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快傑ライオン丸(7) [ライオン丸・ドラマ1]

今回は、第20話《殺しの追跡者クマオロジ・前編》を取りあげます。

原作;うしおそうじ
脚本;若槻文三
企画;うしおそうじ 別所孝治
音楽;小林亜星
殺陣;渡辺高光
監督;石黒光一


【前回までの話は・・・ 果心居士を暗殺した大魔王ゴースンを倒すために、旅を続ける獅子丸たち三人。大幹部デボノバは、短銃の腕前では右に出る者がない怪人ネズガンダに、獅子丸を倒す命令を出した。しかし、指図されることを嫌うネズガンダは、デボノバの命令どおりには動かない。そこでデボノバは、ネズガンダの大切にしているハツカネズミを質に取り、ライオン丸と対決させるよう仕向けるのだった。だが、ネズガンダの短銃をもってしてもライオン丸を倒せなかったデボノバは・・・】

(ナレーション)大魔王ゴースンの配下の中でもっとも凶暴で残忍な怪人が、このクマオロジである。

クマオロジは、果心居士の弟子である獅子丸・沙織・小助の三人を暗殺する為にだけ、ゴースンから送り込まれた怪人であった。太刀を二本背負った二刀流の使い手で、斬られた者たちの身体には、左右から斬り下ろされたようにXのような刀傷が付いていた。

また、手裏剣弾の五連発射ができる短銃は、相手に逃げるスキを与えない武器であった。この残忍なクマオロジが通る道には、多くの死人が出た。

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『食事中すまぬが、この辺りを女と子供を連れた若い男が通らなかったか?』

昼時、道端で弁当を食べている若夫婦にクマオロジはそう訊ねた。怯えた夫は、「この道を山の方へ歩いて行った」と答えると、二人は恐ろしさのあまり、急いで走って逃げだした。

『待て!逃げることはあるまい!』

その言葉が終わらぬうちに、クマオロジの五連発弾が火を吹いた。可哀想に、若夫婦の背中には数本の手裏剣弾が突き刺さり、二人とも絶命していた。更にクマオロジは、そのふたりの遺体に向かい、背負っている二本の太刀を抜いて、残忍に切り刻んだ。

果心居士の意志を守り、獅子丸たち三人がゴースンを倒すために故郷・飛騨の山奥を出立してから、長い月日が過ぎていた。小助は獅子丸や沙織とは違い、まだ幼少である。苦難の続く毎日を生きているうちに、小助には疑問が湧いてきていた。昨日までとは違う小助の態度を見て、獅子丸も沙織も心配して声をかけた。

『どうした?小助』
『小助チャン、全然元気が無いじゃない?』
『獅子丸兄ちゃん。おいらたちは、一体何のために旅を続けてるんだい?』

獅子丸と沙織の話しかけに、小助が口を開いた。自分達の行く所にはいつも罪の無い人達が死んでいくし、自分達が命がけで戦っても、誰も喜んでくれる人はいない。小助は、そう訴えた。

『おいら、もう嫌だ。もう、旅なんかしたくない!』

そう言うと、小助は急に走り出して、獅子丸と沙織の前から姿を消してしまうのだった。獅子丸も沙織も、小助の実の兄と姉ではないが、果心居士の元で厳しい修行に耐えて、姉弟以上に強いきずなで結ばれていると思っていた。だから、このような事態になるとは、夢にも思わなかったのである。

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『小助だって男の子じゃないか。きっと私達のやっていることを、分ってくれるよ・・・』
『でも、小助チャンはまだ小さいし、普通の子供だったらお母さんと遊んでいる年頃よ。命がけで頑張っているんですもの・・・私がもっと優しくしてあげればよかった・・・』

夕暮れが近づき、森の中でたき火をしながら、ふたりは小助のことを話し合った。特に沙織は、小助の気持ちに気付いてあげられなかったことを後悔した。

翌日。小助はというと、獅子丸と沙織の前から姿を消してから、どこをどう走ってきたのか分らないが、寒さをしのぐためにワラを積んだ山の中で寝ていた。大きく背伸びをしたり立小便をしたりして、ゆっくりと小助一人だけの時間が過ぎて行く。やがて落ち着きを取り戻した小助は、自分のやったことの重大さに気付くのだった。

『おいら、どうしてあんなこと、言っちゃったんだろう。ごめんよ、獅子丸兄ちゃん。おいら、間違ってたよ・・・』

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だが、小助が自分の失敗を後悔したときには、もう手遅れであった。朝起きた時から、小助はドクロ忍者に見張られていたのだ。そしてそのことは、ドクロ忍者からドクロ忍者へと伝わり、大幹部デボノバの耳にも入っていた。

『ついにチャンスが来た。その小僧を、生け捕りにするのだ!』

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小助がひざを抱えて考え込んでいる間に、デボノバの命令で、多くのドクロ忍者たちが小助の周囲を取り囲み始めていた。そして、獅子丸と沙織を探しに小助が走り出そうとした時、小助はワナにかかって、ドクロ忍者たちに捕らえられてしまった。

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その頃、森の中を歩いていく獅子丸と沙織の姿を、暗殺者クマオロジは捉えていた。

『見つけたぞ、獅子丸。この俺に狙われたら最後、お前の行く道は無くなる。お前を待つものはただ一つ、死だ!』

獅子丸は、さっきから誰かに尾行されていることに気付いていた。

『小助チャン、じゃない?』
『違う。川を渡ったら、二手に分かれて走るんだ!』

獅子丸は沙織にそう耳打ちして、ふたりは川を渡ると、二方向に別れて走り出した。それを見たクマオロジは、尾行に気付かれたことを知った。

『気付いたな、獅子丸め!だが、この俺に狙われたら、絶対に逃げることはできないのだ!しばらく、遊ばせてやるわ』

クマオロジはそう言うと、自慢の五連発短銃を指にひっかけて2~3回クルクル回すと、ストンとベルトのホルスターへ納めた。(つづく)


★★★★★★★★★★★
この第20話が、一つの節目になりそうな予感である。



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