SSブログ
ライオン丸・ドラマ1 ブログトップ
前の3件 | 次の3件

快傑ライオン丸(4) [ライオン丸・ドラマ1]

今回は、第3話《魔の森 わくらんば・後編》を取りあげます。


【前回までの話は・・・ ゴースンを倒す旅を続ける獅子丸たち三人は、途中で不思議な牢人・蒲生城太郎と出会う。小助たちを襲った牢人たちと同様、蒲生城太郎もドクロの仮面の男に雇われていたのだが、正義心から彼等を裏切り、獅子丸たちに味方したのだ。獅子丸たち三人は、ゴースン一味が魔の森にいることを知り、城太郎を残して魔の森へ入って行った。そこで、怪人わくらんばとの戦いになったが・・・】

◆ドクロ忍者たちと戦っていた沙織と小助が、全身に木の葉を貼り付けられたまま気を失っている獅子丸を発見した。沙織が肩を貸し、重い荷物を引っ張るようにして獅子丸を連れて逃げる。だが、非力な沙織が獅子丸を連れて逃げおおせることも出来ず、追っ手はすぐに追い着いてきた。ドクロ忍者たちに囲まれ危機一髪のその時、蒲生城太郎が現れた。

剣の腕は確かな城太郎は、あっという間にドクロ忍者たちを斬り捨ててしまう。城太郎がドクロ忍者たちと戦っている間に、沙織と小助は獅子丸の身体にまとわり付いた木の葉を取り除こうとするが、まったく取れない。城太郎もやってきて取り除こうと試みるが、駄目であった。

城太郎は左手のヒョウタンの酒を口に含み、霧状にして獅子丸に吹きかけた。すると不思議なことに、剥がれるようにして木の葉は取れていった。獅子丸を小屋へ連れて帰り、沙織と小助が看病している間に、城太郎はふもとの村へ行って、獅子丸のために栄養が取れる食材を調達して来た。翌朝。四人で食事をしている時に、城太郎は村で聞いたウワサを話して聞かせた。

『ドクロの仮面に雇われた牢人たちは、ちかく森に行くそうだ。一体、何を企んでやがるのかなぁ?まぁいい。君子危うきに近寄らずだ』

獅子丸は食事を終えると、これまでに助けてもらったことや食料調達をしてもらったことについて、城太郎に礼を言った。そして立ち上がると、沙織と小助を促して出発しようとした。三人の様子を不思議に思った城太郎は、行き先を訊ねて驚いた。魔の森へ行くと言う獅子丸たちを、城太郎は止めた。

『奴らと戦って、一体いくらになるというんだ。そんな一文にもならないバカなことに命を賭けるなんて、大バカ野郎のすることだ。この世の中で大事なモノは、命と金。そんなつまらないことは、よせよせ』

IMG_2414.jpg
獅子丸たちの旅の目的を、城太郎は知らない。だから、こんなふうに止めるのは、もっともなことだ。波風立てずに生きていくなら余計なことに首を突っ込むなと、城太郎は言うのである。腕づくでも止めてみせると城太郎が言うものだから、世話になった手前、むげにはできない。獅子丸は、ここは一旦引き下がることにした。

獅子丸が小助に目で合図すると、小助は城太郎のヒョウタンの中に眠り薬を入れた。ふたたび四人は食事を続けるのだが、眠り薬が効いてきたのか城太郎はバッタリと倒れて、寝入ってしまうのだった。

わくらんばの目的は、森の中に強固な砦を築いて不平不満の牢人たちを立て籠らせ、戦火を広げることであった。砦の完成は近い。どうしても、獅子丸たちを近づけさせるわけにはいかなかった。

獅子丸たち三人は、ふたたび魔の森への道を進んでいく。すると何者かが、三方から三人を囲みながら迫って来ている。吊り橋を渡って森に入ると、十数人のドクロ忍者が出現して三人を取り囲んだ。だがそのとき、蒲生城太郎が宙を飛んで姿を見せた。酒に眠り薬を入れるくらいの策は、城太郎ほどの者には通用しないのだ。

味方は四人、敵は十数人。だが、城太郎の剣は二人分、三人分の働きをした。怪人わくらんばが、城太郎の前に立ちはだかった。城太郎は秘剣を使って戦おうとするが、わくらんばの起こすつむじ風に宙高く飛ばされて、わくらんばに近づくことが出来ない。城太郎が怪人と戦っている間に、獅子丸は改めて精神統一をし、忍法・獅子変化の呪文を唱えた。

IMG_2417.jpg
『風よ!光よ!・・・』

IMG_2418.jpg
金砂地の太刀のクサリが切れた、今度は太刀を抜くことができる!

IMG_2419.jpg
『忍法・獅子変化!ライオン丸、見参!』

ドクロ忍者たちを風の如く斬り倒し、ライオン丸とわくらんばとの一騎打ちになった。森の大木の陰に隠れて、沙織と小助がジッとその様子を見ている。少し離れた場所では、蒲生城太郎がヒョウタンを大きく傾けて、残り少なくなった酒を飲みながら見物をしていた。

わくらんばの頭上に生えたトゲがなびき、ライオン丸の太刀が太陽光を浴びてキラリと輝いたとき、二人は同時にジャンプして空中での斬り合いとなった。わくらんばの剣が水平にライオン丸を切り裂いたと思われたが、ライオン丸の体は後方に宙返りして、わくらんばの剣は届いてはいなかった。先に着地したわくらんばの背後から、ライオン丸の剣先が突っ込んでいった。

『ライオン飛行切り!』

振り向いたわくらんばの胴にライオン丸の太刀が突き刺さり、勝負は付いた。わくらんばの死とともに、完成間近の砦は大爆発して散った。

獅子丸たち三人と蒲生城太郎は、魔の森の一件で心を通わせる仲間になった。だが、獅子丸たちには、大魔王ゴースンを倒すという大事な目的がある。蒲生城太郎は、命と金が大事な牢人だ。お互いに相容れないものがあるのだ。この先、道が右と左に別れる。笑顔の蒲生城太郎は、三人に聞いた。

『こっちにうまい話があるんだが、一緒に行くかい?』
『いや、俺たちはこちらの道を行く』

『そうか、それなら仕方がないが・・・この世の中で大事なモノは、命と金だぞ。一文にもならないバカな事に、命を賭けるなよ。じゃあ、またどこかで会おう!』

獅子丸は、城太郎の言葉に笑顔でうなずいた。小助が、「蒲生のおじさん、また会おうね!」と言うと、城太郎は笑顔でこう言った。

『おじさんじゃアない、お兄さんだ!アハハハハ』

IMG_2421.jpg
三人は、ヒョウタンを背にしてだんだん小さくなっていくうしろ姿のこの男を、少しの間見送っていた。城太郎も振り返って手を振りながら、「命と金だぞ!」と大声で叫んでいた。それを聞いた小助は、歩き出した獅子丸と沙織に向かってこう言った。

『自分だって、一文もならないのにわくらんばに向かって行ったくせに。ね!』(終わり)


✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪
スペクトルマンの時は、変身ヒーローながらおっちょこちょいの役だったように記憶しているが、この回でもその線は外れていない。陽気で豪快なこの蒲生城太郎は、第五話にも登場する。

nice!(9)  コメント(0) 
共通テーマ:テレビ

快傑ライオン丸(5) [ライオン丸・ドラマ1]

今回は、第14話《さすらいの怪人ネズガンダ・前編》を取りあげます。

原作;うしおそうじ
脚本;柏倉敏之
企画;うしおそうじ 別所孝治
音楽;小林亜星
殺陣;渡辺高光
監督;石黒光一


【前回までの話は・・・ ゴースンを倒す旅を続ける獅子丸たち三人は牢人の群れに襲われたが、その中の蒲生城太郎という牢人の助太刀で難を逃れた。城太郎も他の牢人もドクロ仮面に雇われた一味で、獅子丸たちを助けた城太郎は、自分も狙われることに。ゴースン忍者・わくらんばが棲む「死の森」へ出向く獅子丸たちに、「命と金が一番大事だ」と言って阻止しようとする城太郎。だが、その城太郎の活躍もあって、わくらんばの企みを打ち砕いた獅子丸たちは、城太郎との再会を約束をして、それぞれ別の道を行く・・・】

◆大魔王ゴースンは、配下の魔人たちがライオン丸を倒せないことに業を煮やし、自分の口から生み出した分身・怪人デボノバを指揮官として送り出した。性格はゴースンに似て残忍無比なデボノバは、日本各地へ散ったゴースン暗黒魔人たちに「打倒、獅子丸」の命令を出した。

IMG_2473.jpg
石でできたゴツゴツの裏街道を、その人物は道中合羽に三度笠を深くかぶり、そして脚にはわらじを履いて早足に歩いていく。時々、左手に持っている竹筒でできた小さなかごの中を気にしつつ・・・。

その竹筒のかごの中には、一匹のハツカネズミが入っていた。その人物は、ハツカネズミと会話をすると、近くにある茶屋へ寄って一休みすることにした。

『オヤジ・・・、団子だ』
『はぁ・・・(振り向いてその姿を見た途端)た、助けてくれ!』

茶店の店主が、そして、すでに休憩して団子をほおばっていた旅人も、三度笠を取ったその姿を見ると、仰天して店から逃げ去っていくのだった。それもそのはず、そこには、赤いサングラスをして口ヒゲを生やした巨大な黒ネズミといった姿の怪人・ネズガンダがいたからだ。

店には誰もいなくなり、ネズガンダは竹のかごに入ったハツカネズミにあげるエサを頼めなくなった。仕方なく、旅人が残していった団子をひと串つかむと、団子を一つハツカネズミに与えた。そして、自分も団子を一つ食べていると、そこへ大幹部のデボノバが現れた。

IMG_2475.jpg
(デボノバ(左)と、団子を食べるネズガンダ)

『ネズガンダ、何をしている!』
『見ればわかるだろう(と言って、団子を見せる)』
『獅子丸がこちらへ向かってくるのだぞ。早く行って、殺せ!』
『団子くらい、食わせてくれ・・・』

ネズガンダはそう言って、ゆっくりと団子を食していた。自分の命令に逆らったネズガンダに怒ったデボノバは、持っていた右手の短銃で、ネズガンダの食べている団子を銃弾で弾き飛ばしてしまう。

だが、ネズガンダも負けてはいない。間髪を入れずに右手の短銃を抜くと、デボノバが撃った短銃を弾き飛ばしてしまった。銃口から昇る硝煙をしばらく見ていたネズガンダは、クルクルと指で短銃を回して、ホルスターにしまい込んだ。

『(ビビるデボノバは)フフフ・・・さすがだな、ネズガンダ』
『俺の腕前は、良く知ってるだろ。なぁに、獅子丸なんか、一発で仕留めてみせる』

デボノバといえども、銃の勝負ではネズガンダには勝てない。この腕ならば必ず獅子丸を仕留めることができるだろうと、デボノバは思った。その一方で、自分の言うことを聞かないネズガンダを、デボノバはいまいましく思った。

峠の茶屋の近くで十数人のドクロ忍者を奇襲させたが、獅子丸、沙織、小助にすべて斬り倒されてしまった。だが、デボノバには余裕があった。ネズガンダの腕なら、獅子丸を倒せる目算があったからだ。デボノバは自信を持って獅子丸にこう告げると、この場から消えた。

『これで勝ったと思うなよ。我らには、まだネズガンダがいる!お前らは、もうすぐネズガンダの餌食(えじき)になるのだ!』

デボノバが自信を持って話す敵の怪人・ネズガンダとは、いったいどんなヤツなのか。獅子丸たちは気を引き締めながら、先を急ぐのだった。

一方、当のネズガンダは、芝の上で昼寝をしていた。そのことを知ったデボノバは、ネズガンダが来ないから獅子丸に逃げられたと、怒り心頭に発していた。

『ネズガンダ、起きろ!』
『うるさいな、せっかくいい気持ちで寝てるのに・・・』

『グズグズしないで、早く獅子丸を討て!』
『オレは、指図されるのが大嫌いだ』

デボノバの、「獅子丸が怖くなったのか」という売り言葉には、まったく乗って来ないネズガンダ。

『お前の指図は、受けぬ』
『俺の命令は、大魔王ゴースン様の命令だ!すぐに獅子丸を討ち殺してこなければ、お前は破門するぞ!』

自分の命令に従わないネズガンダに苛立ち、吐き捨てるようにそう言うと、デボノバは消えた。

『破門でもなんでも、勝手にするがいいさ・・・しかし、獅子丸と言うヤツ、そんなに強いのか。この勝負、面白そうだな』

腕が立つだけに自信過剰とも言えるが、あくまでも自分の気持ちに正直なネズガンダ。上司からの命令などクソ食らえと、肝が太い男なのだ。興味があることは、強いヤツとの勝負だけ。ネズガンダは獅子丸のことが気になり、彼を探し求めて歩き出した。

その頃、デボノバの襲撃を退けた獅子丸たちは、その先にある茶屋で食事を取っていた。その店は、先にネズガンダが立ち寄った店であったため、店主が見た怪人の話を聞くことができた。

『ネズミに似た、大きな耳に長いひげを生やし、黒いマントに丸い笠をかぶり、まことに妙な「いでたち」の化け物でした・・・』

話の様子から、それがデボノバの言うネズガンダに違いないと獅子丸は思った。

『おじさん、心配すること無いよ。腹がいっぱいになったら、ネズガンダなんか簡単にやっつけてやるさ。おかわり!』

育ち盛りの小助がおかわりを所望したとき、小助の手の平に乗っていた大盛の皿が、「バン!」という音と共に弾かれて地面に落ちた。店主と獅子丸たちが一斉に同じ方向を見ると、そこにはヒゲ面の怪人が立っていたのである。

IMG_2481.jpg
『オレが、ネズガンダだ・・・』

ネズガンダは挨拶代わりに、短銃で自分の腕前を見せた。ネズガンダの銃から発射されるのは弾丸では無く、手裏剣弾と呼ばれる小さな刀型の手裏剣であった。

おかわりの皿を弾かれ、怒って立ち上がった小助に向かって、ネズガンダは短銃を撃ち続けた。小助の後ろの板壁が、小助の姿をかたどったままドサッと音を立てて後ろへ倒れた。

『ネズガンダの、人形射ちだ』

獅子丸は、ネズガンダに斬りかかった。しかし、ネズガンダは茶屋の屋根にジャンプして、獅子丸の剣を避けてみせるのだった。

『斬り損ねたな、獅子丸!』

しかし、獅子丸はニヤリと笑った。ほんの少し間があって、ネズガンダのあごひげの一部が切れて落ちた。

『うん?味なことをやるじゃないか。礼を言うぞ』

IMG_2482.jpg
言う間もなく、ネズガンダは両手に短銃を持って、屋根の上から連射した。獅子丸は、鞘に付いているリング状の部分に指を入れ、そこを中心に刀を回転させて、連射された手裏剣弾をすべて払い落としてみせた。地面に刺さった手裏剣弾を見て、獅子丸の手強さを肌で感じたネズガンダは言った。

『なかなかやるな、そろそろ本気でいくぞ』
『来い!』

IMG_2484.jpg
屋根から飛び降りたネズガンダと獅子丸は相対したが、力量が拮抗しているためにスキが無く、互いに攻撃できない。両者は、間隔を変えずに円を描く様にしてゆっくりと移動しながら、相手の様子をうかがっていた。そのときである、チュウチュウという鳴き声がした。

『ま、ちょっと待って!』

ネズガンダは急にそわそわして、茶屋の椅子の下に隠しておいた竹筒のかごの中のハツカネズミに話しかけた。そして、腹が空いていることを知ると、団子を与えてやるのだった。背を向けてエサをやっているネズガンダを斬ろうとした小助を、獅子丸は制止した。

『どうも気分が乗らぬ。獅子丸、勝負はこの次まで預けておく』

そう言うと、竹筒に飼っているハツカネズミを持って、ネズガンダは茶屋をあとにした。獅子丸は、手強い相手であるだけに、堂々と勝負したいと思うのだった。(つづく)


★★★★★★★★★★★★
「ネズガンダのテーマ」とでもいうべきサックス(だと思うが)が奏でるBGMは、なかなか雰囲気がある曲だ。

nice!(9)  コメント(0) 
共通テーマ:テレビ

快傑ライオン丸(6) [ライオン丸・ドラマ1]

今回は、第14話《さすらいの怪人ネズガンダ・後編》を取りあげます。


【前回までの話は・・・ 一匹狼、否、一匹ネズミの怪人・ネズガンダの銃の腕前は、凄まじい。指図されることを嫌うネズガンダは、ゴースンの身体の一部から生まれた大幹部・デボノバの命令にも従わない。しかし、獅子丸という男の存在が気になり出したネズガンダは、獅子丸を探し出して、遂に両者は激突した。しかし、ネズガンダの相棒、竹筒に飼われているハツカネズミの一声で、両者の対決はお預けに・・・】

◆獅子丸たち三人は、岩場に作られたデボノバのアジトを発見した。だが、見張りのドクロ忍者によって獅子丸たちの行動はデボノバの知る所となり、デボノバは獅子丸たちを迎え撃つ態勢を整えるのだった。

IMG_2487.jpg
岩場に隠れた多数のドクロ忍者と獅子丸たち三人との激しい戦いとなり、獅子丸は左足を斬られて負傷してしまう。アジトを襲われたデボノバは、獅子丸と対決しないネズガンダの怠慢が招いたことだと怒り、草原でハツカネズミと戯れているネズガンダを見つけて激しく叱責した。

IMG_2488.jpg
『ネズガンダ!なぜ獅子丸を、殺さなかったのだ!』
『そういえば、すっかり忘れていた・・・』

傷ついている獅子丸を倒す今が良いチャンスだとデボノバはネズガンダに命令するが、指図されるのが嫌いなネズガンダは気が乗らない。だが、ネズガンダもやる気を見せておく必要があり、渋々獅子丸を探しに出かけて行くのだった。

怪我の治療を終えて休んでいる獅子丸たちを見つけたネズガンダは、獅子丸に挑戦した。だが、左足を負傷して立つことができない獅子丸の姿を見るや、ネズガンダは背を向けて立ち去って行くのだった。

『止めておこう。怪我人と勝負しても、面白くないからな。治ってからにしよう・・・』

デボノバは、卑怯なヤツである。ネズガンダの留守中に、竹筒のハツカネズミを質に取っていた。そして、獅子丸との戦いを延ばして帰ってきたネズガンダに、デボノバは言った。

IMG_2489.jpg
『返してもらいたかったら、獅子丸を討て!』
『獅子丸は、怪我をしてるじゃないか』

弱っている相手と戦うなどという卑怯なマネはしたくないネズガンダに、デボノバはハツカネズミの命か獅子丸の命か、選択を迫るのだった。

もはや、ネズガンダに選択の余地は無い。ふたたび獅子丸の元へでかけて行き、今度こそ雌雄を決するつもりのネズガンダ。傷の治療をしたあと、ふたたびデボノバのアジトへと向かう獅子丸たちの前に、ネズガンダが立ちはだかった。

『獅子丸。わけあって、今度こそお前の命をもらい受ける』
『待て、お前には借りがある。お前を殺したくはないんだ』
『グズグズ言わずに、早く刀を抜け!』
『本当の敵は、デボノバだ!』

デボノバからハツカネズミを取り戻すためには、ネズガンダには獅子丸を倒すほかには無いのだ。獅子丸をその気にさせるため、ネズガンダは手裏剣弾を放って沙織の片足に切り傷を付け、小助の帯を斬り落した。こうなっては戦うしかないと、獅子丸は覚悟を決めた。

『風よ、光よ!・・・忍法獅子変化!』

IMG_2494.jpg
左足がまだ治っていないため、変化(へんげ)の過程でジャンプした獅子丸は、ライオン丸に変身して着地した時、痛みのために左膝をガックリと折っていた。

『うっ・・・(痛みをこらえながら)ライオン丸、見参!』

すぐ後ろは海、周囲は岩場で砂浜のような平らな場所はこの辺りには無い。傷ついた左足の痛みをこらえながら、ライオン丸は海を背にして、二丁拳銃のネズガンダと対峙した。

どこに隠れていたのか、二人のドクロ忍者がライオン丸の背後から斬りかかろうとしていた。だが、ネズガンダはドクロたちに発砲すると、手裏剣弾で見事に倒してみせた。デボノバの指示で、援護のドクロ忍者が5~6人現れ、獅子丸たちの後ろに迫っていた。しかし、ネズガンダは、正々堂々と戦うことを好む男だ。

『邪魔するな!』

ネズガンダは、岩場のドクロ忍者たちに引き下がるよう叫んだ。ドクロ忍者たちは一瞬迷いながら、姿を消した。ライオン丸は、ネズガンダの二丁拳銃から発射される手裏剣弾をすべて避けてみせた。拳銃に手裏剣弾が無くなったネズガンダに、弾を込めるよう促すライオン丸。ふたりは勝負を再開した。

その時ライオン丸は、ネズガンダの弾帯(手裏剣弾を収納した帯)を観察し、残りは4発しかないことを確認した。ライオン丸の「金砂地の太刀」対、ネズガンダの「二丁拳銃」の対決である。

ネズガンダは、考えた。残り4発の手裏剣弾を避けるため、ライオン丸は4回とも空中高くジャンプするだろう。だから、4発目を撃ったあとに落ちてくるライオン丸の下へ入り、太刀で斬って捨てれば勝てる・・・

ネズガンダの一発目が発射された。ライオン丸は高くジャンプして、これをかわした。二発、三発、四発目が発射され、ライオン丸はすべて空中で回転しながらかわした。

ネズガンダの予想通り、四発目をかわしたライオン丸は頭から落ちてきたが、ネズガンダの振り上げた太刀とライオン丸の金砂地の太刀とがぶつかり合った。金属同士のぶつかるカチンという音がして、ライオン丸の身体はその衝撃で跳ね飛ばされ、海へと落ちていった。

IMG_2495.jpg
だが、ライオン丸は海面を蹴ってジャンプすると、海へ落ちて行ったコースを逆行するようにネズガンダの頭上まで跳ね上がると、次の準備ができていなかったネズガンダに斬りかかったのだ。この間、ほんの1~2秒だろうか。

バタリと倒れたネズガンダだが、まだ息があった。必死に立ち上がると、残りの力を振り絞って崖の端まで行き、そこから海へ飛び込んだ。バシャーンという音と共に大きな水しぶきが立ち、ネズガンダの姿は海中へ没した。海は荒れていて、可愛がっていたハツカネズミの竹筒が、白い波しぶきの合間を揺れるように浮かんでいるのがみえるだけだった。

(ナレーション)海に沈んだネズガンダは、果たして本当に死んだのであろうか。きっとどこかに生きている。獅子丸たちは、そう思いたかった。さようなら、さすらいの怪人ネズガンダ・・・(終わり)


★★★★★★★★★★★★
デボノバのしぐさは、宇宙猿人ゴリのゴリ博士と似ている。どちらもスーツアクターは、遠矢孝信氏である。遠矢氏は、新マン怪獣達のスーツアクターも務めた。顔出しでは、電人ザボーガーで「悪魔ハット」役でご出演。

nice!(8)  コメント(0) 
共通テーマ:テレビ
前の3件 | 次の3件 ライオン丸・ドラマ1 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。