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快傑ライオン丸(26) [ライオン丸・ドラマ3]

今回は、第32話《ガマウルフ 覚え書の秘密・後編》を取りあげます。


【前回までの話は・・・ 母親が死んだあとの由比の様子がおかしいと、獅子丸と沙織に説明する比企衛門。「果心覚書」は由比の妄想の産物ですと言って、比企衛門はその存在を否定するのだった。だが、由比と話をしたことのある獅子丸も小助も、比企衛門の説明に納得いかないものを感じていた。帰り途、三人は辻斬りの現場に出くわし、そこに落ちていた印籠が比企衛門の持ち物だとのちに分かったことから、三人の疑惑の目は比企衛門へ向いていく・・・】

◆『獅子丸兄ちゃん、しっかりして!オイラが分かるかい?』
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ある農家で、獅子丸は布団に寝かされていた。ガマウルフとの戦いのあと意識を失った獅子丸を、沙織と小助が近くの農家まで運び、頼み込んで休ませてもらっていたのだ。今ようやく目を開けた獅子丸は表情もしっかりしており、ゆっくりと口を開いた。

『どうしたんだ、俺は?』
『ガマウルフの毒に、やられちまったんだよ』

小助にそう言われ、獅子丸の記憶も徐々に戻ってきた。ガマウルフとの戦いで、怪人の口から吐く霧状の毒を吸った獅子丸は、身体の自由が利かなくなって倒れたのだ。

『それで、由比さんは?』
『まだ行方は、分らないわ』
『比企衛門さんは、どうだった?』
『あれから、獅子丸さんに言われたとおりに見張っていたんだけど・・・』

比企衛門が出かける支度をして庭へ降りたあと、姿が見えなくなったと沙織は言った。

『消えた?・・・』
『そうだ!あの時大きなヒキガエルが、庭石の方へ跳ねて行くのをオイラ見たんだ!』

遠くを見るように宙を見つめていた小助は、大声でそう叫んだ。まさか、比企衛門がガマウルフでは・・・という疑念が、三人の脳裏に浮かんだ。

『オイラ、ウソなんか言ってないよ!』
『そうだ。ウソを言っているのは、比企衛門だ!ヤツはゴースンの一味なんだ。由比さんの言う通り、果心覚書は必ずある!』

他にも何かを知っている由比が、屋敷にいては都合が悪くなるので、比企衛門がどこかに連れ去ったに違いないと、獅子丸は思った。

『自分の娘なのに、なぜ?』(沙織)
『たとえ自分の娘であろうと、都合が悪くなれば容赦はしない!』(獅子丸)

このままでは由比の命が危ないと、獅子丸も小助も思った。以前に由比と約束したとおり、小助は形見の笛を吹いてみることにした。農家を出て笛を吹いていると、山の方から光がキラキラと反射して光っているのが、小助の目に飛び込んできた。これは何かあると感じた小助は、すぐにこのことを獅子丸に知らせた。

『オイラの笛に合わせて、由比姉ちゃんが合図してくれたに違いないよ!』
『他に手がかりが無い以上、どんなことでも当たってみた方がいいと思うわ!』

すっかり体調が回復した獅子丸が山へ向かう支度をしていると、世話になった農家の婆さまがこんなことを言った。

『あの山には、バケモノが棲んでいるだよ』

そのバケモノとはガマウルフのことかもしれないと、三人は思った。道なき道を登って光の輝いた場所へ向かう三人は、途中で草木に隠れて張り巡らされている鳴子(なるこ)を見つけた。鳴子とは、敵の侵入を知らせる仕掛けである。ヒモを引っかけると、大きな音が鳴る仕掛けになっている。

山の中腹あたりで様子をうかがう三人は、見張りをしているドクロ忍者の姿を見つけた。やはり、この山のどこかに由比が捕まっているに違いないと、三人は確信した。獅子丸が囮になって騒ぎを起こすから、騒ぎのスキに、沙織と小助は裏から回って由比を助けるように作戦を立てる三人。

獅子丸がドクロ忍者たちに突っ込んでいくのを見て、沙織と小助は山の裏手に回っていく。だが、そちらにも数名のドクロ忍者たちが見張っていた。違う方向へ行こうとして、小助は足元の鳴子をひっかけてしまった。

鳴子の音を聞いて、ドクロ忍者たちが大勢集まってきた。沙織と小助のふたりに対し、ドクロ忍者は十数人、ふたりは必死に戦った。

その頃、ドクロ忍者たちをすべて片づけた獅子丸は、石の階段を駆け上がろうとして、階段の一番上に立っている比企衛門と対峙した。

『とうとう、来ましたね』
『比企衛門!いや。ゴースンの手下、怪人ガマウルフ!』
『ワタシの正体が、解ってしまった様ですね。お望みとあらば、相手もしよう』

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『果心覚書は、どこだ!』
『ハハハハ、これですよ。私もジャラモンで修行をした忍者の1人。そう簡単には渡しませんよ』

比企衛門は、懐から本物の「果心覚書」を出して獅子丸に見せた。そして、それを懐へしまうと、両手を組んで小声で呪文を唱え始めた。比企衛門の足元から霧が噴き出し、その姿は小さなヒキガエルになり、また霧が覆うと怪人ガマウルフへと変身した。

『来い、獅子丸!』
『風よ光よ!忍法獅子変化!』

互いに変身した姿で、太刀を交えるふたり。ガマウルフは毒霧を吐いて、霧にまぎれて姿を隠しながら、巨大な剣を振り回してライオン丸に襲いかかってきた。

その頃、中腹にある小さなお堂内に捕らわれていた由比を、沙織と小助は救い出していた。沙織が手を引いて走ろうとすると、由比はそれを拒んだ。由比は、自分の父が怪人ガマウルフだと知って、大きなショックを受けていた。そのことを沙織と小助に話す由比。すると、小助が言った。

『でも、お姉ちゃんは怪人じゃないよ』

今は、一刻も早く山を下りることが大切だと諭した沙織は、由比の手を引いて走り出した。山道をどんどん下って行くと、途中で三人は、ライオン丸とガマウルフの戦いの場に遭遇した。

ガマウルフが飛びあがった時、ライオン丸のいる側の後方から、こちらへ走ってくる由比の姿をガマウルフは目撃する。由比は、ふたりの戦いを止めに入ろうとしていた。

『由比!』
『やめて!』

ガマウルフは一瞬戦意を喪失して、スキができた。それを見逃さないライオン丸は、空中でホバリングしながら横一文字に斬るライオン飛行返しという技を使った。ガマウルフは空中で斬られ、その手から離れた剣は地上へ落下して、ふたりを止めに近くまで来ていた由比の胸に突き刺さった。

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『あ、あぁぁぁ』
『ばかめ、大事な立ち合いの・・・邪魔をしおって・・・由比』

倒れた由比は残りの力を振り絞り、胸にしまっていた母の手鏡を出して、小さな声で言った。

『お父さま、一緒にお母さまの所へ・・・』

事切れた由比の手鏡に映っていたガマウルフは、やがて比企衛門の姿に戻った。倒れたまま比企衛門は懐の「果心覚書」を獅子丸に差し出すと、由比と共に永遠の眠りに着くため、獅子丸に言った。

『獅子丸殿・・・頼む、ここを離れてくだされ』

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獅子丸は、比企衛門の手から「果心覚書」を受け取ると、言う通りにその場を離れた。力無く立ち上がった比企衛門が、両手を組んで呪文を唱えると、次の瞬間大爆発が起きた。

由比殿のおかげで「果心覚書」を手に入れることができましたと、獅子丸たち三人は果心居士の墓前で報告をするのだった。

(ナレーション)ようやく手にすることができた果心覚書。ゴースンの弱点を知るために、その手がかりを求めてふたたび故郷飛騨をあとにした三人の行く手には、幾多の困難が待ち受けている。
(終わり)


★★★★★★★★★★★★
比企衛門の比企は、ヒキガエルのヒキらしい。ドラマの中の果心覚書には、猪俣蟇衛門(いのまた・ひきえもん)と書かれているが、出演者の役名テロップは比企衛門となっている。



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