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ジャイアントロボ(7) [ジャイアントロボ・ドラマ]

今回は《第7話 敵は怪獣イカゲラス・前編》を取りあげます。

原作;横山光輝(光プロ)
企画;平山 亨・坪井久智
脚本;伊上 勝
音楽;山下毅雄
特技;矢島信男
技斗;久地 明
監督;竹本弘一

【前回までの話は・・・ギロチン帝王が地球征服の為に建造させたジャイアントロボは、地球を守るユニコーン機関の手に渡った。ギロチンの命を受けた幹部のスパイダーとドクトル・オーヴァは、新怪獣ライゴンやドロゴンを使いジャイアントロボを奪還しようとする。だが、草間大作と南十郎、そしてユニコーン機関の活躍により、その企てはことごとく打ち破られたのであった】

◆太平洋に突き出た岬の突端にあるこの灯台は、今日も暗闇が広がる大海原に監視の目を光らせていた。
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(灯台監視員は全員ユニコーン隊員である)

(ナレーション;太平洋沿岸にあるこの灯台は、ただの灯台ではない。この灯台の地下には、ユニコーン日本支部の暗号解読班があった。世界各地のユニコーン支部から送られてくる暗号無電をここで解読しているのである。もしこの暗号解読器がBF団の手に渡れば、ユニコーンの秘密はすべて暴かれ世界中のユニコーン支部の隠れ場所が知れてしまうのである)

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(この暗号解読器が盗まれたらたいへんなことに・・・)

『班長、スイス支部から緊急連絡です!』

そう言って隊員が持って来た電文を、ここ大崎灯台暗号解読班の平山班長は目を通した。
《 BF団の襲撃を受けつつあり
 敵の狙いは暗号解読器
 我ら解読器を破壊し
 全員最後の突撃を行なう・・・》

『灯台の監視員を増やし、怪しいヤツを絶対に近づけるな!』

班長がそう言った途端、室内が突然大きく揺れた。灯台上部にある監視台の監視員に平山班長が連絡を取ると、監視員は海が突然荒れだしたと言ってきた。すぐに数名の隊員を監視台に行かせると、暗闇から灯台に向かって大波が次々と押し寄せてくる。そして、それは何か大きな物体が起こしているようなのだ。サーチライトを照らした隊員達は、その正体を見て驚愕した。

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『怪獣だ!』

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一斉に持っていたマシンガンを連射するが、怪獣はそれにはびくともせず灯台に接近して来る。そして、とうとう灯台を破壊し始めた。灯台は根こそぎ破壊され、地下にあった暗号解読班の部屋も押しつぶされてしまった。平山班長は命よりも大切な暗号解読器を必死に守ろうとするが、落ちてきたガレキの下敷きになってしまうのだった。

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その頃ユニコーン日本支部では、U5(西野隊員)に連れられて一人の少女が姿を見せていた。本部から来たその少女の名は、マリー花村。彼女は39か国語を話し、しかも暗号解読のエキスパートでもあった。マリー花村が自己紹介している最中に、大崎灯台の暗号解読班との連絡が取れないと、隊員の一人がアズマ支部長に報告する。アズマ支部長は、すぐに自らマイクを持って話しかけた。

『こちら、ユニコーン日本支部。大崎灯台・暗号解読班、応答せよ!平山班長、応答せよ!』

床に倒れていた平山班長は、机にしがみつきながら必死に起き上がると、呼びかけるマイクに向かって声をふりしぼり応えた。

『こ、こちら・・・暗号・・・解読班・・・何者かに襲われて・・・全滅あぅ・・・』
『平山班長!しっかりするんだ!平山班長!!・・・緊急事態発生!U3とU7は直ちに現場へ!』

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原因調査のため、二人はユニコーン専用車で直ちに現場に急行した。そこで二人が目にしたのは、大崎灯台の残骸であった。灯台は根こそぎ破壊され、地下の暗号解読室へ行くと、平山班長以下全員が死亡していた。

『見ろU7、通信機は残っているのに、暗号解読器は見当たらないぞ』
『南さん、ひょっとすると・・・』
『ああ、BF団の仕業かもしれん!』

U3が支部長に現場の様子を報告すると、アズマ支部長はしばらく考えてから、二人にそこで待機するよう命令した。ふたりは待機しながら、暗号解読器が紛失したらユニコーンの情報がBF団に筒抜けになることを心配した。二人のこの会話を、盗聴している者がいた。スパイダーである。

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(テーブルの上には奪った暗号解読器が・・・)

『フフフフ、ユニコーンめ、大慌てだな』

スパイダーの手元には、大崎灯台で奪った暗号解読器があった。これを使って、世界各地のユニコーン基地をしらみつぶしに叩きつぶしてやると息巻くのだった。

一方、ユニコーン日本支部内は静まり返っていた。アズマ支部長は考えに考えた末に、ある作戦を遂行することを決める。危険だが、これ以外に方法が無いと判断したのだ。

『西野(U5)君、盗まれた暗号解読器の代わりに新型の暗号解読器が届くというニセの情報を流すのだ。抜け目のないBF団は、おそらく灯台を見張って我々の動きを監視しているだろう。BF団をうまく誘い出して、暗号解読器を奪い返すのだ』

マリー花村の初仕事は、この囮(おとり)作戦開始の合図をU3とU7の二人に連絡することであった。

『新型の暗号解読器の到着地点は、ダブル・ツー・ゼロゼロ・ツー。U3とU7は、ただちに向かってください』
『了解!これからダブル・ツー・ゼロゼロ・ツーに向かいます!』

U3の会話を聞いたスパイダーは、新型の暗号解読器も奪うため、灯台にいるU3とU7をただちに捕えるようBF団に命令した。

『ねぇU3、ダブル・ツー・ゼロゼロ・ツーってどこ?』
『それはね、囮作戦開始の意味なんだ。BF団をおびき出し、僕達に暗号解読器を取り戻させる、アズマ支部長の計画だ!』
『そうだったのか!』

納得したU7は、U3と共にユニコーン専用車に乗り込んだ。発車させようとした途端、後部座席に隠れていたBF団員二人が、拳銃でU3とU7を脅しにかかった。

『待ちかねたぜ!車を出せ!ふざけたマネすると、射ち殺すぞ!』

仕方なくU3は、言われた場所へと車を進めるのだった。山を登り、ガードレールのすぐ下を海が広がっている道路へ進んでいくユニコーン専用車は、やがてその途中に海が見渡せる休憩所で停まった。フロントガラスの向こう側にスパイダーとBF団の連中がいる。

『支局長、来ましたぜ!』
『フフフフ、白状させたら魚のエサにしてやる!』
『ユニコーンの馬鹿どもを引きずり出せ!』

スパイダーの命令で専用車の中から引きずり出されたU3とU7の二人の首根っこをスパイダーはつかんだ。だが、ふたりの顔を見た瞬間、スパイダーは怒りに震えた。二人は自分の部下たちであった。

『バカモン!何がユニコーンだ!』
『スパイダー、久しぶりだな!武器を捨ててもらいましょうかね!』

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BF団隊員服を着てベレー帽とサングラスで顔を隠したU3とU7が、スパイダーとその部下達に拳銃を向けていた。次の瞬間、U3の拳銃が団員達の拳銃をすべて弾き飛ばしたため、BF団は反撃ができない。だが、スパイダーは笑っている。

『このスパイダー様が捕まると思うか?・・・イカゲラスを見ろ!』

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すぐ下の海から巨大な怪獣イカゲラスが突然姿を現し、U3とU7に襲いかかろうと向かって来る。急いで二人は専用車に乗り込み逃げようとするが、上陸したイカゲラスはその逃げ道を塞いでしまうのだった。もはや車はバックするしかないが、後ろは断崖絶壁で落下すれば大海に呑みこまれてしまう。迫り来るイカゲラスに、専用車はジリジリと後退していくしかなかった。

『ヨシ、ロボを呼ぼう。飛べ!ジャイアントロボ!』

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(ロボは間に合うか・・・)

西洋凧のような逆三角形姿のイカゲラスは、手から脚にかけて膜のようなものに覆われている。怪獣はその膜を羽ばたかせて、突風をおこした。突風に煽られた専用車は紙のように舞い上がり、崖下に転落していく。だが間一髪車は海中には落ちず、辛うじて岩場に引っかかる形で止まっていた。急げ!ロボ!
(つづく)


★★★★★★★★★★★★

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ジャイアントロボ(8) [ジャイアントロボ・ドラマ]

今回は《第7話 敵は怪獣イカゲラス・後編》を取りあげます。

【前回までの話は・・・ある日、ユニコーン日本支部・暗号解読班からの連絡が途絶えた。灯台にカムフラージュしている暗号解読班の施設に急行したU3とU7は、灯台が根元からそっくり無くなっているのを見て愕然とする。現場調査の結果、暗号解読器が無くなっていることが判明。アズマ支部長はBF団の仕業に相違ないと踏んで、暗号解読器奪回作戦を考案する。施設にいるふたりに待機命令を出すと、暗号名ダブル・ツー・ゼロゼロ・ツーを命令した・・・】

◆怪獣イカゲラスの突風に煽られたユニコーン専用車は、崖下に転落していく。だが海中には落下せず、辛うじて岩場に引っかかっていた。それを見たスパイダーは、とどめを刺すようイカゲラスに命令した。

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『やれ!イカゲラス!』

咆哮一声、二発目の突風がやって来て、今度こそ二人の乗った専用車は海中へ転落していった。

『わぁ~っ!』

ガツンという衝撃と共に車が着地したのは、ロボの両手の中であった。急降下してきたロボの両手が、危ういところでU3とU7を救出したのだ。スパイダーは悔しがる。

『くそっ、またしてもロボめ!・・・』

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顔を上げ、周囲を見回したU7は、そこがロボの両手の中であることを確認すると、ほっとして車を安全な場所に降ろすようロボに命令した。二人は車から降りると、U7はロボにさらに命令する。

『ロボ、イカゲラスをやっつけろ!』

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組み合ったロボとイカゲラスは互角の戦いを展開する。だが、イカゲラスが両手を羽ばたかせて突風をおこすと、ロボの巨体でもバランスを崩して倒れそうになった。次の瞬間、ロボに向かってイカゲラスの口から放水のように液体が噴射された。それを見たU7は、とっさにロボに飛びあがるよう命令する。

『あっ、溶けた!』

ロボが飛びあがると、その液体はロボのいた付近の住宅にかかり、その屋根も壁もあっという間に溶けて無くなってしまった。あの液体は強力な溶解液だ。ロボといえども、あれを浴びればただでは済まないと思ったU7は、ロボをイカゲラスの背後に回らせてロケット弾攻撃を命じた。

一方、スパイダーとBF団たちがこちらへ迫ってくるのを見たU3(南十郎)は、ロボの操縦をU7に任せて、敵を迎え撃つために飛び出していった。足場の悪い岩場でのBF団員4人対U3の戦いとなった。最初U3は互角の戦いをしていたが、多勢に無勢、疲労していくU3はしだいに不利になっていく。

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(ロボの左腕を溶解液が襲う)

他方、ロボのロケット弾攻撃を背中に受けたイカゲラスは、ひるむ様子を見せていた。しかし、振り返ったイカゲラスの口から再び溶解液が噴射され、それはジャイアントロボの左腕を濡らした。

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(ざまぁみろ!)

『たいへんだ!ロボが・・・ロボの腕が溶けた!』
『ハハハハ、ざまぁみろ!それから、早くそいつ(U3)を片付けろ!』
『U7!逃げろ!お前が捕まれば、ロボは動かない。早く逃げろ!』


ロボの左腕は肘から下が溶けて無くなり、肩の関節は動きを止めた。左腕が無いままで戦うのは、絶対に不利だ。U3はBF団員達に羽交い締めにされ、捕らわれる寸前であった。大至急ロボの腕を修理する必要もあり、ここはU3の言う通り脱出する他はないと決断するU7。

『きっと助けに来ます!ロボ、メガトンパンチで脱出だ!』

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(ロボの左腕は肘から下が溶けて無くなってしまった)

ロボは右腕でイカゲラスへチョップを食らわすと、すぐさまメガトンパンチを叩き込んで後方へふっ飛ばした。このスキにロボは、腰をかがめる様にして右手のヒラをU7(大作少年)の前に差し出した。大作少年は素早くそれに乗り込むと、上昇命令をロボに出して現場を去っていくのだった。

アズマ支部長の前で、U7は頭を垂れていた。現場から一人逃げ帰って来たことを恥じていた。だが、アズマ支部長は笑顔でこう言った。

『心配するな。U3が捕まったのも作戦の内だ』

一方、貨物船にカムフラージュしているBF団のアジトにU3は連れて行かれ、スパイダーが尋問をしていた。椅子に座らされ縛られた状態の南十郎は、同時に殴る蹴るの拷問も受けていた。

『おい、南十郎!新型暗号解読器が到着するダブル・ツー・ゼロゼロ・ツーとはどこだ?』

だが、口を割ろうとしない南十郎にスパイダーは手を焼き、2~3発顔面を殴るととうとう南十郎は意識を失ってしまう。ギロチン帝王に報告するため部屋を出て行くスパイダーを待っていたかのように、監視役のBF団員二人はチェスを始めた。チェスに夢中の二人に、捕虜・南十郎の様子などまったく目に入らない。

気を失ったフリをしていた南十郎は隠し持っていた小型ナイフでロープを切ると、チェスに夢中の二人に襲いかかった。不意を突かれた二人は瞬く間に倒され、南十郎は靴のかかとに隠してあった通信機で、ユニコーン日本支部に連絡した。

『こちらU3、支部応答願います!』

日本支部のスピーカーから南十郎の声が突然流れてきた。すかさず、アズマ支部長が指示を出す。

『マリ君!電波探知機で南君の現在位置を調べたまえ』

しかし、BF団の通信係も船内から出ている怪しい電波に気付き、スパイダーに報告する。スパイダー達は、すぐにU3のいる部屋へと向かう。U3が電波を出し続けた結果、マリ隊員によってU3の現在位置が特定された。

『判りました!南さんの現在位置は、東経139度45分、北緯35度36分です』

電波源は南十郎に違いないと察知したスパイダーは行動が速く、部下4名を連れて南十郎を閉じ込めた部屋へ急行する。すぐに南十郎を羽交い締めにして通信機を奪い取ると、スパイダーはそれをブーツのかかとで踏みつぶした。

『あっ、電波が切れました!』
『うーむ、敵に気づかれたか?グズグズしてはおれんぞ。敵が移動したらたいへんだ!』

そうなれば、命がけのこの奪回作戦は水泡に帰してしまう。ロボの左腕の修理が完了したとの報告が入り、アズマ支部長はこの機を逃すまいとしてU3のいる地点へU7を急行させた。背中のジェット推進装置を噴射させてU7が向かった地点には、貨物船が停泊していた。

『ユニコーンが来る前に、この船を出港させる。キサマを銃殺にしてからな。(銃を)かまえて・・・』

出港を急ぐスパイダーは、処刑を急ぐ。部下2名で南十郎を押さえつけると、残り2名が南十郎に銃口を向けた。危うし!南十郎。その時、貨物船が突然大きく揺れだした。これは、現場に到着したジャイアントロボが貨物船をつかんで持ち上げたためだ。船内の誰もが、足元がふらついてバランスを崩した。南十郎はこの機に乗じて部屋を脱出すると、目的の物を探しに行く。船室の丸窓から外を覗いたスパイダーは、見たことある巨大な顔をそこに見た。

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『あぁ、ジャイアントロボだ!』

U7は貨物船の上空を旋回しながら、ロボにゆっくり貨物船を降ろすよう命令する。そして前方から迫る怪獣イカゲラスとの決戦をロボに命令した。一方、通信室に置いてあった暗号解読器を発見した南十郎は、それを奪い返すことに成功する。だが、通信室を出ようとした所でスパイダーと鉢合わせし、殴られた南十郎は暗号解読器を奪われてしまった。

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ユニコーンチームとBF団チームが、まるでラクビーボールをパスするように暗号解読器の奪い合いを船内でしている。互いに「奪う・奪われる」を繰り返しながら、甲板を走り回っているのである。一方のロボは、イカゲラスの溶解液を用心しながら戦っている。ロボを追って上陸したイカゲラスは、不利な展開になる。ロボのメガトンパンチが炸裂し、苦しむイカゲラスは海へ逃げようと羽ばたいて飛びあがり、ロボに向かって空中から溶解液を噴射した。ロボはそれを避けると、溶解液は貨物船に当たってしまう。

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(暗号解読器を持って逃げるスパイダーをU7は上空から発見した)
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(それを奪い取って逃げるU7だが、BF団員に再び奪われてしまう)

暗号解読器を持って逃げる南十郎とそれを奪い取ろうと追いかけるスパイダーが、甲板を走っている。南十郎が走り抜けていった後、それを追いかけるスパイダーの全身にイカゲラスの放った溶解液がシャワーのように降り注いだ。

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『あぁぁぁ・・・』

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大きなうめき声をあげ、もだえ苦しみながら震えているスパイダーは、やがて泡と化して消滅した。U7は背中のジェット推進装置を噴射させ南十郎を自分の両脚につかまらせたまま上昇すると、貨物船をあとにした。

『みろ、大作君!スパイダーが溶けて行く』

メガトンパンチを浴びせて弱ったイカゲラスを、ロボは背負い投げで貨物船に投げつけた。イカゲラスにとどめを刺すべく、U7はロボに命令した。

『今だ、ロボ。レーザー光線と火炎放射を一緒に浴びせろ!』

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アジトの貨物船は大爆発し、イカゲラスは炎上して海の藻屑と消えていった。

(ナレーション;暗号解読器は取り戻した。しかし、ギロチン帝王はこの地球征服をあきらめたわけではない。負けるな、大作少年!頑張れ、ジャイアントロボ!大地に平和がよみがえるまで)
(終わり)


★★★★★★★★★★★★

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ジャイアントロボ(9) [ジャイアントロボ・ドラマ]

今回は《第8話 両面怪獣ダブリオンの挑戦・前編》を取りあげます。

原作;横山光輝(光プロ)
企画;平山 亨・坪井久智
脚本;伊上 勝
音楽;山下毅雄
特技;矢島信男
技斗;久地 明
監督;竹本弘一

【前回までの話は・・・BF団日本支局長スパイダーは、ユニコーン日本支部の暗号解読班を襲撃して暗号解読器を奪い、世界中のユニコーン機関情報を入手する作戦に出た。だが、アズマ支部長はわざと敵に捕まる「暗号解読器奪取作戦」を敢行し、アジトに潜入したU3は見事に暗号解読器を奪取した。怪獣イカゲラスの溶解液を浴びたスパイダーは、泡のように溶けて消えていった】

◆(ナレーション;野には美しい花が咲き、空には小鳥がさえずっていた。だがある日、この静かな平和も破られようとしていた)

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探検好きの三人の子供たちが、洞窟に入っていく。この中にたくさんの宝物が埋まっていることを信じて、三人は真っ暗な洞窟に恐る恐る足を踏み入れた。そして、リーダーの男の子がヘルメットに付いたライトを点灯させて先頭を進んでいくと、コウモリが数羽飛んで来て三人にぶつかり飛び去って行った。怯えながらもしばらく歩いていくと、リーダーの男の子が言った。

『あっ!何か奥の方で光った』
『恐いわ!』
『とにかく行ってみよう!』

何かが光ったように見えた所まで三人が歩いて行くと、洞窟はそこで行き止まりになっていた。リーダーの男の子が上を向くと、ヘルメットのライトが巨大な顔のようにも見える壁面を照らし出した。

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『あっ、怪獣だ!』

最初はデコボコの岩が偶然怪獣の顔に見えたと思った三人だが、その目の部分に当たる場所が次の瞬間2回点滅した。それを見た三人は恐ろしくなり、今来た暗い道を急いで引き返そうと歩いた。だが、その途中で何かにぶつかって、子供たちはそれ以上進めなくなった。子供達がぶつかったのは、3人の大人達だった。

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『お、おじさん!この奥に怪獣がいます!早く逃げよう!』
『本当よ!』
『小僧たち。怪獣ダブリオンを見た以上、返すわけにはいかん!』
『おじさん達、誰?』
『あの怪獣が元気になるのを、待っているんだ。怪獣ダブリオンのエサにしてやる!』

この大人たちが自分達を捕まえようとしている以上、子供達は怪獣のいる方向へ戻るしかない。だが、子供達は三人の大人にすぐに捕まってしまった。

その頃、U3とU7の二人を乗せたヘリコプターは、東京上空をパトロールしていた。東京湾上空に差し掛かった時、U7の双眼鏡が怪しい男の姿を捕えていた。U7がU3にそのことを話すと、何かから逃げるように走るその男の姿をU3の双眼鏡も確認した。男は銃撃戦をしているようだ。U3の双眼鏡が、男を追っている者達の姿を捕えた。

『あれはBF団だ!』

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男は二人のBF団員を銃で倒すと、今度は2台のオートバイに追われ始めた。ヘリの操縦者に後を任せると、U3とU7は背中のジェットを噴射してヘリコプターから飛び降りた。怪しい男は防波堤に追い詰められ、この先は海で行き止まりになっている。BF団員の2台のオートバイが、男を追い詰めて行く。だが、上空から降りてきたU3とU7がそれぞれのオートバイの背後に飛び乗り、後ろから目隠しをして進路を妨害した。2台のオートバイは方向感覚を失い、海へ向かって真っすぐに突っ込んで行く。海中へ転落する直前にジェット噴射で上空へ逃げたU3とU7は転落を見届けると、追われていた男の前に着地し、そしてU3が男に尋ねた。

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『怪我はありませんか?』
『はい』
『どうしてBF団に狙われたんですか?』

U7の質問には答えず、左目に黒い眼帯をした船長服姿のこの男はU3に向かって逆に訊いた。

『ユニコーンの人ですね?』
『ええ』
『ワタシはBF団員なんです・・・』
『何?』

それを聞いたU3は身構えた。だが話を聴いてみると、隻眼のこの男はBF団のやり方が恐ろしくなって逃げてきたのだという。脱走者として、男はBF団に追われていたのである。

『お願いです。罪もない三人の子供達が殺されます。助けてやってください!』

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(目隠しを解かれた船長服姿の男の目前には、アズマ支部長が立っている)

アズマ支部長にここまでのいきさつを報告したU3は、支部長の了解を得て、男を日本支部へ連れて行くことにした。ユニコーン日本支部の場所は絶対に秘密なため、男に目隠しをして連れて行く。目隠しをはずされた男の目の前に、アズマ支部長が立っていた。

『さぁ、聴こうじゃないか。BF団に捕まっている三人の子供たちのことを』

アズマ支部長は真剣な顔つきで、この男に問いかけた。

『場所は竜門山の麓(ふもと)です。その洞窟にBF団の秘密基地があるのです。三人の子供達は偶然その洞窟に紛れ込んで、捕まりました』
『でも、本当かしら?もしかすると、私達を誘うワナかもしれないわ』

男の話を聴いてアズマ支部長はそのままにしてはおけないと判断したが、男の話に疑問を抱く隊員が一人いた。U6・マリー花村である。
悪賢いBF団のことだからマリー花村の意見はもっともだと、アズマ支部長は思う。だが、この男は仲間に追われ、その仲間を拳銃で撃ち殺しているところをU3たちが目撃しているのだ。この事実を挙げ、マリー花村の意見は考え過ぎだと否定をするのだった。

『そ、そうですとも。本当に三人の子供たちが・・・』

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マリー花村の発言に一瞬男は青ざめたが、支部長がその意見を否定すると、安堵したように再び救助を訴えかけるのだった。すると作戦室にU5・西野隊員が入って来て、三人の行方不明者がいることは事実であると告げたのである。

『現地の警察署に連絡があったそうです。行方不明の三人は、ケンイチ、サトコ、シロウ』
『そうか。マリー君の疑問は溶けたな』

情報を確認したアズマ支部長は、子供達を助けるためにU3とU7を竜門山へ派遣することにした。すると隻眼のこの男は、洞窟の警戒線はよく解かっているので、今までの罪滅ぼしのためにも道案内を自分にさせて欲しいと進言するのだった。裏切り者だから危険だという支部長の発言に対し、子供達を安全に救うためにはこの男の協力が必要だとU3は訴えた。

アズマ支部長の許可をもらって、三人は目的の現場から少し離れた場所でヘリコプターを降りた。この辺りには背の高さほどの草樹が多く生え、また隠れるにはうってつけの崖がたくさんある。隻眼の男の指示で竜門山の洞窟が見える場所まで近づくと、三人はしばらくの間そこから様子をうかがうことにした。向こうから3人1組のBF団員が、こちらに歩いて来るのが見える。どうやらこの辺りをパトロールしているようであった。崖に隠れてこれをやり過ごすと、U3たちは少しずつ洞窟の入口まで近づいて行く。

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洞窟の入口では、マシンガンを持った番兵二人が警戒していた。U3と隻眼の男が番兵を殴り倒すと、U7が先に入って進んでいき、カードゲームをしている三人の番兵を手榴弾で倒した。洞窟内を警戒しながら進んでいく三人は、洞窟内の通路が二手に分かれている所に差し掛かった。

『この先は、手分けして探そう』

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(男は二人とは別路(右)へ向かった)
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(U3とU7は子供たちを発見したが・・・)

U7がそう言うとU7とU3が左の道へ、隻眼の男は右へと別れて行った。しばらく進んでいくと、U7が三人の子供達を見つけた。子供達は後ろ手に縛られて声を出さぬよう口を塞がれていたが、三人とも元気な様子だ。
(つづく)


★★★★★★★★★★★★

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