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コンドールマン(7) [コンドールマン・ドラマ1]

今回は、第4話《輝け!ゴールデンコンドル / 前編》を取りあげます。

企画;愛企画センター
原作;川内康範
脚本;伊東恒久
音楽;鈴木邦彦
擬斗;金田 治(JAC)
造形デザイン;成田マキホ 平田昭吾
特撮;㈱特撮研究所
監督;奥中惇夫

【前回までの話は・・・日本人を飢え死にさせようとサタンガメツクが食料品の買占めを始めたため、日本国民は窮していた。ビタミン不足で目を患った三矢まことのために農家からミカンを手に入れた母・陽子を追って、用心棒怪人ダンガンマーが三矢家に押し入ってきた。だが、コンドールマンが現れ、必殺技スリー・クッション・キックで見事にダンガンマーを倒したのだ】

(ナレーション;コンドールマンは、モンスターの姿を求めてマッハコンドル号を走らせた)

ここは、新宿副都心の高層ビル群の中にある金満商事のオフィスである。今、金満社長は、社員たちに向かって訓示を述べている。

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『日本人飢え死に作戦は、着々と進んでいる。しかし、我らモンスター一族に、たった一人刃向かうヤツがいる。(1個の弾丸をセビロのポケットから出して)ダンガンマーが死に際に残した黄金の弾丸。タダで黄金をやるのは惜しいが、コンドールマンの命と引き換えなら止むを得ん』

この金満商事のオフィスを探し出したコンドールマンは、ここを襲撃した。

『そうはいかんぞ!』

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オフィスのドアが開き、突然コンドールマンが現れたので、金満社長も社員たちも慌てた。コンドールマンの両眼が光ってコンドールアイが放射され、金満たちは醜い姿の怪人と戦闘員に姿を変えた。

すぐに戦闘員(魔人コンバット)たちのマシンガンがコンドールマンを狙ったが、素早い動きでそれをかわしたコンドールマンは、狭いオフィス内を縦横無尽に動いて戦闘員達を次々と倒していった。サタンガメツクは逃げる振りをして、自分のデスクの下にあるボタンを足で踏んだ。すると、壁に飾られた額の絵が落ちて、隠れていた銃口がコンドールマンを狙い撃った。しかし、それを見越していたかのようにジャンプしたコンドールマンは、サタンガメツクの背後に回ると左腕を決めながら言った。

『サタンガメツク!多くの人達を苦しめたな!今こそ、天の報いを受けろ!』

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そう言って、コンドールマンはサタンガメツクを右足で蹴り上げた。蹴られた拍子に再び自分のデスクまで吹っ飛んだサタンガメツクは、両手を上げて「降参する!」と叫ぶのだった。だが、その行動とは裏腹に、コンドールマンの位置からは見えないデスクの天板の下では、腹部に開いた口からヌーッと伸びた青い手が、デスクの脚に付いている赤いボタンを押していた。

すると、デスクの正面に隠された5本のマシンガンの銃口が一斉に火を吹き、その中の一発がコンドールマンの右胸に撃ち込まれた。コンドールマンは念力波と呼ぶ光線で反撃したが、死に至る程の攻撃では無かったため、隠しトビラを使ってサタンガメツクは隣の部屋へと逃げていく。コンドールマンもすぐその後を追ったが、追い込んだ部屋には誰もいない。部屋からサタンガメツクの声が響いてきた。

『コンドールマン、よく運動してくれたな!これで弾丸は完全に食い込んだわ!良いことを教えてやろう。お前の胸の弾丸には、俺様の毒素のほかに特殊な爆薬が仕込んである。爆発は1時間後。貴様の死体に会うのが楽しみだわ!アハハハハ』
『出てこい!サタンガメツク』

壁の時計を見ると、長針は正午を指している。(1時間後・・・)時間を気にしたコンドールマンは、右胸を押さえながら部屋をあとにした。コンドールマンが部屋から居なくなったことを確かめると、サタンガメツクはその部屋の隅に静かに姿を現した。カメレオンのように保護色を使って、隠れていたのだ。サタンガメツクは、すぐに指令を出した。

『魔人コンバット第一、第二部隊に告ぐ。コンドールマンを追跡し、死体を確認しろ!ヤツは北北西に向かっている!』

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サタンガメツクの腹の口が開いて、レーダーのように光が点滅している。その光は、コンドールマンの右胸に撃ち込んだ黄金の弾丸の位置を示しているのだ。

『この光が消えた時、ヤツはボォーン!アハハハハ』

その頃、コンドールマンはマッハコンドル号を走らせて、胸の爆弾が爆発した時に被害が出ないように、人里離れた山の中へと向かっていた。だが、林に差し掛かった所で魔人コンバット部隊に急襲され、行く手を塞がれたコンドールマンはマッハコンドル号から降りて戦うことに。

コンバット隊員を全員倒したものの、弾丸に塗られた毒素が全身に回り始めて、コンドールマンの動きは急激に鈍った。肩で息をしながら動けなくなることを悟ったコンドールマンは、マッハコンドル号を置いたまま、林の中を早足で歩いていく。足がもつれて仰向けに倒れ込んだコンドールマンは、これ以上エネルギーを消耗しないように三矢一心の姿になった。

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『もう駄目だ・・・』
『ヤツめ、遂に力尽きたか。あとは時間の問題だ。世話を焼かせやがって!これで、安心してコメや麦を買い占められる!』

コンドールマンの動きが完全に停止したことを腹部のレーダーが示すのを見て、サタンガメツクはそう判断した。サタンガメツクは、東京中に残っている米と麦を完全に買い占めるよう、買占め部隊に指示を出した。そして、時計を見ながら「あと5分!」と言うと、サタンガメツクはほくそ笑んだ。

一方、苦しい息の下で三矢一心は、三矢まことの笑顔を想った。一心は残り少ない力を振り絞ると、フラフラになりながら、より林の奥へと進んで行った。サタンガメツクが送り込んだ捜索隊がすぐ近くまで迫っていることを、彼はまだ知らない。

『死にたくない・・・ここで死ぬわけにはいかない!』

突然一心の目の前に、白い服装の何者かが立ち塞がった。恐る恐る一心が顔を上げると、そこに立っているのはタバ老人であった。

『タバ老人・・・』

タバは声を出さずにニコリと笑顔を作ると、ゆっくりと一心に近づいた。そして杖を地面に置くと、一心の体を静かに抱き起した。一心は、早口で言った。

『弾丸が胸に・・・時間が無いんだ』

その言葉にうなずくと、タバは一心の右胸に自分の左の掌を当てて呪文を唱え始めた。呪文を唱え始めてから程無くして、マシンガンを持った捜索隊がふたりに近づいてきた。捜索隊はタバ老人を見ると、その背後から大声で呼びかけた。

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『おい!そこのジジイ!何をしている?』
『・・・&%#△〇※☆、でぇ~い!』

呼びかけるのとほぼ同時に、タバ老人の左手には一心の右胸から吸い出された黄金の弾丸が握られていた。そして、タバは捜索隊の連中に向かって、振り向きざまにその弾丸を投げつけた。

『やった!消えたぞ。遂にコンドールマンをぶっ飛ばしてくれたわ、アハハハハ』

腹部のレーダーから光が消えたのを観て、金満商事のオフィスでサタンガメツクはそう思った。

『これで、我らモンスター一族の思いのままだ。見てろ!今に日本人どもをミイラのように飢え死にさせてくれるわ!』
(つづく)


★★★★★★★★★★★★
救世主タバ老人を演じているのは、ご存じレインボーマンで聖者ダイバダッタを演じた井上昭文氏である。残念ながら2013年1月にお亡くなりになっている。享年85



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