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ダイヤモンド◇アイ(22) [ダイヤモンドアイ・ドラマ3]

今回は、第11話《ケラリン族の大挑戦/ 後編》を取りあげます。

【前回までの話は・・・いろいろなことを知って北見が総裁に疑いを持ち始める前に、源海龍は北見を消しにかかった。総裁室にいるところを殺し屋サターンに襲撃された北見は、危うい場面でライコウに助けられる。源海龍の正体を二人で暴こうとライコウは北見に協力を求めるが、北見は自分ひとりでやると言ってその申し出を断るのだった・・・】

◆エルドニア領事館でこれからパーティがあることを知ったライコウは、疑問を感じていた。

『こんな時に、パーティを開くなんて・・・エルドニアの人は、この横浜には何人もいないが』

カボ子たちが見張りを始めてから、領事館に入った車の数は20台を超えていた。最初はただのパーティだと思っていたカボ子も五郎も、疑問を持ち始めた。ライコウは、横浜界隈に住むエルドニア人の人数をすぐに調査するよう五郎に依頼した。

その頃、ライコウと別れた北見八郎は、大沢山京子が勤務する保育園「みどりの園」の総裁室にいた。怪我の手当てを京子にしてもらいながら、北見は源海龍こそが悪人であり、自分も総裁も源海龍に騙されている可能性を京子に語った。

京子にも、北見に話があった。「みどりの園」が資金難で閉園することになったのだ。総裁から連絡があり、それ以降総裁の行方が分からないのだ。総裁は源海龍一味に捕まってしまったのかもしれないと、北見は考えた。そう思いながら、北見が何気なく総裁の机の上にある置物をつかんで持ち上げた時、置物の下に無線通信機を見つけたのだ。ボリュームを上げると、会話が聞こえてきた。

ハラダテッコウジョとか、エルドニアリョウジカンという言葉が聞こえている。この通信内容は源海龍一味の悪だくみと関係があるのではないか、と北見は思うのだった。このことを警察に知らせるよう京子に指示すると、北見はひとりで鉄工所へ行ってみることにした。ふたりは一緒に事務所を出ると、京子が話し出した。

『あの無線機が総裁室にあったということは・・・』
『総裁も悪事に加わっているかもしれない。そうじゃないかもしれない。それを、これから確かめに行くんだ』

北見のことを密かに慕う京子は、ふたり一緒に警察へ行こうと北見に言うのだった。一人で危険なことに首を突っ込む必要は無いと、京子は反対した。だが、正義感の強い北見は、どうしても自分の目で確かめたかった。

夕方になり、エルドニア領事館のパーティは終わった。領事館から、次々と車が出てくる。自転車に乗って調査に出かけた五郎が、息を切らしてやっと戻って来た。五郎の話では、入国管理局に聞いたところ、横浜に住むエルドニア人は3人、東京にも2人しかいないと言うのだ。

『パーティには、20人以上が来ていたわよ!』
『五郎は、すぐ警察に連絡しろ!領事館内の現金が無くなっているかもしれない!』

五郎にそう言った時、エルドニア経済相を乗せた車が領事館を出て行くのが、ライコウには見えた。すぐにバイクに乗り、そのあとをライコウは追っていく。一方、ハラダテッコウジョを探し出した北見は、その敷地内の鉄柱や鉄パイプなどたくさんの鉄材が積まれた場所に隠れながら、何が起こるのか見極めようとしていた。

しばらくすると、一台の車が鉄工所の敷地内に到着した。北見は高く積まれた鉄柱の陰から、その様子をジッと見ている。車から降りてきたのは、エルドニア経済相とその妻と思われる女性だった。だが、経済相はその場であごヒゲを取り、鼻下のヒゲを取り、眉毛を取った。すべてが変装用具だ。かぶっていた帽子を取ると、まったく別の顔の男になった。

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(経済相に化けていた源海龍)

『アイツが、源海龍か』

北見は小声でそう言いながら、ジッと様子を見ている。妻らしき女性も変装を解くと、車の周りに集まっている赤い覆面の男達に指示を出していた。赤覆面の一人が車のトランクを開け、中から銀色のトランクケースを取り出した時、もう1台、車がやって来た。ドアを開け、運転手は、源海龍らしき男に緊急事態を告げているようであった。

『たいへんです!警察が動いて、仲間が捕まりました!』
『何!作戦は完全なはずなのに、なぜ?』
『うろたえるな!まだ、ここを突き止められたわけでは無い!予定通り、行動すればいいんだ。落ちついてやればいい』

運転手の報告に女は焦りをみせたが、男は余裕がある。一味は、エルドニア領事館から盗んできた500億円相当の金塊をこの鉄工所内で溶かし、ドラム缶に流し込んでアジトへ運ぶつもりであった。たとえ警察でも、この場所を突き止めるにはしばらく時間がかかると、男は考えたのだ。

そう言って源海龍は、余裕のある声で笑った。北見は、奴らが何を話しているのかを聞こうとして、少しずつ場所を動いて近づいていく。そして、その男の笑い声を聞いていて、自分が知っているある人物の顔が浮かぶのだった。

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(慈善団体の総裁はもう1つの顔)

『総裁が、源海龍だったのか!』

北見の心の中に、悔しい気持ちが湧いてきた。その時、北見の口を後ろからふさぎながら肩を引っ張り、小声で話しかける者がいた。

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『待て!北見』
『・・・ライコウ!』
『もうすぐ警察が来る!』
『もし間に合わなかったら?』
『その時は、一緒に戦おう!』

北見は少し間を置いて、右手を出した。ライコウは、それを合意の握手だと思った。だが、次の瞬間、ライコウは不意を突かれて腹部を殴られてしまった。ライコウは意識を失った。

『オヤジさんの仇の源海龍は、俺の手で倒す。そう言ったはずだ』

戦うために、源海龍に少しずつ近づいて行く北見。だが、鉄クズに足を取られ、存在を知られてしまった。

『北見!仕事の邪魔だ、殺せ!』

北見は、武器を持つ十数名の赤覆面の男達に囲まれてしまった。多勢に無勢。最初は勢いよく動けても、やがて疲れがくる。拳銃を撃ちかけられ、急いで隠れようとする北見は左胸に一発食らってしまった。拳銃の音で目が覚めたライコウの目には、隠れている場所から真っ直ぐ先に胸を撃たれた北見が見えていた。彼を救おうと参戦するために、積まれた鉄パイプの上にライコウは姿を現した。ライコウの姿を見て、またしても作戦の邪魔をされた源海龍の怒りは爆発した。

『作戦の失敗は、やはりヤツだったのか!殺せ!』
『奴の始末は、このサターンにお任せを!』

そこへナイフを見せながら、左目に眼帯を付けた殺し屋サターンが現れた。逃げようとする源海龍に、力を振り絞って立ち向かう北見。だが、サターンのナイフが北見の心臓付近を貫いた。ライコウに群がる赤覆面達、源海龍は朱玉に付き添われて現場から逃げて行く。

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赤覆面に囲まれて、ライコウは北見に近づけない。倒れている北見にサターンは近づき、北見の息の根を止めようとしている。ライコウは叫んだ。

『アイよーっ!』

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(外道照身、霊波光線!)
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(正体見たり!)

『外道照身、霊波光線!正体見たり!前世魔人ケラリン!』
『あぁ、バレタカァ~!』

姿を自在に消すことが出来るケラリンに、アイは手を焼いていた。アイのステッキ光線を、ケラリンは自慢のナイフではねかえしてしまう。倒れている北見のすぐ横に、アイと対峙するケラリンの右足がある。北見はアイを援護するために、右足をつかんだまま離さずにいた。ケラリンは脱出するために、ナイフで北見にとどめを刺したのだ。

アイはこの一瞬を逃さず、必殺ロイヤルパンチをケラリンの頭部へ撃ち込むのだった。北見は自分の命と引き換えに、ケラリンを倒したのだ。源海龍は悪霊界へ逃げてしまい、赤覆面達は全員ライコウが倒した。アイは北見の亡き骸に敬意を払い、ライコウに言った。

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『愛と正義に献身して命を捧げた北見八郎。手厚く葬ってくれ』
『北見、見ていてくれ。源海龍は必ず倒す!』

北見の亡き骸を両手で抱えながら、ライコウは夕陽に向かって誓うのだった。
(終わり)


★★★★★★★★★★★★
テレビ放映では、「ケラリンにお任せください!」というべきところを、
「ケろリンに」と言っている部分がある。ケロリンとは、有名な頭痛薬の名前だ。
あんな魔人が出てきたら、ショックでどんな頭痛も治るだろうが(笑)



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