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快傑ライオン丸(27) [ライオン丸・ドラマ3]

今回は物語を先に進めるため、果心覚書に書かれた六名のうち三名と獅子丸たちとの関わりについて、特別篇という形で記すことにします。

獅子丸が猪俣比企衛門(ガマウルフ)を倒して手に入れた「果心覚書」には、果心居士以外に六人の名が記されていた。即ち、

・猪俣比企衛門
・風早鼠十郎
・木目偶人
・〇△
・木猿
・白垣幽斎

獅子丸たち三人はゴースンの秘密を聞き出すため、この覚書にある残り5人を探し出す旅に出たのである。

風早鼠十郎(かざはや そじゅうろう)
第33話【非情の盗賊 ガメマダラ】脚本;まつしまとしあき 監督;曽我仁彦

「ねずみ様」と百姓たちの間で呼ばれている盗賊がいた。近隣の富豪の家へ夜陰に紛れて侵入し、金銀・小判を盗んではそれを貧乏農家へそっと投げ込む、不思議な盗賊であった。

彼が盗人をする理由は、多くの貧乏人を救うためだと言う。一部の人間だけが裕福なのは不公平だという正義感が、彼をそうさせるのであった。

まだ襲われていない富豪の家に、獅子丸たち三人は用心棒として入り込んだ。その夜、富豪の家の屋根裏に潜入してきた鼠十郎に、獅子丸は出会う。だが、怪人ガメマダラとドクロ忍者たちが襲撃して、多くの怪我人が出た為、獅子丸は鼠十郎との話よりも怪人と戦うことを優先した。その間に、鼠十郎はこの家の千両箱をまんまと盗んで、逃走してしまうのだった。

だが、鼠十郎はガメマダラに見つかり、千両箱をめぐって争いとなった。鼠十郎は怪人を斬り捨てて勝つが、鼠十郎も大怪我を負ってしまう。怪人を追ってきた獅子丸は、瀕死の鼠十郎を見つけると、彼を介抱した。この経緯で互いに心を割った話しあいをしたふたりは、心のわだかまりが解けていた。

自分が果心居士の弟子であることを告げた獅子丸は、覚書にある6人の中にゴースンがいるのかを問うたが、その問いに鼠十郎が答えようとした時、ガメマダラの襲撃に遭ってしまう。ガメマダラには、再生能力という秘術があったのだ。

ライオン丸に変身してガメマダラと戦う獅子丸に鼠十郎は加勢し、ガメマダラを倒すことはできたが、無理をした鼠十郎は先の怪我がもとで命を落としてしまう。獅子丸は、鼠十郎からゴースンの秘密を聞き出すことはできなかったのである。


木目偶人(もくめ ぐうじん)
第34話【殺しのメロディ 怪人パンダラン】脚本;田村多津夫 監督;曽我仁彦

覚書に書かれた木目偶人の生国である越後・松崎村へ、三人は向かっていた。松崎村の入口で、三人は「武者人形」を祀った祠(ほこら)を見かける。すると、後ろから男が声をかけてきて、武者人形を祀るわけを話して聞かせるのだった。この武者人形が昔、野党から村を救ったため、以来この武者人形を村の守り神として祀っているという。

一方ゴースンは、獅子丸たちが木目偶人を探していることを知り、その暗殺目的で、松崎村へ怪人パンダランを送り込んでいた。村人たちはこのパンダランに襲われ、村の外から来る者たちを怪人の仲間だと思いこみ、敵視した。村へやって来た獅子丸たち三人も村人たちに襲われるが、獅子丸は敵意の無いことを示すために、自分の刀を渡してしまう。

そこへパンダランが襲撃してきて、獅子丸は戦う武器が無く、危機的状況に陥ってしまう。すると不思議なことに、突然どこからか武者人形が現れて人間大まで大きくなると、妖術でかく乱させ、パンダランを崖から突き落としてしまうのだった。

獅子丸たちを助けた謎の武者人形が、村の入口の祠で見た人形とそっくりであったことから、三人は人形を調べに祠へと向かった。その途中で、祠であった男が三人に声をかけてきた。獅子丸は、この男こそ木目偶人だと直感し、自分は果心居士の弟子であることを告げて、覚書に書かれた人物の中にゴースンがいるかを訊ねたいと話すのだった。

すると、男は自分が木目偶人であると告げたが、木目偶人は死んだと言うのだった。修行の後、日本へ帰ってきた木目偶人は、妖術で出世しようと多くの人を殺していく。そのうちに妖術が恐ろしくなり、妖術を捨てたと語るのだった。木目偶人は、その時に死んだと言うのである。

突如、村人が助けを求めにやってきた。話をあとにして、獅子丸たちは村人を助けに行ったが、これは木目偶人から獅子丸を引き離すパンダランのワナであった。

獅子丸がいなくなったあと、パンダランが木目偶人の前に現れた。木目偶人は妖術によって武者人形に変身したが、同じヘマはしないパンダランに今度は歯が立たない。ワナに気付いた獅子丸がライオン丸になり、天馬ヒカリ丸で戻ってきた時にはすでに遅かった。ライオン丸によってパンダランは倒されたが、虫の息の木目偶人からは何も聞きだすことが出来なかったのである。


丸目三角之介(まるめ さんかくのすけ)
第35話【血に笑う怪人アリサゼン】脚本;山崎晴哉 監督;石黒光一

ゴースンは、次に狙う〇△について全く手がかりがないため、怪人アリサゼンを使って、〇と△に関する者をすべて暗殺するという手段に出る。

果心覚書に書かれたこの「〇△」とは、丸目三角之介という男のことで、ジャラモンへ渡ったものの修行が嫌になり、途中で逃げ出して日本へ帰ってきた男であった。

越中国(今の富山県)の薬売りに身を変え、萬金丹(まんきんたん)というニセ薬を売り歩いて生計を立てている。だが、一時でもジャラモンで修行して身に付けたのであろうか、不思議な妖術を使うのである。

訪問した農家の壁に火をつけて燃やし、薬を買えばその火を消すだけでなく、燃えた証拠も残らぬよう元に戻してしまう妖術を使い、相手を脅して薬を買わせるのである。

また、煙管(キセル)でシャボン玉を作り、それを飛ばして着地点で爆発させるという妖術も使い、小助をドクロ忍者から救ったこともあった。結局、この男・丸目三角之介は、ゴースンのことは何も知らないのであった。

こうして果心覚書に書かれた三人と対面した獅子丸たち一行だったが、ゴースンの情報を得ることは無かったのである。


次回からは木猿について、話しを進めていきます。おたのしみに。

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快傑ライオン丸(28) [ライオン丸・ドラマ3]

今回は、第37話《狙われた男 怪人トドカズラ・前編》を取りあげます。

原作;うしおそうじ
脚本;馬嶋 満
企画;うしおそうじ 別所孝治
音楽;小林亜星
殺陣;渡辺高光
監督;中西源四郎

【前回までの話は・・・ ガマウルフを倒して手に入れた果心覚書。それには、果心居士がジャラモンで共に学んだ学友6人の名前が記されていた。そのひとり1人に会い、この中にゴースンがいるのかを確かめる旅を始めた獅子丸たちだが、3人を探し出したものの、未だに手がかりは無い。次に探し出す男は、額にキの字の傷痕を持つ木猿という男であった・・・】

◆怪人トドカズラは、額にキの字の傷痕がある木猿という男を殺すよう、ゴースンから命令されていた。木猿は、果心覚書に記された第五番目の男で、ゴースンと技を競い合った程の男である。ゴースンをよく知る木猿を獅子丸よりも先に見つけ出すことが、トドカズラにとって何よりも重要なのだ。

(ナレーション)獅子丸たちは、額にあるキの字の傷痕を手掛かりに、木猿の消息を求めて黒森山へ向かっていた。だが、途中で激しい腹痛を起こした小助は歩くことができず、獅子丸に背負われていた

小助を背負って林の中を歩いている獅子丸と沙織の目の前で、2羽の山鳥を吹き矢で撃ち、いとも簡単に仕留める技を持った男が現れた。小助を休ませるため、沙織は一夜の宿を借りようと男に声をかけたのである。

『あのう、もし・・・』

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振り返ったその男の顔を見た時、沙織も獅子丸も次の言葉がすぐに出て来なかった。なんと、その男の左眉毛の上には、キの字の傷痕があったからである。

『背中の者が、病で難儀しております。勝手ながら、すこし休ませていただけませんか。おねがいします・・・』

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獅子丸が小助の症状を訴えると、男は警戒しながらも小助の様子を見て、あとに付いてくるよう獅子丸たちを促すのだった。男は山小屋で、年寄りの喜蔵と幼少の弥一との三人暮らしであった。喜蔵は高齢ながら、薪割りをするほどの体力の持ち主であった。

弥一は年の頃は二~三歳、この男・佐吉のひとり息子であった。佐吉は20代後半位の男で、妻は弥一を生んだあとに死んだという。そんな境遇の弥一は、沙織を見て母親のように慕うのであった。

夕食後、沙織は思い切って佐吉に額の傷痕のことを訊ねてみた。

『この傷は小さい頃のわんぱくで、柿の木から落っこちたんです。木猿などという忍者では・・・』
『あの吹き矢が、あまりにも見事だったもので・・・』

佐吉は幼子の弥一をヒザの上で寝かせながら、自分は木猿ではないと話したが、あの吹き矢の技はなかなかの腕前であり、本当のことは言わずに隠しているのかもしれない。子供の頃からやっていて自然に身に付いた技と言っているが、あの吹き矢はそれだけではないように思えた。佐吉は、自分よりも喜蔵の方がもっと上手だとも話していた。その喜蔵は無口な性格なのか、この輪には入らず、奥で残りの仕事をしていた。

翌朝。小助の病が治るまでの間、こちらに世話になることになった獅子丸たち。朝食後、獅子丸は小助を沙織に任せて、木猿の行方を求めて黒森山へ向かうことにした。佐吉も、いつものように野良仕事へ出かけて行く。玄関先でふたりを見送る沙織に、やっと今起きてきた弥一が大声であいさつした。

『おはよう!』
『おはよう、弥一ちゃん!』

弥一は急に沙織の手を引くと、近くの花園まで沙織を連れて走りだした。弥一は、幼い時に死んだという母の面影を、沙織に求めているのであった。ふたりの男手だけですくすくと育って来た弥一だが、二~三歳頃の子には母が恋しい歳頃であろう。弥一は、沙織の近くにいるだけでうれしくて仕方がないし、女の沙織にはそういう弥一の気持ちがよく解かる。

摘んできた花を生ける沙織の姿を見てはしゃぐ弥一の姿を見ていた喜蔵が、沙織に母の面影を見ているのですと説明されると、沙織は一体どうしていいのか迷う自分を見つけるのだった。ここで平穏な暮らしをしたいと思う自分がいる。しかし、ゴースンを倒すという大事な使命が自分にはあるのだ。

夕食のおかずの山鳥を撃ちに、喜蔵は弥一に声をかけて、一緒に林へ入っていった。喜蔵は指笛で小鳥の鳴きマネをしておびき寄せると、吹き矢を使って山鳥を撃つことに集中していた。射ち落した山鳥を拾うと、そこにいるはずの弥一の姿が見えない。喜蔵は焦った。喜蔵は老体ながら、物凄い速さで林の中を駆け回って、弥一を探した。すると、弥一を担いで逃げて行くドクロ忍者四人を、発見したのである。

林の中の道を、二列縦隊で走って来る四人のドクロ忍者の前に立ちふさがり、前にいたふたりののど元に吹き矢を浴びせて倒した喜蔵は、残るふたりの前に立つと、急に横にそびえたつ大木の枝に吹き矢を放った。すると不思議なことに、吹き矢が当たって切れた木の枝がまるでヘビのように意志を持って動き出し、残るふたりのドクロ忍者を攻撃し始めた。

それはただの木の枝なのだが、スルスルとヘビのように動いて、残る1人のドクロ忍者の首に食いついた。いや、突き刺さったのだ。そして、すっと首から抜けると、もう一人のドクロ忍者の首にも突き刺さった。弥一をさらおうとした四人のドクロ忍者は、あっという間に死んだのである。

『弥一!』
『おじいちゃん!』

喜蔵が弥一を抱きあげた時、どこからか矢が飛んで来た。弥一を抱えてかがみこんだ喜蔵は、自分の近くの大木に矢文(手紙を巻き付けた矢)が刺さっているのを見つけるのだった。

一方、獅子丸はというと、木猿の姿を求めて心当たりも無く、方々を探し回っていた。水を飲むために川の流れに沿って歩き、滝つぼのある岩場までやって来たとき、滝をはさんで向こう側の岩場に立っている虎錠之介が目に入った。その距離は、10メートルほどしか離れていない。

(錠之介・・・)
『しばらくだったな、獅子丸・・・お前が生きていてくれて、俺は嬉しいぜ。ここは、お前の死に場所としてふさわしいトコ。手向けの花も、用意した』

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錠之介はそう言って、獅子丸をジッと見ながら、近くで摘んできたのだろう、白い花の束を自分の鼻にかざしてその香りを吸い込むと、それを滝つぼへ捨てた。

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『来い、獅子丸!ゴースン・タイガー!』

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『風よ光よ!忍法獅子変化!』

ふたりは、滝つぼに近い岩場の上でそれぞれ変身した。水量の多いこの滝の水しぶきを被ったふたりの勇姿が、太陽光でキラキラと輝いて見えた。

『タイガージョー、推参!』
『ライオン丸、見参!』
(つづく)


★★★★★★★★★★★★
今回映像では怪人が出てくるのですが、話の筋に直接関係が無いため、カットして話を進めました。
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快傑ライオン丸(29) [ライオン丸・ドラマ3]

今回は、第37話《狙われた男 怪人トドカズラ・後編》を取りあげます。

【前回までの話は・・・ 額にキの字の傷痕を持つ木猿という男を探している獅子丸たちは、森の中で偶然声をかけた男の額にその傷跡を見つける。小助の病を治すため、男の山小屋に泊めてもらえることになった三人は、その晩沙織が額の傷痕について佐吉に訊ねてみた。だが、佐吉は、自分は違うと否定した。翌朝、獅子丸は木猿を探しに黒森山へ出かけて行き、途中で虎錠之介と出会う・・・】

◆『タイガージョー、推参!』
『ライオン丸、見参!』

タイガージョーは、今いる岩場から高く飛び上がると、滝の水が落ち始める崖の上にいた。そして、ライオン丸に向かって叫ぶ。

『行くぞ!タァーッ!』
『タァーッ!』

タイガージョーは、その位置からライオン丸目がけて急降下した。ライオン丸も、自分目がけて落下して来るタイガージョーに向かい、高く跳んだ。ふたりは空中でぶつかり合い、落下しながら滝の水の流れの中に消えた。ふたりは、滝つぼへ落ちて行った。

ふたりの姿が消えてしばらくすると、水の流れの静かな岩場に片手が見えた。滝つぼから上がってきたのは、ライオン丸であった。白いたてがみはズブ濡れになり、力尽きそうになりながら、彼はその強い意志の力で滝つぼから這い上がってきた。

『私は生きている。ゴースンを倒すまでは、絶対に死ねない。タイガージョー、お前も無事でいてくれ』

その頃、喜蔵は弥一を連れて、何も無かったかのように佐吉のいる畑に戻ってきていた。だが、とても険しい表情で、その場を離れて行く喜蔵。弥一を助けた時に飛んで来た矢文には、何が書かれてあったのか。

畑仕事の休憩時間に茶を入れるため、沙織は畑に来ていた。弥一は沙織を見て急に、「おねえちゃん、どこへも行っちゃいやだ!」と、佐吉のいる前でせがむのだった。そして、顔を上げて沙織の顔を見ながら、「おいらのかあちゃんになっちゃいなよ」と、欠けた前歯を見せて笑った。

無理を言う弥一を、佐吉は叱った。でも沙織には、母恋しい弥一の気持ちがよく解かるのだ。母の顔を知らずに自分も育ったことを、沙織は佐吉に話した。

沙織の心は、揺れ動いていた。血なまぐさい戦いなど止めて、沙織もこのまま平穏無事な生活をここでずっと送りたいと思う。しかし、ゴースンを倒すという大目的のために、これまで数々の試練をくぐり抜けてきたのだ。その使命を全うすると心に決めている沙織は、弥一に向かって優しく話かけた。

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『おねえさんも、本当はここにいたい。でもね、私達には大事な仕事があるの。それを果たすまでは、ね・・・』
『うん』

弥一は、大きな声でうなずいてくれた。沙織は、弥一を連れて山小屋へ先に戻ってきた。弥一と一緒に遊んでいると、そこへ獅子丸が黒森山から戻ってきた。手がかりは何も無かったと話す獅子丸は、弥一が布切れのようなものを左手に持っていることに気づいた。その布切れには、このように書かれていた。

木猿 一人で黒駒へ来い。さもなければ小屋へ押し入り、子供ともども叩き殺す 
                                   トドカズラ

「佐吉さんが危ない!」獅子丸の思考回路は瞬時にそう判断した。やはり額にキの字の傷がある佐吉が木猿だったのだと、獅子丸は思った。ところが、獅子丸が助けに向かおうと外へ出た時、玄関先に佐吉が畑仕事から戻って立っていたのである。不安そうな様子が無い佐吉の顔を見て、獅子丸の思考回路はすぐに切り替わった。

『喜蔵さんだ!喜蔵さんが、木猿なんだ!』

小助に天馬ヒカリ丸を呼ばせると、獅子丸は黒駒へ急いだ。その頃すでに、喜蔵はドクロ忍者たちを相手に吹き矢で戦いを始めていた。ジャラモンで修行をした喜蔵こと木猿には、ドクロ忍者など敵ではない。

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だが、高齢の木猿の身体は、病に侵されていた。木猿は、とても高齢とは思えぬ俊敏な身のこなしで衝きや蹴りを繰り出し、ドクロ忍者たちを次々と倒していった。十人ほどいたドクロ忍者は、あっという間に倒れた。ドクロ忍者が全員倒れるのを見計らって、怪人トドカズラが現れた。ムチの名手トドカズラは、病魔に侵された木猿の体力がもういっぱい一杯なことを見越して、出現したのだ。

木猿は、鋭い身のこなしでトドカズラに近づくと、怪人の首筋に吹き筒を衝き付けて、矢を吹こうとした。ところが、病魔がトドカズラに味方した。激しくせき込んだ木猿は、トドカズラに逆襲を許してしまうのだった。ムチで身体を強く殴られ、木猿は大きなダメージを受けてしまう。

そこへ、ヒカリ丸に乗って獅子丸が現れたため、トドカズラは木猿にとどめを刺すことなく、獅子丸に向かって行った。

『来たか!獅子丸』

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馬上の獅子丸に、トドカズラの「忍法カズラ縛り」が襲いかかった。トドカズラの鋭いムチが獅子丸の太刀を持つ右手首に巻き付き、ヒカリ丸の鞍から引きずりおろされてしまった。トドカズラの怪力で地面をズルズルと引っ張られていく獅子丸を見て、木猿は先程の戦いで受けたダメージを必死にこらえながら、岩陰から援護射撃の吹き矢を獅子丸の右手に巻き付いたムチに一発撃ち込んだ。すると、不思議なことに、ムチが枯れ枝になってしまったのだ。

弥一をドクロ忍者から救った時は、ただの木の枝を生きたヘビのごとく動かしたが、今度はムチをただの枯れ枝に変えてしまった。恐るべき妖術である。腕に巻き付いている枯れ枝を簡単に引きちぎると、獅子丸はこの機を逃さず、忍法獅子変化でライオン丸に変身した。

『ライオン丸、見参!』

吹き矢が当たった部分から先が枯れ枝になってしまったムチを見て、トドカズラは驚いた。さらに木猿は、ムチの枯れ枝の部分に等間隔に吹き矢を四本撃ち込んだ。すると、それは等間隔に切れた五本の短い枝となって、地面に落下し転がった。

ムチが使い物にならなくなった怪人は、自分の剣を抜くと、呪文によってムチに変化させると、ふたたびライオン丸に迫っていく。木猿は最後の力を振り絞って、五本の短い枝が落ちている場所まで懸命に這って行く。何をする気なのか、五本の枝を集めると、怪人の頭上目がけて投げ上げたのである。

そして、木猿の吹き矢はそれらを狙って、ヒュッヒュッと数回吹いた。驚いたことに、トドカズラの頭上で五本の枝が爆発をおこし、怪人の頭上に雨のような何かを降らせた。怪人がそれを嫌がって空中へ飛び上がったのをみたライオン丸は、この機を逃がさず、ライオン飛行返しでとどめを刺したのである。

沙織と佐吉、背中に背負った弥一の三人がこの戦場に着いたとき、喜蔵はもう虫の息であった。

『喜蔵!』(佐吉)
『喜蔵さん!』(沙織)

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ライオン丸、沙織、佐吉が見ている前で、仰向けの状態の喜蔵は、あごの辺りの皮膚を両手でめくり上げはじめた。髪の生え際までめくりあげると、額の中央にキの字の傷痕が現れた。

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『ワシが・・・木猿・・・ゴースンの正体は・・・その名を幽斎』

そう言うと、喜蔵は息を引き取った。これで覚書には、白垣幽斎ただ一人が残った。木猿が言った「ゴースンの名は幽斎」という言葉を胸に、獅子丸たちは白垣幽斎の居所を求めて、佐吉の山小屋をあとにした。

弥一が、あとから追ってくる。沙織を母のように慕って、大声で叫んでいる。涙が頬を伝って後ろ髪を引かれる思いの沙織は、振り返る。だが、ゴースンを倒すという大きな使命を考えると、心を鬼にして前へ進むことを選ぶ沙織であった。
(終わり)

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