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ダイヤモンド◇アイ(1) [ダイヤモンドアイ・ドラマ1]

今回は、第1話《わが名はダイヤモンド・アイ /前編》を取りあげます。

  企画;衛藤公彦
  原作;川内康範
  脚本;伊東恒久
  音楽;池多孝春
  殺陣;渡辺高光
特技監督;真野田陽一
  監督;高瀬昌弘

【主な登場人物】
・ダイヤモンド・アイ(アラビアの王と呼ばれるブルーダイヤの精霊)
・雷 甲太郎(らいこうたろう;主人公でルポライター。通称ライコウ)
・カボ子(ライコウを助ける仲間の女性)
・五郎(ライコウを慕う会社の後輩)
・源 海龍(げんかいりゅう;香港暗黒街のボス)
・海藤警部(腕利きの刑事、ライコウを息子のように思っている)
・早川編集長(週刊ジャパンの編集長)

◆東日本200マイルモトクロスレース大会を走るゼッケン5番のレーサー雷甲太郎は27歳、週刊ジャパンに所属するルポライター*だ。アマチュアだけが参加できるこの大会で、彼は優勝候補のひとりであった。全国から160台が参加したが、レース中盤で早くも半数以上がリタイアするという過酷なレース展開となっていた。雷甲太郎の順位は、カボ子と雑誌社の後輩・五郎が見守る中、30位付近を走っていた。
*ルポライターは、社会的事件や事象を現地や関係者に取材して記事にまとめあげる人

全くの偶然だが、このふたりのすぐ近くの観戦席で、雷甲太郎を探してレースをジッと見ている目があった。やがて、雷甲太郎のバイクが観戦席の前を通過しようとした時、大声で誰かを叱る女性の声がした。

『バカモノ!』

雷甲太郎はその声に反応し、バイクは転倒、レース結果は散々であった。レース後、カボ子と五郎は雷甲太郎の元へ駆け寄ると言った。

『あーあ、でも怪我が無くて何よりよ。私のカード占いは、的中したわ!』
『それに先輩、よりによって、あんなおばあちゃんに見惚れるなんて!』

その言葉を聞いた途端、雷甲太郎は五郎の首根っこをつかむと、殴りかかろうとした。そこへ、そのおばあちゃんがやって来たのである。

『甲太郎!』
『おふくろ・・・』

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驚く二人をよそに、甲太郎は久しぶりに母と再会した。そして顏を合わせるなり、土下座をして母に謝るのだった。自分の腕を試してみたくなり、田舎の母には二度とオートバイレースに出ないと約束しておきながら、隠れてこのレースに出場して見つかってしまったのだ。

なによりも母が怒っているのは、隠れてコソコソやるというその根性だ。飛行機乗りとして働き続けて亡くなった父を、1人息子の甲太郎にはもっと見習ってほしいと母は願っていた。母に全く頭が上がらない甲太郎は、罰として子供時代のお仕置きを母から受けるのだった。

『ごめんなさい、母さん。もう二度とレースには出ない。だけど、週刊誌の記者にとって大切な足のオートバイに乗ることは、許してほしい』
『いいだろう。仕事に命を賭けるなら、母さん、文句は言わないよ。その代り、自分が正しいと思ったら、トコトンまでやるこった!』

翌日。週刊ジャパンの編集部でライコウが食事をしていると、早川編集長が御冠(おかんむり)であった。母に怒られて尻を叩かれているライコウの姿が、他社の週刊誌に写真入り記事で載ってしまっていた。

『ほう、よく撮れてますね!』
『なんだ!その態度は。それと、もう一つ。先週号のお前のルポに、抗議が来とる!』

早川編集長が怒っているのは、記事の質が悪いということのようだ。そこでライコウは、とっておきのネタを編集長の前に出した。

『十数億の脱税、なんてのはどうです?』
『ほう、あるじゃないか!創刊以来、社会正義を編集方針に貫く我が週刊ジャパンには、コリャ、打ってつけだな!で、そのネタは?』

大沢山剛造という名前をライコウが出した途端、編集長の顔色が変わった。

『え!あれは、いかん!』
『なぜです?政財界の黒幕と言われているが、その実はあらゆる利権にからんで、不正に儲けている。それに・・・』

最近の土地買収に絡んで推定十数億の脱税をしているというこのネタは、この半年間ライコウが大沢山を追いかけてつかんだネタであった。ところが、この大沢山剛造だけは絶対に手を出してはいかんと、早川編集長は猛反対した。警察も迂闊に手を出せない、超大物政治家なのだ。

『お前が下手に触ると、お前の首どころじゃ済まんのだぞ!』

編集長から甲高い声で怒鳴られたライコウは、増々ヤル気をだすのだった。山は高ければ高い程、登りガイがある。ライコウとは、そう言う男なのだ。その時、後輩の五郎が血相を変えて、編集部に飛び込んできた。

『ライコウ先輩!事件事件!桜田門の親分が、血相変えて出て行くのを見たんですよ!』

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桜田門の親分とは、警視庁の海藤警部のことである。警部も大沢山を追いかけていることを、ライコウは知っていた。赤いジャンパーを着たライコウは、フルフェイスのヘルメットを持って五郎と編集部を出ると、五郎を後ろに乗せてバイクを走らせた。

五郎の話では、海藤警部の行き先は大沢山の事務所ではなく、羽田空港だという。空港の展望台で、手すりに手をついたままぼんやりと旅客機の発着の様子を見ている海藤警部をライコウはやっとのことで見つけると、そのすぐ隣に並んで手をついた。

『ライコウ。よく嗅ぎつけたな』
『蛇の道はヘビ。で、どうなんです?』
『へへへへ、雲をつかむような話だよ。第一、アラビアの王なんて、見たこともないんだからなぁ・・・』
『アラビアの王様が、どうかしたんですか?』

海藤警部は、ライコウが「アラビアの王」について何も知らないことをあざけりながらも、詳しく教えてくれるのだった。警部は、ライコウをとても可愛がっているのだ。

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『アラビアの王というのは、ダイヤモンドの名前だよ。あれは、一週間ほど前のことだ・・・』

警戒厳重なスイスの国立銀行の地下金庫から、世界一のブルーダイヤ「アラビアの王」が、盗み出された。手口から見て、香港暗黒街の王・キングコブラと推定された。キングコブラは、13の顔を持つと言われる正体不明の怪人である。雷甲太郎は海藤警部から、キングコブラが日本へ潜入するという情報を知らされたのであった。

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その頃、羽田空港の税関では、貿易商の源海龍(げん・かいりゅう)が手荷物検査を受けていた。手荷物検査の最中、近くにいた少女が人形を床に落としたのを見て、源海龍はその人形を拾い上げると、笑顔で頭を撫でながら少女に人形を手渡した。そうしておいて、誰かに向かって目で合図を送った。

ライコウと五郎は出口ゲートでキングコブラを捕えようと待ち構えていた。だが、警部の情報で到着便は判ったものの、その便でやって来る多くの乗客の中から、顏も分からない人物が持つ一粒のダイヤを探し出すことなど、所詮無理であった。とりあえず、ライコウは五郎に頼んで、その便から降りて来る全乗客の顔写真を撮ることにした。

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(左から、西田、源海龍、大沢山)

偶然にも、ライコウと五郎がいる場所から十数メートル先で、大沢山の用心棒で西田という男が見知らぬ男を出迎えていた。それを目撃したライコウは、大沢山が近くにいることを直感した。案の定、少し遅れて大沢山が車で迎えに現れたのである。大沢山が迎えに来た男の名は、源海龍と言った。源海龍は、ライコウたちが自分を見張っていることを知っていた様子で、持っていた扇子でライコウ達の方を指して西田に教えるのだった。

『週刊ジャパンの雷甲太郎です』

西田がそう言うと、源海龍は大沢山と別れ、どこかへ行ってしまった。大沢山も動きを察知されないように、そ知らぬ顔をして車で空港を後にするのだった。

ライコウは五郎をバイクの後ろに乗せると、大沢山の車を尾行した。だが西田は、大沢山を逃がすための準備を整えていた。予定通りのコースを走って行くと、ある場所で長さ20センチ程の箱のような携帯電話で、西田は狙撃手に命令した。

『オートバイの奴らを狙え!』

だが、狙撃手の撃った銃弾はライコウ達には当らず、バイクは転倒して、五郎は道路に放り出されてしまった。幸いにも二人とも大怪我はしなかったが、すぐに歩道橋の陰に隠れたふたりを二発目と三発目の銃弾が襲った。そして四発目の銃弾が、悪いことに流れ弾となって、付近にいた子供に当たってしまったのだ。

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子供を助けに走ったライコウは、倒れた子供を抱き抱えると、五郎に救急車を呼ぶように言った。大沢山の車の行方が気になる五郎はそのことを言うと、ライコウは叫んだ。

『グズグズするな。子供の命の方が大切だ!』
(つづく)


★★★★★★★★★★★★
ダイヤモンド・アイは、雷甲太郎が変身した姿では無い。詳細は特撮ファミリー・1のダイヤモンド・アイの項目を読んでいただきたいが、社会にはびこる悪と戦うライコウが自分の力ではどうにもできなくなった時、アイリングを光にかざして呼べば、いつでも現れる存在、それがダイヤモンド・アイだ。



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