コンドールマン(8) [コンドールマン・ドラマ1]
今回は、第4話《輝けゴールデンコンドル/ 後編》を取りあげます。
【前回までの話は・・・副都心の高層ビルの一室にある金満商事のオフィスに、奇襲攻撃をかけたコンドールマン。だが、逆にサタンガメツクによって、右胸に黄金の弾丸を撃ち込まれてしまうのだった。黄金の弾丸は特殊爆弾になっていて、爆発まで残り1時間。弾丸に塗られた毒が身体に回り自由が利かないコンドールマンは、力を振り絞って爆発の余波が出ないように山奥に隠れた。もう駄目かと思ったその時、そこにタバ老人が現れ、呪術によって一心の右胸から弾丸を取り除くと、追っ手に向かって投げつけた!】
◆黄金の弾丸を一心の右胸から取り出しコンドールマン捜索隊に投げつけた時に大爆発したことを、サタンガメツクは知らない。レーダーの光が消えたのはコンドールマンが爆死したものと思ったサタンガメツクは、安心して金満社長に姿を変えると、邪魔者が居なくなったことに満足してニンマリと笑っていた。
タバ老人は意識を失っている一心を背負い、林の中から抜け出て廃寺の庫裏に連れて行くと、横に寝かせた。タバ老人が右胸の傷口に薬草を当てていると、一心がうわごとを言っているのを聞いた。「焦るな、今は身体を休めるのだ」と言って、タバは傷を治すための呪文を唱えるのだった。
その頃、部下数名を連れた金満社長は、都内にある数件の米店を訪れていた。店主に自分の名刺を見せ、コメと麦を店ごと買い取りたいと金満は話す。そして、「金なら払う」と言って、セビロのポケットから十円玉1枚を出すとポトンと床に落した。呆気にとられた主人が文句を言うと、
『嫌なら、仕方がない』
金満と部下たちは、自分達の醜い正体を店主に見せるのだった。コンバット隊に銃口を向けられた店主は、驚いて身がすくんでしまう。だが、サタンガメツクは銃口を向けることを止めさせると、こう言った。
『弾丸を節約せぬか!』
サタンガメツクの毒爪が店主のノド元に食い込んで、悲鳴を上げながら店主は息絶えてしまった。
三矢一心が目を開けた。彼はすぐに自分の状況を把握すると、焦りを感じて立ち上がろうとした。だが、身体が回復していないため、バランスを崩して倒れ込んでしまう。タバ老人に抱き抱えられた一心は、タバに心の内を吐露した。
『今頃サタンガメツク一味が、皆を苦しめている。それが分っていながら・・・。タバ、悔しいんだ!俺にはモンスター一族から皆を守る使命がある。ヤツを倒せば、俺の体はどうなってもいいんだ!』
『落ちつけ!こうして焦る心が、冷静な判断を狂わせるのだ。それこそ、モンスター一味の思うつぼじゃ。まず、はやる気持ちを抑えるのじゃ。そして己自身と戦い、それに勝たねばならぬ』
タバ老人と一心はこの廃寺の一室に閉じこもり、目を閉じて座禅を組みながら並んで座った。
『雑念を払い、精神を統一するのじゃ。さすれば、闇の中に光が見える』
『・・・何も見えない!』
『心の目じゃ!』
一心は目を開けると、横にいるタバの姿を見た。目を閉じたままピクリとも動かないタバの姿。一心はそれを見て、「心の目を開いて光を見る」ために、再び目を閉じると精神統一に集中した。
(ナレーション;焦りと苦しみの中で、コンドールマンの心の戦いはつづいた)
まことの父・三矢堅介と石松は、腹を空かせている子供たちのために、学生時代の友人の実家からコメと野菜を手に入れることができた。それらを店の配達車に積み込むと、町へ向かって走り出した。
『たとえ、握りメシ一個でもいいんだ。子供たちはきっと喜んでくれるにちがいない!』
農道を走っていると、堅介たちの車の進路を妨害するように前方に車が出てきた。車内から男達が数名出てきて、堅介の配達車の後部ドアをいきなり開けてコメや野菜を降ろし始めたのだ。
『心配するな、金は払う』
『金なんかいらんよ。これはな、お腹を空かしている子供たちのものなんだ!』
すると、コンバット隊に姿を変えた男達は、抵抗する堅介と石松を始末しようとマシンガンを突きつけた。そこへ金満社長が現れ、マシンガンを突きつけるコンバット隊を大声で叱ると、堅介に向かってこう言った。
『待て、弾が勿体ない!・・・お前だな?ワシが買い占めているなどとデマを飛ばした新聞記者(ぶんや)は!』
「証拠がある!」と反論する堅介に、金満社長は何か謀(はかりごと)があるのか、何も言わずに堅介と石松を車に乗せて拉致するのだった。
一方、三矢家では、空腹のまことと母・陽子が堅介の帰宅を待っていた。少し前に、米と野菜が手に入ったという電話が堅介からあったのだ。「お腹へった」というまことのつぶやきに陽子が何かを作ろうにも、冷蔵庫の中はカラであった。ドアチャイムが鳴って、二人は急に元気が出た。
『パパだ!』
まことがドアを開けると、ドアの外にいたのは堅介ではなくコンバット隊だった。二人は拉致されてしまった。そして精神統一をしている最中の一心は、その気配を感じて目を開けてしまう。
『まことが危ないんだ。こんな所でジッとしていられない!』
『それほど死にたいか!』
タバ老人は、一心の心の乱れをよく解かっていた。
『聞け~ぃ!今乗り込めば、心の焦りから、おそらく無駄に命を落とすことになる。己が自身の邪念を振り払うことすらできぬ心の弱い人間に、人の命が守れるとでも言うのか。モンスターが倒せるか!』
はやる心を必死に抑えてタバ老人に従い、今はひたすら精神統一に打ち込む一心。顔中汗まみれになりながら必死に精神統一をする一心の心の中に、一条の光が見えた。光はだんだんと大きく太陽のような球体になり、その中心からこちらに向かって金色に輝く何かが飛んで来るのが見える。一心が見ているものは、タバ老人にも見えている。
『あれは?』
『ゴールデンコンドル。コンドールマンの10倍の超能力を持つ化身じゃ』
『あれほどの化身が、この体の中に秘められていると・・・』
『そのとおり。しかし、そのためにはいくつかの修行をしなければならぬ』
『修行?』
『さよう。天(てん)、地(ち)、人(じん)、この三つの修行。即ち、体力を作る人の修行。心を鍛える地の修行。そして、この二つを合わせた天の修行を終えた時、宇宙空間は己のものとなる』
《空間が己のものになる》とは、空を飛べる超能力を身に付けることが出来るということなのだ。
三人のコンバット隊は、三矢家から拉致したまことと陽子をサタンガメツク一味のアジトへと連れて来た。そこにはすでに、縄で縛られた父・堅介と石松がいた。
『あっ、まこと!』
『パパ!』
堅介の目の前でまことと陽子を痛めつけるよう、コンバット隊に指示するサタンガメツク。まこと達の様子がすべて見えている一心は、今は大いなる力を得る修行よりも自分を必要とする人達のために戦うことを優先するのだった。
『行くがよい』
『ありがとう、タバ』
一心はコンドールマンに変身すると、まこと達を救出するためにマッハコンドル号で急ぐ。
(ナレーション;コンドールマンは今、新たな闘志に燃えて宿敵サタンガメツクを倒すため、ひた走りに走った)
(終わり)
★★★★★★★★★★★★
三矢まことの父・堅介役を演じるのは、MATチームの南隊員役やキカイダー01のイチロー役でお馴染みの池田駿介氏である。いつもハツラツとして、正義感の強い役が多い氏。2010年6月にお亡くなりになっている。
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【前回までの話は・・・副都心の高層ビルの一室にある金満商事のオフィスに、奇襲攻撃をかけたコンドールマン。だが、逆にサタンガメツクによって、右胸に黄金の弾丸を撃ち込まれてしまうのだった。黄金の弾丸は特殊爆弾になっていて、爆発まで残り1時間。弾丸に塗られた毒が身体に回り自由が利かないコンドールマンは、力を振り絞って爆発の余波が出ないように山奥に隠れた。もう駄目かと思ったその時、そこにタバ老人が現れ、呪術によって一心の右胸から弾丸を取り除くと、追っ手に向かって投げつけた!】
◆黄金の弾丸を一心の右胸から取り出しコンドールマン捜索隊に投げつけた時に大爆発したことを、サタンガメツクは知らない。レーダーの光が消えたのはコンドールマンが爆死したものと思ったサタンガメツクは、安心して金満社長に姿を変えると、邪魔者が居なくなったことに満足してニンマリと笑っていた。
タバ老人は意識を失っている一心を背負い、林の中から抜け出て廃寺の庫裏に連れて行くと、横に寝かせた。タバ老人が右胸の傷口に薬草を当てていると、一心がうわごとを言っているのを聞いた。「焦るな、今は身体を休めるのだ」と言って、タバは傷を治すための呪文を唱えるのだった。
その頃、部下数名を連れた金満社長は、都内にある数件の米店を訪れていた。店主に自分の名刺を見せ、コメと麦を店ごと買い取りたいと金満は話す。そして、「金なら払う」と言って、セビロのポケットから十円玉1枚を出すとポトンと床に落した。呆気にとられた主人が文句を言うと、
『嫌なら、仕方がない』
金満と部下たちは、自分達の醜い正体を店主に見せるのだった。コンバット隊に銃口を向けられた店主は、驚いて身がすくんでしまう。だが、サタンガメツクは銃口を向けることを止めさせると、こう言った。
『弾丸を節約せぬか!』
サタンガメツクの毒爪が店主のノド元に食い込んで、悲鳴を上げながら店主は息絶えてしまった。
三矢一心が目を開けた。彼はすぐに自分の状況を把握すると、焦りを感じて立ち上がろうとした。だが、身体が回復していないため、バランスを崩して倒れ込んでしまう。タバ老人に抱き抱えられた一心は、タバに心の内を吐露した。
『今頃サタンガメツク一味が、皆を苦しめている。それが分っていながら・・・。タバ、悔しいんだ!俺にはモンスター一族から皆を守る使命がある。ヤツを倒せば、俺の体はどうなってもいいんだ!』
『落ちつけ!こうして焦る心が、冷静な判断を狂わせるのだ。それこそ、モンスター一味の思うつぼじゃ。まず、はやる気持ちを抑えるのじゃ。そして己自身と戦い、それに勝たねばならぬ』
タバ老人と一心はこの廃寺の一室に閉じこもり、目を閉じて座禅を組みながら並んで座った。
『雑念を払い、精神を統一するのじゃ。さすれば、闇の中に光が見える』
『・・・何も見えない!』
『心の目じゃ!』
一心は目を開けると、横にいるタバの姿を見た。目を閉じたままピクリとも動かないタバの姿。一心はそれを見て、「心の目を開いて光を見る」ために、再び目を閉じると精神統一に集中した。
(ナレーション;焦りと苦しみの中で、コンドールマンの心の戦いはつづいた)
まことの父・三矢堅介と石松は、腹を空かせている子供たちのために、学生時代の友人の実家からコメと野菜を手に入れることができた。それらを店の配達車に積み込むと、町へ向かって走り出した。
『たとえ、握りメシ一個でもいいんだ。子供たちはきっと喜んでくれるにちがいない!』
農道を走っていると、堅介たちの車の進路を妨害するように前方に車が出てきた。車内から男達が数名出てきて、堅介の配達車の後部ドアをいきなり開けてコメや野菜を降ろし始めたのだ。
『心配するな、金は払う』
『金なんかいらんよ。これはな、お腹を空かしている子供たちのものなんだ!』
すると、コンバット隊に姿を変えた男達は、抵抗する堅介と石松を始末しようとマシンガンを突きつけた。そこへ金満社長が現れ、マシンガンを突きつけるコンバット隊を大声で叱ると、堅介に向かってこう言った。
『待て、弾が勿体ない!・・・お前だな?ワシが買い占めているなどとデマを飛ばした新聞記者(ぶんや)は!』
「証拠がある!」と反論する堅介に、金満社長は何か謀(はかりごと)があるのか、何も言わずに堅介と石松を車に乗せて拉致するのだった。
一方、三矢家では、空腹のまことと母・陽子が堅介の帰宅を待っていた。少し前に、米と野菜が手に入ったという電話が堅介からあったのだ。「お腹へった」というまことのつぶやきに陽子が何かを作ろうにも、冷蔵庫の中はカラであった。ドアチャイムが鳴って、二人は急に元気が出た。
『パパだ!』
まことがドアを開けると、ドアの外にいたのは堅介ではなくコンバット隊だった。二人は拉致されてしまった。そして精神統一をしている最中の一心は、その気配を感じて目を開けてしまう。
『まことが危ないんだ。こんな所でジッとしていられない!』
『それほど死にたいか!』
タバ老人は、一心の心の乱れをよく解かっていた。
『聞け~ぃ!今乗り込めば、心の焦りから、おそらく無駄に命を落とすことになる。己が自身の邪念を振り払うことすらできぬ心の弱い人間に、人の命が守れるとでも言うのか。モンスターが倒せるか!』
はやる心を必死に抑えてタバ老人に従い、今はひたすら精神統一に打ち込む一心。顔中汗まみれになりながら必死に精神統一をする一心の心の中に、一条の光が見えた。光はだんだんと大きく太陽のような球体になり、その中心からこちらに向かって金色に輝く何かが飛んで来るのが見える。一心が見ているものは、タバ老人にも見えている。
『あれは?』
『ゴールデンコンドル。コンドールマンの10倍の超能力を持つ化身じゃ』
『あれほどの化身が、この体の中に秘められていると・・・』
『そのとおり。しかし、そのためにはいくつかの修行をしなければならぬ』
『修行?』
『さよう。天(てん)、地(ち)、人(じん)、この三つの修行。即ち、体力を作る人の修行。心を鍛える地の修行。そして、この二つを合わせた天の修行を終えた時、宇宙空間は己のものとなる』
《空間が己のものになる》とは、空を飛べる超能力を身に付けることが出来るということなのだ。
三人のコンバット隊は、三矢家から拉致したまことと陽子をサタンガメツク一味のアジトへと連れて来た。そこにはすでに、縄で縛られた父・堅介と石松がいた。
『あっ、まこと!』
『パパ!』
堅介の目の前でまことと陽子を痛めつけるよう、コンバット隊に指示するサタンガメツク。まこと達の様子がすべて見えている一心は、今は大いなる力を得る修行よりも自分を必要とする人達のために戦うことを優先するのだった。
『行くがよい』
『ありがとう、タバ』
一心はコンドールマンに変身すると、まこと達を救出するためにマッハコンドル号で急ぐ。
(ナレーション;コンドールマンは今、新たな闘志に燃えて宿敵サタンガメツクを倒すため、ひた走りに走った)
(終わり)
★★★★★★★★★★★★
三矢まことの父・堅介役を演じるのは、MATチームの南隊員役やキカイダー01のイチロー役でお馴染みの池田駿介氏である。いつもハツラツとして、正義感の強い役が多い氏。2010年6月にお亡くなりになっている。
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