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快傑ライオン丸(51・終) [ライオン丸・ドラマ5]

今回は、第54話《ライオン丸 最後の死闘・後編》を取りあげます。

【前回までの話は・・・タイガージョーの命を奪った怪人ガンドドロを、錠之介の心が乗り移ったマントに助けられながら倒した獅子丸。これで錠之介の仇は討った。三人は錠之介の仮の墓を作って弔いを済ますと、本当の敵ゴースンを倒すために、京の都へと急いだ。その途中で、三人は都へ向かう巨大ゴースンの姿を発見する・・・】

◆最後のゴースン魔人を倒し、残っているのはゴースンひとり。だが、この最大の敵をどのように倒せばいいのか、獅子丸はその手段を見つけ出せないでいた。だが、立ち止まって考えている時間は無い。獅子丸は、ゴースンの姿を見つけると走った。沙織と小助も、あとに続いた。

ゴースンは、寺院の横で何かをしようとしている様子である。獅子丸はその寺院の近くまで走ると、ゴースンに向かって叫んだ。

『ゴースン、正義の太刀を受けてみよ!』
『小童(こわっぱ)、邪魔立てすると容赦はせぬぞ!』

獅子丸は渾身の力を込めて、忍法獅子変化の呪文を唱えた。すると、ゴースンは口から火炎を吐いて、獅子丸に襲いかかった。だが、ゴースンを倒すという獅子丸の強い信念は、金砂地の太刀に乗り移った師匠・果心居士の力を導き、ゴースンの火炎をバリアのようにはね返してしまう。

『ライオン丸、見参!』

高く跳躍したライオン丸は、そのままグライダーのように滑空しながらゴースンに近づき、その右胸を金砂地の太刀で突き刺した。しかしゴースンは、その巨大な手のひらでライオン丸を簡単に払い落としてしまう。だが、まだ余力があるライオン丸は、もう一度態勢を立て直して、ゴースンめがけて飛び立った。

『くたばれ、ライオン丸!』

飛行してくるライオン丸の頭上へ、ゴースンはゴースンサンダーを見舞った。強烈な電流が身体を貫き、あっという間に落下していくライオン丸。為すすべもなくライオン丸は、ゴースンとの勝負に三度敗れた。

獅子丸の姿でフラフラと歩いているところを、あとから追いかけてきた沙織と小助が発見した。空き小屋を見つけて急いで獅子丸を運ぶと、ふたりは懸命に獅子丸を看病した。だが、なかなか意識が回復せず、獅子丸は時々うなされているようだった。

錠之介の死によってゴースンへの怒りがいっそう強まり、早くゴースンを倒してしまいたいという獅子丸の焦りは、沙織もよく理解していた。だが、その結果、無理な行動が獅子丸の命取りになることを、沙織は何よりも恐れた。

沙織と小助の心に、その時同じ考えが浮かんでいた。顔を見合わせた二人は、すぐに小屋を出て行こうとした。だがその前に、果心居士からもらった笛を小助は自分の胸の前に掲げて、獅子丸の為に祈った。

『お師匠様。どうか獅子丸兄ちゃんをお守りください』

その頃、巨大ゴースンは、ジャラモン教の教主・ゴーファ・ジャラモンへ誓いを立てる儀式を行っていた。寺院の横でゴースンは、両腕を胸の前で合わせて、大地に片膝をついたまま拝むような姿勢で、呪文を唱えていた。

沙織と小助の目的は、ゴースンを倒すこと。いや、倒せないまでも傷を負わせることが出来れば、と思っている。二人はゴースンを発見すると、予定通りの作業に取り掛かった。

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火薬の扱いが得意な小助が作った特製爆弾は、ボーリングのボール程の大きさだ。それを沙織が一つ、小助が二つ抱えて走りだすと、一心に呪文を唱える巨大ゴースンの足元付近まで密かに近づいて行く。そして、爆弾を三つ置いたあと導火線となる火薬を撒いておき、爆弾と導火線の接点に手裏剣を一つ刺しておく。自分達が爆発に巻き込まれないよう、安全な場所まで急いで退散したら準備完了だ。

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(呪文を唱えてジャラモンへ誓いの儀式をしているゴースン)
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(爆弾は爆発し、作戦は成功したか!?)

ゴースンは、この仕掛けに全く気付いていない様子だ。沙織は爆弾近くの手裏剣を狙って、手元の手裏剣を投げた。見事に当たった手裏剣から火花が散って火薬に引火し、三つの爆弾は大爆発を起こした。あれだけの量の火薬が爆発したため、ふたりが隠れていた寺の山門が地響きを立てて揺れた。沙織は慎重に周囲の様子をうかがい、ゴースンの姿が無いことを確認する。

『やったぜ!ゴースンをやっつけたんだ、お姉ちゃん!』

だが、喜ぶのは早急だった。山門の屋根の上から、覆うように巨大なゴースンの顔がふたりを覗き込んでいた。

『くたばれ、小童(こわっぱ)ども!』

いきなりゴースンサンダーが山門を直撃して、寺院は大破した。懸命に走って逃げるふたりの頭上に雨のように大小のガレキが降り注ぎ、小助の頭に何かが当たった。

その頃、空き小屋では、獅子丸が意識を回復していた。枕元に置いてあった小助の笛を見て、獅子丸はふたりの行動の見当がついていた。まだ完全には回復してない体で小屋の外へ出ると、怪我をした沙織が意識の無い小助を背負って歩いてくる姿が、獅子丸の目に映った。

沙織は獅子丸の姿を見ると安心したのか、気を失ってその場で倒れてしまった。夜になって沙織が回復すると、沙織はまず獅子丸に謝った。

『そりゃあ、ゴースンを倒せるとは思わなかったわ。でも、少しでも手傷を負わせることが出来ればと・・・ごめんなさい』

沙織の気持ちが痛い程解かる獅子丸は、ふたりが無事に戻って来ただけで良いと、怒ることはしなかった。すると、気を失っていた小助が、ようやく目を覚ました。

『気がついたか、小助』
『チクショウ!オイラ、気を失っていたのか!よし、今度こそ!』

刀を差して出て行こうとする小助に、獅子丸は声を掛けた。

『よせ、小助。お前、死んでしまうぞ!』
『オイラ、死ぬことなんかヘッチャラだい!』
『小助、今何て言った?!』
『死んだってヘッチャラだって、言ったのさ。ゴースンを倒して死ねるならね!』

突然カミナリに撃たれたような衝撃を、獅子丸は覚えた。小助が言った何気ないひと言に、ゴースンを倒す手段を見いだした獅子丸。そうとは知らずに、沙織は母親のように小助をいたわり、夜だから寝るように勧めるのだった。

翌早朝。二人がまだ寝ている時刻に密かに小屋を抜け出した獅子丸は、滝行(たきぎょう)をしながら精神統一をしていた。滝に打たれながら、心の中で師匠・果心居士と会話をする獅子丸。(お師匠さま。どうしたら勝てるのか、そればかり考えていた獅子丸をお笑いください。夕べ、小助に教えられました)

大岩の上で座禅を組んで大自然に触れ、自然体となって自分の心と向き合う獅子丸。(死のう。ゴースンを倒すために・・・私は死のう)

遥か彼方の山々を眺望できる崖の上に立って大空を見上げていると、空の高みから亡き果心居士が自分に語りかけているのを獅子丸は感じた。

《頼むぞ、獅子丸!》

獅子丸はそれにうなずくと、心は決まった。小屋へ戻って来た獅子丸の手には、一輪の花があった。それは、故郷・飛騨の山奥に咲いていたのと同じ黄色い花であった。

『沙織、小助、この花を見て、何か思い出さないか?』

問いの答えを聞いて三人の脳裏に浮かんだ光景は、黄色い花が一面に咲く飛騨で、在りし日の果心居士と過ごした平和な日々であった。

食事を終えた昼下がり。三人は昼寝をしている。だが、獅子丸は静かに立ち上がると、振り返って二人を見ながら心の中で思った。(小助、今のままでいい。強く生きるんだ。沙織、お師匠様の弔いを頼むよ。錠之介も、そばに置いてやってくれ)

小屋から出る時に持って来た小助の笛を吹いて、獅子丸は天馬ヒカリ丸を呼んだ。そして、背中の金砂地の太刀だけを持ち、腰の太刀と小助の笛を木に立てかけて置いておく。獅子丸はヒカリ丸に乗ると、ゴースンの元へ向かった。

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目を覚ました小助は、獅子丸がいないことに気づいて沙織を起こした。二人はすぐに小屋の外へ出ると、獅子丸を探した。そして、木に立てかけてある笛と太刀を見つける。

『獅子丸さん、死ぬ気だわ!』

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巨大ゴースンは自分の力を誇示するように足で家々を踏みつけ、時々口から火炎を吐いて町を焼き払いながら破壊を続けた。人々は家財道具を持って、ただ逃げ惑うだけであった。そこへ、ヒカリ丸に乗った獅子丸が現れた。

『来たな、獅子丸!今日こそあの世へ送ってやる!』
『行くぞ、ゴースン!』

ゴースンを前にして、獅子丸はヒカリ丸の鞍に立つと、宙高く跳び上がったまま素早く変身を遂げた。

『ライオン丸、見参!』

そして、そのまま真っ直ぐにゴースンの口の中めがけて飛行していく。ゴースンは向かって来るライオン丸に狙いを定め、ゴースンサンダーを撃ち込んだ。だが、金砂地の太刀でゴースンサンダーをはね返したライオン丸は、ゴースンの目がくらんだ瞬間に開いた口の中へ飛び込んだ。

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ゴースンの体内へ飛び込んだライオン丸は、滑り台を滑るように下へ転がり落ちていく。やがて、「ドクン、ドクン」と大きな音を立てて動いている赤い巨大な臓器を発見する。大きく揺れる不安定な足元で、この赤い臓器を左手でつかむと、右手でクルリと太刀の柄を回して刃先を下へ向けてから、両手を使って思いきり突き刺した。

『ゴースン、土に返れ!』
『うゎーっ!』

叫び声をあげて、激しく苦しむゴースン。胸の紋様がひび割れ、ゴースンの体は今にも破裂しそうであった。そして、「さらば」と告げたあと金砂地の太刀が三回四回とまばゆく発光して、大魔王ゴースンの体は大音響と共に砕け散った。ゴースンの体内で、ライオン丸は自爆したのだ。

大音響と共に起こった大爆発は、獅子丸を探す沙織と小助がいるこの丘からも見えた。たなびく黒煙と散乱している破片を、呆然として見つめる沙織と小助。それはゴースンの最期に間違いなく、同時に獅子丸の最期でもあった。獅子丸の名を叫ぶ、沙織と小助。小助は肩を落として、沙織の胸で泣き叫んだ。

『お姉ちゃん・・・獅子丸兄ちゃん、死んじゃった!』

涙がとめども無く流れる沙織の目に、ふと見上げた大空を天馬ヒカリ丸の形をした雲が空高く昇っていくのが見えた。

『小助ちゃん。獅子丸さん、空へ返って行ったのよ・・・』
『うん。お師匠様の所へ行ったんだね・・・』

(ナレーション;恐るべき悪の化身・大魔王ゴースンを完全に葬り、獅子丸はヒカリ丸と一緒に、今大空へ返っていく。沙織と小助は飛騨へ帰り、その胸にいつまでも獅子丸は生きていた)

(完)


★★★★★★★★★★★★
お読みいただき、ありがとうございました。



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