ジャイアントロボ(7) [ジャイアントロボ・ドラマ]
今回は《第7話 敵は怪獣イカゲラス・前編》を取りあげます。
原作;横山光輝(光プロ)
企画;平山 亨・坪井久智
脚本;伊上 勝
音楽;山下毅雄
特技;矢島信男
技斗;久地 明
監督;竹本弘一
【前回までの話は・・・ギロチン帝王が地球征服の為に建造させたジャイアントロボは、地球を守るユニコーン機関の手に渡った。ギロチンの命を受けた幹部のスパイダーとドクトル・オーヴァは、新怪獣ライゴンやドロゴンを使いジャイアントロボを奪還しようとする。だが、草間大作と南十郎、そしてユニコーン機関の活躍により、その企てはことごとく打ち破られたのであった】
◆太平洋に突き出た岬の突端にあるこの灯台は、今日も暗闇が広がる大海原に監視の目を光らせていた。
(灯台監視員は全員ユニコーン隊員である)
(ナレーション;太平洋沿岸にあるこの灯台は、ただの灯台ではない。この灯台の地下には、ユニコーン日本支部の暗号解読班があった。世界各地のユニコーン支部から送られてくる暗号無電をここで解読しているのである。もしこの暗号解読器がBF団の手に渡れば、ユニコーンの秘密はすべて暴かれ世界中のユニコーン支部の隠れ場所が知れてしまうのである)
(この暗号解読器が盗まれたらたいへんなことに・・・)
『班長、スイス支部から緊急連絡です!』
そう言って隊員が持って来た電文を、ここ大崎灯台暗号解読班の平山班長は目を通した。
《 BF団の襲撃を受けつつあり
敵の狙いは暗号解読器
我ら解読器を破壊し
全員最後の突撃を行なう・・・》
『灯台の監視員を増やし、怪しいヤツを絶対に近づけるな!』
班長がそう言った途端、室内が突然大きく揺れた。灯台上部にある監視台の監視員に平山班長が連絡を取ると、監視員は海が突然荒れだしたと言ってきた。すぐに数名の隊員を監視台に行かせると、暗闇から灯台に向かって大波が次々と押し寄せてくる。そして、それは何か大きな物体が起こしているようなのだ。サーチライトを照らした隊員達は、その正体を見て驚愕した。
『怪獣だ!』
一斉に持っていたマシンガンを連射するが、怪獣はそれにはびくともせず灯台に接近して来る。そして、とうとう灯台を破壊し始めた。灯台は根こそぎ破壊され、地下にあった暗号解読班の部屋も押しつぶされてしまった。平山班長は命よりも大切な暗号解読器を必死に守ろうとするが、落ちてきたガレキの下敷きになってしまうのだった。
その頃ユニコーン日本支部では、U5(西野隊員)に連れられて一人の少女が姿を見せていた。本部から来たその少女の名は、マリー花村。彼女は39か国語を話し、しかも暗号解読のエキスパートでもあった。マリー花村が自己紹介している最中に、大崎灯台の暗号解読班との連絡が取れないと、隊員の一人がアズマ支部長に報告する。アズマ支部長は、すぐに自らマイクを持って話しかけた。
『こちら、ユニコーン日本支部。大崎灯台・暗号解読班、応答せよ!平山班長、応答せよ!』
床に倒れていた平山班長は、机にしがみつきながら必死に起き上がると、呼びかけるマイクに向かって声をふりしぼり応えた。
『こ、こちら・・・暗号・・・解読班・・・何者かに襲われて・・・全滅あぅ・・・』
『平山班長!しっかりするんだ!平山班長!!・・・緊急事態発生!U3とU7は直ちに現場へ!』
原因調査のため、二人はユニコーン専用車で直ちに現場に急行した。そこで二人が目にしたのは、大崎灯台の残骸であった。灯台は根こそぎ破壊され、地下の暗号解読室へ行くと、平山班長以下全員が死亡していた。
『見ろU7、通信機は残っているのに、暗号解読器は見当たらないぞ』
『南さん、ひょっとすると・・・』
『ああ、BF団の仕業かもしれん!』
U3が支部長に現場の様子を報告すると、アズマ支部長はしばらく考えてから、二人にそこで待機するよう命令した。ふたりは待機しながら、暗号解読器が紛失したらユニコーンの情報がBF団に筒抜けになることを心配した。二人のこの会話を、盗聴している者がいた。スパイダーである。
(テーブルの上には奪った暗号解読器が・・・)
『フフフフ、ユニコーンめ、大慌てだな』
スパイダーの手元には、大崎灯台で奪った暗号解読器があった。これを使って、世界各地のユニコーン基地をしらみつぶしに叩きつぶしてやると息巻くのだった。
一方、ユニコーン日本支部内は静まり返っていた。アズマ支部長は考えに考えた末に、ある作戦を遂行することを決める。危険だが、これ以外に方法が無いと判断したのだ。
『西野(U5)君、盗まれた暗号解読器の代わりに新型の暗号解読器が届くというニセの情報を流すのだ。抜け目のないBF団は、おそらく灯台を見張って我々の動きを監視しているだろう。BF団をうまく誘い出して、暗号解読器を奪い返すのだ』
マリー花村の初仕事は、この囮(おとり)作戦開始の合図をU3とU7の二人に連絡することであった。
『新型の暗号解読器の到着地点は、ダブル・ツー・ゼロゼロ・ツー。U3とU7は、ただちに向かってください』
『了解!これからダブル・ツー・ゼロゼロ・ツーに向かいます!』
U3の会話を聞いたスパイダーは、新型の暗号解読器も奪うため、灯台にいるU3とU7をただちに捕えるようBF団に命令した。
『ねぇU3、ダブル・ツー・ゼロゼロ・ツーってどこ?』
『それはね、囮作戦開始の意味なんだ。BF団をおびき出し、僕達に暗号解読器を取り戻させる、アズマ支部長の計画だ!』
『そうだったのか!』
納得したU7は、U3と共にユニコーン専用車に乗り込んだ。発車させようとした途端、後部座席に隠れていたBF団員二人が、拳銃でU3とU7を脅しにかかった。
『待ちかねたぜ!車を出せ!ふざけたマネすると、射ち殺すぞ!』
仕方なくU3は、言われた場所へと車を進めるのだった。山を登り、ガードレールのすぐ下を海が広がっている道路へ進んでいくユニコーン専用車は、やがてその途中に海が見渡せる休憩所で停まった。フロントガラスの向こう側にスパイダーとBF団の連中がいる。
『支局長、来ましたぜ!』
『フフフフ、白状させたら魚のエサにしてやる!』
『ユニコーンの馬鹿どもを引きずり出せ!』
スパイダーの命令で専用車の中から引きずり出されたU3とU7の二人の首根っこをスパイダーはつかんだ。だが、ふたりの顔を見た瞬間、スパイダーは怒りに震えた。二人は自分の部下たちであった。
『バカモン!何がユニコーンだ!』
『スパイダー、久しぶりだな!武器を捨ててもらいましょうかね!』
BF団隊員服を着てベレー帽とサングラスで顔を隠したU3とU7が、スパイダーとその部下達に拳銃を向けていた。次の瞬間、U3の拳銃が団員達の拳銃をすべて弾き飛ばしたため、BF団は反撃ができない。だが、スパイダーは笑っている。
『このスパイダー様が捕まると思うか?・・・イカゲラスを見ろ!』
すぐ下の海から巨大な怪獣イカゲラスが突然姿を現し、U3とU7に襲いかかろうと向かって来る。急いで二人は専用車に乗り込み逃げようとするが、上陸したイカゲラスはその逃げ道を塞いでしまうのだった。もはや車はバックするしかないが、後ろは断崖絶壁で落下すれば大海に呑みこまれてしまう。迫り来るイカゲラスに、専用車はジリジリと後退していくしかなかった。
『ヨシ、ロボを呼ぼう。飛べ!ジャイアントロボ!』
(ロボは間に合うか・・・)
西洋凧のような逆三角形姿のイカゲラスは、手から脚にかけて膜のようなものに覆われている。怪獣はその膜を羽ばたかせて、突風をおこした。突風に煽られた専用車は紙のように舞い上がり、崖下に転落していく。だが間一髪車は海中には落ちず、辛うじて岩場に引っかかる形で止まっていた。急げ!ロボ!
(つづく)
★★★★★★★★★★★★
スポンサーリンク
原作;横山光輝(光プロ)
企画;平山 亨・坪井久智
脚本;伊上 勝
音楽;山下毅雄
特技;矢島信男
技斗;久地 明
監督;竹本弘一
【前回までの話は・・・ギロチン帝王が地球征服の為に建造させたジャイアントロボは、地球を守るユニコーン機関の手に渡った。ギロチンの命を受けた幹部のスパイダーとドクトル・オーヴァは、新怪獣ライゴンやドロゴンを使いジャイアントロボを奪還しようとする。だが、草間大作と南十郎、そしてユニコーン機関の活躍により、その企てはことごとく打ち破られたのであった】
◆太平洋に突き出た岬の突端にあるこの灯台は、今日も暗闇が広がる大海原に監視の目を光らせていた。
(灯台監視員は全員ユニコーン隊員である)
(ナレーション;太平洋沿岸にあるこの灯台は、ただの灯台ではない。この灯台の地下には、ユニコーン日本支部の暗号解読班があった。世界各地のユニコーン支部から送られてくる暗号無電をここで解読しているのである。もしこの暗号解読器がBF団の手に渡れば、ユニコーンの秘密はすべて暴かれ世界中のユニコーン支部の隠れ場所が知れてしまうのである)
(この暗号解読器が盗まれたらたいへんなことに・・・)
『班長、スイス支部から緊急連絡です!』
そう言って隊員が持って来た電文を、ここ大崎灯台暗号解読班の平山班長は目を通した。
《 BF団の襲撃を受けつつあり
敵の狙いは暗号解読器
我ら解読器を破壊し
全員最後の突撃を行なう・・・》
『灯台の監視員を増やし、怪しいヤツを絶対に近づけるな!』
班長がそう言った途端、室内が突然大きく揺れた。灯台上部にある監視台の監視員に平山班長が連絡を取ると、監視員は海が突然荒れだしたと言ってきた。すぐに数名の隊員を監視台に行かせると、暗闇から灯台に向かって大波が次々と押し寄せてくる。そして、それは何か大きな物体が起こしているようなのだ。サーチライトを照らした隊員達は、その正体を見て驚愕した。
『怪獣だ!』
一斉に持っていたマシンガンを連射するが、怪獣はそれにはびくともせず灯台に接近して来る。そして、とうとう灯台を破壊し始めた。灯台は根こそぎ破壊され、地下にあった暗号解読班の部屋も押しつぶされてしまった。平山班長は命よりも大切な暗号解読器を必死に守ろうとするが、落ちてきたガレキの下敷きになってしまうのだった。
その頃ユニコーン日本支部では、U5(西野隊員)に連れられて一人の少女が姿を見せていた。本部から来たその少女の名は、マリー花村。彼女は39か国語を話し、しかも暗号解読のエキスパートでもあった。マリー花村が自己紹介している最中に、大崎灯台の暗号解読班との連絡が取れないと、隊員の一人がアズマ支部長に報告する。アズマ支部長は、すぐに自らマイクを持って話しかけた。
『こちら、ユニコーン日本支部。大崎灯台・暗号解読班、応答せよ!平山班長、応答せよ!』
床に倒れていた平山班長は、机にしがみつきながら必死に起き上がると、呼びかけるマイクに向かって声をふりしぼり応えた。
『こ、こちら・・・暗号・・・解読班・・・何者かに襲われて・・・全滅あぅ・・・』
『平山班長!しっかりするんだ!平山班長!!・・・緊急事態発生!U3とU7は直ちに現場へ!』
原因調査のため、二人はユニコーン専用車で直ちに現場に急行した。そこで二人が目にしたのは、大崎灯台の残骸であった。灯台は根こそぎ破壊され、地下の暗号解読室へ行くと、平山班長以下全員が死亡していた。
『見ろU7、通信機は残っているのに、暗号解読器は見当たらないぞ』
『南さん、ひょっとすると・・・』
『ああ、BF団の仕業かもしれん!』
U3が支部長に現場の様子を報告すると、アズマ支部長はしばらく考えてから、二人にそこで待機するよう命令した。ふたりは待機しながら、暗号解読器が紛失したらユニコーンの情報がBF団に筒抜けになることを心配した。二人のこの会話を、盗聴している者がいた。スパイダーである。
(テーブルの上には奪った暗号解読器が・・・)
『フフフフ、ユニコーンめ、大慌てだな』
スパイダーの手元には、大崎灯台で奪った暗号解読器があった。これを使って、世界各地のユニコーン基地をしらみつぶしに叩きつぶしてやると息巻くのだった。
一方、ユニコーン日本支部内は静まり返っていた。アズマ支部長は考えに考えた末に、ある作戦を遂行することを決める。危険だが、これ以外に方法が無いと判断したのだ。
『西野(U5)君、盗まれた暗号解読器の代わりに新型の暗号解読器が届くというニセの情報を流すのだ。抜け目のないBF団は、おそらく灯台を見張って我々の動きを監視しているだろう。BF団をうまく誘い出して、暗号解読器を奪い返すのだ』
マリー花村の初仕事は、この囮(おとり)作戦開始の合図をU3とU7の二人に連絡することであった。
『新型の暗号解読器の到着地点は、ダブル・ツー・ゼロゼロ・ツー。U3とU7は、ただちに向かってください』
『了解!これからダブル・ツー・ゼロゼロ・ツーに向かいます!』
U3の会話を聞いたスパイダーは、新型の暗号解読器も奪うため、灯台にいるU3とU7をただちに捕えるようBF団に命令した。
『ねぇU3、ダブル・ツー・ゼロゼロ・ツーってどこ?』
『それはね、囮作戦開始の意味なんだ。BF団をおびき出し、僕達に暗号解読器を取り戻させる、アズマ支部長の計画だ!』
『そうだったのか!』
納得したU7は、U3と共にユニコーン専用車に乗り込んだ。発車させようとした途端、後部座席に隠れていたBF団員二人が、拳銃でU3とU7を脅しにかかった。
『待ちかねたぜ!車を出せ!ふざけたマネすると、射ち殺すぞ!』
仕方なくU3は、言われた場所へと車を進めるのだった。山を登り、ガードレールのすぐ下を海が広がっている道路へ進んでいくユニコーン専用車は、やがてその途中に海が見渡せる休憩所で停まった。フロントガラスの向こう側にスパイダーとBF団の連中がいる。
『支局長、来ましたぜ!』
『フフフフ、白状させたら魚のエサにしてやる!』
『ユニコーンの馬鹿どもを引きずり出せ!』
スパイダーの命令で専用車の中から引きずり出されたU3とU7の二人の首根っこをスパイダーはつかんだ。だが、ふたりの顔を見た瞬間、スパイダーは怒りに震えた。二人は自分の部下たちであった。
『バカモン!何がユニコーンだ!』
『スパイダー、久しぶりだな!武器を捨ててもらいましょうかね!』
BF団隊員服を着てベレー帽とサングラスで顔を隠したU3とU7が、スパイダーとその部下達に拳銃を向けていた。次の瞬間、U3の拳銃が団員達の拳銃をすべて弾き飛ばしたため、BF団は反撃ができない。だが、スパイダーは笑っている。
『このスパイダー様が捕まると思うか?・・・イカゲラスを見ろ!』
すぐ下の海から巨大な怪獣イカゲラスが突然姿を現し、U3とU7に襲いかかろうと向かって来る。急いで二人は専用車に乗り込み逃げようとするが、上陸したイカゲラスはその逃げ道を塞いでしまうのだった。もはや車はバックするしかないが、後ろは断崖絶壁で落下すれば大海に呑みこまれてしまう。迫り来るイカゲラスに、専用車はジリジリと後退していくしかなかった。
『ヨシ、ロボを呼ぼう。飛べ!ジャイアントロボ!』
(ロボは間に合うか・・・)
西洋凧のような逆三角形姿のイカゲラスは、手から脚にかけて膜のようなものに覆われている。怪獣はその膜を羽ばたかせて、突風をおこした。突風に煽られた専用車は紙のように舞い上がり、崖下に転落していく。だが間一髪車は海中には落ちず、辛うじて岩場に引っかかる形で止まっていた。急げ!ロボ!
(つづく)
★★★★★★★★★★★★
スポンサーリンク
コメント 0
コメントの受付は締め切りました