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快傑ライオン丸(14) [ライオン丸・ドラマ2]

今回は、第25話《影狩り怪人モスガイガー・後編》を取りあげます。


前回までの話は・・・ 折れた金砂地の太刀の修復は、村の刀鍛冶ではできないと言われる獅子丸。ライオン丸に変身出来ない獅子丸がゴースンを倒せるのか、不安になる小助。怪人モスガイガーは変身出来ない獅子丸を追いつめ、崖下へ転落した獅子丸は気を失ってしまう。だが、偶然通りかかった老人に獅子丸は助けられ、老人宅で介抱を受けるのだった。意識を取り戻した獅子丸は、老人の口から「金砂地の太刀」の名が出たことに驚く・・・】

◆『金砂地の太刀の秘密を知っているらしいこの老人は、いったい何者なんだ・・・』

布団に横になって身体を休めながら、獅子丸はこの老人の正体が気になっていた。翌日からこの老人の元で、獅子丸は刀鍛冶の仕事を始めた。顔を隠すように手ぐいでほっかぶりをして、鍛冶職人の弟子という姿で獅子丸は働いた。

高温に熱した炭の中に玉鋼(たまはがね)という太刀の刀身になる素材を入れ、それが真っ赤に熱せられた状態になったら取り出して、金づちで老人と獅子丸が交互に叩くのだ。

この様子を、窓の隙間から見ている者がいた。ドクロ忍者であった。ここ数日、獅子丸たち三人の姿を見失っていた怪人は、ドクロ忍者たちを村の各地へ放って偵察をさせていた。

そして、百姓道具を作る一人住まいの鍛冶職人の家に、見知らぬ男がいるという情報を得たモスガイガーは、キン、カン、キン、カンと金属を叩く音がこだまするこの老人の家へ押し入ると、作業中の老人に問いかけた。

『ジジイ、旅姿の三人連れを見かけなかったか』
『さて、一向にな・・・』
『そこの若い男は、ここじゃ見慣れぬ顔だな』
『百姓仕事が嫌になったらしゅうて、ついこの間、弟子入りして来たのじゃ』

特に怪しむ気配も見せず、モスガイガーは老人の家を出た。なんと、モスガイガーをここまで乗せてきた馬引きは、変装した小助であった。獅子丸と小助は目が合い、合図した。モスガイガーはこの小さな馬引きに出立するよう合図すると、ドクロ忍者たちと共に老人の家を離れていくのだった。

鍛冶職人の老人の家では、玉鋼を打つ手を休めずに仕事が続けられていた。名刀・金砂地の太刀がどのようにして蘇るのか、獅子丸には皆目見当がつかない。「ひと休みしよう」という老人の声で、仕事を中断する獅子丸。獅子丸はこの時、どうしてもこの老人の正体が知りたくなり、獅子丸の横に腰かけて汗を拭っている老人に訊ねた。

『教えてください、ご老人。あなたの本当のお姿を』
『・・・では、お話いたそう。実は、ジャラモン大聖人様より、金砂地の太刀を賜った果心居士様こそ、昔のワシの師匠じゃ』

『あなた様が、お師匠様のお弟子!』
『うん。またの名を、得心居士という』

獅子丸は得心居士の正面に正座すると、自分の名を名乗り、果心居士に育てられて弟子になったことを話した。崖下で倒れていた獅子丸をひと目見て、正義の道を歩む若者だと感じたと、得心居士も獅子丸の印象を述べるのであった。

『しかし、金砂地の太刀がこのままでは、銀砂地の太刀の勢いが日増しに増すばかりじゃ』

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(柄の色が青く、クサリで繋がれた金砂地の太刀)
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(柄の色が赤く、クサリが無い銀砂地の太刀)

銀砂地の太刀とは、豪山(ゴースン)の持つ太刀のことである。ジャラモン教の教主、大聖人ゴーファ・ジャラモンが他界する前に、果心居士に「金砂地の太刀」を、豪山には「銀砂地の太刀」をそれぞれ託した。

『それらを世界の平和のために使うよう、ジャラモン様はお申しになられたのじゃ。ところが、豪山はその銀砂地の太刀を悪の世界を作るために使いだしたのじゃ。一刻も早く金砂地の太刀を作り出さねば、この世は悪の影で真っ暗闇になってしまうぞ』

獅子丸は、得心居士からジャラモン教にまつわる金砂地の太刀とゴースンの関係を聞き、改めてゴースン打倒を心に誓うのだった。

『ワシはゴースンの目から逃れるために、今は世を捨てて百姓道具しか作っておらぬが、今度ばかりは別だ。精魂を傾けて、金砂地の太刀を作ってみようぞ!』
『お願いいたします』

獅子丸は、得心居士に向かって深々と頭を下げた。そして得心居士と獅子丸は、赤々と焼けた玉鋼をふたたび金づちで叩き始めた。それは、一晩中途切れることなく続いた。途中で、静かに木戸を開ける音がした。敵かと思い、ふたりが顔を上げると、そこには笑顔で覗く小助の顔があった。

翌朝。昨夜は真っ赤に燃えた鉄のかたまりでしかなかった玉鋼(たまはがね)が、刀身の折れた先端部分に姿を変えていた。得心居士と獅子丸、それに小助の三人は、この出来上がった刀身と折れた金砂地の太刀とをつなげる大事な儀式に、これから臨もうとしている。

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出来上がった刀身と金砂地の太刀の柄(つか)の部分を三方(さんぽう;神事において使われる台)に乗せて、得心居士は榊を振りながら神道の作法に則って(のっとって)神事を進めていく。

得心居士のとなりに、少し離れて獅子丸と小助が片膝をついて従っている。神事の呪文を唱え終わった得心居士は、出来上がった刀身を獅子丸に渡した。一礼した獅子丸は、刃先を上にして切っ先(刃の先端部分)を自分の胸に軽く当てた状態で、両手で挟むようにして刀身を持った。

『そんなことしたら、獅子丸兄ちゃん死んじゃうよ!』
『金砂地の太刀とは、魂の聖剣じゃ。真、獅子丸殿に正義を守る魂があれば、金砂地の太刀はつながり、完成する。小助、すべてを神に託して待つのじゃ・・・ジャラモンの父よ。今こそあなたの力を、与えたまえ!』

得心居士は、獅子丸が持つ刀身部の断面に、金砂地の太刀の柄側の折れた断面を押し込むように合わせた。

『ヤァーッ!』

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風の音だけがヒューヒューと聞こえ、何も起こらない状態が数秒間続いた。だが、断面と断面の接合部分が突然稲妻のように光り、金砂地の太刀は一本につながった。つながった刀身を清めるため、得心居士は竹の節をくり抜いて作った聖水入れの聖水に素早く浸けた。取り出した太刀は朝日を浴びてキラキラと輝き、ここに新しい金砂地の太刀が完成した。

『獅子丸殿。この太刀で悪を倒し、正義を守って下され・・・』

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得心居士は、新しい金砂地の太刀を獅子丸に差し出すと、一礼した獅子丸はそれを受け取り、背中の鞘(さや)へと収めた。すると、鞘に付いているクサリが磁石のように引き寄せられ、太刀の鍔(つば)とつながったのである。金砂地の太刀は、よみがえった。

『一刻もはやくゴースンを。さぁ、早く!』
『ありがとうございました』

獅子丸は小助を連れて、沙織が待つ地獄が原へ向かって走った。金砂地の太刀を作りあげるために精魂を使い果たした得心居士は、もう寿命が残り少ないことを感じていた。得心居士は最後の力を振り絞って両手を合わせ、天に向かって独り言のように話し、そして静かに目を閉じた。

『これで、私の使命は終わったのだ・・・果心居士さま・・・獅子丸は、立派に使命を果たしますぞ』
(ナレーション)老人は死んだ。だが、得心居士の魂は、金砂地の太刀に乗り移ったのだ。

地獄が原で待っていたのは、沙織だけでは無かった。モスガイガーとドクロ忍者たちが、姿を現した。獅子丸は、新しい金砂地の太刀を使って、忍法獅子変化でライオン丸に変身した。

『ライオン丸、見参!』
『ヤヤッ!』

変身したことに驚くモスガイガーは、もはやライオン丸の敵では無かった。モスガイガーが爆死して、ヒラヒラと空から落ちてきた第三の地図を拾う小助。それには、目指すゴースン島がハッキリと記されていた。

(終わり)


★★★★★★★★★★★★
この当時、相手の人相は、似顔絵でしか把握できない時代だ。探す人物が目の前にいても、分らないこともあるだろうね。
気がつけば、怪人モスガイガーの写真が一枚もないね。ま、いっか!(笑)



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