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快傑ライオン丸(17) [ライオン丸・ドラマ2]

今回は、第27話《大魔王ゴースン怒る!・前編》を取りあげます。

原作;うしおそうじ
脚本;田村多津夫
企画;うしおそうじ 別所孝治
音楽;小林亜星
殺陣;渡辺高光
監督;石黒光一


【前回までの話は・・・ゴースン島への最後の難関・第三前線基地を突破しようとする獅子丸たちの前に、守備隊長クワルギルビとゴースン砲が襲いかかった。ライオン丸に化けた自分が死ぬことで敵を油断させようとした沙織は、クワルギルビとの戦いで大怪我を負ってしまう。だが、死んだはずの怪人ネズガンダに助けられ、沙織は一命をとりとめる。沙織の決死の行動に気がついた獅子丸と小助は前線基地へ乗り込み、ライオン丸に変身してクワルギルビを倒した。そして、ライオン丸との再戦に意欲を燃やすネズガンダとも、決着をつけることに。これが、ふたりの宿命だった・・・】

◆(ナレーション)それは長い旅であった。宿敵大魔王ゴースンを目の前にして、三人は身体の中を熱い物が吹き抜けるような感動を、おぼえていた。

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波が静かに打ち寄せる砂浜に立って、三人は遠くに見える同じ物を見つめていた。それは不思議な形をした断崖絶壁の岩山でできた島、ゴースン島である。ここから見る限り、舟でゴースン島まで辿りついても、周囲は荒れた海で砂浜が見当たらない。上陸するには、獅子丸が岩場へ登ってからロープで舟を繋いでおき、そこを拠点にしてゴースンの居場所を探るより、方法が無さそうであった。

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気がつくと、小助の足元に集まってきた数匹のカニがいた。いや、よく見ると、三人の回りは大小さまざまな大きさのカニだらけであった。数百匹はいるだろう。そのうちの一匹をつかんで、獅子丸は遠くへ投げた。すると、そのカニは爆発を起こしたのだ。

『カニを避けて、逃げるんだ!』

数百匹のカニが歩く砂浜を、三人はカニを踏まないように走って逃げた。だが、カニ自身が爆発を起こすのか、それとも振動を感じて破裂したのか、三人のあとを追うように次々と爆発が起こった。

三人は洞穴へ逃げ込んで、なんとか助かった。爆発が収まり、洞穴から出て来た三人。だが、先頭を歩く獅子丸は異様な気配を感じて、無言のまま、あとを付いてくるふたりを手で止めた。そして、砂浜の一角に向かい、太刀で刺したのである。

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すると、その部分から血しぶきが飛んで、あっという間にその部分が赤く染まった。三カ所、四カ所と次々に獅子丸が太刀で刺した場所は、血で赤く染まっていった。砂浜の中に、ドクロ忍者が潜んでいるのだ。

斬っても斬っても次から次へと現れて、三人を襲うドクロ忍者たち。二十数人を斬った頃に、ようやくドクロ忍者は姿を現さなくなった。

落ちついたところで、獅子丸はゴースン島への上陸方法を考えていた。そして、近くの漁村へ行って舟を貸してもらえるよう、沙織と小助に手配をした。その間に獅子丸は、ゴースン島からの船着き場を探しだすつもりであった。

獅子丸は、誰かに尾行されているような気がしていた。地面に耳を当てて人が走る足音を聞いてみるが、音は聞こえない。手裏剣を投げてみるが、追っ手が放つ殺気は無い。だが、誰かがいることに間違いはないのだ。獅子丸の鍛え上げられた忍びの腕が、そう感じるのだ。

海岸線へ向かう分れ道を進み、砂浜を歩いていると、獅子丸を呼び止める声がした。

『だいぶ、できるようだな』

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その男は、一目見て忍者であることに間違いはない。青色の上衣(うわぎ)に茶色の袴(はかま)を着け、同系色の手甲(てこう;手と腕を守る手袋のようなもの)を両腕にしている。一番特徴的なのは、黄色地に黒い縞模様が入った半纏(はんてん)を羽織っていることだった。

『無駄なことは、止めた方がいい』
『無駄なこと?』
『そうだ。お前がやろうとしていることは、すべて無駄なことだ』
『あなたには、関わりの無いことだ』

自分のやろうとしていることを非難するこの男を、獅子丸は放っておこうと思った。だが、男は獅子丸に向かい、こう言った。

『待て!どうして俺が、関わりが無いと分かる?』
『関わりがあると言うのか?』

この男は、明らかに獅子丸にケンカを売っている様であった。

『正しい者が必ず勝つ。そう、言いたいんだろう。俺はそんな奴を見ると、無性に斬りたくなるんだ!』
『それは、あなたの勝手です』
『待て!正しい者が勝つんじゃない、強い者が勝つんだ!お前に、そのことを教えてやる。(刀を)抜け!』

獅子丸は、むやみに血を流す戦いはしない男。まして今会ったばかりで、どこの誰かも分らぬ男と、戦う理由は全く無い。だが、男の方には、戦う理由があるようだ。つまり、獅子丸の素性を知っているということなのだ。

『あなたと戦うわけには、行かぬ』
『俺が、怖いか』
『怖くはない。だが、断る!』

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男は、いきなり太刀を抜くと、獅子丸の首筋に白刃を当ててきた。そして、「これでもか!」と脅してきたのだ。

『抜け!お前の力を、思い知らせてやる!』

だが、それでも獅子丸はじっと動かず、断るという姿勢を貫いた。男は、獅子丸の意志の強さに負けた。

『お前のツラが、ますます気に入らなくなった!必ず刀を抜かせるようにしてやる!』

男は太刀を収めると、走ってその場を去っていった。獅子丸は、悪い予感を感じていた。

『何者だろう、あの男・・・まさか、ゴースンの手下では』

一方、夜になって、沙織と小助からは、近くの漁師村の様子を聞くことができた。ゴースンの手下によって、その漁師村の人々は恐怖の日々を過ごしているようだった。そこで理由を話したら、舟を手に入れることができたという。

『その人達のためにも、必ずゴースンを倒すんだ。明日の朝、早く出発しよう』

暗い海に、波音だけが聞こえる岩場。月明かりの下、男がゴースン島に身体を向けて座禅を組んでいる。そして、静かに目を開けると、鋭い眼光で一点を見つめて口を開いた。

『ゴースン様。錠之介に、早くご命令を!お言葉が無いのは、まだ待てと言うことなのですか!』
(つづく)


★★★★★★★★★★★★
獅子丸にとって、宿命のライバルとなる虎錠之介の出現。星飛雄馬と花形満、キカイダーとハカイダーのように、ライバルの存在が物語を面白くする!



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