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快傑ライオン丸(50) [ライオン丸・ドラマ5]

今回は、第54話《ライオン丸 最後の死闘・前編》を取りあげます。

原作;うしおそうじ
脚本;田村多津夫
企画;うしおそうじ 別所孝治
音楽;小林亜星
殺陣;渡辺高光
監督;大塚莞爾

【前回までの話は・・・無謀な錠之介の隠密行動のおかげで、ゴースンの本拠地をついに発見した獅子丸たち。しかし、力を合わせて戦うと誓った錠之介が、ここへきて個人行動に走る。1人でゴースン基地へと向かい、巨大ゴースンに挑んだタイガージョーは、ゴースンサンダーを左目に受けて盲目となってしまう。怪人ガンドドロの銃口のまえに盲目のタイガージョー最後の抵抗も及ばず、その額を撃ち抜かれてしまった・・・】

◆ゴースン命令でガンドドロがタイガージョーにとどめを刺し始めた頃、怪人のスキを突いて小助が呼んだ天馬ヒカリ丸は、獅子丸を乗せて小助の元へ激走していた。ヒカリ丸が向かっているその場所がタイガージョーとガンドドロの一騎打ちの場であることを、獅子丸は近づくにつれて次第に気付き始めた。

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だが、遠目に獅子丸の視界に入ったのは、大地に倒れているタイガージョーの姿だった。大の字に倒れたまま動かないタイガージョーの横にヒカリ丸を停めた獅子丸は、飛び降りるとタイガージョーの頭を右手でそっと持ち上げながら、額から出血している錠之介(静かに虎錠之介に戻っている)に向かって話しかけた。

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『しっかりしろ、錠之介!』
『獅子丸か・・・すまない。お前との勝負、預けっぱなしにして、俺だけ先に逝ってしまうなんて』
『これくらいの傷がなんだ!お前もタイガージョーと言われた男じゃないか!』
『いや・・・今度ばかりは応えたぜ。すまぬ、先に逝かせてくれ・・・』

そう言うと、支えていた錠之介の首の力がガクリと抜けて、虎錠之介は息絶えた。

『錠之介・・・錠之介!』

錠之介最期の様子は、離れた所で大木に縛られている沙織と小助にも解かった。二人とも、涙がとめども無く流れた。

『どうやらお別れも終わったようだな、獅子丸。お前もすぐに、あの世へ送ってやるぜ!』

そう言って、カシャッという音がして弾丸が装填され、ガンドドロの銃口は獅子丸を狙い始めた。急いでヒカリ丸の馬体の陰に隠れながら、獅子丸はその場から遠ざかるように逃げた。しかし、ここは荒地で、岩場のように隠れる所が無い。ヒカリ丸をいつまでも壁にするわけにもいかず、ヒカリ丸から離れた獅子丸は完全に無防備な状態になった。

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そのとき、不思議なことが起こった。タイガージョーのマントがひとりでにフワリと宙を飛び、獅子丸の前で大きく広がると壁のように怪人の銃弾から獅子丸を守った。獅子丸はこのマントの陰に隠れて、ライオン丸へ変身を遂げた。

『風よ光よ!・・・ライオン丸、見参!』

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(バックルを付けた太刀を怪人に投げつけるライオン丸)

しかし、ライオン丸になっても、ガンドドロの銃弾を受けてはひとたまりも無い。しかも周囲には、岩場のような隠れ場所が全く無い。相手から見て死角になるような窪地を探すと、ライオン丸はそこへ伏せて身を隠した。そして、ベルトからライオンバックルを外すと、それを太刀の握り部分へ取り付けて怪人の手元を狙って投げつけた。バックルを脳波で操るライオン丸。

投げられたバックル付きの太刀は、刃先の部分から突っ込むように怪人に向かって飛んで行き、そして正確に怪人の握っている銃を弾き飛ばすと、ブーメランのようにライオン丸の許へ戻って来た。バックルをベルトへ装着すると、ライオン丸は太刀を持って高く跳躍し、飛び道具を持たない怪人に斬りかかった。

だが、怪人はベルトに下げていた二本の短剣を取り出すと、ライオン丸に応戦した。怪力の怪人と二回三回と互いの剣を交えて戦ううち、ライオン丸は崖側に追い詰められ、数十メートル下へ転落してしまう。落下した衝撃で朽ちた大木に左足を突っ込み、足を挟まれたまま動けないでいるライオン丸を、崖上で銃を拾ったガンドドロの銃口が狙いを定めた。

ところが、ここでまた奇跡が起こる。錠之介の心が乗り移ったかのようにタイガージョーのマントがフワリと再び飛んで来て、視界を遮る様にガンドドロの上から覆いかぶさった。ガンドドロがそのマントを払いのけるまでのわずかの間にライオン丸は朽木から足を外すと、宙高く跳んで一回転し、ガンドドロのすぐ後ろへ回り込んだ。そして、「タイガージョーのかたき!」と叫びながら、マントを払いのけたガンドドロの背中から腹へ向けて太刀を突き刺した。

『ううう・・・』

ライオン丸が太刀を抜くと、致命傷を負ったガンドドロは低い唸り声を上げながら前方へ雪崩る様に倒れた。ところが、怪人の背からはがれるようにして影法師(真っ黒な人影)が分離し、生きた毛皮を背負ったまま逃走しようとした。

『正義の心、えいっ!』

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右手を自分の胸に当てたライオン丸は、走って逃げていく影法師に向けて右の手のひらをかざした。すると、赤い炎のようなライオン丸の「正義の心」が怪人の影法師に向かって飛んで行き、背中にピタリと貼り付いた。影法師は狂ったように数回回転してから倒れ、破裂した。タイガージョー(のマント)に二度助けられながら、ライオン丸はこの怪人をついに倒した。

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錠之介の仮の墓は、清流が流れる河原から少し離れた所に大小の石をたくさん積みあげ、その中央に銀砂地の太刀を立てて作った。獅子丸は無言で遠くの空を見上げ、沙織は涙を流しながら両手を合わせて墓を拝むと、こう言った。

『ゴースンを倒したら、錠之介さんも飛騨へ連れて帰りましょう』
『うん。小助、涙を拭くんだ』

沙織の言葉に振り返った獅子丸が、小助に元気を出すように促した。錠之介と一番馬が合っていたのは、小助だった。

『オイラ、泣いちゃいないさ。これ、形見にもらっていくからね』

そう言って、流れる涙を拭うこともせずに小助が懐から取り出したものは、眼帯だった。

(ナレーション;錠之介は死んだ。獅子丸たちとの間に生まれた不思議な友情の糸が、今ぷつんと切れた。だが三人に、いつまでも友の死を悲しんでいる時は無かった。なぜなら、ゴースンが再び立ち上がっていたからである)

三人は、都を目指して岩山を登っていた。ここを登り切れば、都が見えるはずだ。頂上へ着いた三人の眼前に、京の街並みが一望できた。感激の笑みが、三人の顔に浮かんでいた。だがこの感激に、いつまでも浸っている暇は無い。下り傾斜の続く道をひたすら早足で歩く三人の目に、巨大なゴースンが都の中心部へ向かって歩いていく姿が映った。

『沙織、小助、行くぞ!』
(つづく)


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