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快傑ライオン丸(5) [ライオン丸・ドラマ1]

今回は、第14話《さすらいの怪人ネズガンダ・前編》を取りあげます。

原作;うしおそうじ
脚本;柏倉敏之
企画;うしおそうじ 別所孝治
音楽;小林亜星
殺陣;渡辺高光
監督;石黒光一


【前回までの話は・・・ ゴースンを倒す旅を続ける獅子丸たち三人は牢人の群れに襲われたが、その中の蒲生城太郎という牢人の助太刀で難を逃れた。城太郎も他の牢人もドクロ仮面に雇われた一味で、獅子丸たちを助けた城太郎は、自分も狙われることに。ゴースン忍者・わくらんばが棲む「死の森」へ出向く獅子丸たちに、「命と金が一番大事だ」と言って阻止しようとする城太郎。だが、その城太郎の活躍もあって、わくらんばの企みを打ち砕いた獅子丸たちは、城太郎との再会を約束をして、それぞれ別の道を行く・・・】

◆大魔王ゴースンは、配下の魔人たちがライオン丸を倒せないことに業を煮やし、自分の口から生み出した分身・怪人デボノバを指揮官として送り出した。性格はゴースンに似て残忍無比なデボノバは、日本各地へ散ったゴースン暗黒魔人たちに「打倒、獅子丸」の命令を出した。

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石でできたゴツゴツの裏街道を、その人物は道中合羽に三度笠を深くかぶり、そして脚にはわらじを履いて早足に歩いていく。時々、左手に持っている竹筒でできた小さなかごの中を気にしつつ・・・。

その竹筒のかごの中には、一匹のハツカネズミが入っていた。その人物は、ハツカネズミと会話をすると、近くにある茶屋へ寄って一休みすることにした。

『オヤジ・・・、団子だ』
『はぁ・・・(振り向いてその姿を見た途端)た、助けてくれ!』

茶店の店主が、そして、すでに休憩して団子をほおばっていた旅人も、三度笠を取ったその姿を見ると、仰天して店から逃げ去っていくのだった。それもそのはず、そこには、赤いサングラスをして口ヒゲを生やした巨大な黒ネズミといった姿の怪人・ネズガンダがいたからだ。

店には誰もいなくなり、ネズガンダは竹のかごに入ったハツカネズミにあげるエサを頼めなくなった。仕方なく、旅人が残していった団子をひと串つかむと、団子を一つハツカネズミに与えた。そして、自分も団子を一つ食べていると、そこへ大幹部のデボノバが現れた。

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(デボノバ(左)と、団子を食べるネズガンダ)

『ネズガンダ、何をしている!』
『見ればわかるだろう(と言って、団子を見せる)』
『獅子丸がこちらへ向かってくるのだぞ。早く行って、殺せ!』
『団子くらい、食わせてくれ・・・』

ネズガンダはそう言って、ゆっくりと団子を食していた。自分の命令に逆らったネズガンダに怒ったデボノバは、持っていた右手の短銃で、ネズガンダの食べている団子を銃弾で弾き飛ばしてしまう。

だが、ネズガンダも負けてはいない。間髪を入れずに右手の短銃を抜くと、デボノバが撃った短銃を弾き飛ばしてしまった。銃口から昇る硝煙をしばらく見ていたネズガンダは、クルクルと指で短銃を回して、ホルスターにしまい込んだ。

『(ビビるデボノバは)フフフ・・・さすがだな、ネズガンダ』
『俺の腕前は、良く知ってるだろ。なぁに、獅子丸なんか、一発で仕留めてみせる』

デボノバといえども、銃の勝負ではネズガンダには勝てない。この腕ならば必ず獅子丸を仕留めることができるだろうと、デボノバは思った。その一方で、自分の言うことを聞かないネズガンダを、デボノバはいまいましく思った。

峠の茶屋の近くで十数人のドクロ忍者を奇襲させたが、獅子丸、沙織、小助にすべて斬り倒されてしまった。だが、デボノバには余裕があった。ネズガンダの腕なら、獅子丸を倒せる目算があったからだ。デボノバは自信を持って獅子丸にこう告げると、この場から消えた。

『これで勝ったと思うなよ。我らには、まだネズガンダがいる!お前らは、もうすぐネズガンダの餌食(えじき)になるのだ!』

デボノバが自信を持って話す敵の怪人・ネズガンダとは、いったいどんなヤツなのか。獅子丸たちは気を引き締めながら、先を急ぐのだった。

一方、当のネズガンダは、芝の上で昼寝をしていた。そのことを知ったデボノバは、ネズガンダが来ないから獅子丸に逃げられたと、怒り心頭に発していた。

『ネズガンダ、起きろ!』
『うるさいな、せっかくいい気持ちで寝てるのに・・・』

『グズグズしないで、早く獅子丸を討て!』
『オレは、指図されるのが大嫌いだ』

デボノバの、「獅子丸が怖くなったのか」という売り言葉には、まったく乗って来ないネズガンダ。

『お前の指図は、受けぬ』
『俺の命令は、大魔王ゴースン様の命令だ!すぐに獅子丸を討ち殺してこなければ、お前は破門するぞ!』

自分の命令に従わないネズガンダに苛立ち、吐き捨てるようにそう言うと、デボノバは消えた。

『破門でもなんでも、勝手にするがいいさ・・・しかし、獅子丸と言うヤツ、そんなに強いのか。この勝負、面白そうだな』

腕が立つだけに自信過剰とも言えるが、あくまでも自分の気持ちに正直なネズガンダ。上司からの命令などクソ食らえと、肝が太い男なのだ。興味があることは、強いヤツとの勝負だけ。ネズガンダは獅子丸のことが気になり、彼を探し求めて歩き出した。

その頃、デボノバの襲撃を退けた獅子丸たちは、その先にある茶屋で食事を取っていた。その店は、先にネズガンダが立ち寄った店であったため、店主が見た怪人の話を聞くことができた。

『ネズミに似た、大きな耳に長いひげを生やし、黒いマントに丸い笠をかぶり、まことに妙な「いでたち」の化け物でした・・・』

話の様子から、それがデボノバの言うネズガンダに違いないと獅子丸は思った。

『おじさん、心配すること無いよ。腹がいっぱいになったら、ネズガンダなんか簡単にやっつけてやるさ。おかわり!』

育ち盛りの小助がおかわりを所望したとき、小助の手の平に乗っていた大盛の皿が、「バン!」という音と共に弾かれて地面に落ちた。店主と獅子丸たちが一斉に同じ方向を見ると、そこにはヒゲ面の怪人が立っていたのである。

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『オレが、ネズガンダだ・・・』

ネズガンダは挨拶代わりに、短銃で自分の腕前を見せた。ネズガンダの銃から発射されるのは弾丸では無く、手裏剣弾と呼ばれる小さな刀型の手裏剣であった。

おかわりの皿を弾かれ、怒って立ち上がった小助に向かって、ネズガンダは短銃を撃ち続けた。小助の後ろの板壁が、小助の姿をかたどったままドサッと音を立てて後ろへ倒れた。

『ネズガンダの、人形射ちだ』

獅子丸は、ネズガンダに斬りかかった。しかし、ネズガンダは茶屋の屋根にジャンプして、獅子丸の剣を避けてみせるのだった。

『斬り損ねたな、獅子丸!』

しかし、獅子丸はニヤリと笑った。ほんの少し間があって、ネズガンダのあごひげの一部が切れて落ちた。

『うん?味なことをやるじゃないか。礼を言うぞ』

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言う間もなく、ネズガンダは両手に短銃を持って、屋根の上から連射した。獅子丸は、鞘に付いているリング状の部分に指を入れ、そこを中心に刀を回転させて、連射された手裏剣弾をすべて払い落としてみせた。地面に刺さった手裏剣弾を見て、獅子丸の手強さを肌で感じたネズガンダは言った。

『なかなかやるな、そろそろ本気でいくぞ』
『来い!』

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屋根から飛び降りたネズガンダと獅子丸は相対したが、力量が拮抗しているためにスキが無く、互いに攻撃できない。両者は、間隔を変えずに円を描く様にしてゆっくりと移動しながら、相手の様子をうかがっていた。そのときである、チュウチュウという鳴き声がした。

『ま、ちょっと待って!』

ネズガンダは急にそわそわして、茶屋の椅子の下に隠しておいた竹筒のかごの中のハツカネズミに話しかけた。そして、腹が空いていることを知ると、団子を与えてやるのだった。背を向けてエサをやっているネズガンダを斬ろうとした小助を、獅子丸は制止した。

『どうも気分が乗らぬ。獅子丸、勝負はこの次まで預けておく』

そう言うと、竹筒に飼っているハツカネズミを持って、ネズガンダは茶屋をあとにした。獅子丸は、手強い相手であるだけに、堂々と勝負したいと思うのだった。(つづく)


★★★★★★★★★★★★
「ネズガンダのテーマ」とでもいうべきサックス(だと思うが)が奏でるBGMは、なかなか雰囲気がある曲だ。



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