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快傑ライオン丸(28) [ライオン丸・ドラマ3]

今回は、第37話《狙われた男 怪人トドカズラ・前編》を取りあげます。

原作;うしおそうじ
脚本;馬嶋 満
企画;うしおそうじ 別所孝治
音楽;小林亜星
殺陣;渡辺高光
監督;中西源四郎

【前回までの話は・・・ ガマウルフを倒して手に入れた果心覚書。それには、果心居士がジャラモンで共に学んだ学友6人の名前が記されていた。そのひとり1人に会い、この中にゴースンがいるのかを確かめる旅を始めた獅子丸たちだが、3人を探し出したものの、未だに手がかりは無い。次に探し出す男は、額にキの字の傷痕を持つ木猿という男であった・・・】

◆怪人トドカズラは、額にキの字の傷痕がある木猿という男を殺すよう、ゴースンから命令されていた。木猿は、果心覚書に記された第五番目の男で、ゴースンと技を競い合った程の男である。ゴースンをよく知る木猿を獅子丸よりも先に見つけ出すことが、トドカズラにとって何よりも重要なのだ。

(ナレーション)獅子丸たちは、額にあるキの字の傷痕を手掛かりに、木猿の消息を求めて黒森山へ向かっていた。だが、途中で激しい腹痛を起こした小助は歩くことができず、獅子丸に背負われていた

小助を背負って林の中を歩いている獅子丸と沙織の目の前で、2羽の山鳥を吹き矢で撃ち、いとも簡単に仕留める技を持った男が現れた。小助を休ませるため、沙織は一夜の宿を借りようと男に声をかけたのである。

『あのう、もし・・・』

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振り返ったその男の顔を見た時、沙織も獅子丸も次の言葉がすぐに出て来なかった。なんと、その男の左眉毛の上には、キの字の傷痕があったからである。

『背中の者が、病で難儀しております。勝手ながら、すこし休ませていただけませんか。おねがいします・・・』

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獅子丸が小助の症状を訴えると、男は警戒しながらも小助の様子を見て、あとに付いてくるよう獅子丸たちを促すのだった。男は山小屋で、年寄りの喜蔵と幼少の弥一との三人暮らしであった。喜蔵は高齢ながら、薪割りをするほどの体力の持ち主であった。

弥一は年の頃は二~三歳、この男・佐吉のひとり息子であった。佐吉は20代後半位の男で、妻は弥一を生んだあとに死んだという。そんな境遇の弥一は、沙織を見て母親のように慕うのであった。

夕食後、沙織は思い切って佐吉に額の傷痕のことを訊ねてみた。

『この傷は小さい頃のわんぱくで、柿の木から落っこちたんです。木猿などという忍者では・・・』
『あの吹き矢が、あまりにも見事だったもので・・・』

佐吉は幼子の弥一をヒザの上で寝かせながら、自分は木猿ではないと話したが、あの吹き矢の技はなかなかの腕前であり、本当のことは言わずに隠しているのかもしれない。子供の頃からやっていて自然に身に付いた技と言っているが、あの吹き矢はそれだけではないように思えた。佐吉は、自分よりも喜蔵の方がもっと上手だとも話していた。その喜蔵は無口な性格なのか、この輪には入らず、奥で残りの仕事をしていた。

翌朝。小助の病が治るまでの間、こちらに世話になることになった獅子丸たち。朝食後、獅子丸は小助を沙織に任せて、木猿の行方を求めて黒森山へ向かうことにした。佐吉も、いつものように野良仕事へ出かけて行く。玄関先でふたりを見送る沙織に、やっと今起きてきた弥一が大声であいさつした。

『おはよう!』
『おはよう、弥一ちゃん!』

弥一は急に沙織の手を引くと、近くの花園まで沙織を連れて走りだした。弥一は、幼い時に死んだという母の面影を、沙織に求めているのであった。ふたりの男手だけですくすくと育って来た弥一だが、二~三歳頃の子には母が恋しい歳頃であろう。弥一は、沙織の近くにいるだけでうれしくて仕方がないし、女の沙織にはそういう弥一の気持ちがよく解かる。

摘んできた花を生ける沙織の姿を見てはしゃぐ弥一の姿を見ていた喜蔵が、沙織に母の面影を見ているのですと説明されると、沙織は一体どうしていいのか迷う自分を見つけるのだった。ここで平穏な暮らしをしたいと思う自分がいる。しかし、ゴースンを倒すという大事な使命が自分にはあるのだ。

夕食のおかずの山鳥を撃ちに、喜蔵は弥一に声をかけて、一緒に林へ入っていった。喜蔵は指笛で小鳥の鳴きマネをしておびき寄せると、吹き矢を使って山鳥を撃つことに集中していた。射ち落した山鳥を拾うと、そこにいるはずの弥一の姿が見えない。喜蔵は焦った。喜蔵は老体ながら、物凄い速さで林の中を駆け回って、弥一を探した。すると、弥一を担いで逃げて行くドクロ忍者四人を、発見したのである。

林の中の道を、二列縦隊で走って来る四人のドクロ忍者の前に立ちふさがり、前にいたふたりののど元に吹き矢を浴びせて倒した喜蔵は、残るふたりの前に立つと、急に横にそびえたつ大木の枝に吹き矢を放った。すると不思議なことに、吹き矢が当たって切れた木の枝がまるでヘビのように意志を持って動き出し、残るふたりのドクロ忍者を攻撃し始めた。

それはただの木の枝なのだが、スルスルとヘビのように動いて、残る1人のドクロ忍者の首に食いついた。いや、突き刺さったのだ。そして、すっと首から抜けると、もう一人のドクロ忍者の首にも突き刺さった。弥一をさらおうとした四人のドクロ忍者は、あっという間に死んだのである。

『弥一!』
『おじいちゃん!』

喜蔵が弥一を抱きあげた時、どこからか矢が飛んで来た。弥一を抱えてかがみこんだ喜蔵は、自分の近くの大木に矢文(手紙を巻き付けた矢)が刺さっているのを見つけるのだった。

一方、獅子丸はというと、木猿の姿を求めて心当たりも無く、方々を探し回っていた。水を飲むために川の流れに沿って歩き、滝つぼのある岩場までやって来たとき、滝をはさんで向こう側の岩場に立っている虎錠之介が目に入った。その距離は、10メートルほどしか離れていない。

(錠之介・・・)
『しばらくだったな、獅子丸・・・お前が生きていてくれて、俺は嬉しいぜ。ここは、お前の死に場所としてふさわしいトコ。手向けの花も、用意した』

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錠之介はそう言って、獅子丸をジッと見ながら、近くで摘んできたのだろう、白い花の束を自分の鼻にかざしてその香りを吸い込むと、それを滝つぼへ捨てた。

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『来い、獅子丸!ゴースン・タイガー!』

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『風よ光よ!忍法獅子変化!』

ふたりは、滝つぼに近い岩場の上でそれぞれ変身した。水量の多いこの滝の水しぶきを被ったふたりの勇姿が、太陽光でキラキラと輝いて見えた。

『タイガージョー、推参!』
『ライオン丸、見参!』
(つづく)


★★★★★★★★★★★★
今回映像では怪人が出てくるのですが、話の筋に直接関係が無いため、カットして話を進めました。


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