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ダイヤモンド◇アイ(2) [ダイヤモンドアイ・ドラマ1]

今回は、第1話《わが名はダイヤモンド・アイ /後編》を取りあげます。

【前回までの話は・・・週刊ジャパンのルポライター雷甲太郎、通称ライコウは、政界の大物・大沢山剛造の土地売買に関わる脱税容疑をつかんでいた。海藤警部の行動を追って空港へやって来たライコウは、警部から宝石「アラビアの王」盗難の一件を聞かされ、それが日本へ持ち込まれるらしいことを知った。飛行機の乗客を見張っていたライコウは、大沢山が見知らぬ男と会って何もせずに別れたことを怪しみ、大沢山の車を尾行する。すると、その途中で狙撃され、子供が巻き込まれて大怪我をしてしまった・・・】

◆大沢山の用心棒・西田の部下が発射した銃弾の巻き添えになった小学生を助けるため、ライコウは五郎に救急車を手配させると、この男の子のそばに付いて必死に励ますのだった。

その頃、大沢山の事務所では、ライコウの始末に失敗したとの報告を、大沢山が西田から受けていた。今夜中に片を付けると言う西田を、しかし大沢山は止めた。これから大事な取引があるため、これ以上コトを荒立てたくはない大沢山は、大物政治家の竜神代議士へ電話するよう、西田に指示した。

子供を病院へ運んだあと、週刊ジャパン編集部へ戻ってきたライコウは、子供を巻き添えにした大沢山のやり方に憤り、早川編集長の前で怒りをぶちまけていた。しかし、ライコウの話を聞く早川編集長の顔色は、すぐれない。

『誰が何と言おうと、大沢山を追いかけて・・・』
『ライコウ。今日から向こう一か月間、お前の取材活動をストップする。出張扱いにするから、田舎へでも帰って、おふくろさんに孝行してくるんだな』

これは、明らかに上からの圧力であった。大沢山は、竜神代議士から雑誌社へ政治的圧力をかけて、ライコウの記事を差し止めする作戦に出たのだ。

『編集長!・・・上からの圧力ですね?』
『頼むから、俺の言う通りにしてくれ。悪いようにはせん(しない)から』
『・・・お世話になりました!』

この瞬間、ライコウの記者魂に火が付いた。編集長から話を聞いた五郎とカボ子は、自分から社を辞めたライコウを、勿体なく思っていた。だが、ライコウは、記者を辞めるつもりはない。

『一寸の虫にも五分の魂だ。俺は一匹狼のルポライターとして、気兼ねなしに大沢山にぶつかってやる!』

ライコウの本心を聞いた五郎は、社で知った情報なども含め、ライコウに全面協力することを約束する。だが、カボ子には心配な点があった。個人の力には限界があるし、相手は(雑誌社という)組織でも敵わない怪物なのだ。どうやってその怪物と戦うつもりなのか。だが、ライコウは言う。

『理屈はともかく、俺にはどうにも我慢ができないんだ。表面ではしれっとした顔で、裏では自分の欲望のためなら不正は元より、子供が傷つこうが平気でいられる奴が、俺は許せないんだ!』

ライコウの熱い思いを聞いたカボ子も五郎も、彼のためならどんなことでも協力を惜しまないと誓い、三人はガッチリと握手をした。

翌日。ライコウは、流れ弾に当たって入院している小学生(愛称モンちゃん)の病室にいた。モンちゃんの両親は亡くなり、姉と二人暮らしであった。生活費を稼ぐために姉は毎日働いているので、病室のモンちゃんは夜までひとりぼっちなのだ。そんなモンちゃんのそばに、ライコウは付き添っていたいと思った。そこへ、カボ子が新聞記事を持ってやって来た。記事の見出しは、こうだ。

 深夜のホテル母娘殺人事件 
―死体の傍らに裂かれた人形―
(現場の状況は、少女とその母親がホテルの一室で死亡しており、その傍には鋭利な刃物で腹を縦に裂かれた人形が落ちていた)

この記事を読んだライコウは、すぐに状況を理解した。ライコウの推理は、こうだ。盗まれた「アラビアの王」は、この人形の腹の中に入れて持ち込まれた。そしてこの母娘は、口封じのために殺されたのではないか。

だが、ライコウは悩んでいた。モンちゃんをこんな姿にした大沢山とその連中を、すぐにでも飛んで行って叩きつぶしたいと思う。しかし、姉弟ふたり精一杯の生活をしている中、自分の為に大怪我をさせてしまったこの子を放っておいて、出て行くわけには絶対にいけないと思うのだった。

『もし俺が動けば、第二第三のモンちゃんが出ないとも限らない。それを考えると、俺は今、大沢山へ立ち向かう勇気を無くしてしまっているんだ・・・』

そう言って涙ぐむライコウを、目を覚ましたベッドの上のモンちゃんが見て、逆に励ますのだった。

『オレ、1人でも大丈夫だよ。大人が泣くなんて、みっともないよ・・・』
『よーし。モンちゃんの怪我が治るのと、俺が悪いヤツラを捕まえるのと、競争だ!』

ライコウは笑ってそう言うと、モンちゃんから勇気をもらった気がした。

ライコウと五郎は、喫茶店で打ち合わせをしていた。人形の腹部に隠して持ち込まれた「アラビアの王」を十億以上の大金を出して買い取る人物など、そうざらにはいない。その人物こそ大沢山剛造だと、ライコウは睨んでいた。奴はダイヤマニアだし、脱税した金をダイヤに変えてしまえば、万一の場合も安心だからだ。ライコウは箱根にある大沢山の別荘に潜入して、証拠をつかむことにした。だが、この二人の会話を、用心棒の西田がすぐ近くで聴いていた。

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箱根に向かう途中で西田の妨害に遭うも何とかくぐり抜けたライコウは、広大な敷地の大沢山の別荘にうまく潜入した。ライコウが窓からそっと中を覗くと、大沢山とある人物がダイヤをはさんで密談しているところであった。あの男は、確か羽田空港で大沢山が会っていた男だ。アタッシュケースを開けた中央に、直径が5センチ程もある巨大なダイヤが光っていた。

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『これが、アラビアの王』
『う~ん、素晴らしい!』

ダイヤを見せたのは源海龍、香港の貿易商を名乗る男だ。ライコウの睨んだ通り、スイスから盗まれたアラビアの王を、大沢山が買い取る取引が進行していたのだ。

だがその時、ピストルを持った西田とナイフを持ったセビロ姿の男数人が、ライコウの周囲を取り囲んだ。ライコウは、戦うために男達の中へ突っ込んでいった。乱闘になり、パンチやキックで果敢に戦うライコウだが、目つぶしを食らってしまい、ライコウの反抗もここまでであった。

西田に捕まり、縄で縛られて書斎へ連れて来られたライコウは、そこで源海龍に銃を突きつけられている大沢山を見る。驚いた西田が、大沢山に問いかけた。

『どうしたんです!』
『だまされた!』
『これは、初めからの計画。どうせ悪いことをして儲けた金、私がもらっても誰も文句は言わない。第一、このダイヤ、下品な人には似合わない』

源海龍はそう話すと、手下の者たちに証拠をすべて消すように指示した。ソファに座って、ゆっくりと「アラビアの王」を手に取り、うれしそうに眺める源海龍。

命乞いをする大沢山を見たライコウは、彼を哀れに思って大笑いした。せめて自分は戦って死のうと思い、縛られたまま必死に抵抗を試みたが、再び手下たちに拘束されたライコウの頭を、ソファからゆっくりと立ち上がった源海龍の銃口が狙っていた。

『よーし。お望み通り、殺してやろう』
『待て!』

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ライコウ危機一髪、もう駄目かと思ったその時、どこからか声がして、【アラビアの王】が独りで宙に浮いて明るく輝き出すと、その中から謎の超人が出現した。手下たちは源海龍の背後に逃げるように揃い、源海龍は謎の超人に拳銃を向けたまま、問いかけた。

『貴様は何者だ!』
『予はアラビア王の精、ダイヤモンド・アイ!この世の平和を乱す悪霊ども!神に代わって天誅を加える!』

ダイヤモンド・アイが右手のステッキの先端をライコウに向けると、一瞬で縄は解けた。そして、部屋の外へ逃げた男達のあとを追うと、男達に向かってダイヤモンド・アイは言った。

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(相手の正体を暴く外道照身霊波光線)

『醜い亡者どもめ!今お前達の前世の姿を、暴いてくれる。外道照身霊波光線!』

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(モージンガー)

ダイヤモンド・アイの両目から放たれた光線を浴びた男達は、その醜い姿をさらした。彼らの正体は、馬頭人(ばとうじん)と牛頭人(ぎゅうとうじん)という悪霊世界の戦闘員だった。さらに光線を浴びた男は前世魔人モージンガーに変身、光線を浴びた源海龍も醜い姿をライコウの目前にさらした。

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(キングコブラ)

『正体見たり!前世魔人キングコブラ!』
『ウ~ン、バ~レ~タか~』

源海龍は、前世魔人キングコブラであった。キングコブラはダイヤモンド・アイに攻撃をしかけると、その間に宝石の詰まったアタッシュケースを持って悪霊世界へ逃げ去った。ライコウの目の前では、今ダイヤモンド・アイとモージンガーが戦っていた。ダイヤモンド・アイの必殺光線ロイヤルパンチが当たり、モージンガーの体は溶けて無くなった。ダイヤモンド・アイはライコウに近づいてきて、告げた。

『汝の美しい心が見えた。これからも予と共に献身して、この世の悪と戦ってくれ。予は、全能の神より遣わされた平和の使いだ。この世のあらゆる悪霊を倒さぬ限り、元のダイヤに戻れぬ運命だ。予の力が必要となる時のために、アイリングを授けよう』

だが、ライコウ言う。気持ちは嬉しいが、自分の力だけで悪と戦いたいと。しかし、キングコブラのような悪霊たちと戦う時、人間の力では限界がある。その時にアイリングの超能力が必ず役立つと、ダイヤモンド・アイは言うのだ。

『友情のしるしとしてなら、頂こう』

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「意地っ張りだな」と笑うダイヤモンド・アイの右手中指からライコウの左手中指に、アイリングが瞬時に渡った。

『アイリングを光にかざし、予の名を呼ぶがよい。予はいつも、汝の頭上で見守っている。また会おう!』

ダイヤモンド・アイは空へ飛び去り、雲間に消えた。ライコウが戦う相手は、社会悪に手を染める人間とその人間を利用して不当に儲けようと企む前世魔人たちである。
(終わり)


★★★★★★★★★★★★
ダイヤモンド・アイが目から発する光線は、外道照身霊波光線(げどうしょうしん・れいはこうせん)という。これを浴びると、人間に化けた前世魔人は、苦しみながらその醜い正体をさらすのだ。



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