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快傑ライオン丸(22) [ライオン丸・ドラマ3]

今回は、第29話《影三つ 怪人ドクロンガ・後編》を取りあげます。

【前回までの話は・・・タイガージョーに敗れ、和尚の問いにも答えを出せない獅子丸の心は沈み、しかも勝手な行動を取った獅子丸と小助・沙織の間には、亀裂が生じていた。そんな時に現れた怪人ドクロンガは、ひとり1人では弱いドクロ忍者が三人合体した怪人で、その強さは三人合わせた以上に獅子丸には感じられた・・・】

◆(ナレーション)獅子丸がドクロンガに敗走していた頃、獅子丸を倒した虎錠之介は、何か言い知れぬ虚しさを感じていた。

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自分より強い者と戦って勝つという目標を、獅子丸を倒したことで失った虎錠之介は、生きる目的を失ったかのようにただいたずらに時を浪費していた。そして、通りすがりの牢人武者に自分より弱いと言いがかりをつけ、刃向かってくる武者たちを斬っては、不満を解消していた。

ある時、錠之介が浪人を斬ったところを、旅の和尚が見ていた。その和尚は、獅子丸が立ち寄ったあの山寺の和尚であった。和尚は、錠之介に言った。
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『若いの、殺生なことをするのぉ。だいぶ、できるようだな』

錠之介は和尚を見て、太刀を抜いた。

『どうする気だ?』
『斬る!』

『おいおい、坊主を斬ると地獄へ落ちるぞ』
『いいとも。地獄とやらへ、行ってみたいものだ』

『弱ったな。まだワシは、命が欲しいで。ワシを斬るより、あの枯れ枝でも斬ってみぬか』
『貴様!この俺を、虚仮(こけ)にするのか!』

『そんなつもりはないが、見事斬れるか?ただし、葉を一枚でも落としてはならぬぞ』
『おう。見てろ!』

錠之介は素早く飛び上がると、枯れ葉を一枚も落とすこと無く、枯れ枝を斬り落とした。

『うん。どうやらお前さんは、獅子丸とか言う若者より上手だな』
『なに?獅子丸だと。お主、獅子丸を知っているのか?』

この後、和尚と錠之介の間でどんなやりとりがあったのか、それは分らない。だが、獅子丸よりも自分の太刀の腕の方が上であったことを、偶然にも証明する形になったことに、錠之助は満足したのではないだろうか。

獅子丸と小助がケンカしたまま小屋を飛び出してから、小半時(今の30分)の時間が流れた。ふたりとも、小屋へは戻って来ていない。沙織はまず、小助を探しに出かけた。そして、草原に立ったまま涙を流している小助を見つけ、沙織はそっと抱きしめてあげるのだった。

ふたりが小屋へ戻ってみると、獅子丸の姿はやはり無かった。その頃獅子丸は、ドクロンガに襲われて負傷していたのだ。小助は身体を丸めて、しばらくジッとしていたが、沙織に向かって言った。

『沙織姉ちゃん。やっぱりオイラ、獅子丸兄ちゃんを探してくらぁ!』

沙織は、笑顔の小助を見て安堵した。ヒグラシが鳴く夕方近く、必死に小助は獅子丸を探し歩いた。同じ頃、ドクロ三兄弟も、逃げられたライオン丸の捜索をしていた。あと一歩のところで倒せたことを思うと、逃がした魚は大きい。夜になった。洞窟の中で、獅子丸は今日のドクロンガとの戦いを振り返っていた。

『ドクロンガ・・・強い。ドクロ忍者でも三人の力が集まれば、あれほどの力を。三人のチカラ・・・沙織、小助』

獅子丸は、やっと気がついたのだ。自分ひとりではできないことも、三人で力を合わせればできることに。翌早朝、沙織と小助の待つ小屋へ、足早に近づいて来る者がいた。獅子丸である。

『帰ったぞ!沙織、小助』

沙織は笑顔で獅子丸を迎えたが、素直になれない小助は、顔をそむけて背中を向けてしまう。だが、獅子丸は小助のそばへ寄ると、自分が悪かったことを素直に謝るのだった。

そして、タイガージョーに敗れて以来、ヤツに勝つ方法をひとりで模索していたことを、獅子丸は小助に話しはじめた。そんな時に山寺の和尚と出会い、和尚の「葉を落とさぬようにして枝を斬れ」という言葉の中に、俺はタイガージョーを倒す手がかりがあるような気がして・・・と言った時、獅子丸の言葉を遮って小助は言った。

『そんなに枝が斬りたけりゃ、葉っぱを全部落としちまえばいいじゃないか!』

小助の発した何気ない言葉に、突然カミナリに打たれたようにハッとする獅子丸。

『今、何と言った?小助!もう一度、言ってくれ!』
『葉っぱだけ、先に落としちゃうんだよ。枝だけになれば、斬っても葉っぱは落ちないだろ!』

今の小助の発言の中に、獅子丸は重大なヒントを見つけたのだ。早速獅子丸は、自分の考えが正しいことを確認するため、近くの林へ走って出かけて行く。沙織と小助も、すぐあとを追った。大木の前で、獅子丸の怖い顔つきを見た小助は、思い付きで言ったデタラメな発言のことを、獅子丸に謝った。だが、笑顔で振りかえった獅子丸は、小助に言った。

『デタラメじゃ無いんだ。見てろ!』

大木の前で、獅子丸はある枯れ枝に目標を定めると、精神を統一して無心で飛びあがった。

『エイッ!』

獅子丸が着地してすぐに、枯れ葉を一枚も落とさずに枯れ枝が一本落ちてきた。

『できた!』
『できた!獅子丸兄ちゃん!』
『できたわ、獅子丸さん!』

(ナレーション)枯れ葉を落とすまいとするから、落ちる。勝とうとする気持ちだけが先走るから、負ける。「無心で臨め」これが和尚の教えであった。獅子丸は、ふたたび沙織、小助と一体になれた喜びを、全身で感じていた。

三人のわだかまりは、解けた。さぁ、ふたたびゴースンを倒す旅に、三人で出かけよう。だが、その三人を狙うドクロ三兄弟が、行く手を阻んだ。

『待っていたぞ、獅子丸!今度こそ、命はもらったぞ!』

長兄のツガイがそう言うと、三人は重なる様に一体になった。

『ゴースンドクロ変化、ドクロンガ!』

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三つの顔を持つ1人の怪人に対し、獅子丸、沙織、小助は相手に休息を与えぬよう、三人で波状攻撃(波が寄せるように繰り返し行う攻撃)を仕掛けていった。そうしているうちに、次第に怪人に疲れが見えはじめ、獅子丸は忍法獅子変化でライオン丸に変身した。

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『ライオン丸、見参!』

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ドクロンガは、クサリで繋がれた二本のあばら骨を、ライオン丸へ思いきり投げつけた。すると、二本のあばら骨は地面に突き刺さるような速さで飛んで行き、ライオン丸の胴にクサリが食い込んだ。反動でライオン丸は地面に倒れ、固定されて身動きができなくなってしまう。先のとがった別のあばら骨で、とどめを刺そうと向かってくるドクロンガ。

しかし、ライオン丸は、食い込んだクサリを金砂地の太刀で斬ると、飛び上がって逃げた。そして、ドクロンガが飛び上がるタイミングを計って自分も飛び上がり、「ライオン飛行斬り」を炸裂させた。

斬り裂かれたドクロンガは、三人のドクロ忍者の姿に戻り、バラバラの地点に落下した。三人は、一点を目指して必死に地面を這っていく。片手を伸ばして互いの手をつかもうとするその指先は震え、やがてバタリと動かなくなった。三兄弟の命の炎は、ここに燃え尽きた。

『ライオン丸!今のは、飛行斬りじゃない!新しい技だよ』

小助がそう叫び、沙織も同意した。タイガージョーを倒すための新しい必殺技が、出来上がっていたのだ。だが、獅子丸にとって今の技は、無意識に出たものだ。どのように剣を使ったのか、自分でもよく解からない。

(ナレーション)新しい必殺技に光明を見いだした獅子丸は、故郷・飛騨にその手がかりを求めて旅立つのだった。そして、獅子丸が生きていることを知り、それを追うタイガージョーは馬上にいた。
(終わり)


★★★★★★★★★★★★
和尚の枯れ枝の話は、剣の技術論ではなく、精神論の話として説明されていた。いろいろ考えることをせずに、一つのことに集中せよということか。



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