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快傑ライオン丸(2) [ライオン丸・ドラマ1]

今回は、第1話《魔王の使者オロチ・後編》を取りあげます。


【前回までの話は・・・ 戦国時代、戦争に巻き込まれて両親を亡くした子供たちがたくさんいた。獅子丸、沙織、小助の三人も、そんな戦争孤児だった。だが、果心居士に拾われた三人は十数年の厳しい修行に耐え、様々な忍術を身に付けて成長した。寿命を察した果心居士は自分の形見分けを三人にしたその直後、日本征服を狙う大魔王ゴースンの手下オロチによって命を奪われてしまうのだった・・・】

◆果心居士と獅子丸たちが住む山小屋に、大魔王ゴースンの手下オロチが襲撃して来た。山小屋は炎に包まれ、気を失っていた小助を助けようとした果心居士は妖術を使って小助を逃がすと、そのまま炎の中に倒れた。闇夜の中に、燃え盛る炎の色で照らしだされた獅子丸と沙織の顔に、涙がほおを伝って流れ落ちた。

翌朝。意識を回復した小助は、果心居士の死を獅子丸に聞かされ、大声で泣いた。幼い小助にとって、師であり父でもあった果心居士との突然の別れは、あまりに悲しすぎた。沙織と獅子丸は簡単な供養塔を作ると、それに向かって手を合わせた。獅子丸は小助に言った。

『これしきのことで泣いては、弱すぎる。我らが行く手には、想像を絶する苦難が待ち受けている。俺は大魔王ゴースンを倒すまでは、オッ師匠様の弔いは出さない!』

飛騨の山奥をあとにして、大魔王ゴースンを倒す旅に出発する獅子丸たち三人。それは、師匠・果心居士の命(言いつけ)でもあるのだ。その頃、孤島にある大魔王ゴースンのアジトでは、手下たちにゴースンが命令を出していた。

『果心居士を倒し、日本の征服はたやすくなった。皆の者!直ちに日本全国に散り、国中を戦乱と憎しみのルツボに叩き込め!そして、オロチよ。お前は果心居士の弟子たち三人を、叩き殺してくるのだ!』

一番年少の小助に、獅子丸は言い聞かせるように話す。

『いいか、小助。今日からこの三人は本当の兄妹となって、力を合わせて生きていくのだ!』
『そして、オッ師匠様の夢を果たすのよ』(沙織)


突然、黒煙を吐き出しながら、何かが空を飛んで獅子丸たち一行の目の前に降りてきた。

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『貴様は昨夜の!』(獅子丸)
『名をオロチという。ゴースン様のご命令により、お前達の命をもらい受ける!デボノバ!』

オロチの指示で隠れていたドクロ忍者たちが一斉に現れ、獅子丸たちを囲んだ。獅子丸はオロチに、小太刀を抜いた沙織は小助と共にドクロ忍者たちに、挑んでいった。

オロチは、果心居士の命を奪った三日月型のカマ(半月刀)を振り回して、獅子丸に襲いかかった。沙織の小太刀は、果心居士が言うように、男に負けない力を沙織に与えた。だが、ドクロ忍者は、一人倒せば三人増えるかのように、倒しても倒しても減らない。

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沙織がドクロ忍者に囲まれてしまったところを見た獅子丸に、一瞬の隙ができた。オロチはそこを見逃さず、半月刀を獅子丸目がけて投げ飛ばした。獅子丸はそれを避けたものの、うしろが崖であったため、崖下へ転落してしまうのだった。

その様子を見た小助は、自分が乗れるほどの大きさに木の枝を斬り落とすと、それを尻の下に敷いて崖を滑り降りて行った。気絶している獅子丸の元へ行き、揺り起こしたがまったく起きない。最大のピンチに立たされた小助は、オッ師匠様の言葉を思い出した。(この笛を吹いて、ワシの魂を呼ぶのじゃ)

『そうだ!』

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小助は、果心居士からもらった形見の笛を吹いた。すると、不思議な音色に誘われるように空の彼方から天馬が駈け下りてきて、小助の方に向かってやってくるではないか!驚いたオロチとドクロ忍者たちは、捕らえた沙織を連れて姿を消してしまった。

小助の笛の音で意識を取り戻した獅子丸は、目の前の白い天馬ヒカリ丸に小助を乗せ、自分はその後ろにまたがって、手綱を引いてオロチのあとを追った。獅子丸の掛け声に合わせてヒカリ丸は大きなツバサを広げると、二人を乗せたまま大空を滑空した。小助が思わず叫んだ。

『わぁーい、飛んだ!』

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岩場にある処刑場で磔柱(はりつけばしら)に縛られた沙織を、空から発見した二人。今まさに処刑されようとしている沙織の元へ、ヒカリ丸を獅子丸は急降下させた。急襲され驚くドクロ忍者たちの間隙を衝いて、獅子丸は沙織の両足を縛っていたヒモを切った。

ヒカリ丸から降りた小助が、沙織に小太刀を渡す。獅子丸たち三人に、次々と斬られていくドクロ忍者たち。沙織の処刑場は、一転してドクロ忍者の墓場に変わっていった。獅子丸の前に、オロチが立ちはだかった。獅子丸は、仇(かたき)であるオロチに向かって言った。

『オッ師匠様を、なぜ殺した!』
『ヤツが邪魔だからだ。これからも、邪魔なヤツは容赦なく殺す!』

オロチは、口から炎を吐いて反撃して来た。炎を避けるべく、獅子丸は巨岩の陰に身を隠すと、両手を顔の前で交差させるようにして、呪文を唱えた。

『風よ!光よ!・・・』

すると、背負っている金砂地の太刀のクサリが外れ、太刀が抜けるようになった。忍法・獅子変化(ししへんげ)開眼のときであった。太刀を抜き、顔の前で十字を切る様に太刀を動かして呪文を唱える獅子丸は、全身が発光して白獅子・ライオン丸へと姿を変えた。

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『忍法、獅子変化!・・・ライオン丸、見参!』

驚いたのは、沙織と小助であった。初めて見る獅子丸の変化(へんげ)の姿。オロチは半月刀を持ち直して身構え、ドクロ忍者たちも身構えるのであった。

ライオン丸の剣の動きは、ドクロ忍者たちが止まって見えるほどに速い。あっという間にドクロ忍者たちは斬り倒され、残るのはオロチただ一人となった。オロチは突然、土の中へ潜ってしまった。だが、逃げたわけではない。地面のどこから出てくるか分らないオロチに、ライオン丸は警戒した。

ライオン丸の立つ真後ろの地中から、飛び出すように現れたオロチを、ライオン丸は一瞬早く捉え、頭部に一撃を浴びせた。だが、斬ったオロチの頭部は、作りものであった。本体はもっと小さな真っ黒いヘビのような形をしており、体内に潜んでいた。

真っ黒いヘビは倒れた自分の体内から飛び出すと、ライオン丸の周囲を2回ほど飛び回り、地面に着地して爆発、その本性を現した。

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『デボノバ!』

オロチは、半月刀を持ってライオン丸に向かって来る。ライオン丸も金砂地の太刀を振りかざしながら、向かって行く。両者は飛び上がって空中で斬り合いとなったが、一瞬早くライオン丸の太刀がオロチを捉えていた。名付けて、ライオン飛行斬り。

ライオン丸の方を振り向いたオロチだが、そのままバタリと倒れて爆発した。勝負が付いたことを知ったのか、果心居士の魂・ヒカリ丸は天へ帰って行った。獅子丸は、沙織・小助と共に夕陽に向かって報告と誓いをした。

『オッ師匠様。遂に、忍法・獅子変化を会得しました。必ずや三人の手で、憎きゴースンを倒してお目にかけます・・・』 (終わり)


★★★★★★★★★★★★
ライオン丸が金砂地の太刀を鞘へ納め、獅子変化を解いてしまうと、金砂地の太刀のクサリは元通りに繋がれた状態になってしまう。不思議な太刀である。



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