドールジュニアたち。コンドールマンの汚名を晴らすために、手分けしてコンドールマンを探すことを石松は提案した。

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一方、無心の境地で修行に望む一心は、丸太の上に座ることができるようになっていた。ここでタバ老人は、モンスターたちが動き出したことに気づく。今この大事な時に、ここで修行を止めるわけにはいかない。一心に向かってタバは叫んだ。

『早く会得するのじゃ!ゴールデンコンドルへの化身を!』

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タバは、一心の心に試練を与える。タバは呪文を唱えながら、丸太の上に座る一心をコンドールマンの姿に変えた。さらにタバは、呪文によって丸太の上に坐したままのコンドールマンを高さ10メートルの木のてっぺんへ移動させた。

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さらにタバは試練を課す。呪文によって、コンドールマンの周囲は雨が打ちつけ嵐が吹き荒れ雷が鳴った。どんな状況下でも不動心で臨むための訓練である。モンスターたちの幻影が、「お前などものの数ではない」とコンドールマンをあざ笑う。だが、コンドールマンは必死にそれらと戦った。

『モンスターめ!負けるもんか、挫けるもんか!』

(ナレーション;こうした修行は、1日2日3日と続いた。一方、沈没した貨物船の航海士が助けられたという情報に、堅介達は病院に駆けつけたが)

看護婦と共に堅介とマキが病室に入ってみると、航海士はすでに何者かに殺害された後だった。

『目撃者を消したんだ・・・』
『モンスターの仕業ね!』

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その時、3人の前にレッドバットンが現れ、狭い病室内で3人は魔人コンバット達に捕まってしまう。レッドバットンは3人を病院の屋上へ連れだし、そこで3人を縛り上げると手足が届かない位置に時限爆弾を仕掛けた。3人に爆弾の恐怖が迫る。

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そこへ爆音と共にマッハコンドル号でコンドールマンが現れ、堅介達を囲んでいた魔人コンバットを全員なぎ倒すと、時限爆弾を空中で爆破させて堅介達の危機を救った。空から攻撃しようとするレッドバットンを見たコンドールマンは、両手を組んで呪文を唱え始めた。

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『世尊妙相具諸鬼難悪人逐、世尊妙相具諸鬼難悪人逐・・・ゴールデンコンドル!』

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そうなのだ。見事修行を終えたコンドールマンは大空へジャンプすると、念願の3段化身、ゴールデンコンドルへの化身に成功した。コンドールマンの10倍の超能力を持ち、そして空を飛ぶことが出来るのだ。行け!空飛ぶモンスターレッドバットンを叩き落とせ!
(終わり)


★★★★★★★★★★★★
呪文『世尊妙相具諸鬼難悪人逐』の発音は、
(せそんみょうそうぐ しょきなんあくにんちく)である。



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