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ダイヤモンド◇アイ(7) [ダイヤモンドアイ・ドラマ1]

今回は、第4話《挫けるなライコウ /前編》を取りあげます。

  企画;衛藤公彦
  原作;川内康範
  脚本;伊東恒久
  音楽;池多孝春
  殺陣;渡辺高光
特技監督;真野田陽一
  監督;六鹿英雄

【前回までの話は・・・命が狙われていることを大沢山剛造とライコウから指摘された竜神代議士は、ダン会長からも10億円を出せば命を助けると言う電話をもらう。あまりの金額の大きさに驚く竜神はそれを無視し、ボディガードも付けずに予定通り慈善パーティーは開催された。案の定、パーティー会場に殺し屋が現れ、竜神は子供を盾にして命乞いをする。そんな竜神に、ライコウの怒りは爆発する。殺し屋タイガーに窮地に追い込まれたライコウは、ダイヤモンド・アイの助けを借りて殺し屋の正体・魔人ヒトデツボを倒す。だが、逃げる竜神は、朱玉によって暗殺されてしまった・・・】

◆朱玉は笑みを浮かべて、源海龍に報告した。

『竜神は、始末しました』
『ご苦労。さて、次の仕事。ハリケーン作戦のリストだ』

源海龍は、出来上がったハリケーン作戦のリストを朱玉に渡した。ハリケーン作戦とは、不正を働いて大金を貯め込んだ財産家たちから、すべてを奪う作戦である。源海龍のねらい目は、不正を働いて儲けた財産なので、警察に守ってもらうことが出来ない点であった。このリストは、ダン会長に化けた源海龍が大沢山に命じて作らせたものであった。

『作戦の前に、どうしても殺らなければならないヤツがいる。コイツがいると、ハリケーン作戦の遂行が危うい』
『雷甲太郎』
『そのとおり。それと、大沢山だ』
『今度こそ、必ず!』

朱玉にとっても、ライコウは作戦を邪魔してくる目の上のタンコブである。片目のタイガーを倒された朱玉は、次の殺し屋を用意していた。ソンブレロを目深にかぶった「マシンガンのジョー」である。

一方、大沢山の娘・京子は、自分の父が疑惑の人物になっていることを、テレビのニュースで知るのだった。名前こそ出さないが、憲政党の竜神代議士の死に不審な点があり、西沢局長と中村税理士の二つの殺人事件との関連性がある人物として、警察が行方を追っているとニュースは報じていた。

京子の母はすでに他界し、他に頼れる身内も無い京子は途方に暮れていた。だが、ふと思い出したのが、雷甲太郎であった。赤い覆面集団に追われていた京子を必死に助けてくれた雷甲太郎を、京子は信じてみる気になっていた。ライコウが自宅に置いて行った名刺の電話番号に、京子は電話した。

『ライコウですが・・・京子さん!』
『教えてください。父は何をしたのでしょうか。父が、人殺しなのですか?』

テレビのニュースで観たことを、京子はライコウに話した。何を聞いても驚かないから教えて欲しいと、京子は言うのだった。だが、ライコウの方も大沢山の居所はおろか、生きているかどうかも判っていないのだ。これ以上は電話で話せない内容なので、京子の自宅へ向かうからと言って、ライコウは電話を切った。

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編集部のドアを開けて出て行こうとするライコウは、五郎とカボ子にすれ違う。勘の鋭いカボ子は、その様子からライコウの行き先が京子の自宅だと推察した。一緒に付いて行こうと五郎に言い出すカボ子を見て、図星なだけに迷惑そうな顔をするライコウ。そんなライコウ宛にプレゼントが届いていると言って、五郎は一階の受付から袋を一つ持って来ていた。聞けば、女性が置いて行ったものだという。興味が無いライコウは、「お前にやるよ」と言って、中身も見ずに五郎にあげてしまうのだった。

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ライコウを先頭にして編集部を出ると、三人は階段を下りていく。途中で中身が気になる五郎は、立ち止まって袋を開けてビックリ。中身はなんと、置物の形をした寒暖計だ。「寒暖計を送る女性とは?」五郎が不思議に思ってそれを眺めていると、ライコウが何かに気付いた。五郎からその寒暖計を取りあげると、ライコウはそれに耳を当てた。

『時限爆弾だ!』

カチカチという時計のような音がしていることを確認したライコウは、急いで捨てる場所を探し求めた。走って階段を一階まで降りていくが、ビルの外は子供たちや車が走っていて処理する場所が無い。仕方なく、階段を駆け上がって屋上まで行くが、ここは街中なので屋上から見えるどの方角にも建物があり、投げ捨てることはできなかった。

『チクショー!』

ライコウは、分解して爆発前にリード線を切ろうとするが、構造が解からず、手の出し様がない。そこへ、遅れてカボ子と五郎が屋上へ上がって来た。ライコウは二人を手で追い払って、「逃げろ!」と叫んだ。爆発の時間が迫る中、カボ子が投げた一枚のトランプカードが唸る様に飛んで行き、時限装置と爆弾とを結ぶリード線を見事に切り離してみせた。

『ありがとう。助かったよ!』

ライコウがカボ子にお礼を言うと、カボ子は右のこめかみ付近を人差し指で軽く二度突いて、笑ってみせた。(頭が良いでしょ、とお道化てみせた)

爆発の危険は去り、安心したライコウが屋上から下の道路を見下ろした時、電柱の陰から
ビルの入口を見張っているような男をライコウは見つけた。

『源海龍の手下かもしれない。ヤツを取っ捕まえる!』

階段を一階まで駈け降りてビルの玄関を出た所で、ライコウは右方向から走って来た車にマシンガンの銃撃を受けた。止まっていた車の陰にとっさに隠れて難を逃れたライコウは、走り去る車を走って追いかけた。だが、ライコウよりも先に、その車を走って追う人物がいた。屋上で、ライコウが目を付けた人物だ。

ライコウはその人物に追いつき格闘になるが、格闘技の腕前は相手が一枚上のようであった。あとから走って追いかけてきたカボ子が、手裏剣のようにトランプカードを一枚投げてライコウを援護すると、その人物は飛んで来たカードを指ではさんで受けてみせた。そして、内ポケットから警察手帳を出したのである。その人物は刑事だった。

一方、ライコウの狙撃に失敗した車は逃走し、ある場所で停まると、後部座席に乗った朱玉が助手席のマシンガンのジョーに言った。

『マシンガンのジョーともあろう男が、たいへんなミスよ!』
『そう言うあんたも時限爆弾のミス、お互い様だよ。だが、この次は必ず仕留める!』

海藤警部は、密かに刑事を張らせていたのだ。その刑事を犯人と間違えて格闘してしまった
ライコウ達は警視庁に呼ばれ、警部にお灸を据えられていた。そこへドアを開けて刑事が顔を出すと、ライコウ達の背後から警部に報告した。

『警部、先程の車を手配しました。多分、盗難車だと思いますが・・・』
『ちょっと、紹介しよう。石田刑事だ』

振り返ったライコウ達は、ばつが悪い面持であいさつをした。その人物は、ついさっき敵だと思って格闘してしまった刑事であった。ライコウ達三人を帰した海藤警部は、大沢山に関係している人物の別荘を洗うようにと、石田刑事に指示を出した。

『どうやら大沢山の上に、もう一人大物がいるらしい』
『誰です、その大物って?』

部屋の外で聞き耳を立てていたライコウ達が、ドアを開けて無断で入って来た。ライコウ達のその様子に、海藤警部は怒った。いや、親心から心配したのだ。

『いいか、ライコウ!お前の正義感も立派だが、足が地に着いておらん!・・・ワシの息子みたいに、死んだらつまらんだろうが』

そう言って、悲しい顔をしながら部屋を出て行く海藤警部と石田刑事。ライコウは、警部に言われた言葉の意味を理解していた。海藤警部の息子は父と同じ警官になったのだが、麻薬ルートを深追いし過ぎて、殺されてしまったのだ。葬儀の時、顔をクシャクシャにして泣いていた警部の顔が、ライコウの脳裏に今も残っている。

ライコウがその話を二人にすると、カボ子と五郎は無鉄砲なライコウのことが突然心配になった。二人の視線に気づいたライコウは、「無理はしない」ことをふたりに誓うのだった。

警視庁を出た三人は、次の行動に移る。ライコウは、警部のいう「大物」探しをカボ子と五郎に依頼した。即ち、大沢山、竜神、西沢の三人が共通に関係している組織を調べることだ。そして、ライコウは大沢山京子の所へ向かう。だが、三人のその話を、警視庁前の立ち木に取り付けた超小型集音マイクで拾って聞いている者がいた。朱玉とマシンガンのジョーである。
(つづく)


★★★★★★★★★★★★
今回の殺し屋マシンガンのジョーを、上西弘次氏が演じている。上西氏と言えば、ご存じウルトラセブンのスーツアクターである。特撮ドラマに、時々ゲスト出演していた氏であった。なお、上西氏の没年は不明である。

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ダイヤモンド◇アイ(8) [ダイヤモンドアイ・ドラマ1]

今回は、第4話《挫けるなライコウ / 後編》を取りあげます。

【前回までの話は・・・竜神代議士は朱玉に暗殺され、ハリケーン作戦は源海龍の思惑通りに進行している。だが源海龍は、ハリケーン作戦の遂行に邪魔な雷甲太郎を、まず抹殺するよう朱玉に命じた。朱玉はプレゼント爆弾を使い、新手の殺し屋マシンガンのジョーは銃撃でライコウを狙ったが、いずれも失敗した・・・】

◆警視庁を出たライコウ、カボ子、五郎の三人は二手に分かれ、行動する。警部のいう「大物」探しを、ライコウはカボ子と五郎に依頼した。大沢山・竜神・西沢の三人が共通に関係している組織を探りだせば、その組織のボスこそが問題の「大物」に違いないとライコウは考えた。そして、ライコウは大沢山の行方を調べるために、娘・京子の所へとバイクで向かう。だが、三人のその話は、朱玉とマシンガンのジョーに聞かれていた。

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連絡を受けた朱玉の手下たちは道路工事の作業員に化けると、「迂回願います」という看板を道路に立て、ライコウのバイクを行き止まりへと誘導する。しばらく走行するうちに砂利道になり、おかしいな?と疑問に思いながら、ライコウはバイクを走らせていた。そこへいきなりバイクを狙ってマシンガンで銃撃され、驚いたライコウはバイクを転倒させてしまう。走り寄って来るたくさんの赤覆面たちに、ライコウはたちまち取り囲まれてしまった。

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だが、ライコウはすぐに態勢を立て直すと、得意の蹴りとパンチを繰り出して赤覆面たちを次々に倒していく。業を煮やしたジョーはマシンガンをぶっ放すが、ライコウは銃弾を避けながらジョーに近づき、ジョーのマシンガンを蹴り上げた。マシンガンを失ったジョーはライコウと1対1の殴り合いになり、ジョーは叩きのめされてしまう。ジョーを置き去りにしたままバイクにまたがったライコウは、京子のいる大沢山邸へと急ぐのだった。

その頃、大沢山邸には、大沢山剛造が身を隠す準備のために立ち寄っていた。

『新しい事業の準備のためだ、我慢してくれ京子』
『ウソ!お父さんは、悪い人だわ・・・』

ライコウと会ったことで、京子は父の正体をうすうす感じていた。だが、そんな父でも、京子には親を売るような事は出来ない。京子は、ライコウがもうすぐこの家を訪ねてくることを父に告げると、裏口に止めてある自分のスポーツカーで逃げるよう進言するのだった。

そんな時、電話のベルが鳴った。大沢山が電話を取ると、相手はダン会長であった。財産を現金に変えたことや敵が迫っている状況を大沢山が説明すると、ダン会長はあの優しい声で、手配はできているからすぐに自分の所へ来るようにと告げた。だが、電話の向こうでは、大沢山とライコウを一度に片づける計画を思い描いて、ダン会長はニヤリと笑っていた。

ライコウは、大沢山邸の玄関ベルを鳴らした。だが、電話であれほど父のことを知りたがっていた京子がなかなか現れないので、ライコウは不審に思った。裏口へ回ったライコウは、駐車場に黒い社用車が止まっているのを見つける。「大沢山がいるに違いない」そう思ったライコウがジッと見張っていると、案の定、大きなスーツケースを抱えた大沢山が裏口に姿を現し、社用車ではなく赤いスポーツカーに乗って邸宅を出ていった。ライコウは、赤いスポーツカーを尾行した。

同じ頃、カボ子と五郎は、ライコウに言われた問題の組織を見つけ出していた。

『これよ、きっと。竜神や大沢山の名前も載っているわ!アジアの資源を調べる会か!』

大沢山の乗ったスポーツカーを追って、ライコウが着いた場所は「アジアの資源を調べる会」の本部ビルであった。音を立てないように、ライコウは静かにビルの階段を上がって行く。会長室と書かれたドアをそぉーっと開けようとして、先にドアが開いてバランスを崩しながら中へ入ったライコウ。そこには、大沢山が銃口を向けて立っていた。

『入り給え。キミが尾行してくるのは、計算済みだ』
『大沢山!殺しの罪まで、犯すつもりなのか』
『いや。人殺しは初めてなので自信は無いが、専門家がいるのでね』

大沢山がそう言うと、大沢山の後ろから白髪でサングラスをかけた紳士が、パイプをくわえながら扉を開けて入って来た。

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(大沢山はダン会長にライコウの処置を頼むが・・・)

『ダン会長、あとはよろしく・・・』
『待ちたまえ・・・キミも、ここでこの青年と一緒にあの世へ行ってもらう!』
『会長!それでは約束が・・・』

ダン会長はそう言うと、右手の拳銃を大沢山へ向けた。目を丸くして驚く大沢山の目の前でダン会長は左手で顔を隠し、一瞬にしてその顔は源海龍に変わった。

『あっ、源海龍!・・・貴様、よくも!』

大沢山は驚き、絶句する。ライコウも驚く。箱根の大沢山の別荘で見た、あの男だ。怒った大沢山が自分の持つ拳銃を源海龍に向ける間もなく、ジョーのマシンガンが大沢山をハチの巣にしてしまった。次に狙われるライコウは、その隙に隣の部屋へ続くドアのガラス戸に頭から飛びこんだ。その部屋は薄暗い物置部屋で、使わない椅子や机、段ボール箱などが所狭しと置いてある。それらがバリケードとなって、ライコウを銃撃から守ってくれる。

だが、源海龍とマシンガンのジョーがすぐに現れ、続いて部下の赤覆面達がその部屋へなだれ込んできた。ジョーが、見境無くマシンガンをぶっ放す。銃撃が止むと、赤覆面達が隠れているライコウを捕えようと探し始めた。狭い部屋なのであっという間に見つかり、キックやパンチで応戦していたライコウだが、マシンガンの銃口を向けられて、万事休す。硬い銃で殴られ、床へ倒れるライコウ。とどめを刺そうと銃口を定めるジョー。引き金に指をかけたジョーを見て、ライコウはダイヤモンド・アイに助けを求めた。

『アイよーっ!』

ダイヤモンド・アイは、左手のアイリングを光にかざして呼ばなければ現れない。この物置部屋の薄明かりでは、光が足りないのだ。ライコウ、最大のピンチ!光はどこだ!周りを見回すライコウの目に入ったのは、部屋の隅にある非常灯の小さな明かりだ。一か八か、ライコウはその明かりを求めて、ジョーのマシンガンを右足で蹴り飛ばした。間一髪、銃弾は天井に向けられて発射、と同時にマシンガンは薄暗い闇の中へすっ飛んで見えなくなった。

薄明りの部屋の中で赤覆面やジョーと乱闘になりながら、ライコウは非常灯の下へジリジリと進んで行く。そして、腕を伸ばして非常灯の灯りの真下にリングをかざすと、叫んだ。

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『アイよーっ!』
『わが名は、ダイヤモンド・アイ!汝らの悪を見届けた!外道照身霊波光線!』

ダイヤモンド・アイの目から発射された青い光線がマシンガンのジョーに当たり、ジョーは正体を現した。

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『正体見たり!前世魔人ケラリン!』
『やや、バーレーターカー!』
『お前も、だ!お前も!お前も!』

赤覆面達は、次々と馬頭人や牛頭人へ変化(へんげ)していく。アイの青い光線は、逃げようとする源海龍にも当てられた。

『バーレータカー!』
『キングコブラ!今日こそ汝と、正邪の決着をつけようぞ!』
『ほざくな!アイを殺せ!』

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(闇の怨霊世界へ逃げ込むキングコブラ)

牛頭人や馬頭人たちがキングコブラを守ろうとして、壁のように立ちはだかる。その間に、キングコブラはタイムトンネルのような空間を作ると、闇の怨霊世界へと逃げ去ってしまった。あとに残った前世魔人ケラリンが、強力な握力と鉄の爪を武器にアイを絞め殺そうと向かってきた。

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(ロイヤルパンチでケラリンを一撃)

背後から覆いかぶさるように両腕の鉄の爪で襲いかかるケラリンを、アイは背負い投げのようにして投げた。投げられ勢いのついたまま、ケラリンは窓ガラスを突き破って空へ飛んで行く。そのあとを追うようにアイのステッキから必殺ロイヤルパンチが発射され、ケラリンは空中で大爆発した。ステッキの先端から発射されるステッキ光線で、残る馬頭人・牛頭人どもはすべて消滅した。

『挫けるな、甲太郎。この世の正義のために、献身するのだぞ。また会おう!』

アイが空へ帰った後、カボ子達の通報で海藤警部と石田刑事以下、警察がこのビルに踏み込んできた。海藤警部はライコウの顔を見るなり、一発殴った。

『生きとったのか、このバカめ!・・・甲太郎!命だけは大事にするんだ!もうこれ以上、息子は死なせたくない・・・』

海藤警部は涙声になってこう言うと、ライコウの頭を髪の毛がクシャクシャになるほど二度三度と撫でるのだった。ライコウは決して忘れないだろう、警部の思いが込められたこぶしの一発を。そして、源海龍一味を必ず追い詰めて、その悪事を叩きつぶすことへの闘志をさらに燃え上がらせていた。
(終わり)


★★★★★★★★★★★★
海藤警部役は、玉川良一氏である。1992年に67才で死去している。筆者が小学生の頃にご活躍され、ほとんど覚えてないが、お笑い番組に出演していたように思う。「おれだよ、玉川良一だよ」という決まり文句を、なぜだか覚えている。

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ダイヤモンド◇アイ(9) [ダイヤモンドアイ・ドラマ1]

今回は、第5話《消えた20億! / 前編》を取りあげます。

  企画;衛藤公彦
  原作;川内康範
  脚本;伊東恒久
  音楽;池多孝春
  殺陣;渡辺高光
特技監督;真野田陽一
  監督;高瀬昌弘

【前回までの話は・・・身を隠すように言われた大沢山剛造は、ダン会長に指示されるまま「アジアの資源を調べる会」の本社ビルへ向かった。一方、京子の家を訪ねたライコウは、大きなスーツケースを抱えて出かける大沢山を見かけると、そのあとを尾行した。すべては、大沢山とライコウを一度に始末するために源海龍が仕組んだシナリオであった。ダン会長は源海龍の正体を現して大沢山を殺害し、ライコウに襲いかかった。光の当たらない部屋に追い詰められたライコウは知恵を絞ってダイヤモンド・アイを呼ぶと、マシンガンのジョーこと魔人ケラリンを倒す。しかし、源海龍には逃げられてしまう・・・】

◆スーツケースを開けて大量の現金を目の前にした源海龍は、満足げに笑っていた。大沢山剛造を始末し、予定通り彼の全財産を手にしたからだ。朱玉に、次の命令をする源海龍。

『次の攻撃目標は、見国化学工業の社長・三国重助。不正乗っ取りと公害工場で私腹を肥やしている。その不正をネタに、ダイヤを売るとみせかけて全財産を奪い取る。もう一つ、我々の邪魔をする雷甲太郎を、大至急始末せよ!』

朱玉は、新たな刺客・首切りジャガーを呼び寄せる。源海龍は、雷甲太郎とダイヤモンド・アイの関係を探り出して闇へ葬るようにと、ジャガーに指示した。

ライコウは、京子の父・大沢山剛造の命を救うことが出来なかったことに罪悪感を覚えていた。ひとりで敵のアジトに乗りこまずに警察に知らせていれば、大沢山は助かったかもしれないと後悔するのだった。荒波が打ちつける岩場で海を見ながら、京子のために「仇は必ず取る」ことを心に誓うライコウ。だが、そのライコウに刺客が迫っていた。ブーメランがライコウを襲う。岩場の隙間へ隠れたライコウは、見えない敵に向かって叫んだ。

『出てこい!朱玉の殺し屋か!』
『首切りジャガー様が、地獄へ送ってやる!』

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(新たな殺し屋・首切りジャガー)

左手に巨大なカマを持ち、黒いハットをかぶって紳士然とした殺し屋・首切りジャガーが、ブーメランを自在に操ってライコウを狙う。まるで意志があるかのように、ブーメランはライコウの姿を認識して飛んで来る。ブーメランがライコウを直撃したように見えたが、砕け散った岩と一緒にライコウも海に落下した。ライコウが海から上がって来ないことを確認したジャガーは、「これで(アイとライコウの内の)1人は片付いたな」と満足げな笑いを浮かべて、姿を消した。

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『あんたも、新聞社の人かね?』
『いいえ、週刊誌の記者です』

荒海に投げ出されたライコウは、年老いた漁師に助けられていた。怪我の手当てと濡れた服をたき火で乾かしながら、老漁師はライコウに訊ねた。

『あんた、見国化学の工場を調べに来たんじゃなかったのかい?』

この場所から向こうに見える岬に、煙突が十数本立っている。それを指差しながら、老人は話した。

『あれが見国化学の工場だ。あの工場の流す廃液で、この1~2年でこの付近の海は死んじまったよ』

役人が調査に来ると金をつかませて誤魔化し、新聞記者が取材にくると暴力を使って追い返すという汚いやり口を繰り返していたと、老人は話す。この老人は、つい先日もおぼれかけていた新聞記者を救ったので、ライコウを見て、またかと思ったのだ。

『ま、危ないとこへは、近寄らんこっちゃな』
『おじさん、ありがとう』

老人にお礼を言ったあと、ライコウは岬に立つ煙突群をじっと見ながら、ルポライターとしての使命感が沸き上がるのを感じていた。

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その頃、「アジアの子供が手をつなぐ会」の総裁を名乗る男が、見国化学工業社長の三国重助に面会を求めていた。社長室に通された男は、自分は恵まれないアジアの子供たちの為に働いている者だと説明した。そして、アタッシュケースを開けると、そこに並べられたたくさんのダイヤモンドを見せた。国連慈善事業部からの多額の寄付がすべてこのダイヤモンドの現物なので、これらを三国社長に買ってほしいと男は言う。

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(三国社長(右)に脅しをかける総裁を名乗る男)

『恵まれない子供たちの為に、一個ぐらいなら協力しましょう』
『全部買っていただきたい。あなたの工場は安全設備を整えると誤魔化して、莫大なる利益を上げている。あなたの不正を暴露するために、政府機関が活動を始めましたよ』

男は会社を脅迫するような内容を言ったが、「言いがかりだ」と最初は突っぱねる三国社長。だが、政府機関が動き始めたという情報が、気になっていた。

内線電話が鳴って三国が受話器を取ると、ルポライターの雷甲太郎が社長に面会を求めているという内容だった。三国が追い返すように言うと、屈強な5人の警備員たちが雷甲太郎を担ぎ上げ、力づくで会社の敷地の外へ放り出した。一方的に追い出そうとする警備員たちに、「工場の廃液と一緒で腐り切ったやり口だ」と、ライコウは怒りを露わにする。

すると、ライコウの背後にいた警備員が警棒でライコウの背中を殴り、ライコウは不意を突かれて倒れ込んでしまう。それを見ていた若いスーツ姿の男が、警備員の一人に殴りかかった。ライコウも態勢を立て直し、若い男と背中合わせになって、警備員たちと対峙した。

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『大丈夫か!』
『ああ。こんな卑怯な奴ら、やっつけるのに助っ人はいらない!』
『だが、1人に大勢で襲いかかる卑怯者を、オレは許せん!』

7人での乱闘になったが、誰が通報したのか、パトカーのサイレンの音が段々近づいて来ると、警備員たちは逃げるようにその場を去っていった。

『やるな!俺は雷甲太郎』
『北見八郎だ。じゃあな!』

互いの健闘を称えあって、ふたりは別れた。その直後、ライコウは見国化学の正門を猛スピードで出て行く車を目撃する。見国社長には来客がいたのだ。それは源海龍かもしれないと、ライコウの勘が言っている。ライコウは、すぐに車のナンバーを海藤警部に問い合わせた。

車は、「アジアの自然を守る会」の所有であることが分かった。ところが、ライコウがその会社を訪ねると、住所も電話番号もまったくのデタラメであることが判明した。ライコウの中で、アジアの自然を守る会と見国化学工業との関係が増々気になりだした。

『一体、アジアの自然を守る会っていうのは、どんな会なんだ?』

今日は、カボ子と五郎のお店がオープンする日だった。店の名前は、サンダー。若い仲間のたまり場的な店にしようと、開店したのだ。お店で得た利益が、ライコウを助ける資金にもなる。モンちゃんの姉のフーコが、仕事の合間に店を手伝ってくれる。ライコウもモンちゃんを連れてお店に入って行くと、そこには早川編集長がお客第一号として座っていた。

『編集長、昼間から油売っていていいんですか』
『何を言ってるんだ!お前にルポを頼みに来たんだぞ!』
『ちょうど良いネタがあるんですよ。見国化学の公害工場!』
『相手が見国化学なら、叩けばホコリがでるだろう。よし、やってみてくれ』

以前から何かとウワサの絶えない見国化学なので、早川編集長は早速ライコウにルポを依頼した。

大沢山を殺した源海龍を必ず追い詰め、娘・京子のためにかたきを討つと、ライコウは心に決めている。今日は、その大沢山の初七日だと早川編集長が言った。「行くべきだろう」と言う編集長に、「あの人は自分とは会わないだろう」とライコウは言った。正義のための戦いだったとはいえ、たった一人の父を殺された京子は自分を恨んでいるに違いないと、ライコウは思うのだ。

だが、カボ子や五郎、フーコも、弔問へ行くことをライコウに勧める。ライコウは心を決めて店を出て行くと、店の前の路上でブーメランがライコウを襲ってきた。あの首切りジャガーのブーメランであった。
(つづく)


★★★★★★★★★★★★
首切りジャガーを演じているのは、黒部進氏だ。東宝映画でも、悪役を演じることが
多い黒部氏。ウルトラマンのハヤタ隊員は、数少ない正義の味方役かもしれない。

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