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コンドールマン(3) [コンドールマン・ドラマ1]

今回は第2話《吸血モンスターの挑戦 / 前編》を取りあげます。

企画;愛企画センター
原作;川内康範
脚本;伊東恒久
音楽;鈴木邦彦
擬斗;金田 治(JAC)
特撮;㈱特撮研究所
監督;松島 稔

【前回までの話は・・・善良な人々が気づかないうちに、モンスター一族の悪だくみは進む。砂糖買い占めの張本人・金満商事の倉庫を探し出した源太郎と石松は、証拠を手に入れようとしてサドラーに捕えられてしまう。二人がサドラーに処刑されようとしていた時、正義のシンボル・コンドールマンが出現し、その活躍によってサドラーは倒された。だが、すぐさま次の刺客・ディブ百貫ことバーべQが、コンドールマンに襲いかかって来た・・・】

◆巨大なフォーク状のヤリを武器に持つバーべQは、その先端から高熱の炎・バーベキューファイアを放射して、コンドールマンに襲いかかった。

『コンドールマン、死ね!燃えろ!燃えろ!』

だが、この高熱から身を守るために、コンドールマンはフェザーカーテンを周囲に張り巡らして姿を消した。バーべQには、コンドールマンが一瞬にして燃えて灰になったように見えた。

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『やったぜ、一丁上がり!』
『さすがはバーべQだ!我らモンスター一族に楯突くヤツは、皆こうなるんだ!』

サタンガメツクもこのカラクリを見抜けず、金満社長に姿を変えると、ディブ百貫と共に大笑いしながらこの場を去っていくのだった。倉庫の屋根からその様子を見下ろしながら、コンドールマンは思った。

『危ないところだった。思った以上にモンスター一族は日本に侵入している。一刻も早く奴らのアジトを見つけて、叩きつぶさなければ!』

自宅に戻った源太郎と石松は、孫のまことにガーゼ付き絆創膏を傷口に貼ってもらいながら、金満商事を潰すための作戦を考えていた。息子・一心の志を継ぐと誓った源太郎には、このままでは引き下がれない意地があった。

『このまま指をくわえて引っ込んでいたら、男がすたらぁ!不当買占めの証拠品を押さえて、金満に一泡吹かせてやるんだ!』

早速源太郎と石松は、再び配達車で港湾にある金満商事の倉庫へ向かった。そして、あの時見た倉庫内に高く積まれた砂糖や菓子類の段ボール箱を、証拠として押さえるつもりでいた。しかし倉庫へ入ってみると、中はもぬけの殻。真っ暗で良く見えないが、カチカチと音がする箱が一つ置いてあるだけだ。

『ひょっとしたら・・・爆弾だ!』

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(疾走するマッハコンドル号)

逃げようとする二人の前方で入口のトビラがガタンと閉まり、二人は真っ暗な倉庫内に閉じ込められてしまう。その頃、一台のスポーツタイプの車が、金満商事倉庫を目指してまっしぐらに進んでいた。コンドールマン専用車・マッハコンドル号だ。

マッハコンドル号が倉庫に到着すると、コンドールマンがクサリを壊してふたりを解放し、マッハコンドル号に二人を乗せてすぐに倉庫から離れた。安全が保てる場所まで走ったコンドールマンがマッハコンドル号を停めると、背後に大爆発する倉庫が見えた。金満商事のあくどい手口に、源太郎と石松は怒りがこみあげてくるのだった。

『モンスター一族は、どんな卑劣な手段でも取る奴らです。完全に叩きつぶすまでは、安心できません』
『こうなったら後へは引けぬ。力を貸してくれますか、コンドールマン?』
『共に力を合わせて、モンスター一族の悪を叩きつぶしましょう!』

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コンドールマンは、源太郎や石松のような善良な庶民を危険な目に遭わせたサタンガメツクに怒りを覚え、(必ずお前達のアジトを突き止めて、このお返しをしてやる!)と心の中で叫んだ。

夕方、母と一緒に買い物に来たまことは、精肉店で驚きの光景に出くわした。なんと、肉屋の陳列棚には、お肉が一切無いのだ。ブタ、ウシ、トリの肉、そしてソーセージやハムに至るまですべてが品切れであった。店に集まって来た買い物客たちは、何も買えずに帰っていくしかなかった。

ある日のこと。まことの母・陽子は、銀座のデパートへ買い物に出かけた。デパートから出て来た陽子は、銀座の街中を行き交う大勢の人々の中に弟・一心の姿を一瞬見た。

『一心!・・・待って!』

陽子はすぐに後を追いかけるが、雑踏の中にその姿を見失ってしまうのだった。家へ帰ってそのことを両親に話すと、他人のそら似じゃないかと母たみ子は言う。だが、自分の弟の顔を見間違うわけが無いと、陽子には自信があった。一本気の性格の源太郎は、一心の遺体は陽子の夫・堅介と自分が確かめて骨も拾ったことを挙げ、陽子の話を否定するのだった。だが、母・たみ子には、息子一心はきっとどこかで生きていると思いたくなるような話であった。

ハンバーグを食べたいまことは、石松と一緒にレストランに来ていた。まことはハンバーグを注文するが、ウェイターは生憎品切れであることを伝える。そこで、石松が奮発してステーキを二人分注文すると、それも品切れだと言う。

『申し訳ございません。肉と魚のメニューは、今日からございませんので・・・』
『すると、なにか?あれは、大根だとでもいうのか?』

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石松とまことの席から見えるテーブルで、男がステーキをうまそうにモリモリ食べている。石松が嫌味のようにウェイターにそのことを言うと、ウェイターはこう説明するのだった。

『あちら様は、上等の肉をご自分でご持参になるので、私共がそれを料理するだけでして・・・』

偶然にも、モンスター一族の姿を探し求めて、三矢一心の姿を借りたコンドールマンがこのレストランの前の歩道を通りかかった。突然モンスターの気配を感じ取ったコンドールマンは、レストランの入口に立つと、両目から透視光線を発しながら店内を見渡した。

『コンドールアイ!・・・いたな!モンスター』

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コンドールマンには、テーブルに座って一人で肉料理をモリモリ食べている男が、怪人バーべQに見えていた。一方、その男(ディブ百貫)も視線を感じて振り返り、入口に立っている青年がコンドールマンに見えていた。

『おのれ、コンドールマン!』

男(ディブ百貫)はその青年に向かって右手に持った肉切り用のナイフを投げつけると、二人は戦いになった。店内が騒がしくなり、まことと石松が二人のケンカに気付いた時、二人はその青年の姿を見て驚く。

『あ、アニキ!』
『お兄ちゃん!』

それは紛れも無く、死んだはずの三矢一心であった。男(ディブ百貫)は店の外へ逃げ出し、青年はその後を追おうとしていた。その時、石松は走ろうとする青年の左腕をつかんで離さなかった。青年は石松を懸命に振りほどこうとしたが離れず、青年はとうとう男(ディブ百貫)に逃げられてしまった。

『アニキ!やっぱり生きてたんだね。帰ってきたんだね、よかったヨカッタ!』
『お兄ちゃん!!ウフフフ』

まことも石松も、一心に会えたことを心の底から笑顔で喜んだ。怪訝な顔をする青年に、石松は自分のことを説明した。家出をした自分を助けて三矢食料品店に雇い入れてくれたのが一心だと、青年に話して聞かせた。だが、青年は真顔でこう答えるのだった。

『俺は君を知らん。人違いだ!』
『人違い?冗談キツイんだから、アニキは!』
『何だか知らんが、邪魔しないでくれ!』

青年は、本当に石松やまことのことを知らないらしいのだ。しばらくじっと青年を見ていたまことは、やはりこの青年が一心では無いと分かった。私欲が無く清らかな小学生のまことには、それが分るのだ。

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『違う、一心お兄ちゃんじゃない!・・・ごめんなさい、うちの死んだお兄ちゃんにそっくりなの』
『ふーん。君は?』
『三矢まこと』
『みつや・・・』

(ナレーション;偶然出会った石松とまことの無邪気さに、猟犬のようにモンスター一族を追い続けてきたコンドールマンの心が、ふと和んだ)
(つづく)


★★★★★★★★★★★★
【コンドールマンの武器】
フェザーカーテン・・・コンドールマンが身を守るために自分の周囲に張り巡らすバリアー。バーべQが放つ高温の炎から身を守った。
コンドールアイ・・・人間に化けたモンスターの正体を見透し、あばきだす透視光線。コンドールマン・三矢一心、どちらの姿の時でも使える。

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コンドールマン(4) [コンドールマン・ドラマ1]

今回は、第2話《吸血モンスターの挑戦/ 後編》を取りあげます。

【前回までの話は・・・町の食料品店から砂糖や甘味品が姿を消し、子供たちはチョコレートや飴が食べられなくなった。金満商事が買占めていることを突き止めた三矢源太郎と石松は、倉庫ごと爆弾で吹き飛ばされるところをコンドールマンに救われる。今度は町の精肉店から肉が消え、レストランでハンバーグを食べようとしたまことと石松は、メニューから肉料理が姿を消していることに愕然とする。そんな時、二人は三矢一心と瓜二つの青年に偶然出会った・・・】

◆三矢一心に似たこの若者を、まことと石松はうちへ連れていくことにした。石松の話を聞いた源太郎とたみ子、それに姉の陽子が家から飛びだしてくると、店の前で待っていた青年を見て驚く。だが、母・たみ子はすぐに笑顔になり、嬉しさのあまり思わず抱き着き、泣いて喜んだ。それもそのはずで、昨日娘の陽子から、銀座で一心を見かけたという話を聞いたばかりだったからだ。まさかと思いつつも、「幽霊じゃないだろうな」と源太郎が思わず叫んだほど、青年は一心に生き写しであった。

(ナレーション;三矢家の人々の驚きは、コンドールマンにさえも痛々しく感じられた。我が子と瓜二つの人間がまったくの別人であろうとは、家族、とりわけ母親たみ子にとっては、この上もない残酷な事実であった)

この青年が一心ではないと判った時、一番ダメージを受けた母・たみ子は、軽いめまいを起こして布団で横になってしまった。部屋に通された青年は、仏壇に飾られた自分と瓜二つの写真に手を合わせた。

『ご気分は、いかがですか』
『ええ、大丈夫です。ごめんなさいね・・・』
『たみ子、ここにいらっしゃるのは、うちの一心じゃないんだ。ご迷惑のないようにな』
『ええ。でも私には、どうしても一心の生まれ変わりとしか思えないんですよ・・・』

孤独なコンドールマンには、三矢家の人達の親切さがとてもうれしかった。

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『おじさん、おばさん。僕には父も母もいません。まだ日本へも来たばかりで・・・でも、こうして親切にしていただいてうれしく思います』
『私達、お友達よ!』

まことが笑顔で、コンドールマンにそう話しかけた。コンドールマンは、「うん」と首を縦に振って笑顔でうなずく。そしてコンドールマンは、迷惑でなければ時々寄らせてほしいと話すのであった。源太郎もたみ子も、もちろん大歓迎である。この日の三矢家の夕食は肉も魚も無い献立だが、コンドールマンを囲んでのささやかな歓迎会になった。

(ナレーション;孤独な戦いを続けるコンドールマンにとって、三矢一家の暖かい心遣いは砂漠のオアシスのように感じられた)

陽が落ちて暗くなった町を帰るコンドールマンは思った。(暖かい人達。あの人達が、かりそめにも不幸な目に遭う事があってはならない。そのためにも、モンスター一族を倒さなければ!)

しかし、その間にも不当買占めはさらに続けられ、町から肉と魚が完全に姿を消してしまった。人々は大切なタンパク源を確保するために、スーパーやデパートの缶詰まで争って買い求めた。三矢食料品店でも缶詰を買い求める客で店内はごった返し、その様子に源太郎と石松の意気込みは激しかった。

『こらぁ、金満の仕業に違いねぇ。今度こそ、奴らの尻尾をつかみ出してやる!』

早朝二人が魚市場へ出向くと、ウワサどおり市場には人っ子一人いなかった。そんな中で、魚を大量に積みこんでいる一台のトラックを二人は発見する。源太郎と石松はそのトラックにそっと近づき、トラックの側面に書かれた「金満」という文字を確認する。(やっぱり金満だ)二人は急いでその場から逃げて行くが、ディブ百貫にその姿を見られてしまう。

ニューヨーク摩天楼の一室から、キングモンスターがサタンガメツクに指令を出した。

『サタンガメツク、何をモタモタしておる!早く日本人を飢え死まで追い込め!』
『はっ。着々と進行中ですので、今しばらくお待ちください』
『今一つ。我らモンスター一族に刃向かうコンドールマンとやらが日本に現れたと聞いたが、さっさと始末するのだ!』
『はっ、命に代えましても。ハールマゲドン!』

サタンガメツクは金満社長に姿を変えると、ディブ百貫を呼びだした。社長室に入って来たディブ百貫は魚市場の一件を話し、何かとうるさい三矢を始末する必要があると強調した。ガメツイだけでなく頭も切れる金満社長は、ディブ百貫に指示した。

『始末する時が来たようだ、殺れ。ただし、朝になってから堂々と殺れ』
『いくら何でも人目が・・・』
『あわよくば、コンドールマンが現れる。その時こそ、まとめて殺ってしまえ!』

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(襲撃された三矢食料品店)

ディブ百貫とその部下(コンバット隊と呼ばれる戦闘員)たちは、開店直後の三矢食料品店を襲撃した。そして、騒ぎを聞いて集まって来た人々に言い放った。

『皆さん!コイツらが肉や魚を買い占めて、自分達だけ腹いっぱい食っているんだ!』

この騒ぎに巻き込まれた三矢まことは、一心そっくりの青年に助けを求めるべく、大声で叫んだ。

『助けて!一心お兄ちゃん!お兄ちゃん!』

まことの助けを求める声は、空を飛ぶ鳩たちによってコンドールマンに届けられた。自由に大空を飛ぶ鳥たちが見た様々な情報を、コンドールマンは転心術によって自分が見たように理解することが出来た。まことを助けに行くため、三矢一心の姿をしたコンドールマンは左胸に付けている黄金の羽を右手に持つと、鳥人コンドールマンに変身した。

『コンドール、マン!』

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急げ、コンドールマン!このままでは、ディブ百貫達によって三矢家の人々は殺されてしまう。コンドールマンは、マッハコンドル号を疾走させる。一心の名を叫ぶまことの頬っぺたをつねるディブ百貫。その時、ディブ百貫の手の甲に羽手裏剣が突き刺さった。襲撃する他の男達の手の甲にも、羽手裏剣が次々と突き刺さった。

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(正義を守るコンドールマンだ!)

『誰だ、出てこい!』
『正義を守るコンドールマンだ!モンスター一族、私の目は誤魔化せぬぞ!コンドールアイ!』

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(おのれ、コンドールマン!)

三矢食糧品店の騒動を見に来ていた人々の目の前で、コンドールマンの放った透視光線コンドールアイが、ディブ百貫達の正体をさらけ出した。

『このバケモノこそ、人間の醜い欲望から生まれたモンスターです。皆を苦しめている本当の悪の正体だ!』

集まって来た人々は正体を見て驚き逃げ出していくと、コンドールマンは跳躍してバーべQとコンバット隊の中に突っ込んでいった。三矢家の人達もコンドールマンに助けられ、店内に逃げ込んだ。コンバット隊はコンドールマンの敵では無く、あっという間に倒されていく。バーべQの持つ巨大なフォーク状のヤリを折って使えなくしたコンドールマンは、コンドールキックでバーべQにとどめを刺すのだった。

『コンドールマン!二人の命を助けたければ、大人しく処刑台に上れ!』

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(コンドールマン!喜ぶのはまだ早い!ハハハハハ)

バーべQと戦っている間に、サタンガメツクはまことと石松を人質に取っていた。まことはサタンガメツクの手の中にあり、石松はクレーンに吊るされていた。

『おのれ、卑怯な!』

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サタンガメツクの熾烈な罠に落ちたコンドールマンは、夕陽を背にして処刑寸前。はたしてコンドールマンの運命は?!
(終わり)


★★★★★★★★★★★★
(敬意をこめて)川内康範先生が昭和初期に生み出した月光仮面の白装束スタイルは、「愛の戦士レインボーマン」に受け継がれ、「コンドールマン」へとつながっていく。いわゆる川内ヒーロー三部作の中で、このコンドールマンだけが制作会社が違う。レインボーマンとダイヤモンド・アイは東宝、そしてコンドールマンは東映である。東映が制作したことで、仮面ライダーに代表される東映変身ヒーローのノウハウが盛り込まれ、観ていてスカッとするような展開(痛快活劇)になっている。

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コンドールマン(5) [コンドールマン・ドラマ1]

今回は、第3話《殺しが命 ダンガンマー / 前編》を取りあげます。

企画;愛企画センター
原作;川内康範
脚本;伊東恒久
音楽;鈴木邦彦
擬斗;金田 治(JAC)
特撮;㈱特撮研究所
監督;奥中惇夫

【前回までの話は・・・人間の醜い欲望から生まれたモンスター一族は、大魔王キングモンスターの命令の下に人類征服を企む。突然日本中からお菓子が無くなり、肉と魚も無くなった。これらは、すべてモンスター一族の幹部サタンガメツクの買占めによるもので、日本人を飢え死にさせる作戦であった。買占めに反対する正しい心の人々を痛めつけるモンスター一族の前に正義を守るコンドールマンが現れ、彼らの正体を暴いて倒した。だが、まことと石松がサタンガメツクに人質に取られ、コンドールマンは処刑されることに・・・】

◆今、コンドールマンは十字架の柱にくくりつけられていた。人質にされたまことと石松の目の前で、悪の権化・サタンガメツクは正義の鳥人・コンドールマンを処刑する気なのだ。

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『良いザマだな、コンドールマン!ハハハハ。コンバット隊!コンドールマン処刑用意!』
『コンドールマン!コンドールマン!』
『ウルサイ!静かにしろ!』

『サタンガメツク、ふたりを放せ!』
『そうはいかん。お前の後からあの世へ送ってやるから安心しろ!・・・狙え!』

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(※$#&%〒☯♀∬☆・・・)

処刑をコンバット隊に指示するサタンガメツクに対し、コンドールマンは目をつぶって呪文のような言葉を唱えているだけだ。もはや、コンドールマンには万策尽きたのか?コンドールマンの姿を見たまことは、必死にコンドールマンに呼びかけた。それをやかましく思い苛立つサタンガメツクは、まことの頭上から靴で踏みつけようとする。それを必死に身体を張って止める石松。この事がコンドールマンに時間を与え、逆転勝利を呼び起こした。

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『開け、コンドールマウス!ショックパンチ!』

次の瞬間、コンドールマンのベルトのバックルにあるコンドルの嘴(くちばし)が開き、マシンガンが連射された。一列に並んだコンバット隊は全滅し、コンドールマンはすぐに煙幕を焚くと身を隠した。煙幕が消えきらないうちに、コンドールマンはまことと石松を縛ったロープを切って二人を逃がし、同時に集まって来たコンバット隊(戦闘員)を次々に倒していった。煙幕が消えた時、十字架台にコンドールマンの姿が無いのを見て、サタンガメツクは悔しがった。

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だが、消えかけた煙幕の中を逃げるまこと達を見つけたサタンガメツクは、二人を追いかけて行く。それを見たコンドールマンは、大ジャンプしてサタンガメツクの前に立ちはだかるのだった。その際に、まことを捕まえようとしたサタンガメツクの左手の爪が、コンドールマンの左足太ももに食い込んだ。

コンドールマンは、とっさにサタンガメツクの左腕を取って背負い投げで投げ飛ばすと、キックをぶち込んだ。サタンガメツクも両腕の鉄の爪をミサイルのように発射して、反撃した。コンドールマンは素早い動きで10本の爪ミサイルをすべてかわすと、投げたコンドールアロー(羽手裏剣)がサタンガメツクの左腕を切り落とした。

『コンドールマン、覚えていろ!』

切り落とされた左腕を拾い、サタンガメツクは手りゅう弾一個を投げて破裂した隙に、姿を消してしまった。コンドールマンはサタンガメツクの後を追おうとするが、身体がうまく動かない。

『身体がしびれる・・・あの爪に毒液が』

コンドールマンには、きれいな川の水で毒を洗い流す必要があった。マッハコンドル号を走らせるが、この町の川の水は公害に汚染され、毒を洗い流すのに適した水質では無かった。

(ナレーション;コンドールマンは、清らかな流れを求めて、マッハコンドル号をひた走りに走らせた)

清水が流れる場所を探し求めて、東京からそう遠くない山中に到着したコンドールマンは、もう身体がしびれて動けなくなりそうだった。

『俺には、苦しんでいる人達を助ける使命がある。こんな毒に参ってたまるか!』

コンドールマンは、沈みゆく夕陽に向かって懇願した。

『太陽よ、エネルギーをくれ・・・』

コンドールマンは、これ以上エネルギーを消耗しないよう変身を解いて三矢一心の姿になると、少しでも早くサタンガメツクの毒素を洗い流すため、清水の流れる場所を探し求めて山中へと入って行った。

その頃、コンドールマンに切り落とされた左腕を元通りに付けたサタンガメツクは、ぺろぺろと接続部を舐めながら傷を癒していた。親衛隊の一人が瓶に入れた液体の薬を持って来たが、「人間の薬など、効かぬ!」と言って、サタンガメツクは払い落とそうとする。

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『これは、ヘドロとスモッグとネズミのフンのエキスです』
『それを早く言え!』

うれしそうにそう言うと、サタンガメツクは瓶に入った真っ黒な液体を飲み干すのだった。コンバット部隊を呼び出したサタンガメツクは、コンドールマン捜索状況を報告させた。

『コンドールマンは、まだ見つからぬのか!』
『魔人コンバット第一、第二部隊が捜索に当たっています。発見次第、連絡が入ることになっています』
『早く、ヤツの息の根を止めるんだ!!』

社長室に死神四郎が入って来た。この男は、金満商事の用心棒をしている。

『この死神四郎に御用というのは?』
『果物と野菜の買占めをやっているが手ぬるい。そこで、お前が指揮を執れ!』
『ちょ、ちょっとお待ちください。私は殺しに命を賭ける男。(泣きそうな表情で)それなのに、買占めなんて仕事を・・・』

だが、サタンガメツクから「殺してもかまわん」という言葉を聞くと途端に顔色が良くなり、死神四郎は笑みを浮かべた。

『え・・・本当ですか?!フフフフ』

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(ダンガンマー・右)

死神四郎は、首に掛けた弾丸のペンダントをつかんでうれしそうに口づけると、その姿は怪人ダンガンマーに変わった。

『ボス。コンドールマンは、奥山山中に逃げ込んだ模様です』
『万一取り逃がしたら、お前らの命は無い!』

捜索隊からの報告に、サタンガメツクから容赦の無い命令が飛んだ。その頃、陽が暮れた奥山山中では、コンドールマンが清水に足を浸けて、サタンガメツクから受けた傷の毒素を洗い流していた。太ももの傷からは緑色の毒素が少しずつ流れ出て行くが、コンドールマンの顔は苦痛に歪んでいた。毒素を排出すると同時に、強烈な痛みが伴っていた。

翌朝、三矢陽子(一心の実姉)の家では朝食の準備が整って、まことと夫の賢介がテーブルに座っていた。テーブルには食パンと牛乳が並んでいたが、賢介のコップには水が入っていた。買占めは肉や魚だけでは無かった。バター、ミルク、卵、それに果物や野菜までもが品不足に陥っていた。

同じ頃、コンドールマンは三矢一心の姿で、一晩中かけてサタンガメツクの毒素を身体から完全に排出させることに成功していた。体力を使い果たして睡眠をとるコンドールマンに、魔人コンバットの捜索隊が迫っていた。上流から流れてくる緑色の水を見て、すぐ近くにコンドールマンがいることをコンバット隊は察知した。鳥たちの声で目覚めたコンドールマンは、すぐ近くまで迫っている魔人コンバット隊のことを知った。だが、変身しようとしても変身出来ない。

(ナレーション;コンドールマンは、猛毒との戦いでエネルギーを使い果たしたのだ。化身のためには、新しい太陽エネルギーが必要なのだ)

魔人コンバット隊は、とうとう三矢一心の姿のコンドールマンを見つけてしまった。急いで森の中を逃げるコンドールマン。

『何者だ!怪しいヤツ』

コンバット隊は、マシンガンを連射しながら三矢一心の姿のコンドールマンを追いかけて行く。森の中を必死に逃げるコンドールマンは、急斜面で足を滑らせた。コンバット隊はその姿を見て、落下した先にマシンガンを連射すると、リーダーが指示した。

『一応、ヤツの死体を確認しろ。残りの者はコンドールマンを探せ!』
(つづく)


★★★★★★★★★★★★
次回より、人間態のコンドールマンは【三矢一心】、又は【一心】と呼称することにします。

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コンドールマン(6) [コンドールマン・ドラマ1]

今回は、第3話《殺しが命 ダンガンマー/ 後編》を取りあげます。

【前回までの話は・・・まことと石松をサタンガメツクに人質に取られ、ふたりの目の前でコンドールマンは処刑されようとしていた。だが、このピンチをしのいだコンドールマンは、二人を救出する。その時サタンガメツクの毒の爪が足に刺さり、この毒素を洗い流すために清水を求めて山中深く入っていくのだった。エネルギーをすっかり使い果たして三矢一心の姿で休んでいるところを捜索隊に発見され、森の中へ逃げて行くが・・・】

◆捜索隊から逃れようと、三矢一心の姿で森の中を逃げて行くコンドールマンは、崖から足を滑らせて滝つぼへ転落していった。それを見た捜索隊リーダーは、数人を滝つぼの死体捜索に当て、残りは全力を上げてコンドールマン捜索のために他を当たった。

落ちると見せかけてうまく崖下へ姿を隠した一心は、敵の追跡をかわすことに成功した。だが、昇ったばかりの太陽では、まだエネルギーを十分に吸収できないのだ。

『今はまだここを動けない・・・まず、まことの様子を見に行くんだ・・・転心術!』

(ナレーション;転心術とは、コンドールマンの心を鳥に乗り移らせる秘術である)

一心は自分の意識を鳥に乗り移らせて、まことの住むアパートへ飛んだ。その頃、まことは栄養不足のために目がかすみ、母や祖母の顔がよく見えなくなっていた。サタンガメツクの買占め作戦によって八百屋や果物屋が閉店したままなので、ビタミンCを十分に補うことが出来ないのだ。

『お医者さんは、野菜や果物など栄養のある物を食べれば、すぐに良くなるって言っているんですが・・・』
『こうなったら、農家へ直接買い出しに行くより他無いわね』

祖母のたみ子が、まことの母・陽子にそう告げると、陽子はすぐに買い出しの支度を始めた。その様子を察したまことは、かすんだ目で母・陽子に謝るのだった。

『ママ。いつもママが食べなさいって言っていたニンジンやホウレンソウを食べなかったから、お目目がかすんじゃったのね』

これからは何でも食べるので、早く見えるようになりたいというまことの健気さに、二人は涙した。遠く奥山山中で敵から身を隠しながら、小鳥の目を通して同じ場面を見ている一心には、心の中で励ますことしか今はできない。

(ナレーション;一心は、一刻も早くまこと達の苦しみを救ってやりたいと焦りながら、太陽エネルギーを吸収し続けた)

まことの母・陽子は、ある農家へ買い出しに来ていた。だが、そこには、「立ち入り禁止・金満商事」の立て看板が立っている。陽子以外にも、大勢の人達がこの農家に野菜や果物を買い求めに訪れていたが、死神四郎がその人達の前に立ちふさがった。一発の銃声が鳴って、死神四郎が叫んだ。

『何度言えば分かるんだ。この辺の野菜はな、土地ごと金満商事の物ナンダ!』
『せめて一株だけでも、分けてください。子供の目が見えないんです』
『それはいい気味だなぁ・・・ヘヘヘヘぇ。死にたくなかったら、帰るんだな』
『あなたは、それでも血の通った人間ですか?』

果物を少しでも分けてもらおうと、まことの母・陽子は懸命に食い下がるが、死神四郎はライフル銃を陽子に向けて一発発砲した。間一髪、新聞記者の夫・賢介が現れて、銃弾から陽子を救うことができた。

『あなた!』
『大丈夫か?傷害、脅迫、殺人未遂・・・立派な犯罪だな!』

記者の賢介が、発砲した死神四郎に立ち向かって行く。だが、死神四郎の正体は血も涙もない怪人だ。銃先で賢介を二回殴ると、次にその様子を一眼レフカメラで撮影していたマキのカメラを取りあげてしまうのだった。マキは、賢介と行動を共にする毎朝新聞の後輩女性記者である。

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(マキのカメラを踏みつけた死神四郎は・・・)

『貴様ら、ブン屋か!』

死神四郎は落したカメラを拾おうとする賢介の足元にライフル銃を数発発砲し、ここから帰る様に脅しをかけた。陽子や賢介たちは、仕方なく退散するより外無かった。賢介たちが居なくなったあと、死神四郎は地面に落ちた一眼レフカメラを靴で踏みつけて、「ざまぁみろ」と大笑いしながらダンガンマーの正体を現すのだった。

一方、魔人コンバット隊は、引き続きコンドールマンの行方を探していた。だが、これだけ探してもコンドールマンは発見できない。

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(まさか・・・)

『まさか、あの妙な若造が・・・』
『若造?・・・そうかもしれんぞ!』

だが、彼らがそのことに気づいた時にはすでに遅かったのである。コンドールマンは太陽エネルギーを十分に補給し、戦う力を蓄えてコンバット隊の前に現れた。

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『(変身の掛け声)コンドール、マン!』
『いたぞ!』

コンバット隊から見ると、森林の逆光の中にコンドールマンの勇姿が出現した。十数名いた戦闘員のコンバット隊はあっという間に倒され、コンドールマンは苦しんでいるまことたちを助けるため、街へとマッハコンドル号を飛ばした。

(ナレーション;太陽エネルギーを受け、太陽電池で走るマッハコンドル号で、コンドールマンはひた走りに走った)

賢介たちと別れた陽子は、別の農家からミカンを買い求めることが出来た。大きな袋にたくさんのミカンを入れて帰宅を急ぐ陽子の横に、黒い車が近づいてきた。車中から四人のコンバット隊が出てくると、陽子は襲われてしまった。

『そのミカン、こっちへもらおう』
『止めてください。子供にたべさせるミカン・・・止めてください』

コンバット隊の四人は、地面に転がったミカンを靴でつぶして食べられなくしてしまうつもりだ。陽子が一つつかんだミカンをも、コンバット隊は奪おうとする。

『放せ!放さんか!』

なかなか放さない陽子に、コンバット隊の一人がナイフを見せると、陽子はひるんでしまう。その時、その男の右手首にコンドールアロー(羽手裏剣)が突き刺さり、男は周囲を見回した。

『うう!あ、コンドールマン!』
『さぁ、早く!』

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歩道橋の上から急降下してコンドールマンはコンバット隊を蹴散らすと、陽子に数個のミカンを持って急いで逃げるように促した。コンドールマンにとって、四人のコンバット隊は敵では無かった。

無事に帰宅した陽子は、すぐにまことにミカンを裂いて食べさせた。「美味しい」と、かすんだ目のまことは喜んだのも束の間、死神四郎が家に上がり込んで来て、銃で残りのミカンを吹き飛ばしたのだ。

『そのミカンは、皮一枚までボスのものだ。寄こせ!』

祖母のたみ子が横にあったぬいぐるみを投げつけると、死神四郎の怒りは頂点に達した。

『この野郎!殺してやる!』

ベッドの上のまことを守ろうと、祖母のたみ子はまことに覆いかぶさるようにしたが、死神四郎はたみ子を引きずりおろして、まことを狙おうとする。わけも無くベッドから落ちたまことを見て、目がよく見えないことを知った死神四郎は、まことの耳に銃口を当てた。

『次は耳を聞こえなくしてやる!』

その時コンドールマンが現れ、右足で死神四郎の顔を蹴り上げた!そして、瞬時にダンガンマーに姿を変えた死神四郎の腕をつかむと、背負い投げで床に叩き伏せた。

『ダンガンマー!子供たちを苦しめた報いだ、地獄へ落ちろ!』

次から次へと殴る蹴るの技を繰り出すコンドールマンに、ダンガンマーはたまらずに部屋から逃げだした。台所に隠れていたまこと達三人の元へ、少しつぶれたミカンを一個持って来たコンドールマンは、まことの手にミカンを渡して言った。

『早く良くなるんだ!』
『ありがとう』

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コンドールマンはうなずくと、ダンガンマーを追って部屋から出て行った。追って来るコンドールマンに、ダンガンマーの右手から連射されるマシンガン。ダンガンマーの右手はマシンガンなのだ。だが、マシンガンの弾丸はいつか切れる。ダンガンマーが新たな弾丸を装填するその瞬間を狙って、コンドールマンの3(スリー)クッションキックが炸裂した。ジャンプしてから素早い動きで周囲の壁や岩を「1、2、3」で蹴り、相手をかく乱させながら威力を増したキックが、「4」で相手に突き刺さるのだ。

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(ダンガンマーを倒したコンドールマンの勇姿)

キックの威力で大きく跳ね飛ばされたダンガンマーは地面に頭から突き刺さり、そのまま大爆発した。あとには、黄金の弾丸一個が転がっていた。

果物を食べて目が治ったまことは、夕陽の中にコンドールマンの勇姿を見て、叫んだ。
『コンドールマン、ありがとう!』
(終わり)


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