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快傑ライオン丸(3) [ライオン丸・ドラマ1]

今回は、第3話《魔の森 わくらんば・前編》を取りあげます。

原作;うしおそうじ
脚本;田村多津夫
企画;うしおそうじ 別所孝治
音楽;小林亜星
殺陣;渡辺高光
監督;石黒光一


【前回までの話は・・・ 大魔王ゴースンは、日本征服の邪魔になる果心居士を、怪人オロチを使って暗殺した。だが、果心居士の三人の弟子たちは果敢に戦い、青年忍者獅子丸は忍法・獅子変化を開眼し、ライオン丸に変身してオロチを倒した。果心居士から与えられたゴースンを倒す使命を果たすため、三人は旅に出た・・・】

◆最近村人たちの間で、「魔の森」と呼ばれるようになった場所がある。そこへ入った者は二度と生きては帰れないと言うウワサが流れてから、半月が経っていた。獅子丸たち三人の大魔王ゴースンを倒す旅は、偶然にもこの森へ続く道を歩いていた。

獅子丸たちが歩いていると、山焼きをやる季節でもないのに、行く手を遮るように山焼きの炎が三人に迫ってきた。仕方なく他の道を探そうとする獅子丸たちに、突如牢人衆が現れて、襲いかかって来たのだ。

獅子丸は相手の一人から太刀を奪うと、峰打ち*の構えで牢人衆と戦った。どうやら、彼等はゴースンの手下では無いと判断したからである。
*刃の部分ではなく、太刀の背の部分で相手を叩くようにして戦うこと

果心居士の教えを受けた沙織と小助も、相手を斬ることなく戦うことなど、たやすいことであった。牢人衆の一人が、少し離れた場所でのんびりと身体を横たえて休んでいる男に向かって叫んだ。

『おい、何をのんびり構えているんだ!』
『オレは見物だ。そこまで、手当はもらってないからな』

だが、獅子丸たちと牢人衆との戦いは、この一人のんびり昼寝をしている牢人の付近にまで及んで来た。背中に「疾風」と書かれた陣羽織を着たこの牢人は、小助と戦っていた牢人の足に太刀をひっかけて転ばすと、言った。

『おい、相手は子供だぞ!』

陣羽織の牢人は、小助たちに味方するように戦いに加わってきた。陣羽織の牢人が加わったことで、戦いはあっという間に終結してしまった。獅子丸も剣の使い手だが、この陣羽織の牢人もなかなかの者であった。戦いが終わると、この陣羽織の牢人は大声で笑いながらこの場を去って行った。

『おかしなヤツだ・・・』

その男の後ろ姿を見送りながら、獅子丸はそうつぶやいた。夕方になり、誰も住んでいない小屋を見つけた獅子丸たち三人は、一晩をここで明かすことにした。小助が、昼間の戦いを振り返って言った。

『あの連中、何者だろう?それにあの一人、どうして仲間をやっつけて、オイラを助けたんだろう・・・』
『彼等は確かに忍者じゃなかったけれど、私達と知って、あそこで待ち伏せしていたんじゃないのかしら。と、すると・・・』

沙織が自分の考えを話していたその時、トビラを開けて小屋に入ってきたのは、あの陣羽織の牢人だった。

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『ごめんよ!なぁーんだ、お前たちだったのか!』

笑顔で豪快にそう言うと、勝手に獅子丸のとなりに座りこんで、男は言った。

『オレは牢人、蒲生城太郎。どうだい、今夜一緒に泊めてくれよ。仲間のところへ帰れなくなってしまったんだ!』

食事の支度が出来上がったところへやってきた蒲生城太郎は、誰とはなしに問いかけて、この場に酒が無いことを知ると、ふもとの村まで買いに行くと言い出した。蒲生城太郎は豪快に笑いながら、酒を買うために小屋を出て行った。

『金は、たんまりあるんだ!アハハハハ!』
『小助ちゃんを助けたのは、私達に近づくための企みじゃないのかしら・・・』

当然のことながら、沙織はこの牢人を信用してはいない。だが獅子丸には、昼間の戦いの様子や今の話の具合から、そんなに悪い人物には思えなかったのだ。

月明かりの闇の中で、ふもとの村へ酒を買いに行く途中の蒲生城太郎を、仲間の牢人たち十人ほどが取り囲んだ。昼間の行動を謝った城太郎だが、そこへ割って入ってきたのはドクロの仮面の男だった。

『お前は、俺が雇ったのだ。俺の命令に従わなければ、それは裏切りだ』(ドクロの仮面)
『子供を斬れと、命令された覚えはない』(蒲生城太郎)

『銭は、十分に渡してあるはずだ!』(ドクロの仮面)
『殺しをやるほどは、もらって無い!』(蒲生城太郎)

蒲生城太郎は、かなりの剣の使い手であった。剣の使い手は、たとえ太刀がなくても敵をさばくことが上手い。城太郎は持っていた酒を入れる大きなヒョウタンを使って、相手をうまくさばきながら、その場を逃げ去ってしまうのだった。

何も無かったかのように小屋へ戻ってきた蒲生城太郎は、酒だけでなく干物も買ってきて、みんなで食おうと言い出した。

『あの山焼きでもらった金だ』
『金が欲しくて、百姓の手伝いをしたのか?』

獅子丸の問いに、金が欲しかったのは確かだと答えた城太郎だが、そのあとの言葉に獅子丸は驚く。

『俺たち牢人を雇ってくれたのは、ドクロの仮面の男だ。三方に火を放ち、森の中にお前達を追いやる手筈だったんだ。何か恐ろしいワナがあるに違いない。村の者のウワサだと、あの森へ入った者は、二度と生きて帰って来ないそうだ』

そう言って、蒲生城太郎は獅子丸たちにワナがあるからあの森へは行くな、と警告するのだった。翌早朝。獅子丸たち三人は、魔の森へ行く道を歩いていた。蒲生城太郎は置いてきた。

城太郎たちを雇ったのがドクロの仮面と聞いて、それがゴースン一味であることはほぼ間違いあるまい。獅子丸たちの使命は、ゴースンを倒して師匠・果心居士の仇を討つことであった。

雪の残る森へ入ってすぐに、緑色の装束のドクロ忍者たちが獅子丸たちを襲撃してきた。そして、怪人がその姿を現した。

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『ゴースンの手下だな!』(獅子丸)
『そのとおり。お前たち邪魔者を殺し、日本に暗黒の世界を作るようゴースン様の命を受けた「わくらんば」だ!』

変身する前に獅子丸を倒してしまおうと、わくらんばは果敢に攻めてくる。獅子丸も手裏剣を投げ、剣を抜いて果敢に攻め立てた。だが、忍法・獅子変化無くして、怪人を倒すことはできない。獅子丸は顔の前で手を組みながら、忍法・獅子変化の呪文を唱えた。

『風よ!光よ!・・・』

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だが、金砂地の太刀のクサリが切れない。クサリが切れなければ、太刀を抜いてライオン丸に変身することはできないのだ。変身出来ない獅子丸など、赤子の手をひねるようなモノと、わくらんばの逆襲が始まった。

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大量の木の葉を、獅子丸に向かって吹き付けるわくらんば。木の葉は獅子丸の全身に貼り付き、口や目・鼻に貼り付いて取れない。獅子丸は呼吸困難に陥り、気を失ってしまった。(つづく)


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この回の蒲生城太郎は、ご存じスペクトルマンの蒲生譲二こと成川哲夫氏である。この回と第5話にゲスト出演している。残念なことに、2010年に他界してしまった。生きていれば、スペクトルマンの撮影秘話などいろいろ聞けたと思うと、特撮ファンとして残念でならない。(合掌)



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