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快傑ライオン丸(32) [ライオン丸・ドラマ4]

今回は、第39話《怪人キチク 悪の念仏・前編》を取りあげます。

原作;うしおそうじ
脚本;山崎晴哉
企画;うしおそうじ 別所孝治
音楽;小林亜星
殺陣;渡辺高光
監督;大塚莞爾

【前回までの話は・・・師匠・果心居士が残した覚書に書かれた六名の人物を探し出し、ゴースンの秘密を探る旅を始めた獅子丸たち三人は、相模国で最後に残った白垣幽斎との対面を果たした。幽斎はゴースンに敵対する獅子丸を倒す決意をし、ワナにかけて獅子丸を追い詰めた。そして、死に向かう獅子丸に、ゴースンの秘密《巨大身変化》の話をした。だが、獅子丸は《仮死の術》でこのワナを切り抜け、怪人タツドロドに変身した幽斎を見事倒した。ゴースンの秘密を知るもう一人の人物・桃雲斎に会うため、獅子丸たちは甲斐国へ向かった・・・】

(ナレーション;獅子丸たちは、ゴースン巨大身変化の秘密を握るただ一人の男・桃雲斎を求めて、甲斐への道を急いでいた。桃雲斎は、大魔王ゴースンの兄だという。その兄から、弟の秘密を聞きだすことができるであろうか)

甲斐国と書かれた一里塚(路程標)を見て、心が躍る小助と沙織。

『いよいよ、ゴースンの秘密が分かるんだね!』

だが獅子丸は、ゴースン島で見たあの巨大なゴースンの姿を思い出していた。島を破壊して中から出現した巨大なゴースンの前に、ライオン丸は手も足も出なかった。その苦い思い出がよみがえり、不安がよぎった。(あの巨大なゴースンに、本当に勝つことができるだろうか。《巨大身変化》の秘密とは、一体何だろうか)

甲斐国に入り、鷹取城へと向かう三人は、途中で女性の叫び声を聞き付けてその現場へ急行した。三人がそこで見たものは、気を失った若い村娘の首筋に噛みつこうとしている怪人の姿であった。

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獅子丸は怪人の背に手裏剣を投げ、注意をこちらへ向けさせた。そして振り向いた怪人キチクに、獅子丸は太刀で斬りつけた。だが、何度切りつけても、相手はびくともしない。この怪人は不死身なのか。数珠を手にかけ、念仏を唱える怪人キチク。

『ナマンダブ、ナマンダブ』

先端が刃物になっている刺股(さすまた)を振り上げて、平気な顔で立っている怪人に、小助は得意の爆弾を投げつけた。すると、怪人はひるみ、勝負を預けてどこかへ去って行った。怪人は去り際に、獅子丸の名を訊ねていた。ゴースン配下の怪人ならば、獅子丸のことは知っているはずである。正体がよく解からないあの怪人を、獅子丸は警戒した。

怪人が去って安心した沙織は、小助と共に助けた村娘の八重を送り届けるからと言って、先に城下へ入るよう獅子丸に勧めるのだった。だが、正体不明のあの怪人が、いつまた襲ってくるかもしれない。獅子丸は、ふたりに任せることに一抹の不安を感じていた。

ふたりと別れた獅子丸が、沿道の神社で祈願をしていると、その後ろから鋭い視線を投げかける者がいた。獅子丸が振り返ると、虎錠之助がそこにいた。幽斎との戦いの時、獅子丸は錠之介に助けてもらった借りがあった。
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『この間は、助けてもらった。礼を言いたい』
『待て!礼を言うな。俺はゴースンの配下だ。貴様の命を狙っているんだ!』
『これ以上、俺はお前と争いたくはない』
『そうはいかん。今日こそは、決着をつけるぞ!』

獅子丸は、錠之介が好きであった。好敵手であるが、汚い手は決して使わない真剣勝負を望む相手・錠之介と争って、失いたくはなかった。

『錠之介!お前も、早く悪の仲間から足を洗え!』
『バカな!今更、ゴースンを裏切れるか!・・・来い、獅子丸!』

錠之介の心のどこかに、ゴースンの命令で動いている自分に迷いが生じていることが、このような言葉を吐かせたのかもしれない。

太刀を抜いた錠之介に、獅子丸も太刀を抜いて応戦した。誰もいない、ただ風が吹く荒野で、ふたりは戦った。この広い荒野で聞こえるのは、太刀と太刀がぶつかる金属音か、一方の太刀が空を切る音だけであった。錠之介が変身すると、獅子丸も変身した。

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『タイガージョー、推参!』
『ライオン丸、見参!』

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ふたりの剣士が、命を賭けて戦っている。この荒野には、切り立った崖と平地が広がっているだけだ。ふたりの剣士は、縦横無尽にこの荒野を動き回って戦っていた。突然、タイガージョーが崖下へ向かって、大きくジャンプした。今タイガージョーから見ると、十数メートル崖上にいるライオン丸を見上げる形になっている。

(飛べ、ライオン丸!魔剣ハヤブサ斬りで、貴様を倒す!)そう心の中で、タイガージョーは叫んだ。

(ナレーション;魔剣ハヤブサ斬りとは、飛行する相手の一番速度の遅くなる一瞬を狙って斬る、タイガージョーの秘剣なのだ)

ライオン丸はひと呼吸置いて、タイガージョーに向かってジャンプし、斬り込んでいった。と、その時である。反対側の崖に隠れていたドクロ忍者たちが、一斉にボーガンを放った。ライオン丸は、とっさに飛んで来る矢を太刀で叩き落としたが、そのうちの一本が左腕に刺さっていた。痛みのため落下し、地面に激突したライオン丸。

魔剣ハヤブサ斬りのポーズを取っていたタイガージョーは、驚いてライオン丸の前に立ちはだかり、かばうのだった。

『貴様たち、一体何をする気だ!』
『タイガージョー様をお助けして、ライオン丸を倒すようにとの、ゴースン様のご命令です。及ばずながら、助太刀を』

そう話すのは、ドクロ忍者たちを束ねるドクロ仮面であった。

『助太刀無用!手を引け、ドクロ仮面!』

タイガージョーは、真剣勝負の邪魔をしたドクロ仮面に苛立っていた。

『ジョー様、そこをおどきください。私が、ライオン丸めをフッ飛ばします!』
『貴様!下忍の分際で、出過ぎるぞ!』

ドクロ仮面は、タイガージョーの後ろにいる怪我をしたライオン丸に、用意した大砲の照準を合わせた。

『おどきください、ジョー様。おどきにならないと・・・』
『どかないと、どうする?』
『仕方がありません。死んでもらいます!』

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ドクロ仮面の左手には、火の点いた松明があった。
(つづく)


★★★★★★★★★★★★
ドクロ仮面役の仮面から見える目と鼻が、ウルトラセブンのクラタ隊長役で知られる南廣氏に似ているが、まったくの別人である。




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