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コンドールマン(1) [コンドールマン・ドラマ1]

今回は、第1話《コンドールマン誕生 / 前編》を取りあげます。

企画;愛企画センター
原作;川内康範
脚本;伊東恒久
音楽;鈴木邦彦
擬闘;金田 治(JAC)
特撮;㈱特撮研究所
監督;松島 稔

【主な登場人物】
・三矢一心(みつやいっしん;主人公で平和を愛する日本人青年。平和運動団体「世界の
      旗」のメンバー)
・コンドールマン(命を落とした三矢一心の愛と正義の心に、古代ムー帝国の守り神ドラ
         ゴンコンドルとゴールデンコンドルの超能力が合体して生まれた正義
         のシンボル)
・三矢まこと(一心の姪で、一心を兄のように慕っている)
・タバ老人(古代ムー人の末裔で呪術師、超能力者。コンドールマン誕生に力を貸す)
・モンスター一族(キングモンスターを首領とする人間の欲望が生み出した怪物たち)
・三矢源太郎とたみ子(一心の両親、食料品店経営)
・岩田石松(一心の弟分、通称ガン)

(ナレーション;今地球は、その惑星(ほし)に住む一部の人間たちによって汚され続けている。光は陰り大地は砕かれ、そして海は死んだ。これらはすべて、自分の利益だけを求める人間たちの仕業であった。そして、この醜い人間の欲望から、モンスター一族が生まれ出た。ゼニクレージー、ゴミゴン、スモッグトン・・・ここは、ニューヨークの摩天楼の一室。今モンスター一族は、密かに大魔王の元に集結した)

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(帝王キングモンスター)

『予は汝らの帝王、キングモンスターだ。今こそ、人間どもを叩きつぶす絶好のチャンスだ!ただちに、人類征服作戦にかかる!』

その一室に集まった怪物たちは、キングモンスターに忠誠を尽くして叫ぶ。

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(モンスター一族の幹部たち)

『ハールマゲドン!』

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(左;タバ老人 右;三矢一心)

アメリカ・ネバダ州の奥地に、死の谷と呼ばれる人跡未踏の地がある。今一台のジープがマシンガンの連射を懸命に避けながら、道なき道を走っていた。そのジープに乗っているのは、平和運動団体「世界の旗」のメンバーで日本人青年の三矢一心、そしてタバ老人であった。この二人を殺そうとマシンガン掃射している男達は、謎の国際テロ団である。

話は、一週間前にさかのぼる。国連事務局次長のキムトン氏が、講演中に何者かによって暗殺されてしまった。キムトン氏は世界平和会議準備の為に日本を訪れ、彼を招いたのは平和運動団体「世界の旗」のメンバー・三矢一心であった。キムトン氏は壇上で三矢一心を紹介しようとして撃たれ、その後数発の弾丸を背に受けながら三矢一心を守って倒れた。三矢一心にとってキムトン氏は命の恩人であり、キムトン氏の命を奪ったあの男を絶対に逃がすわけにはいかないのだ。

『キムトンさんは、撃たれながら俺をかばってくれた。あの顏は決して忘れない。地の果てまで追い詰めてやる!』

タバ老人を道案内人として、三矢一心はアメリカのネバダ州まであの男たちを追跡してきた。あと少しで奴らを追い詰めることが出来ると思った時、逆襲を受けてジープは横転、爆発してしまった。三矢一心とタバ老人はジープを捨てて、奴らが逃げて行く「死の谷」を目指して歩いた。タバ老人は、忠告した。

『ミスター・三矢、これ以上は危険だ!この先は「死の谷」と言って、インディアンはおろかケダモノも近づかぬ危険な場所だ』

崖下にテロ団たちがいるのを見つけた一心は、タバ老人と共に死の谷に向かって崖を下りて行こうとした。するとその時、一機の戦闘機が一心達の方に向かって飛んで来るのが見えた。乗っているのはジョージ黒田と言う男で、この男は一心が追っている国際テロ団を陰で操るモンスター一族の一人なのだ。ジョージ黒田は、爆弾のボタンを押す瞬間にこう言った。

『殺し屋ども、ご苦労だったな。最後はマヌケな日本人共々、実験動物になってもらおう』

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(マッドサイエンダー)

一個の爆弾が戦闘機から落とされ、巨大な炎を上げて爆発した。その映像をニューヨーク摩天楼の一室で見ているのは、モンスター一族だ。この爆弾を造ったのはマッドサイエンダーである。ただの禿げオヤジのような姿だが、悪いことをする為に使う武器の製造や人間を脅かす作戦を考えるのが大好きな怪人だ。幹部の怪人達はその映像を観て、爆弾の破壊力に拍手喝さいをした。キングモンスターが言った。

『我々は人類を征服する。だが、その前に思う存分人類を痛めつけ苦しめなければ、楽しみは無い!妨害、戦争、犯罪など、あらゆる悪の種をばらまいてやるのだ!行け、モンスターども!』

タバ老人のとっさの気転で洞窟へ逃げ込んだため難を逃れた二人に対し、荒野を逃げていたテロ集団の二人は、哀れにも地面にヒト型を残して死んだ。

ジョージ黒田にとって、テロ集団は単なる手足に過ぎない。戦闘機が去ったのを見計らって洞窟から出て来た三矢一心とタバ老人は、テロ集団たちの哀れな姿を発見した。

『追っていたやつらだな・・・』
『酷いマネを・・・やはりテロ団の背後には、とてつもなく大きな悪がいた。そいつらが、テロ団と俺たちを爆弾のモルモットにしたにちがいない。こんなマネをする奴は、人間じゃ無い!』

突然、タバ老人は何かを感じ取った。静かにするよう一心に言うと、ある方向に向かい早足で歩き出した。タバ老人の後を付いて行き一心が見た物は、いままでに見たことの無い生物であった。タバ老人は、静かに言った。

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(守り神ドラゴンコンドル)

『ドラゴンコンドル・・・さっきの爆発で、傷ついたのだ』
『ドラゴンコンドル?』

(ナレーション;ドラゴンコンドルとは、古代ムー帝国の守り神としてムー大陸と共に海中深く没したと言われる幻の怪鳥であった)

どうやらドラゴンコンドルは、さっきの爆弾の爆発で傷ついたようなのだ。そこへ、去ったと思った戦闘機が再び現れた。ジョージ黒田は、タバ老人と三矢一心がまだ生きていることに気がついた。

『あいつら、生きている!おのれ!』

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(サドラー)

ジョージ黒田は冷酷怪人サドラーに姿を変えると、二人を抹殺しようとマシンガンのボタンに指を添えた。二人は傷ついたドラゴンコンドルを両脇から抱えると、戦闘機からの攻撃を避けるために、ひとまず岩陰に身を隠した。だが、ドラゴンコンドルがいた場所には、長さが50センチはある巨大な卵が残されていた。ドラゴンコンドルは、抱えるようにしてそれを温めていたのだ。それに気づいた一心は、ドラゴンコンドルをタバ老人に預け、自分は卵を取りに飛びだして行った。

だが、そこへ冷酷なサドラーの操縦する戦闘機が、急降下しながら一心めがけてマシンガンを連射してきた。右足を撃ち抜かれた一心は、右手に卵を抱えたまま左足を必死に動かして、地面を這って進んでいた。

ドラゴンコンドルをひと足先に岩穴へ連れて行ったタバ老人は、一心の様子を見に行ってその姿に驚き、すぐに肩を貸して岩穴の入口までようやくたどり着いた。一心は大量に出血しながらも、大事に卵を抱えていた。タバ老人はその卵を一心から大切に受け取ると、ゴールデンコンドルに渡した。それを見た一心は、バタリと倒れてしまう。

『しっかりしろ、一心!』
『たまごは・・・』

タバは一心を抱いて頭を手で優しく持ち上げると、ゴールデンコンドルの方に向けてやった。そこには、感謝するような目のゴールデンコンドルの姿があった。それを見た一心は、無念の胸中を吐露する。

『残念だ、このまま死にたくない。初めて巨大な悪の一部を見たというのに、このまま何もしないで死ぬなんて・・・残念だ』

そう言うと、タバの胸の中で三矢一心は息を引き取った。

『惜しい若者を・・・』

すると突然卵が割れ、一心の命と引き換えるかのように卵から金色のまばゆい光を放つゴールデンコンドルが誕生した。息を呑むようにして見つめていたタバ老人は、つぶやいた。

『おぉ、なんとすばらしい・・・』
(つづく)


★★★★★★★★★★★★
合成鳥人コンドールマンは三矢一心の姿をしてはいるが、心は一心ではない。一心の持つ正義の心はあるが、一心であった時の記憶は一切無い。例えて言えば、ハヤタではなくモロボシ・ダンである。地球上で活動するための姿を薩摩次郎に借りたように、コンドールマンは三矢一心の姿を借りているのだ。



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