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快傑ライオン丸(20) [ライオン丸・ドラマ2]

今回は、第28話《悪の剣士タイガージョー・後編》を取りあげます。


【前回までの話は・・・ゴースンのけた違いの強さを思い知らされ、獅子丸は自信喪失に陥った。ライオン丸殺害命令をゴースンから受けた虎錠之介は、ふたたび獅子丸の前に姿を現す。タイガージョーに変身してライオン丸に戦いを挑んだが、空中戦でライオン丸に右目を貫かれ、初戦は錠之介の完敗であった・・・】

(ナレーション)その頃、虎錠之介は澤湯にいた。ライオン丸によって傷つけられた右目を癒そうとしていたのである。だが、彼の右目は、永遠に物を見ることができなくなっていた。

(獅子丸め!とうとう俺を、片端(かたわ)にしてしまいやがって!)
ライオン丸との戦いを回想しながら、錠之介は心の中でつぶやいた。この右目の仇は必ず次に会った時に取ると自分に言い聞かせ、黒色の鍔(つば)で作った眼帯を右目に装着した錠之介は、頭の後ろでキュッとひもを結んだ。

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そうこうしていると、昨日錠之介が助けた村娘が、錠之介の名を叫びながら走って来て、錠之介に早くこの村から逃げるように勧めるのだった。村娘を助けるために錠之介が斬った三人の浪人者は風神組の組員で、この辺を荒らす悪党集団であった。その風神組が、仕返しに大勢連れて錠之介を探していると、娘は情報を持ってきたのだ。

『余計なことだ。余計なことは、しない方がいい』

赤の他人を助けるわけが無いし、他人なのだから関わるなと、錠之介は突き放すように村娘に言うのだった。錠之介に助けられた恩に報いようと急いで知らせに来たのに、思いやりの欠片もない錠之介の態度に、娘の淡い恋心は吹き飛んでしまった。

『風神組は、鬼のような連中です。どうか、お気をつけて・・・』

娘が走り去ったあとしばらくして、風神組の連中が錠之介の回りを囲んでいた。

『野郎ども、コイツを叩き斬れ!』
『お前達は、到底俺の敵では無い・・・』 

錠之介はタイガージョーに変身すると、物の数秒で八人の刺客を斬り倒してみせた。そこに立っているのは、右目に眼帯をしたタイガージョーであった。

『ライオン丸よ。今度こそ、必ず貴様を倒してやる!』

(ナレーション)虎錠之介、大魔王ゴースンに魂を売った悪魔の剣士である。なぜ悪の道へ入ったのかは、誰も知らない。

幼少の頃の錠之介は、城主の跡取りとして大事に育てられていた。しかしその頃から、錠之介の剣には、魔剣の臭いが漂っていた。ある時、父は青年錠之介に諭した。どんなに強くとも、心の優しさ・情けを忘れている限り、それは「邪剣」に過ぎないと。そして、邪剣は所詮、正しい者の剣には勝てないとも。

強い剣こそが真の剣だと思うあまり、青年錠之介は、いつしか父に反発するようになっていた。そして、錠之介は父との会話の中で、父に剣の申し合いを挑んでしまう。慢心した錠之介を父は怒り、錠之介を相手に木刀を構えるが、青年錠之介の剣は一撃で父を倒してしまう。それ以来、錠之介の剣に対する考えは、いつもこうであった。

『強い奴が勝つ。それが剣の掟だ!』

その頃、獅子丸は、古寺の住職から問いかけられた「枯れ葉を落とさずに小枝を斬る」術を考えながら、どこを目指すでもなく林の中を歩いていた。住職が話した「剣の道は心の道」という言葉を思い出し、心の迷いを断ち切る方法を探していた。

時々、高く飛び上がって小枝を斬ってみるが、枯れ葉はいつも落ちてしまう。打開策を見いだせぬまま、獅子丸はまた林の中を歩いていく。

一方、獅子丸の書き置きを読んだ沙織と小助は、飛騨には帰らずに獅子丸のあとを追っていた。獅子丸の冷たさに怒り、ふくれ面をしながら歩く小助を、男が呼び止めた。

『小僧!獅子丸はどこだ?』
『お前は、誰だ!』
『虎錠之介・・・獅子丸は、どこだ?』
『おいらだって、探してんだ。知ってたって、お前なんかに教えるもんか!』

目の前にいる隻眼の忍者を無視して、小助は通り過ぎようとした。すると、錠之介は、腰の太刀を鞘ごと抜いて、風神組にやった時のように赤い鞘を空へ投げ上げた。だが、小助も忍者の端くれ、宙の鞘など見ずに俊敏に逃げた。少し遅れて歩いていた沙織が小助に追いつき、事情を尋ねた。

『少しはやるな、小僧・・・だが、この次は斬る!』

そう言って、錠之介はその場から立ち去った。そして、小助が一歩踏み出した途端、帯が斬られていたため、着物がはだけておへそが丸見えになった。虎錠之介が相当な剣の使い手であることを、小助は知るのだった。

『沙織姉ちゃん。あの虎錠之介とかいう片目の野郎、獅子丸兄ちゃんを追っているんだ』

虎錠之介のことを知らせなくてはと、ふたりは歩みを速めた。だが、虎錠之介はすでに、獅子丸を捉えていた。風の音だけが聞こえる広大な砂地を歩いていく獅子丸の前方に、腕を組んだ虎錠之介が笑顔を作って立っている。

『獅子丸!探したぞ』
『どうしても、お前と決着をつけなければならないようだな!』
『今日こそ、借りを返すぞ。お前の正義の剣とやらを、破ってみせる。ゴースン!タイガー!・・・タイガージョー推参!』

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タイガージョーに変身した錠之助は銀砂地の太刀を振りかざし、獅子丸に襲いかかった。獅子丸も忍法獅子変化で、ライオン丸に変身した。

『ライオン丸見参!』

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ふたりが今戦っている場所は、草も木も生えない広大な砂地だ。ライオン丸の金砂地の太刀とタイガージョーの銀砂地の太刀が、何度も交わって火花を散らした。

この勝負も、空中戦がカギになりそうだ。空中高く飛べば、ライオン飛行斬りが待っている。それを知っていて、先に高く飛んだのはタイガージョーであった。

『ライオン飛行斬り!』
『タイガー霞返し!』

ライオン丸の飛行斬りに対抗する技を、タイガージョーは完成させていた。宙で舞うようにふたりが並んで飛んでいた瞬間に、タイガージョーの銀砂地の太刀がライオン丸の右肩を切り裂いていた。

斬られたライオン丸はバランスを失い、失速して砂地に激突したまま起き上がれない。地面に着地したタイガージョーは、自信満々にこう言った。

『飛行斬り、破れたり!・・・ライオン丸、とどめだ!』

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十数メートル先で地面に落ちて、倒れたまま起き上がれないライオン丸を見て、タイガージョーは銀砂地の太刀でとどめを刺そうと構えた。すると、タイガージョーの目の前で、ライオン丸が大爆発したのだ。獅子丸を追いかけていた沙織と小助の耳にも、その爆発音は聞こえていた。爆発音のした方向へ、ふたりは急いで走って行く。

大量の土砂が降り注ぎ白煙がもうもうとする中、ライオン丸は木っ端みじんに吹き飛んでしまったのか、影も形も無い。タイガージョーは遠く宙を見つめて、つぶやいた。

『ゴースン様、タイガージョーはライオン丸を倒しました!強い奴が勝つ、今こそ分かったか!これが剣の掟だ!』

タイガージョーは、満足げにその場を走り去って行った。そのあと沙織と小助が走って現れ、爆発した周辺を目を皿にして何かを探した。すると、土の中から手が出てくるのが見え、それは獅子丸の左の手だった。

獅子丸は、とっさの「みじん隠れの術」でタイガージョーの目をくらませることに成功した。土の中に身を隠し、火薬を破裂させて自害したようにみせる術である。タイガージョーをまんまと騙した獅子丸は、なんとか窮地を脱した。土の中から出て来た獅子丸に、肩を貸す沙織と小助。

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『しっかりして!』(沙織)
『や、敗れた・・・』
『誰に?』(小助)
『悪の剣士、タイガージョー・・・』

獅子丸は、ゴースンに続いてタイガージョーにも破れ、身も心もズタズタになっていた。
(終わり)


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