快傑ライオン丸(13) [ライオン丸・ドラマ2]
今回は、第25話《影狩り怪人モスガイガー・前編》を取りあげます。
原作;うしおそうじ
脚本;濠 喜人
企画;うしおそうじ 別所孝治
音楽;小林亜星
殺陣;渡辺高光
監督;曽我仁彦
【前回までの話は・・・第二前線基地を守るドクロ仮面の配下に、トビムサシという怪人がいる。この怪人はとても紳士的で、正々堂々と戦うことを好み、普段は盲目の娘ユリの目となって生活を助けていた。獅子丸たち三人は、ゴースン島へ行くためにどうしても第二前線基地を通過しなければならなかった。実力伯仲のため二度の戦いとも引き分けたライオン丸とトビムサシは、三度目の戦いで遂に雌雄を決した。運命の女神は、盲目の娘ユリに悲しい結末をもたらすのだった・・・】
◆トビムサシとの激しい戦いで、金砂地の太刀は折れてしまった。獅子丸がライオン丸に変身するためには、この太刀がどうしても必要なのだ。獅子丸たち三人は、折れた金砂地の太刀をつなげてもらうため、刀鍛冶職人の東六という者の家にいた。
『どうしても、駄目ですか』
『はい。いかな名匠といえども、折れた太刀をつなぐということは・・・』
『新しく打ち返すことも、できませんか』
『私どもの腕では、とてもこのような立派なものは・・・』
刀鍛冶の東六は、金砂地の太刀をしみじみと見ながら言った。
『しかし、これ程の太刀が折れるとは・・・』
このとき、刀鍛冶・東六と獅子丸との会話を、屋根裏に潜んで聞いている者がいた。ドクロ忍者である。獅子丸は物音に気づき、屋根裏めがけて手裏剣を投げたが、うまくかわしたドクロ忍者は逃げてしまった。
この情報を一刻も早く知らせるため、怪人の元へドクロ忍者はひたすら走った。そして、怪人モスガイガーの前にひれ伏すと、声なき声でこのことを報告した。すると、勝ち誇ったように怪人は笑った。
『そうか。やはり獅子丸の太刀は、折れていたか・・・ハハハハハ』
獅子丸たちが目指すのは、地獄が原という場所である。地獄が原へ行くためには、この先の村を通らねばならなかった。だが、この先の村はバケモノに支配されているというウワサを、刀鍛冶の東六から聞かされる獅子丸たち。
(折れているため、クサリがはずれたままの金砂地の太刀)
通るのは止めるようにとの東六の言葉に、獅子丸たちは丁重に礼を述べて、東六の家をあとにした。クサリが外れたままの金砂地の太刀を背にして、獅子丸と沙織、小助は地獄が原へと向かった。
バケモノが支配するという村に入ると、三人を待ち受けていたのは奇妙な村人たちであった。獅子丸たちを威嚇する様に、ただジッと見つめている。その数は大人・子供を含めて、二十数人はいるだろうか。
獅子丸も彼等に威嚇の声をだすが、彼等は何も反応せず、ただジッと三人を見つめている。そのうち村人の誰かが物を投げたので、小助が応戦しようと言った。が、ここは沙織の意見を聞き入れて、獅子丸たちは村人たちを無視して通り過ぎることにした。
この村のどこかにアジトを構える怪人モスガイガーは、ドクロ忍者たちを集めて、獅子丸たちを急襲するよう命令を下した。
『獅子丸は、ライオン丸に変身出来ない。今こそ、積年の恨みを晴らす時が来たぞ。ドクロ忍者ども、行け!』
その頃、獅子丸たちは川の流れの少ない場所で小休止をしていた。小助がふと、不安げにつぶやいた。
『ライオン丸に変身出来なきゃ、勝てやしないじゃないか。刀は直せないっていうし、チクショー・・・』
『小助、ゴースンが怖いか?この刀が折れたから、忍法獅子変化は出来ないかもしれない。だが、ライオン丸になれなくても、私達はゴースンを倒さなくてはならないんだよ!』
お師匠様の仇・ゴースンを倒すという目的は、たとえライオン丸になることができなくても変わらないことを、獅子丸は小助ともういちど確認しあった。だが小助には、頼みの綱はライオン丸なのだ。
『そんなこと言ったって、刀が直らなきゃ・・・』
そうこう話しているうちに、敵が攻めてくる気配を感じた獅子丸は、沙織と小助に向かい、こう言った。
『来たぞ!奴らは、俺の刀が折れているのを知っている。この機を逃すまいと、必死に攻めてくるに違いない。なんとしてでも、この村を突破しよう!落ち合う先は、地獄が原だ!』
三人はしかと確認すると、生い茂る背丈の高い草に姿を隠しながら、それぞれ別方向へと散っていった。途中でドクロ忍者と遭遇したら戦い、三人はそれぞれの場所で多くのドクロ忍者を斬り捨てて進んだ。
怪人モスガイガーが獅子丸の前に現れ、先端が三つに分れた矛(ほこ)を振り回しながら襲いかかってきた。獅子丸は、クサリが切れたままの金砂地の太刀で、忍法獅子変化の呪文を唱えてみた。だが、やはり折れた太刀では、忍法獅子変化はできない。
『ばかめ、獅子丸!貴様はもう変身出来ないんだ!往生際の悪いヤツめ!』
獅子丸はモスガイガーに崖へ追い詰められ、あとが無い。足を踏み外した獅子丸は、崖下へ転落してしまうのだった。とどめを刺すべく、モスガイガーはドクロ忍者たちを崖下へ捜索に行かせた。
(鍔には、ジャラモン門下の者なら知っている絵柄が付いていた)
そのとき、偶然にも獅子丸が倒れている崖下を薪(たきぎ)を背負った老人が通りかかった。気を失っている獅子丸に近寄った老人は、獅子丸の持つある物を見て、驚きの表情を浮かべた。それは、太刀に付いている鍔(つば)の絵柄であった。鍔(つば)とは、刀剣の柄(つか)と刀身との境目に挟まれた、柄を持つ手を防護するものである。
背負っていた薪を降ろした老人は、獅子丸の心臓辺りに耳を当てて、生きていることが判ると、急いで獅子丸を抱き上げて肩に左腕を回して、この場から連れ出そうとした。だが、そこへドクロ忍者たち数人が集まってきて、老人と獅子丸に襲いかかってきたのだ。
しかし、この老人は剣の使い手であった。獅子丸が握っている太刀を右手に取ると、あっという間にドクロ忍者たちを斬り捨てて、獅子丸を抱えたままどこかへ消えてしまった。
一方、沙織と小助はどうしているだろうか。沙織は旅姿の大道芸人の娘に変装し、小助は馬引きに変装して、それぞれこの村を突破しようと努力していた。
『おお、気がつかれたかな。しばらく、そのままでな・・・』
『ここは・・・』
意識を回復した獅子丸は、水を一杯飲ませてもらってから、この老人に丁重に礼を言った。
『危ないところを助けていただき、ありがとうございました』
『なんの、なんの。だいぶ長いこと、気を失われておったようじゃが、大丈夫かな』
布団から出てゆっくりと起き上がり、獅子丸は老人に名前を訊ねたが、「とうの昔に忘れたわい」と教えてくれない。獅子丸は、地獄が原で待つ約束の沙織と小助のことを思い、立ち上がろうとするが、身体にまったく力が入らない。まだ無理をしないよう老人に言われ、布団に座った獅子丸にこの老人は驚くべきことを言った。
『こんな山奥に、刀鍛冶はおらぬぞ・・・』
『どうして、そのことを・・・』
『しかし、あの金砂地の太刀が折れるとは、いささか信じられぬことじゃ・・・』
『え!どうして、それを・・・あなたは、いったいどなたですか!』
老人は獅子丸の顔を見ながら、ただ笑っているだけであった。
(つづく)
★★★★★★★★★★★★
謎の老人と金砂地の太刀は、どういう関係にあるのか?
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原作;うしおそうじ
脚本;濠 喜人
企画;うしおそうじ 別所孝治
音楽;小林亜星
殺陣;渡辺高光
監督;曽我仁彦
【前回までの話は・・・第二前線基地を守るドクロ仮面の配下に、トビムサシという怪人がいる。この怪人はとても紳士的で、正々堂々と戦うことを好み、普段は盲目の娘ユリの目となって生活を助けていた。獅子丸たち三人は、ゴースン島へ行くためにどうしても第二前線基地を通過しなければならなかった。実力伯仲のため二度の戦いとも引き分けたライオン丸とトビムサシは、三度目の戦いで遂に雌雄を決した。運命の女神は、盲目の娘ユリに悲しい結末をもたらすのだった・・・】
◆トビムサシとの激しい戦いで、金砂地の太刀は折れてしまった。獅子丸がライオン丸に変身するためには、この太刀がどうしても必要なのだ。獅子丸たち三人は、折れた金砂地の太刀をつなげてもらうため、刀鍛冶職人の東六という者の家にいた。
『どうしても、駄目ですか』
『はい。いかな名匠といえども、折れた太刀をつなぐということは・・・』
『新しく打ち返すことも、できませんか』
『私どもの腕では、とてもこのような立派なものは・・・』
刀鍛冶の東六は、金砂地の太刀をしみじみと見ながら言った。
『しかし、これ程の太刀が折れるとは・・・』
このとき、刀鍛冶・東六と獅子丸との会話を、屋根裏に潜んで聞いている者がいた。ドクロ忍者である。獅子丸は物音に気づき、屋根裏めがけて手裏剣を投げたが、うまくかわしたドクロ忍者は逃げてしまった。
この情報を一刻も早く知らせるため、怪人の元へドクロ忍者はひたすら走った。そして、怪人モスガイガーの前にひれ伏すと、声なき声でこのことを報告した。すると、勝ち誇ったように怪人は笑った。
『そうか。やはり獅子丸の太刀は、折れていたか・・・ハハハハハ』
獅子丸たちが目指すのは、地獄が原という場所である。地獄が原へ行くためには、この先の村を通らねばならなかった。だが、この先の村はバケモノに支配されているというウワサを、刀鍛冶の東六から聞かされる獅子丸たち。
(折れているため、クサリがはずれたままの金砂地の太刀)
通るのは止めるようにとの東六の言葉に、獅子丸たちは丁重に礼を述べて、東六の家をあとにした。クサリが外れたままの金砂地の太刀を背にして、獅子丸と沙織、小助は地獄が原へと向かった。
バケモノが支配するという村に入ると、三人を待ち受けていたのは奇妙な村人たちであった。獅子丸たちを威嚇する様に、ただジッと見つめている。その数は大人・子供を含めて、二十数人はいるだろうか。
獅子丸も彼等に威嚇の声をだすが、彼等は何も反応せず、ただジッと三人を見つめている。そのうち村人の誰かが物を投げたので、小助が応戦しようと言った。が、ここは沙織の意見を聞き入れて、獅子丸たちは村人たちを無視して通り過ぎることにした。
この村のどこかにアジトを構える怪人モスガイガーは、ドクロ忍者たちを集めて、獅子丸たちを急襲するよう命令を下した。
『獅子丸は、ライオン丸に変身出来ない。今こそ、積年の恨みを晴らす時が来たぞ。ドクロ忍者ども、行け!』
その頃、獅子丸たちは川の流れの少ない場所で小休止をしていた。小助がふと、不安げにつぶやいた。
『ライオン丸に変身出来なきゃ、勝てやしないじゃないか。刀は直せないっていうし、チクショー・・・』
『小助、ゴースンが怖いか?この刀が折れたから、忍法獅子変化は出来ないかもしれない。だが、ライオン丸になれなくても、私達はゴースンを倒さなくてはならないんだよ!』
お師匠様の仇・ゴースンを倒すという目的は、たとえライオン丸になることができなくても変わらないことを、獅子丸は小助ともういちど確認しあった。だが小助には、頼みの綱はライオン丸なのだ。
『そんなこと言ったって、刀が直らなきゃ・・・』
そうこう話しているうちに、敵が攻めてくる気配を感じた獅子丸は、沙織と小助に向かい、こう言った。
『来たぞ!奴らは、俺の刀が折れているのを知っている。この機を逃すまいと、必死に攻めてくるに違いない。なんとしてでも、この村を突破しよう!落ち合う先は、地獄が原だ!』
三人はしかと確認すると、生い茂る背丈の高い草に姿を隠しながら、それぞれ別方向へと散っていった。途中でドクロ忍者と遭遇したら戦い、三人はそれぞれの場所で多くのドクロ忍者を斬り捨てて進んだ。
怪人モスガイガーが獅子丸の前に現れ、先端が三つに分れた矛(ほこ)を振り回しながら襲いかかってきた。獅子丸は、クサリが切れたままの金砂地の太刀で、忍法獅子変化の呪文を唱えてみた。だが、やはり折れた太刀では、忍法獅子変化はできない。
『ばかめ、獅子丸!貴様はもう変身出来ないんだ!往生際の悪いヤツめ!』
獅子丸はモスガイガーに崖へ追い詰められ、あとが無い。足を踏み外した獅子丸は、崖下へ転落してしまうのだった。とどめを刺すべく、モスガイガーはドクロ忍者たちを崖下へ捜索に行かせた。
(鍔には、ジャラモン門下の者なら知っている絵柄が付いていた)
そのとき、偶然にも獅子丸が倒れている崖下を薪(たきぎ)を背負った老人が通りかかった。気を失っている獅子丸に近寄った老人は、獅子丸の持つある物を見て、驚きの表情を浮かべた。それは、太刀に付いている鍔(つば)の絵柄であった。鍔(つば)とは、刀剣の柄(つか)と刀身との境目に挟まれた、柄を持つ手を防護するものである。
背負っていた薪を降ろした老人は、獅子丸の心臓辺りに耳を当てて、生きていることが判ると、急いで獅子丸を抱き上げて肩に左腕を回して、この場から連れ出そうとした。だが、そこへドクロ忍者たち数人が集まってきて、老人と獅子丸に襲いかかってきたのだ。
しかし、この老人は剣の使い手であった。獅子丸が握っている太刀を右手に取ると、あっという間にドクロ忍者たちを斬り捨てて、獅子丸を抱えたままどこかへ消えてしまった。
一方、沙織と小助はどうしているだろうか。沙織は旅姿の大道芸人の娘に変装し、小助は馬引きに変装して、それぞれこの村を突破しようと努力していた。
『おお、気がつかれたかな。しばらく、そのままでな・・・』
『ここは・・・』
意識を回復した獅子丸は、水を一杯飲ませてもらってから、この老人に丁重に礼を言った。
『危ないところを助けていただき、ありがとうございました』
『なんの、なんの。だいぶ長いこと、気を失われておったようじゃが、大丈夫かな』
布団から出てゆっくりと起き上がり、獅子丸は老人に名前を訊ねたが、「とうの昔に忘れたわい」と教えてくれない。獅子丸は、地獄が原で待つ約束の沙織と小助のことを思い、立ち上がろうとするが、身体にまったく力が入らない。まだ無理をしないよう老人に言われ、布団に座った獅子丸にこの老人は驚くべきことを言った。
『こんな山奥に、刀鍛冶はおらぬぞ・・・』
『どうして、そのことを・・・』
『しかし、あの金砂地の太刀が折れるとは、いささか信じられぬことじゃ・・・』
『え!どうして、それを・・・あなたは、いったいどなたですか!』
老人は獅子丸の顔を見ながら、ただ笑っているだけであった。
(つづく)
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謎の老人と金砂地の太刀は、どういう関係にあるのか?
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