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ダイヤモンド◇アイ(14) [ダイヤモンドアイ・ドラマ2]

今回は、第7話《死の壁を砕け!/ 後編》を取りあげます。

【前回までの話は・・・カボ子を捕えているという猫マスクの話を信じたライコウは、晴海埠頭の倉庫へ救出に向かった。だが、救出したカボ子は猫マスクの変身で、ライコウは逆に捕えられてしまう。しかし、スナックに残したライコウのメモを見たカボ子が倉庫に現れ、ピンチのライコウを見事に救出するのだった。逃げる猫マスクの車をバイクで追うライコウとカボ子は、追跡途中で事件に巻き込まれたらしい女性を救出する。カボ子は女性を病院へ連れていくと言ったまま、行方不明になってしまう。猫マスクの呼び出しに応じたライコウはワナにはまり、亜硫酸ガスの発生する薄暗い部屋にカボ子と共に閉じ込められてしまった・・・】

◆『ひと思いに殺さず、源海龍の力を十分に思い知ってから死んでもらおう』

部屋に響き渡るその声が、ライコウをあざ笑っていた。この部屋には窓が無く、明かりはほとんど入らない。廃液から気化した亜硫酸ガスが刻一刻と充満して来て、このままではカボ子共々死んでしまう。光が入らない以上ダイヤモンド・アイを呼ぶことはできず、ライコウは自力で脱出するしかなかった。

『ここで死んでたまるか!』

見た所、ここはかなり古い倉庫のような建物に思えた。ライコウは手探りで、壁の割れ目を探した。壁の割れ目を見つけてその場所を壊せば、脱出できる。ライコウはこの考えに望みをかけた。室内には亜硫酸ガスが段々と充満してきて、ライコウも呼吸が苦しい。

丁寧に壁を触っていたライコウは、遂に割れ目を見つけた。猫マスクから手に入れた短剣の刃の部分でその割れ目を掘り、広げて大きくしてから、短剣の取っ手の硬い部分を使って思いきり叩いた。

その頃、浜岡鋼業の研究室では、浜岡社長が現代タイムズの取材を受けていた。浜岡鋼業で開発中の浄化液は、どんな公害廃液でも立ちどころにきれいにするという液体であった。この液体は公害防止に効果的だと、浜岡社長は胸を張った。ところが、取材にきた女性記者は、この浄化液の開発の際に出る汚染物質が不法投棄されているという投書があると、浜岡社長に話したのだ。それを聞いた浜岡の顔色が変わった。女性記者は閉鎖した浜岡鋼業の工場跡の写真を持ちだし、この建物に密かに廃棄物質を運び込んでいるという投書だと言った。

『事実無根だ!』
『それなら、いいんですが。もし事実で、間違って入った者がいたら、充満した亜硫酸ガスでたちまち死亡・・・』

浜岡鋼業は操業停止に追い込まれ、社長の資財没収は免れないと、女性記者は脅すように浜岡に話した。

その頃、広がった割れ目を短剣の取っ手の部分で叩いているライコウは、前方から光が漏れていることに気づいた。呼吸が苦しい中、次のひとたたきで壁が壊れ、明るい光が差し込んだ。

『やったぁっ!カボ子ちゃん、もう少しだ!頑張れ!』

まだ意識の無いカボ子に話かけながら、ライコウは壁を構成している古いレンガを力一杯叩き割った。太陽光と新鮮な空気の入る量がだんだん増え、遂に二人は亜硫酸ガス地獄からの脱出に成功した。ライコウ達が閉じ込められていたのは、閉鎖した浜岡鋼業の廃工場の一つだった。

父を亡くした悲しみを忘れて立ち直るために、大沢山京子は「アジアの子供が手をつなぐ会」が主催する「みどりの園」で、保母の仕事に着いていた。「手をつなぐ会」の総裁秘書をしている北見八郎のとりなしであった。京子先生を囲んでお遊戯をする子供たちを優しい眼差しで見守っているのは、「手をつなぐ会」の総裁だ。すると、事務室から北見八郎が出てきて、総裁に近づくと伝言をした。

『総裁、現代タイムズからお電話です』

総裁は北見をこの場へ残して、事務室へ戻って行く。受話器をつかんだ総裁は、子供たちへ注いでいた穏やかな目つきがウソのように鋭い目つきに変わった。電話の相手は、浜岡鋼業で取材をしていた女性記者・朱玉であった。

『私だ』
『現場の写真を見せて資財没収だと脅したら、強情な浜岡も真っ青になっていました。ありったけの金を出して、ダイヤを買うと言って来るでしょう。20億か、30億か』
『工場の跡へ行ってふたりの死体を見れば、もっと出すはずだ。自分達の死体がそんな役に立つとは、雷甲太郎は夢にも思わないだろう、ハハハハ』

アジトに帰った源海龍は、浜岡が40億円で取引すると言ってきたことを朱玉と猫マスクに告げた。数時間後に、浜岡の廃工場付近で取引することになっている。源海龍に指示された朱玉と猫マスクは、車で取引現場へと赴いた。廃工場を見た猫マスクが、つぶやく。

『雷甲太郎め、もうくたばったか。出来ることなら、この手で息の根を止めてやりたかったが・・・』

その頃、廃工場からの脱出に成功したライコウは、意識が戻らないカボ子を背負い、ガスで自身もかなりやられてフラフラになりながら歩いていた。すると、ライコウの目の前に猫マスクが姿を現した。

『まだ生きていたのか。死ね!』

ムチを振りながら、猫マスクはライコウにジリジリと迫ってくる。背中のカボ子を静かに廃倉庫の陰に降ろしたライコウは、カボ子から離れて戦おうと移動するが、その途中で猫マスクのムチを数発受けてしまう。別棟の廃倉庫の陰に隠れたライコウは、指輪を太陽にかざして叫んだ。

『アイよーっ!』
『ダイヤモンド・アイ、登場!』

猫マスクのムチの攻撃を、ステッキで巧みにかわしながら戦うアイ。アイが猫マスクを引き付けて戦っている間に猫マスクの背後を通って逃げようと、ライコウはカボ子を背負って準備している。

『行け!甲太郎』

アイは一声かけてふたりが逃げる様子を見届けると、両目から青い光線を猫マスクに浴びせた。

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(外道照身、霊波光線!)
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(ばぁーれーたぁかー!)

『外道照身、霊波光線!正体見たり!前世魔人ケロキャット!』
『ばぁーれーたぁかー!』

アイがケロキャットと戦っている頃、一台のジープが廃工場へ向かって突き進んでいた。それは浜岡社長が口止め料を払うために、約束の場所へと向かう車だった。源海龍の計画は、見国化学工業の時と同様、現金の強奪だ。ジープには、総額40億円が入った銀色のトランクが二つ積まれている。朱玉と部下の赤い覆面の男達は、ナイフを片手に大勢でそのジープを取り囲んだ。立ち往生したジープの浜岡へ、朱玉が銃口を向けながら近づいていく。

『あ、あの女だ!源海龍の配下だ!』

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(ジープを襲う連中を見ていながら、阻止できない歯がゆさ)

カボ子を背負って崖の上を逃げる途中のライコウの目に、襲われているジープが映った。だが、ここは急斜面の崖の上、ジープまでは遠回りしなければ行き付けない。目の前でジープが襲われているのに、それを阻止できないライコウは悔しがった。意識を取り戻したカボ子を一度地面に下ろして、悔しそうな表情でライコウはジープを見つめる。ライコウの気持ちを察したカボ子は言う、「私は大丈夫。戦って」。しかし、ジープまでの直線道路でも無い限り、時間的に間に合わないのだ。

『友よ、行け!愛と正義で献身する道を!』

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ライコウの心を見抜いたダイヤモンド・アイは、ケロキャットに一撃を加えてひるんだ隙に、大きなダイヤを一つ投げた。それはライコウがいる崖の上からキラキラとひかる光の道となって、ライコウをジープのある場所まで最短距離で導いた。

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(必殺ロイヤルパンチ!)

ダイヤモンド・アイに感謝の目配せをすると、ライコウは崖の上から戦いの場へと全力疾走した。一方のダイヤモンド・アイは、疲れの見えるケロキャットに必殺ロイヤルパンチを浴びせ、これを撃破した。

ライコウの怒りが、赤い覆面たちに襲いかかる。その勢いに恐れをなしたのか、それとも司令塔の朱玉がすでに逃げ出した為か、赤い覆面達は散り散りになり退散していくのだった。ケロキャットを倒したアイは、加勢すべくライコウの許へ走ったが、その様子を見て空へと消えていった。

助けに入ったライコウを置き去りにして、浜岡のジープが逃げるように走って行く。よく見ると、後ろの席に赤い覆面が1人、浜岡を脅して運転させていた。タイヤがぬかるみに取られている間にジープに追いついたライコウは、赤い覆面男を引きずりおろし、座席にあった銀色のトランクを赤い覆面めがけて投げた。トランクは衝撃でふたが開いて、中から大量の札束がこぼれ落ちた。

『その金は!どうして源海龍に狙われたんです?』

浜岡はライコウの質問には答えず、必死になって現金をトランクに詰め込んだ。その時、銃声が1発して、浜岡は倒れた。ライコウは身の危険を感じてジープを降りると、姿勢を低くして身構えた。
(終わり)


★★★★★★★★★★★★
ダイヤモンド・アイは、左利きのようである。ライコウに光の道を作った時に、大粒のダイヤを左腕を使って投げていた。コントロールがつく方の腕で投げるのが、ふつうだもんね。

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