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快傑ライオン丸(16) [ライオン丸・ドラマ2]

今回は、第26話《最後の守備隊長クワルギルビ・後編》を取りあげます。


【前回までの話は・・・ゴースン島を目指す獅子丸一行は、第三前線基地を突破しようとしてゴースン砲に狙われ、命からがら逃げ戻ってくるのだった。守備隊長のクワルギルビは、基地へ攻め入ってきたライオン丸を逆に倒して意気揚がるが、それは考えた末の沙織決死の作戦であった・・・】

◆『あっ、あれはライオン丸!』

クワルギルビとの対決が持ち越しになり、一匹狼の怪人ネズガンダはさすらい歩いていた。すると、崖の途中で引っかかっている気絶したライオン丸を、ネズガンダは発見した。

手裏剣弾を数発撃って岩の引っかかりを削り取り、落下してくるライオン丸を、ネズガンダは自分がジャンプして受け止めた。地面にライオン丸の身体を横たえると、軽く揺すって意識が回復するか試してみた。

『おい、ライオン丸よ。死んでしまったのか!・・・おお、まだ生きていたか!』

気を失ったまま反応が無かったライオン丸が、「うう・・・」と声を出した。だが、ライオン丸のマスクが外れて、中からは女の顔が。

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『やや!これはニセモノ!』

ネズガンダは、ニセ・ライオン丸を演じた女の隣に座って、女が意識を回復するまで見張っていた。沙織は目を覚まし、横にいる怪人を見て驚く。だが、クワルギルビに斬られた左肩の激痛のため、声が出せなかった。

『気がついたか。心配するな。お前を殺す気なら、初めから助けたりはせぬ』
『ネズガンダ・・・死んだと思っていた・・・』
『フフフフ、一度は死んだ。だがもう一度、どうしてもライオン丸と決着がつけたくてな』

敵である自分を助ける理由を、沙織はネズガンダに問うた。すると、俺の敵はライオン丸だけだと、ネズガンダは答えるのだった。

『それよりも、娘。どうしてライオン丸に化けたのだ?』
『それは・・・私がライオン丸に化けて死ねば、ライオン丸が死んで敵は油断するわ。だから・・・』

『しかし、お前はそれで死んでしまうところだったんだぞ』
『私はいいわ。獅子丸さんさえ無事なら、きっとゴースンを倒してくれる・・・』
『フフフフ、笑わせるな。ライオン丸は、俺の手にかかって死ぬのだ』

「余計なことで、手間を食ってしまった」と言って、沙織の容体が安定していることを確認したネズガンダは、その場を去って行くのだった。そのうしろ姿を、じっと見つめる沙織。

一方、天馬ヒカリ丸で第三前線基地の近くまで来た獅子丸と小助は、ここでヒカリ丸を降りると、ここからは敵に見つからぬように徒歩で進んだ。どこかに、沙織が捕らわれているに違いない。岩場の陰から、敵の様子をうかがうふたり。

『いいか、者ども。ライオン丸は、死んだ。娘と小童(こわっぱ)を、草の根を分けても探し出せ!』

クワルギルビがドクロ忍者たちに指図する声を聞いた獅子丸は、すべてを悟った。

『そうか。沙織は敵を油断させるために、ライオン丸に化けて・・・』
『それじゃ、お姉ちゃんは身代りになって・・・チクショウ!』

小助は、沙織が自分達の身代りになって死んだと思い込み、獅子丸が制止する間も無く、クワルギルビとドクロ忍者たちの集まる中へ突っ込んでいった。反抗する小助の首根っこを簡単につかんだクワルギルビは、「まだ子供だから、死ぬことはあるまい」と、情けを掛けるのだった。

小助を制止できなかった獅子丸が、あとからクワルギルビの前に現れると、その姿を見るや、クワルギルビは顔色を変えた。

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『お前は、死んだはずでは無かったのか!』
『バカメ。俺は不死身だ!』

獅子丸は、自分が不死身であることを強調した。すると、クワルギルビは、すぐ横にあったゴースン砲を操作して、獅子丸に向けて一発撃った。崖下へ転落しそうになりながらも、獅子丸は忍法獅子変化によってライオン丸に変身し、クワルギルビの前に現れた。

そこへネズガンダが現れ、ふたりの対決する様子を見物するために、岩の上に座ったのだ。それを見たクワルギルビは、自分の味方をしないネズガンダを咎めた。

『裏切ったな、ネズガンダ!』
『フフフフ。俺は最初から、お前達の仲間では無いわ!』

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怪力クワルギルビと、空中戦のライオン丸との戦いである。ネズガンダは突如、クワルギルビの弱点が背中であることを、ライオン丸に告げた。ツノがある正面より、背中が無防備であることを教えた。

クワルギルビが宙に飛んだ時、ライオン丸も宙に飛んで正面でぶつかるとみせ、クワルギルビの頭部から突き出た2本うちの右のツノをライオン丸は左手でつかんだ。そして、そのまま倒立するように前方へ1回転して背中合わせになった瞬間に、右手の太刀がライオン丸の左脇下を通って、クワルギルビの背中を貫いていた。

『見事だ、ライオン丸。クワルギルビは死んだ。だが俺は、お前を助けるために教えたのではない。俺は、この手で、お前の死を確かめたいのだ』
『ネズガンダ。俺は、お前と戦いたくはない。お前を、殺したくはないんだ!』

『これが、俺とお前の宿命なのだ!』
『よく分かった、ネズガンダ。さぁ、来い!』

守備隊長がいなくなった前線基地で、ネズガンダとライオン丸が対峙していた。それをジッと見つめる小助。だが、傷の癒えた沙織がここに現れ、ふたりの間に入った。

『待って!ネズガンダが、私を助けてくれたの!』
『ウルサイ女だ。ライオン丸、勝負は預ける!また会おう』

気が散って勝負どころでは無いと、ネズガンダはこの場を去って行った。獅子丸は、その後ろ姿を見送りながら、心の底から戦いたくない相手だと思った。それは、強敵であることもそうだが、心根が優しい男であることを獅子丸は感じているからだ。だが、宿命には逆らえないのだろうか。

岩場を下って行くと、海岸に出る。正面には海が見え、その先に不思議な形をしたゴースン島がそびえていた。とうとう三人は、ゴースン島に手が届く所まで来た。沙織と小助が、はしゃぐように喜んでいる。だが、獅子丸には分かる。ゴースン島を目の前にして、まずネズガンダと対決しなければならないことを。

海岸に近い岩場を歩いていると、大きなトンネルが目に入った。その向こうに、三度笠をかぶった影が立っていた。

『待っていたぞ!』

獅子丸は覚悟を決めて、変身した。

『ライオン丸見参!』

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2丁・手裏剣弾銃撃ちのネズガンダか、それともライオン丸の俊敏さか。手裏剣弾銃の攻撃を、ものの見事にかわすライオン丸。ネズガンダが一発発射したあと、思わず背中の太刀を抜いて宙へ飛んだ時、勝負は決した。

両者が着地したとき、振り向いたライオン丸の左腕には手裏剣弾が1本突き刺さっていた。一方のネズガンダの左脇腹から腰あたりにかけて、ライオン丸の太刀が水平に切り裂いていた。着地したあと、ネズガンダはフラフラと1,2歩あるき、倒れて絶命した。ふたりの戦いを見守った沙織と小助の目には、涙が・・・

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(ナレーション)不思議な友情で結ばれたネズガンダ。彼を倒した獅子丸の心は、複雑であった。そして、夢にまで見たゴースン島。この日までに、どれだけ多くの血と汗を流したことか。そのゴースン島は、今静かに、だが不気味にそそり立っていた。
(終わり)


★★★★★★★★★★★★
戦いたくない相手・ネズガンダを倒すことは、獅子丸の宿命だった。そしてついに、獅子丸たちはゴースン島へ乗り込む。だが、その前に立ちはだかる獅子丸最大のライバルが、次回その姿を見せる!



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