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快傑ライオン丸(42) [ライオン丸・ドラマ5]

今回は、第46話《暗闇の琵琶法師 怪人ノイザー・前編》を取りあげます。

原作;うしおそうじ
脚本;田村多津夫
企画;うしおそうじ 別所孝治
音楽;小林亜星
殺陣;渡辺高光
監督;大塚莞爾

【前回までの話は・・・ゴースン配下の怪人の中で、錠之介にとってただ一人の親友ハンザキが、ゴースン八人衆第二の刺客として送り込まれてきた。錠之介の裏切りは獅子丸にそそのかされたからであり、獅子丸さえ倒せばゴースンの怒りは収まると、ハンザキは信じていた。一方、錠之介は怪人ギララとの戦いで象牙を紛失していた。そのため、是が非でもハンザキが持つ象牙を欲していた。錠之介は、親友ハンザキを騙してまで象牙を奪う行動に出る。そして、ライオン丸がハンザキを倒した頃、錠之介は奪ったその象牙を必死に磨き上げていた・・・】

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◆武士の娘・ゆうは、兄と弟・鉄之助と共に、硫黄谷の父の元を訪ねる旅の途中であった。茶屋で休憩をしていたこの三人の年恰好は、獅子丸・沙織・小助にとても良く似ていた。茶屋を出発して旅を続けるこの三人に、姿を見せない何者かが琵琶を奏でながら脅迫した。

『獅子丸よ、お前の命はもらったぞ。獅子丸よ、お前の最期の時は近づいたぞ』
『何者だ、出て参れ!卑怯だぞ、姿を現せ!』

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ゆうの兄は勇気ある武芸者で、見えない敵に姿を現すよう叫んだ。すると、前方数メートルの所に、全身青い色をした怪人ノイザーが現れた。ノイザーはヤリや鉄砲といった武器は持たず、弦楽器・琵琶を武器としていた。不思議な音色のこの琵琶を奏でながら、ノイザーは言った。

『獅子丸!三途の川の送り歌を、聞かせてやるわ!ゆっくりと聞くがいいぜ!』

そう言って、怪人ノイザーは琵琶を弾くためのバチを投げ、ゆうの兄の首に刺した。兄は即死であった。それを見た弟の鉄之助は、兄の仇と怪人に向かって行くが、短刀二本が胸に刺さり、命を断たれてしまうのだった。

ひとり残ったゆうにノイザーは琵琶の音色を聞かせると、ゆうは耳を押さえ頭を抱えながら、のけぞるようにして倒れてしまう。その様子を見ていた旅人ふたりが茶屋に飛び込んできて、茶屋のオヤジに訴えるように叫んだ。

『たいへんだ!バケモノだ!この先で獅子丸とかいう三人連れが、殺されただ!』

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同じ茶屋で休んでいた獅子丸たちは、飛び込んできた旅人たちの話を耳にすると、急いで現場へ向かった。現場には娘がひとり、無言で何かをしていたが、若い武士と子供はすでに事切れていた。

『私達と間違えられたんだわ、この人達!』

ひとりだけ助かった娘・ゆうに、沙織は声をかけてみた。名前や行き先を訊ねてみたが、娘は自分の着物の袖を無言でいじっているだけで、何も答えようとはしなかった。沙織はその様子を見て、「目の前で大きな衝撃を受けたために、気が違ってしまったのだ」と判断した。

『兄さんと弟をいっぺんに殺されたんだ、無理も無いよ』

獅子丸も同感だった。この気の毒な娘をこのまま放っておくわけにはいかないと、獅子丸も沙織も思った。茶屋で、この三人が硫黄谷へ行くと話していたことを思いだした獅子丸は、娘の持ち物を持ち、沙織は誘導するようにゆうの手を引いて、ゆっくりと歩き始めるのだった。

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一方、錠之介は、親友ハンザキから奪い取った象牙を川の水で洗ってよく磨き上げると、それを二メートル程の長さの木の棒の先にくくりつけて、ヤリとして使えるようにした。出来上がった象牙のヤリを携えた錠之介は、獅子丸よりも先にゴースンを倒すことを心に誓った。

『行くぞ、ゴースン!この象牙のヤリで、みごと、貴様の心の臓を刺し貫いてみせるわ!』

怪人ノイザーの隠れ家へ、配下のドクロ仮面とドクロ忍者数名がやって来た。ドクロ仮面はノイザーに報告した。

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『申し上げます。峠の兄妹の屍骸、あれは獅子丸のものではございませぬ。獅子丸は、ちょうど今、峠を通ったところでございます』
『獅子丸ではないと・・・そうか、人違いであったか』

ドクロ仮面は、裏切り者・錠之介も獅子丸の後を追って峠を通る可能性があると、報告した。怪人ノイザーは武器の琵琶を持ちだすと、人違いで撃ち漏らした獅子丸と後から来る錠之介を峠で待ち伏せて、ふたりまとめて仕留めてやると意気込むのだった。

『こいつは面白い。いよいよ、我が秘術をお目にかけるとするか!』

街道を外れたケモノみちを、象牙のヤリを携えて錠之介が走って行く。その先で待ち伏せているドクロ仮面とドクロ忍者たちは、一斉に錠之介にボーガンを発射した。錠之介は、飛んで来るボーガンを象牙のヤリですべて叩き落とすと、今度はそのヤリで次々とドクロ忍者たちを突き刺していった。だが、最後に待っていた怪人ノイザーの琵琶の音色が、錠之介に襲いかかった。

『錠之介!貴様のヤリさばき、なかなか見事!だが、ゴースン八人衆のひとり・ノイザー様だ、そう簡単には行くまい!』

ノイザーの琵琶の音色が、錠之介の脳を狂わせていく。必死に耳をふさいで音色を聞かぬようにする錠之介だが、無駄であった。

偶然にも、ノイザーと錠之介が戦っていた場所に近い街道を、獅子丸一行は歩いていた。一行は、かすかに聞こえてくる不思議な琵琶の音色に遭遇し、ゆうはこの音色を聞いた途端、耳をふさぎながら走り出してしまう。沙織と小助はゆうの後を追って走り、獅子丸はこの音色を不審に思い、音のする方向へ向かうのだった。すると、その先にいたのは、錠之介であった。

声を掛ける獅子丸に、持っていたヤリでいきなり攻撃する錠之介。ゴースンを倒そうとする同盟関係にある獅子丸と錠之介は、もはや相手を攻撃するような関係には無い。

《錠之介!タイガージョーとなって、獅子丸を倒せ!》
『・・・タイガージョー、推参!』

どうやら錠之介は誰かに操られているらしいと、獅子丸は思った。

《あの琵琶の音色で、狂わされているのか?》
『・・・ライオン丸、見参!』

獅子丸はライオン丸に変身して、タイガージョーの力を封じるより他に方法が無かった。この音を出している者がタイガージョーを操っているに違いない、とライオン丸は思った。だが、その者はいったい、どこにいるのか。

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一方、突然走り出したゆうの後を追いかけて行った沙織と小助は、大木に寄りかかって琵琶を弾いている怪人を偶然発見する。小助は、自慢の爆弾をその怪人めがけて投げつけてやった。

爆発と同時に怪人は姿を消し、タイガージョーは糸の切れたあやつり人形のようにフラフラと倒れると、崖から転落していった。転落したショックで正気に戻ったタイガージョーとライオン丸に、姿なき声はこう告げていた。

『とんだ邪魔が入ったが、この次はそうはいかんぞ!獅子丸、錠之介、このノイザーがお前達を必ず倒す!』
(つづく)


★★★★★★★★★★★★
ノイザーに操られている状態のタイガージョーは、目が真っ黒に表現されていた。



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