SSブログ
ライオン丸・ドラマ2 ブログトップ
前の3件 | 次の3件

快傑ライオン丸(14) [ライオン丸・ドラマ2]

今回は、第25話《影狩り怪人モスガイガー・後編》を取りあげます。


前回までの話は・・・ 折れた金砂地の太刀の修復は、村の刀鍛冶ではできないと言われる獅子丸。ライオン丸に変身出来ない獅子丸がゴースンを倒せるのか、不安になる小助。怪人モスガイガーは変身出来ない獅子丸を追いつめ、崖下へ転落した獅子丸は気を失ってしまう。だが、偶然通りかかった老人に獅子丸は助けられ、老人宅で介抱を受けるのだった。意識を取り戻した獅子丸は、老人の口から「金砂地の太刀」の名が出たことに驚く・・・】

◆『金砂地の太刀の秘密を知っているらしいこの老人は、いったい何者なんだ・・・』

布団に横になって身体を休めながら、獅子丸はこの老人の正体が気になっていた。翌日からこの老人の元で、獅子丸は刀鍛冶の仕事を始めた。顔を隠すように手ぐいでほっかぶりをして、鍛冶職人の弟子という姿で獅子丸は働いた。

高温に熱した炭の中に玉鋼(たまはがね)という太刀の刀身になる素材を入れ、それが真っ赤に熱せられた状態になったら取り出して、金づちで老人と獅子丸が交互に叩くのだ。

この様子を、窓の隙間から見ている者がいた。ドクロ忍者であった。ここ数日、獅子丸たち三人の姿を見失っていた怪人は、ドクロ忍者たちを村の各地へ放って偵察をさせていた。

そして、百姓道具を作る一人住まいの鍛冶職人の家に、見知らぬ男がいるという情報を得たモスガイガーは、キン、カン、キン、カンと金属を叩く音がこだまするこの老人の家へ押し入ると、作業中の老人に問いかけた。

『ジジイ、旅姿の三人連れを見かけなかったか』
『さて、一向にな・・・』
『そこの若い男は、ここじゃ見慣れぬ顔だな』
『百姓仕事が嫌になったらしゅうて、ついこの間、弟子入りして来たのじゃ』

特に怪しむ気配も見せず、モスガイガーは老人の家を出た。なんと、モスガイガーをここまで乗せてきた馬引きは、変装した小助であった。獅子丸と小助は目が合い、合図した。モスガイガーはこの小さな馬引きに出立するよう合図すると、ドクロ忍者たちと共に老人の家を離れていくのだった。

鍛冶職人の老人の家では、玉鋼を打つ手を休めずに仕事が続けられていた。名刀・金砂地の太刀がどのようにして蘇るのか、獅子丸には皆目見当がつかない。「ひと休みしよう」という老人の声で、仕事を中断する獅子丸。獅子丸はこの時、どうしてもこの老人の正体が知りたくなり、獅子丸の横に腰かけて汗を拭っている老人に訊ねた。

『教えてください、ご老人。あなたの本当のお姿を』
『・・・では、お話いたそう。実は、ジャラモン大聖人様より、金砂地の太刀を賜った果心居士様こそ、昔のワシの師匠じゃ』

『あなた様が、お師匠様のお弟子!』
『うん。またの名を、得心居士という』

獅子丸は得心居士の正面に正座すると、自分の名を名乗り、果心居士に育てられて弟子になったことを話した。崖下で倒れていた獅子丸をひと目見て、正義の道を歩む若者だと感じたと、得心居士も獅子丸の印象を述べるのであった。

『しかし、金砂地の太刀がこのままでは、銀砂地の太刀の勢いが日増しに増すばかりじゃ』

IMG_2598.jpg
(柄の色が青く、クサリで繋がれた金砂地の太刀)
IMG_2602.jpg
(柄の色が赤く、クサリが無い銀砂地の太刀)

銀砂地の太刀とは、豪山(ゴースン)の持つ太刀のことである。ジャラモン教の教主、大聖人ゴーファ・ジャラモンが他界する前に、果心居士に「金砂地の太刀」を、豪山には「銀砂地の太刀」をそれぞれ託した。

『それらを世界の平和のために使うよう、ジャラモン様はお申しになられたのじゃ。ところが、豪山はその銀砂地の太刀を悪の世界を作るために使いだしたのじゃ。一刻も早く金砂地の太刀を作り出さねば、この世は悪の影で真っ暗闇になってしまうぞ』

獅子丸は、得心居士からジャラモン教にまつわる金砂地の太刀とゴースンの関係を聞き、改めてゴースン打倒を心に誓うのだった。

『ワシはゴースンの目から逃れるために、今は世を捨てて百姓道具しか作っておらぬが、今度ばかりは別だ。精魂を傾けて、金砂地の太刀を作ってみようぞ!』
『お願いいたします』

獅子丸は、得心居士に向かって深々と頭を下げた。そして得心居士と獅子丸は、赤々と焼けた玉鋼をふたたび金づちで叩き始めた。それは、一晩中途切れることなく続いた。途中で、静かに木戸を開ける音がした。敵かと思い、ふたりが顔を上げると、そこには笑顔で覗く小助の顔があった。

翌朝。昨夜は真っ赤に燃えた鉄のかたまりでしかなかった玉鋼(たまはがね)が、刀身の折れた先端部分に姿を変えていた。得心居士と獅子丸、それに小助の三人は、この出来上がった刀身と折れた金砂地の太刀とをつなげる大事な儀式に、これから臨もうとしている。

IMG_2606.jpg
出来上がった刀身と金砂地の太刀の柄(つか)の部分を三方(さんぽう;神事において使われる台)に乗せて、得心居士は榊を振りながら神道の作法に則って(のっとって)神事を進めていく。

得心居士のとなりに、少し離れて獅子丸と小助が片膝をついて従っている。神事の呪文を唱え終わった得心居士は、出来上がった刀身を獅子丸に渡した。一礼した獅子丸は、刃先を上にして切っ先(刃の先端部分)を自分の胸に軽く当てた状態で、両手で挟むようにして刀身を持った。

『そんなことしたら、獅子丸兄ちゃん死んじゃうよ!』
『金砂地の太刀とは、魂の聖剣じゃ。真、獅子丸殿に正義を守る魂があれば、金砂地の太刀はつながり、完成する。小助、すべてを神に託して待つのじゃ・・・ジャラモンの父よ。今こそあなたの力を、与えたまえ!』

得心居士は、獅子丸が持つ刀身部の断面に、金砂地の太刀の柄側の折れた断面を押し込むように合わせた。

『ヤァーッ!』

IMG_2607.jpg
風の音だけがヒューヒューと聞こえ、何も起こらない状態が数秒間続いた。だが、断面と断面の接合部分が突然稲妻のように光り、金砂地の太刀は一本につながった。つながった刀身を清めるため、得心居士は竹の節をくり抜いて作った聖水入れの聖水に素早く浸けた。取り出した太刀は朝日を浴びてキラキラと輝き、ここに新しい金砂地の太刀が完成した。

『獅子丸殿。この太刀で悪を倒し、正義を守って下され・・・』

IMG_2608.jpg
得心居士は、新しい金砂地の太刀を獅子丸に差し出すと、一礼した獅子丸はそれを受け取り、背中の鞘(さや)へと収めた。すると、鞘に付いているクサリが磁石のように引き寄せられ、太刀の鍔(つば)とつながったのである。金砂地の太刀は、よみがえった。

『一刻もはやくゴースンを。さぁ、早く!』
『ありがとうございました』

獅子丸は小助を連れて、沙織が待つ地獄が原へ向かって走った。金砂地の太刀を作りあげるために精魂を使い果たした得心居士は、もう寿命が残り少ないことを感じていた。得心居士は最後の力を振り絞って両手を合わせ、天に向かって独り言のように話し、そして静かに目を閉じた。

『これで、私の使命は終わったのだ・・・果心居士さま・・・獅子丸は、立派に使命を果たしますぞ』
(ナレーション)老人は死んだ。だが、得心居士の魂は、金砂地の太刀に乗り移ったのだ。

地獄が原で待っていたのは、沙織だけでは無かった。モスガイガーとドクロ忍者たちが、姿を現した。獅子丸は、新しい金砂地の太刀を使って、忍法獅子変化でライオン丸に変身した。

『ライオン丸、見参!』
『ヤヤッ!』

変身したことに驚くモスガイガーは、もはやライオン丸の敵では無かった。モスガイガーが爆死して、ヒラヒラと空から落ちてきた第三の地図を拾う小助。それには、目指すゴースン島がハッキリと記されていた。

(終わり)


★★★★★★★★★★★★
この当時、相手の人相は、似顔絵でしか把握できない時代だ。探す人物が目の前にいても、分らないこともあるだろうね。
気がつけば、怪人モスガイガーの写真が一枚もないね。ま、いっか!(笑)

nice!(10)  コメント(0) 
共通テーマ:テレビ

快傑ライオン丸(15) [ライオン丸・ドラマ2]

今回は、第26話《最後の守備隊長クワルギルビ・前編》を取りあげます。

原作;うしおそうじ
脚本;まつしまとしあき
企画;うしおそうじ 別所孝治
音楽;小林亜星
殺陣;渡辺高光
監督;曽我仁彦


【前回までの話は・・・怪人モスガイガーに敗れた獅子丸を助けた謎の老人は、かつて果心居士の弟子だった人物で、得心居士と名乗った。折れた金砂地の太刀を修繕すべく得心居士は尽力し、得心居士の命と交換に金砂地の太刀は蘇った。モスガイガーを倒した獅子丸たち一行は、怪人から得た地図を頼りに、ゴースンの本拠地に迫るところまで来ていた・・・】

◆地図によれば、この森を抜けていかねば、どうしてもゴースン島へは行けない。獅子丸たち一行は、膝の高さまで草がうっそうと茂る森の中を歩いていた。だが、この生い茂る草の中に隠されて、数々のカラクリが仕掛けられているのだ。カラクリに最初に引っかかったのは、小助だった。

小助の右足が引っかけたヒモで、たくさんのヤリ先が突き出た球が小助の頭上に落下してきた。そのカラクリにいち早く気づいた獅子丸は、とっさに小助を突き飛ばしてから、自分も飛ぶようにして逃げた。

『気をつけろ!他にどんな仕掛けがあるか、分らぬ!』

獅子丸がそう言うと、三人とも周囲に注意を払いながら、少しずつ歩みを進めていくのだった。だが、三人が今いる場所のすぐ左側にある小高い丘の上から、ドクロ忍者の集団が現れた。背中の太刀を抜いて襲う構えをみせる彼等を、しかし、一瞬のうちに全滅させた者がいた。何者かが、ドクロ忍者たちに発砲したのだ。

IMG_2646.jpg
丘の上から落下して来たドクロ忍者の額には、手裏剣弾が的確に突き刺さっていた。それを見た獅子丸は、思った。

『まさか!この手裏剣弾は・・・これを使うのは、アイツしかいない!アイツは生きているのか?そんなバカな!・・・』

第三前線基地では、ライオン丸に見立てたワラ人形を相手に、ドクロ忍者たちが実戦訓練をしていた。守備隊長クワルギルビが、ドクロ忍者たちへ発破を掛けた。

『今度は本物のライオン丸の眉間に、その手裏剣を刺しこむのだ!』
『(命令に従う時の合図)ノバ!』

迫ってくる獅子丸たちに攻撃を加えるため、クワルギルビの命令で走り去って行くドクロ忍者たち。だが、その目の前で、ドクロ忍者たちは一瞬にして全滅してしまった。手裏剣弾を的確に発砲したその人物は、クワルギルビの前に姿を現した。

『貴様・・・やっぱり、お前だったのか!』
『ライオン丸ともう一度対決するために、地獄の底から這いあがってきたのだ』

三度笠を取ったその姿は、かつてライオン丸との勝負に敗れて海へ沈んだはずの怪人ネズガンダであった。ネズガンダの手裏剣弾の正確さは、怪人中でもピカイチである。それを知っての自信満々な態度のネズガンダは、ライオン丸を仕留めるのは自分だから、クワルギルビにライオン丸への攻撃から手を引けと言う。

『貴様如き、くたばり損ないの出る幕か!それに、ゴースン様を裏切る気か!』
『ゴースンなんか、知っちゃいねぇぜ!』

IMG_2649.jpg
ネズガンダは、ゴースンの部下でありながらゴースンを無視する男だ。その言葉を聞いて、ゴースンの従順な部下であるクワルギルビは怒りが込み上げてきた。双方は、戦うために対峙した。

IMG_2650.jpg
だが、クワルギルビの左肩へ一匹のクワガタ虫が停まり、そのクワガタ虫から何やら報告を受けたクワルギルビは、急に態度を変えた。

『ネズガンダ。この勝負、負けておこう』

クワルギルビがネズガンダとの対決を延ばした理由は、この第三前線基地の目と鼻の先に獅子丸たちが迫っていることを、偵察用に放っていたクワガタ虫が知らせてきたからであった。

この第三前線基地には、ゴースン砲と呼ばれる大砲が2門備え付けられていた。この基地は見通しのよい谷にあるため、基地には死角がまったく無い。つまり、潜入者にとっては隠れる場所が無いのだ。獅子丸たちは、ゴースン砲に狙われているとも知らずに、この砦に近づいていた。

IMG_2651.jpg
『撃て!』

IMG_2652.jpg
ヒュルヒュルヒュルと音がして、破裂弾が大音響と共に炸裂した。獅子丸たちは運良く、数発の破裂弾にも当たることなく済んだ。だが、周囲にはまったく逃げ場が無いため、退却するしかなかった。退却する獅子丸たちの前を、ドクロ忍者たちが道をふさいだ。太刀を抜く獅子丸、沙織、小助。

だが、ここでも、正確な手裏剣弾が獅子丸たちを助けるかのように、ドクロ忍者たちを一掃するのだった。獅子丸たちは、命からがらそこから脱出して、洞窟の中へ逃げ込んだ。

『獅子丸兄ちゃん。オイラ達を、いったい誰が助けてくれたんだろう・・・』
『私達が危なくなると、必ずどこからか手裏剣弾が飛んで来るんですもの・・・』

あれだけ腕の立つ手裏剣弾を撃てるのはヤツしかいないと、獅子丸には見当が付いていた。森の中で最初に手裏剣弾で助けられた時はまさかと思ったが、今は違う。やはりヤツは生きているんだという思いを、強くする獅子丸。

あの基地をどうやって攻撃するか、悩む三人。いくら天馬ヒカリ丸でも、三人で空から攻撃するのは無理である。良い作戦が思いつかぬまま、身体を休めるために、三人はひと眠りすることにした。

ひとりで考え込んでいた沙織は立ちあがり、そっと洞窟を出て行こうとするところを小助に見られてしまう。小助に声をかけられ、沙織は立ち止まった。

『お姉ちゃん、どこ行くの?』

「水を汲みに行く」という沙織の言葉を、小助はウソだと断じた。沙織が本当のことを言わないなら、小助は一緒に付いて行くと言う。そこで沙織は、正直に言うからここにいて欲しいと頼むのだった。沙織は小助に、このように言った。

『私はね、これ以上恐ろしい目に遭うのは御免なの。だから、一人で逃げ出そうと思って・・・』

ゴースンを倒すため、今日まで苦楽を共にしてきた沙織から、このような言葉を聞こうとは思わなかった小助は、泣いた。

『そんな・・・ウソだ!ウソだ!』
『小助ちゃんや獅子丸さんには悪いけど、本当なのよ・・・じゃ元気でね』

『小助ちゃん、獅子丸さん。さよなら』

洞窟を出たところで立ち止まり、沙織は溢れる涙をこらえながらそう言うと、意を決して走り出した。行き先は、第三前線基地である。

『しまった!沙織は死ぬ気だ。俺と小助だけなら、ヒカリ丸に乗って敵の陣地へ接近できると考えたんだ!』

獅子丸は、すぐに小助にヒカリ丸を呼ばせた。そして、小助を自分の前に乗せると、獅子丸は第三前線基地へ向けてヒカリ丸を急がせた。

獅子丸の考え通り、沙織は第三前線基地に侵入してライオン丸に化けると、クワルギルビの前に姿を現した。偽物とは知らずに戦うクワルギルビは、弱いライオン丸にガッカリさせられていた。

『口ほどにも無いヤツ・・・こんなヤツに、今までやられてきたのか!』

IMG_2659.jpg
クワルギルビに左肩を斬られ、崖っぷちに追い詰められたライオン丸は、次の一太刀を浴びて崖下へ転落していった。

『ゴースン様、ご覧あれ!遂に我が敵ライオン丸を、この手で仕留めましたぞ!』
(つづく)


★★★★★★★★★★★★
ドクロ忍者たちが使っていた仮想ライオン丸のワラ人形には、ライオン丸の仮面が取り付けられていた。沙織はこれを盗んでライオン丸に変装したわけだが、ライオン丸の赤い衣装はどうやって手に入れたのかな?(笑)まぁ、固いこと、言いっこなし!

nice!(9)  コメント(0) 
共通テーマ:テレビ

快傑ライオン丸(16) [ライオン丸・ドラマ2]

今回は、第26話《最後の守備隊長クワルギルビ・後編》を取りあげます。


【前回までの話は・・・ゴースン島を目指す獅子丸一行は、第三前線基地を突破しようとしてゴースン砲に狙われ、命からがら逃げ戻ってくるのだった。守備隊長のクワルギルビは、基地へ攻め入ってきたライオン丸を逆に倒して意気揚がるが、それは考えた末の沙織決死の作戦であった・・・】

◆『あっ、あれはライオン丸!』

クワルギルビとの対決が持ち越しになり、一匹狼の怪人ネズガンダはさすらい歩いていた。すると、崖の途中で引っかかっている気絶したライオン丸を、ネズガンダは発見した。

手裏剣弾を数発撃って岩の引っかかりを削り取り、落下してくるライオン丸を、ネズガンダは自分がジャンプして受け止めた。地面にライオン丸の身体を横たえると、軽く揺すって意識が回復するか試してみた。

『おい、ライオン丸よ。死んでしまったのか!・・・おお、まだ生きていたか!』

気を失ったまま反応が無かったライオン丸が、「うう・・・」と声を出した。だが、ライオン丸のマスクが外れて、中からは女の顔が。

IMG_2663.jpg
『やや!これはニセモノ!』

ネズガンダは、ニセ・ライオン丸を演じた女の隣に座って、女が意識を回復するまで見張っていた。沙織は目を覚まし、横にいる怪人を見て驚く。だが、クワルギルビに斬られた左肩の激痛のため、声が出せなかった。

『気がついたか。心配するな。お前を殺す気なら、初めから助けたりはせぬ』
『ネズガンダ・・・死んだと思っていた・・・』
『フフフフ、一度は死んだ。だがもう一度、どうしてもライオン丸と決着がつけたくてな』

敵である自分を助ける理由を、沙織はネズガンダに問うた。すると、俺の敵はライオン丸だけだと、ネズガンダは答えるのだった。

『それよりも、娘。どうしてライオン丸に化けたのだ?』
『それは・・・私がライオン丸に化けて死ねば、ライオン丸が死んで敵は油断するわ。だから・・・』

『しかし、お前はそれで死んでしまうところだったんだぞ』
『私はいいわ。獅子丸さんさえ無事なら、きっとゴースンを倒してくれる・・・』
『フフフフ、笑わせるな。ライオン丸は、俺の手にかかって死ぬのだ』

「余計なことで、手間を食ってしまった」と言って、沙織の容体が安定していることを確認したネズガンダは、その場を去って行くのだった。そのうしろ姿を、じっと見つめる沙織。

一方、天馬ヒカリ丸で第三前線基地の近くまで来た獅子丸と小助は、ここでヒカリ丸を降りると、ここからは敵に見つからぬように徒歩で進んだ。どこかに、沙織が捕らわれているに違いない。岩場の陰から、敵の様子をうかがうふたり。

『いいか、者ども。ライオン丸は、死んだ。娘と小童(こわっぱ)を、草の根を分けても探し出せ!』

クワルギルビがドクロ忍者たちに指図する声を聞いた獅子丸は、すべてを悟った。

『そうか。沙織は敵を油断させるために、ライオン丸に化けて・・・』
『それじゃ、お姉ちゃんは身代りになって・・・チクショウ!』

小助は、沙織が自分達の身代りになって死んだと思い込み、獅子丸が制止する間も無く、クワルギルビとドクロ忍者たちの集まる中へ突っ込んでいった。反抗する小助の首根っこを簡単につかんだクワルギルビは、「まだ子供だから、死ぬことはあるまい」と、情けを掛けるのだった。

小助を制止できなかった獅子丸が、あとからクワルギルビの前に現れると、その姿を見るや、クワルギルビは顔色を変えた。

IMG_2666.jpg
『お前は、死んだはずでは無かったのか!』
『バカメ。俺は不死身だ!』

獅子丸は、自分が不死身であることを強調した。すると、クワルギルビは、すぐ横にあったゴースン砲を操作して、獅子丸に向けて一発撃った。崖下へ転落しそうになりながらも、獅子丸は忍法獅子変化によってライオン丸に変身し、クワルギルビの前に現れた。

そこへネズガンダが現れ、ふたりの対決する様子を見物するために、岩の上に座ったのだ。それを見たクワルギルビは、自分の味方をしないネズガンダを咎めた。

『裏切ったな、ネズガンダ!』
『フフフフ。俺は最初から、お前達の仲間では無いわ!』

IMG_2668.jpg
怪力クワルギルビと、空中戦のライオン丸との戦いである。ネズガンダは突如、クワルギルビの弱点が背中であることを、ライオン丸に告げた。ツノがある正面より、背中が無防備であることを教えた。

クワルギルビが宙に飛んだ時、ライオン丸も宙に飛んで正面でぶつかるとみせ、クワルギルビの頭部から突き出た2本うちの右のツノをライオン丸は左手でつかんだ。そして、そのまま倒立するように前方へ1回転して背中合わせになった瞬間に、右手の太刀がライオン丸の左脇下を通って、クワルギルビの背中を貫いていた。

『見事だ、ライオン丸。クワルギルビは死んだ。だが俺は、お前を助けるために教えたのではない。俺は、この手で、お前の死を確かめたいのだ』
『ネズガンダ。俺は、お前と戦いたくはない。お前を、殺したくはないんだ!』

『これが、俺とお前の宿命なのだ!』
『よく分かった、ネズガンダ。さぁ、来い!』

守備隊長がいなくなった前線基地で、ネズガンダとライオン丸が対峙していた。それをジッと見つめる小助。だが、傷の癒えた沙織がここに現れ、ふたりの間に入った。

『待って!ネズガンダが、私を助けてくれたの!』
『ウルサイ女だ。ライオン丸、勝負は預ける!また会おう』

気が散って勝負どころでは無いと、ネズガンダはこの場を去って行った。獅子丸は、その後ろ姿を見送りながら、心の底から戦いたくない相手だと思った。それは、強敵であることもそうだが、心根が優しい男であることを獅子丸は感じているからだ。だが、宿命には逆らえないのだろうか。

岩場を下って行くと、海岸に出る。正面には海が見え、その先に不思議な形をしたゴースン島がそびえていた。とうとう三人は、ゴースン島に手が届く所まで来た。沙織と小助が、はしゃぐように喜んでいる。だが、獅子丸には分かる。ゴースン島を目の前にして、まずネズガンダと対決しなければならないことを。

海岸に近い岩場を歩いていると、大きなトンネルが目に入った。その向こうに、三度笠をかぶった影が立っていた。

『待っていたぞ!』

獅子丸は覚悟を決めて、変身した。

『ライオン丸見参!』

IMG_2675.jpg
2丁・手裏剣弾銃撃ちのネズガンダか、それともライオン丸の俊敏さか。手裏剣弾銃の攻撃を、ものの見事にかわすライオン丸。ネズガンダが一発発射したあと、思わず背中の太刀を抜いて宙へ飛んだ時、勝負は決した。

両者が着地したとき、振り向いたライオン丸の左腕には手裏剣弾が1本突き刺さっていた。一方のネズガンダの左脇腹から腰あたりにかけて、ライオン丸の太刀が水平に切り裂いていた。着地したあと、ネズガンダはフラフラと1,2歩あるき、倒れて絶命した。ふたりの戦いを見守った沙織と小助の目には、涙が・・・

IMG_2673.jpg
(ナレーション)不思議な友情で結ばれたネズガンダ。彼を倒した獅子丸の心は、複雑であった。そして、夢にまで見たゴースン島。この日までに、どれだけ多くの血と汗を流したことか。そのゴースン島は、今静かに、だが不気味にそそり立っていた。
(終わり)


★★★★★★★★★★★★
戦いたくない相手・ネズガンダを倒すことは、獅子丸の宿命だった。そしてついに、獅子丸たちはゴースン島へ乗り込む。だが、その前に立ちはだかる獅子丸最大のライバルが、次回その姿を見せる!

nice!(9)  コメント(0) 
共通テーマ:テレビ
前の3件 | 次の3件 ライオン丸・ドラマ2 ブログトップ